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  • 株式会社コンカン

【代表の人物像&体験談!】「コロナ禍で、なぜ 紅茶ブームが起きたのか?」~副題:紅茶の起源「発祥の地と国内外の歴史!」~


今日は、concan代表の私が「昨今の紅茶ブームの背景と、紅茶の歴史」について深堀りします。

コロナ禍の今、女性を中心に「アフタヌーンティー」が流行っていたり、各飲料メーカーから趣向を凝らした新商品が登場したりと、「紅茶ブーム」が起きています。

コロナ禍で紅茶が流行る理由とは…。

「日本紅茶協会」の専務理事「米川 榮氏」に紅茶ブームを支えている要因について語る会談記事から紐解いて紹介します。


まずは、本題に入る前に 「紅茶」の起源(諸説ある発祥の地)や歴史について調べてみます。

今でこそ、気軽に飲んでいる「紅茶」ですが、昔は 貴族などの上流階級者しか飲めない"嗜好品"として定着していた時代もあります。

また、「紅茶」を生産している国は たくさんありますが、"ルーツ"はある一つの国にあったとも考えられています。



■1【紅茶の起源「発祥の地と国内外の歴史!」】

「紅茶」の起源は、『中国雲南省~チベットやミャンマーの山岳地』にかけて自生していた「ツバキ科の常緑樹」によって齎されていると考えられています。

お茶は、中国で「不老長寿の霊薬」として取り入れられるだけではなく、薬のない時代には薬草として処方されることもあったのです。

その名残が「漢方」として現代にも足跡を残していますが、中国では 6世紀以降、薬草としてではなく「日常的な飲み物」として普及したと言われています。


中国で一般化したお茶は、海上貿易が盛んになる17世紀頃になると、ヨーロッパへ輸入され始めました。

当時は、まだ「紅茶」ではなく「緑茶」としてヨーロッパへ持ち込まれましたが、よりヨーロッパ人の口に合うように発酵を進めた結果、現在の「紅茶」が誕生したと考えられています。

また、ヨーロッパでは 各国によって様々な紅茶の楽しみ方が見られるのが特徴的です。


イギリスでは、「紅茶」に砂糖とミルクをたっぷり入れた「ミルクティー」が一般的であるのに対して、オランダやフランスではハーブをブレンドした「フレーバードティー」が好まれる傾向があります。


●「紅茶発祥の地は?」

「紅茶」の発祥といえば、中国と答えるのがいいのか、それともヨーロッパと答えるべきなのか、人それぞれに解釈は異なるります。

何故なら、初めに「紅茶」の樹となる植物が発見されたのは『中国近辺』ですが、発酵させて現在のような「紅茶」に仕上げたのは『ヨーロッパ』であると伝えられているからです。


●「中国の歴史!」

中国での茶の歴史は非常に古く、残されている資料では「紀元前2737年に中国・神農皇帝(伝説上の神)により、茶葉の利用が発見された」という"伝説"があります。

紀元前2737年といえば、2020年時点から数えると約4700年前のこと。そんな太古の時代からお茶が存在していたのです。

中国では、植物を用いた「漢方医療」にも力を入れていることから、中国周辺には 樹木や草花が豊富に自生していたことが想像できます。

また、紀元前59年(今から約2000年前)に書かれた「僮約(奴隷との契約文)」には、茶の記録が記されていたことを考えると、世界の中で最も早く お茶を飲み始めたのは中国だと考えられます。


●「日本での歴史!」

中国では紀元前から、ヨーロッパでは17世紀頃から お茶が飲まれるようになりましたが、「日本」に初めて「紅茶」が伝わったのは 明治20年(1887年)。当時の日本は、ヨーロッパ文化に強い憧れを抱いていたことから、イギリスから輸入品として広がりました。

因みに、日本に「紅茶」が持ち込まれたのは明治20年ですが、実は それよりも 前に"遣唐使"によって中国から「お茶」が持ち帰られています。

日本独自の楽しみ方として「茶道」が普及し、多くの茶人が誕生しているのが日本です。


●「発祥の地は『中国』が一般的!」

現在の紅茶は「完全発酵茶」であり、このような仕上がりに手を加えたのはヨーロッパの人々だと言われています。

しかし、お茶の樹は「中国周辺」で自生していたことや、中国の人々が何千年も前からお茶を飲んでいたことなどを考えると、「紅茶」の発祥地は中国だと考える人が多い傾向にあります。


●「紅茶に関する海外の歴史!」

紅茶が世界中に広がったのは、ただ単に「紅茶」が美味しかったというだけではありません。

そこには、国と国との争いや政治的観点も含まれ、紅茶の発展に繋がっています。


●「イギリスの歴史!」

イギリスに「紅茶」が持ち込まれたのは、1662年に行なわれたポルトガルの女王「キャサリン」と、「チャールズ2世」の政略結婚が関係しています。

2人の政略結婚時にポルトガルより贈られたキャサリンの持参金は、イギリスが それまで抱えていた負債問題を解決できるほど 膨大な資金だったと言われています。

持参物は、お金だけではなく、インドや北アフリカの領土が含まれていたり、当時貿易の最先端にいたポルトガルだから入手できた「お茶や砂糖」などもあったりしたのです。

紅茶といえばイギリスを連想する人も多いですが、紅茶は「政略結婚によってポルトガル女王が持ち込んだ"嗜好品"」だったのです。


キャサリンは持参した お茶の中に、当時大変貴重とされていた砂糖やスパイスをたっぷりと入れ、「ティータイム」を楽しむのが日課だったのです。

そして、その風習は後に イギリスの「紅茶文化」を構築する土台にもなり、多くのイギリス人が紅茶にミルクと砂糖を加える"ルーツ"にもなっています。


●「オランダの歴史!」

「紅茶」が、中国からヨーロッパへ持ち込まれた一つのきっかけは、「海上貿易」が盛んになったことが深く関係していました。中国からヨーロッパへ海上貿易を行なっていたのは「オランダ」の貿易会社で、当時はイギリスよりもオランダの方がより多く紅茶を入手できる状況にあり、紅茶が普及したのもオランダの方が先でした。イギリスでは、1660年頃から お茶を飲む習慣が広がっていますが、オランダでは 1630年頃には喫茶の習慣が根付いています。しかし、政略結婚によって豊富な資金や貿易拠点となる領土を手に入れたイギリスの『国力』はどんどん高まり、オランダの『国力』は低下して紅茶の主導権はイギリスに移行してしまいます。「紅茶と言えばイギリス」というイメージを持つ人は多いいのですが、実は イギリスよりも先にお茶の文化を取り入れていたのは「オランダ」なのです。


※「紅茶」の『誕生』(誰が発明したのか?)には、様々な逸話が残されていますが、はっきりしたことは分かっていません。

既に、中国で作られていたという説や、船上で茶が発酵して「紅茶」になったという説、あるいは イギリスで初めて生み出されたという説。いずれにしても、数ある茶の中で「イギリス人」が好んだのは、発酵が強く味も濃い「紅茶」だったそうです。イギリスの貴族層で、「紅茶」は爆発的な人気を博し、東洋への憧れの象徴としてまたたく間に広まっていきました。


因みに、中国語では「紅茶」ですが、英語では"Black Tea"といいます。なぜ 中国では「赤」、イギリスでは「黒」だと思ったのでしょうか…。

それは、中国が茶の水色(すいしょく)を見て「紅」と取ったのに対し、イギリスでは茶葉の色を見て"Black"と考えたからです。同じ飲み物でも、国によって色のイメージが異なるのは、不思議なものです。


それでは、本題に入ります。

■2【コロナ禍で急増した紅茶を楽しむ人たち!】

「日本紅茶協会」は、業界窓口事業のほか、日本に於ける『紅茶の消費促進活動』や『ティーインストラクター』、『ティーアドバイザー』といった紅茶の専門家の養成などを行っています。


米川氏は、消費促進活動の一環として、毎年6月と11月にSNS上で紅茶や関連グッズが当たるプレゼントキャンペーンを実施しています。そのキャンペーンの応募の際、アンケートに回答して貰っていますが、昨年は、2020年と2021年、所謂"コロナ禍"での紅茶の飲用シーンの変化について状況を紹介しています。


両キャンペーンのアンケート回答を合わ見たところ、"コロナ禍"の2年間で 紅茶への関心の高まりが見られたとのことです。


「紅茶を飲む回数が増えた」と答えた人が『53.4%』、「何時もとは違う紅茶を買った」と答えた人が『44.9%』と、半数近くもいました。他にも、「美味しい紅茶の入れ方が気になる人」が『24.6%』、「アレンジメニューに挑戦してみた人」が『11.9%』、「リーフティーを使うようになった人」が『10.7%』という結果が出ています。


"コロナ禍"で、これまで以上に、紅茶を飲むようになったり、あるいは これまで 飲まなかった人が飲むようになったケースもあります。また、楽しみ方の幅が広がった人も多くいます。

協会のHPの訪問回数も昨年1年間は、前年比『121%』と大幅に増えています。なかでも、「紅茶レシピ」のページは、前年比で『168%』、「紅茶の入れ方」のページが、同『122%』と増えています。このアンケートは、飽くまで 協会が実施したキャンペーンの参加者のデータですが、「ステイホーム」の期間中に、自宅で紅茶を入れて飲む人が増えたことは間違いありません。なかでも 米川氏が注目しているデータが、「リーフティーを使うようになった人」の増加だといいます。リーフティーは、ティーバッグに比べて入れるのに少し手間が掛かりますが、産地の選択肢が多くなります。恐らく「紅茶を飲もう」から「ここの産地の紅茶を飲もう」へと、紅茶に対する楽しみ方が深まった人がリーフティーを手に取ったのではないかと述べています。


■3【紅茶人気が高まった"2つ"の理由!】

"コロナ禍"の今、これまで以上に紅茶が注目されてきているのは、数字を見ても明らかです。

では、注目を集めた理由を紹介します。


●一つは、2019年頃にピークを迎えた「タピオカブーム」です。タピオカを入れるドリンクは、『ミルクティー』、『抹茶ミルク』、『ほうじ茶ラテ』など、茶系の飲料が豊富になったことです。この時、若い世代を中心に"茶"へのなじみが深まったと言われています。


「第三次ブーム」とも呼ばれた2019年の「タピオカブーム」では、タピオカドリンクを取り扱う店が数多く登場しました。その多くは「タピオカ専門店」ではなく、「台湾カフェ」や「茶の専門店」。茶の味に自信のある店が多く、これまで飲料を選ぶ時に「茶」が選択肢に無かった若年層が、茶の美味しさに気付き、手に取るきっかけとなった訳です。


この時は、"茶系の飲料"に注目が集まり、決して 紅茶だけが伸びた訳ではありませんが、タピオカ効果で「紅茶市場」もそれなりに賑わったのです。


●「タピオカブーム」と時を同じくして 世間に広まったのが、「紅茶の健康効果」です。この「健康に良い飲み物」という立ち位置こそ、近年の「紅茶ブーム」を支える理由の"2つ目"なのです。

元々、紅茶に対する健康面での認知として「リラックスに効果的」「利尿効果がある」というイメージは定着していました。

その上で2019年、紅茶には「インフルエンザウイルスに対する不活化効果がある」という情報が流れたのです。エビデンスは、まだ弱いものの 幾つか効果があるとのデータも発表されており、「紅茶は健康に良い」というイメージが浸透していきました。

そして、2020年に入り 新型コロナウイルスの感染が爆発的に拡大。家庭で紅茶をたしなむ人も増加しました。現時点で、紅茶に新型コロナウイルスを不活化させる効果があるかは明らかになっていませんが、「紅茶ブーム」の背景には、"コロナ禍"の不安感もあったと考えられます。


■4【バラエティー豊かな紅茶はステイホームとの相性が良好だった!】

美味しい紅茶の入れ方は、まず お湯を沸かして『ポット』と『ティーカップ』を温めておく、温めておいた『ポット』に決められた分量の茶葉を入れる、100℃まで沸騰させた お湯を人数分注いでしっかり蒸らす、軽くひとまぜして事前に温めた『カップ』に茶こしを使って注ぐなど、慣れるまでは 手順が多いのです。


しかし ステイホーム期間中は、時間の余裕がありましたので、何時もはこうした工程を"手間だ"と感じてしまう人も、すべてのステップを踏んで、普段より美味しく紅茶を入れられた為に、紅茶の美味しさに目覚めた人も多くいたのです。


「タピオカブーム」や「健康志向」の高まりを追い風に、紅茶は 自粛期間中に消費量を増やしています。しかし、紅茶が"コロナ禍"で支持された理由は、それだけではありません。紅茶という飲料と「巣ごもり」との相性が、非常に良かったのです。外出すれば、喫茶店も自販機もあるので 飲み物の選択肢は多いのですが、家の中だと数が限られてしまいます。温かい飲み物なら なおさらで、紅茶やコーヒー、日本茶くらいです。

こうして3種類の飲み物が並んだとき、紅茶には、コーヒーと日本茶にはない強みがあるのです。


コーヒーと比べると、紅茶は 様々な料理に合います。食事シーンでも なじむという点で、常備しておく飲料としてのポテンシャルがあるのです。

麦茶などを冷蔵庫に常に入れている家庭は多いと思います。コーヒーが そのポジションに入るのは少し難しいので、紅茶はそこに 入り易い存在なのです。実際、ここ2~3年で 昔からあった「水出し紅茶」を強くプッシュし始め、売り上げを伸ばしている紅茶ブランドも増えています。


紅茶は、アレンジメニューの多さも魅力です。緑茶のアレンジと言われてもすぐに思い浮かばない人が多いかも知れませんが、コーヒーも砂糖やミルクを入れるくらいの変化が主だと思います。しかし 紅茶は、砂糖やミルクは 勿論、フルーツ、ハーブや季節の花、炭酸水、スパイスなど、多様な材料で変化を楽しめる飲み物なのです。前述のように タピオカを入れたり、フルーツゼリーや寒天ゼリーを入れたりもします。ホイップクリームやチーズのクリームを乗せても美味しく、お酒を入れても合います。紅茶は、とても万能な飲み物なのです。


これだけバラエティーに富んだ飲み方が出来る「紅茶」であれば、飽きがこないのです。何故なか 外出が出来なかった自粛期間中の気分転換にふさわしい飲み物といえます。


感染拡大の影響を受けて飲食店が酒類を提供できなくなり、夜の飲み会の代わりに昼間の「アフタヌーンティー」へと、足を運んだ人も多くいました。しかし 米川氏 曰わく「コロナ禍で紅茶にスポットライトが当たっているのは事実だが、1人当たりの消費量は それほど 伸びていないのが現実」と話しています。「紅茶」は今後、一過性のブームではなく、どんなシーンでも登場する定番飲料となっていくのか…。紅茶市場のこれからに期待が高まっています。


◎と言うことで…

「コロナ禍で、なぜ 紅茶ブームが起きたのか?」と題して書いてきましたが、最後に 「紅茶の国・イギリスの茶文化」について、もう少し深堀りします。


私たち日本人にとって「お茶」と言えば日本茶ですが、世界で「お茶」と言えば「紅茶」のことです。世界の茶の生産量の7割が「紅茶」だと言われています。

そして、紅茶の国と言えば「イギリス」です。

『リプトン』、『ブルックボンド』、『トワイニング』、『ウェッジウッド』、『フォートナム&メイソン』、これらは全てイギリスの会社です。


■5【紅茶の国・イギリスの茶文化!】

●「学生も、会社員も、軍人も、登山家も!全国民が紅茶を愛する国!」

ある調査によると、イギリス人 一人当たりの年間「紅茶」消費量は、約2.6キロ。1日5~6杯の「紅茶」を飲んでいることになり、この数字は 日本人の25倍にもなるそうです。学校や会社には、10時・15時に「ティータイム」が設けられているところもあり、正に 国民飲料と言えます。そんなイギリスだけに「紅茶」にまつわる逸話がたくさんあります。


例えば、朝鮮戦争時のこと。国連軍として参加したイギリス軍ですが、「アフターヌーンティー」の時間には、砲撃が止まっていたのだとか。また、国民性を表す笑い話では「イギリスの傭兵はティーカップを持って死んだ」なんて言われることもあります。エベレストの頂上で「ティータイム」を楽しんだのもイギリスの登山隊でした。


〇「イギリス茶文化の代名詞・アフターヌーンティー!」

イギリスの茶文化と言えは、「アフターヌーンティー」です。ケーキやスコーン、サンドウィッチと共に「紅茶」を楽しむ文化ですが、貴族の社交として始まっただけに『作法』や『マナー』がたくさんあります。厳密な場では、『ティーカップの持ち方』や『料理を食べる順番』なども決まっていて、「流石、伝統と格式を重んじる国」です。室内装飾や食器を愛でるところや礼儀作法を大切にするところは、日本の「茶道」と通じるところがあるのかも知れません。

近年では、伝統的な「アフターヌーンティー」のほか、現代風にアレンジした「斬新なアフターヌーンティー」を楽しめるお店も増えているそうです。


〇「1日中 存在するティータイム!」

「アフターヌーンティー」の他にも、イギリスでは「ティータイム」がたくさん存在します。

例えば、朝起きてすぐに飲む「アーリーモーニングティー」。ベッドの中やベッドサイドで「紅茶」を楽しむ優雅な風習です。また、たくさんの朝食と共に「紅茶」を楽しむ「ブレックファストティー」、女性が家事を終えて ひと息つきながら「紅茶」を飲んだことから始まった「イレブンシス」、肉料理や魚料理も出る「ハイティー」、夕食後にくつろぎながら 一日を締めくくる「アフターディナーティー」など、とても細かく分類されています。一人の人がこれらを1日に全部こなしている訳ではありませんが、イギリスでは とても身近なところに「紅茶」があるのです。余談ですが、それぞれの「ティータイム」には約束事があります。


〇「普段 飲みは…実はティーバッグ!」

意外かも知れませんが、実は イギリスで消費される「紅茶」の96%が「ティーバッグ」なのです。その上、「紅茶」にビスケット(イギリスではクッキーという言葉は通用しない)を浸して食べる「ダンク」という食べ方が一般的です。『作法』や『マナー』を重んじる「アフターヌーンティー」のイメージとは少し異なるかも知れませんが、普段飲みは、非常に"カジュアル"なスタイルなのです。日本茶に於いて、「茶道」のお茶と普段飲みのお茶が違うことに近いと思います。


●「紅茶とイギリスの歴史!」

紅茶大国として知られるイギリスですが、前途したように 遥か昔から お茶を楽しんでいた訳ではありません。お茶の発祥は紀元前の中国ですが、イギリスが初めて お茶を輸入したのは17世紀。1630年頃にオランダの商船が日本と中国から お茶を買い付けて周辺諸国に販売したことが、お茶とイギリスの出会いでした。その後、「チャールズ2世」の元に嫁いだ「王妃キャサリン」(ポルトガル)が、東洋趣味で宮廷に喫茶の風習を齎し、その後 上流階級のステータスとして広まり、労働者階級にまで普及することになります。


〇「水の性質が、紅茶の国を生んだ!」

イギリスの生水は、カルシウムやマグネシウムを多分に含んだ『硬水』です。基本的に飲むことが出来ません。そのため、昔からアルコール類が飲まれていました。中世以前は、アルコール中毒者が大変多かったと言われています。


17世紀になって「お茶・コーヒー・チョコレート(ココア)」が輸入されるようになり、当初は コーヒーが人気を集めました。しかし、「コーヒー・チョコレート(ココア)」の栽培・貿易の主導権をフランスやオランダに握られたことで 価格が高くなり、次第に「紅茶」へとシフトしていくことになります。入手し易く安価、しかも 抗菌作用があるということから「紅茶」が普及したのです。ロンドンでは、1665年にペストが大流行し、人口の4分の1から3分の1が死亡し、抗菌作用に大きな価値があったのです。砂糖の価格が大幅に下がり、労働者階級の栄養補給に優れていたことも一因だと言われています。


〇「紅茶の為に起こった戦争!」

歴史の教科書にも載っている「アヘン戦争」は、アヘン(麻薬)の禁輸を発端とした『清とイギリスの戦争』ですが、実は この戦争には「紅茶」の貿易が大きく関わっていました。「紅茶」の消費量が増えた当時のイギリスは、清から大量の「紅茶」を輸入していました。一方で、輸出できるものは少なく、貿易赤字が増える一方でした。そこで、着目したのが"アヘン"です。清では、"アヘン"の輸入を禁止していましたが、イギリス人による「密輸」によって大量の"アヘン"が国内に持ち込まれました。そして、イギリスの"アヘン輸出量"は「紅茶輸入量」を超え、清の経済危機にまで発展します。このような背景の中、清がイギリス貿易商の積荷を廃棄したことから「アヘン戦争」が始まったのです。


圧倒的な戦力で戦争に勝利したイギリスは「香港」を占領し、その後 インドで「紅茶」の大量生産技術を確立して「紅茶」を安定供給できるようになりました。


〇「近年は、コーヒー需要も増えている!」

「紅茶」が国民飲料として定着して以来、イギリス人は「コーヒー」を美味しく飲む努力を必要としなくなりました。「コーヒー」の抽出法や器具を次々と開発していくヨーロッパ各国から遅れをとり、19世紀後半には「イギリスのコーヒーは粗悪品」とまで言われるようになったのです。このような背景から「コーヒー」との縁が希薄になっていったイギリスですが、近年「コーヒー文化」が活性化していると言われています。

EUの拡大と共に、イタリア人が大量に流入し、「イタリアンコーヒー」が根付い為です。ロンドンでは、イタリア系コーヒーチェーンの店舗が続々と出店し、また アメリカ系大手の「スターバックスコーヒー」も店舗数を増やしています。

「紅茶」だけでなく、「コーヒー大国」になる日も遠くないかも知れません。


「イギリスの茶文化」について紹介しましたが、実は「茶文化」の発祥や発展には、各国の有名な歴史と繋がっていることも珍しくありません。イギリスに於いては、他にも「英蘭戦争」や「アメリカ独立」などとも関係しています。

歴史を調べて見ると「1杯のお茶」には、たくさんの逸話やロマンがあることが分かります。

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