今日は、concan代表の私が、「人生に相当 影響を与えている『人生脚本』」について紹介します。
昨今、ビジネスパーソンに『アドラー心理学』が注目されるなど、心理学とビジネスの関係は浅からぬものがあります。
さまざまな文献や先行研究に基づいて、若年期に形成された「人生脚本」の書き換え方について紹介します。
まずは、「人生脚本」について紹介します。
「人生脚本」とは、人間が潜在意識の中に植え付けられている「生き方」の基礎となっている『筋書き』(シナリオ)のことです。
*「人生脚本」:自分が置かれた環境によって、6歳までに植え付けられた無意識に繰り返す行動。
アメリカ(ユダヤ人)の精神科医「エリック・バーン」が、人間の性格分析のフレームワークとして提唱した『交流分析』の中の"言葉"です。「人生脚本」の分析を通して、自己のパーソナリティを探っていくことができます。
「人生脚本」は、書き換えが可能だとされています。
好ましくない「人生脚本」を書き換えて、理想的な未来を描くこともできます。
「人生脚本」の提唱者「エリック・バーン」は、カナダ出身の精神科医で、1957年に『交流分析』を提唱した人物です。
米軍の陸軍医部隊で精神科医を務めたこともあります。
「エリック・バーン」が提唱した『交流分析』は応用範囲がとても広い理論です。
ソーシャルワーカーや警察官・保護観察官・宗教職者などのカウンセリング時に、現代でもよく用いられています。
「エリック・バーン」によると「人生脚本」は、親の影響が大きく、現在も進行中のプログラムであるとされています。
■【ビジネスと人生脚本との関係!】
「人生脚本」は、個人の人生の最も重要な局面で、どう「行動」すべきか指図するものです。人生の重要な局面には「ビジネスシーン」も含まれます。自身のキャリアやビジネス上の大切な交渉時に、「人生脚本」が邪魔をするケースが 多々 考えられます。
大事な仕事や責任を任されたとき、人は どう対処するかが「人生脚本」に描かれている可能性があります。
■【人生脚本についての"9つ"のポイント!】
「エリック・バーン」の『交流分析』によると、人は幼い頃に自分の立場を理解しようとして「人生脚本」を書き出すと"定義"づけされています。「人生脚本」は、すでに描かれている人生のプランで、敏感で 決定的なものだと言われています。「人生脚本」は、書き換えられる可能性はありますが、6歳までに決定された"核"の部分は、残ると説明されています。
◆ポイント1:「禁止令」
「人生脚本」の"禁止令"とは、「〇〇〇するな」と、幼少期に主に言語的に伝えられたメッセージのことです。
13個あり、『存在するな』『自分自身であるな』『自分の性であるな』『子供であるな』『成長するな』『成功するな』『重要であるな』『所属するな』『近づくな』『健康であるな』『考えるな』『感じるな』『(何かを)するな』などです。
◆ポイント2:「ドライバー」
「人生脚本」の"ドライバー"とは、『やりなさい』・『完璧でありなさい』・『努力しなさい』・『急ぎなさい』・『喜ばせなさい』などのメッセージです。"ドライバー"と呼ばれるこれらの幼少期に与えられたメッセージは、"禁止令"と共に 「人格形成」に大きく影響すると言われています。
幼少期に"禁止令"と"ドライバー"を合わせてメッセージとして受け取った人間は、大きな「プレッシャー」となってしまいます。
◆ポイント3:「対抗脚本」
"対抗脚本"とは、不幸な「人生脚本」を潜在意識の中に持っている人が、それに対抗するために良い「人生脚本」に書き換える行為に対して使われる"言葉"です。
人間は不幸な人生から逃れるために"対抗脚本"を描き、「人生脚本」に抗おうと無理に努力をして 自分を変えようとしています。"対抗脚本"は、意識して書き換えられるものなので、『強い意志』・『精神力』が必要だとされています。
◆ポイント4:「交流分析」
『交流分析』とは、人と人のコミュニケ―ションの流れを分析したものです。『人格』や『個人』の成長を、幼い頃に形成された「人生脚本」という『交流分析』の用語で、言い表すことができます。
◆ポイント5:「心理療法」
「人生脚本」は、『交流分析』の要として、度々 セラピーなどの"心理療法"に使われています。「人生脚本」は、組織やシステムの分析にまで使用できる心理用語です。社会人の"心理療法"に「人生脚本」が利用されています。
◆ポイント6:「平凡な脚本」
「人生脚本」には、『勝者の脚本』・『敗者の脚本』・『平凡な脚本』の"3つ"があります。"平凡な脚本"とは、成功も大きな失敗もない、平凡な人生を送ることができる「人生脚本」のことです。誰もが この"3つ"の脚本を合わせ持つと言われています。
"平凡な脚本"は、また 勝てない脚本とも 呼ばれています。
勝てない人間は、負けるわけでもなく、どっちつかずの存在です。
◆ポイント7:「勝者の脚本」
"勝者の脚本"とは、自己実現へと向かう素晴らしい脚本のことです。 勝者とは、自分が公言した『目的』を達成する者を表す"言葉"です。そして、その『目的』が快適にスムーズに達成されるようにできている「人生脚本」のことです。
勝者の「人生脚本」が、必ずしも成功者のものとは限りません。自分が納得できて満足できる生涯であれば、その人の「人生脚本」は勝者です。
◆ポイント8:「敗者の脚本」
"敗者の脚本"とは、自分が公言した『目的』を達成しない者という意味があります。つまり 敗者とは、自分自身との戦いに敗れる「人生脚本」の持ち主です。本人が自分を認めないという、達成感のない一生が「人生脚本」に描かれています。
一生涯、自己実現ができずに、どのような事実も悲観的に受け取って 不満ばかりの、敗者の脚本を持ち続けてしまいます。
◆ポイント9:「トラウマ」
「人生脚本」は、"トラウマ"からできています。"トラウマ"とは、心的外傷のことで、親などの外部からの圧力が人間にもたらす『肉体的・精神的な衝撃』です。間違った「人生脚本」は、幼少期の"トラウマ"と大きな関係があります。
■【人生脚本の書き換え方の4ステップ!】
例えば、『努力しても報われない』・『常に落ち着かない』など、幼少期に無意識に形成される「人生脚本」の書き換えは、容易なことではありません。行動を変えるだけでは「人生脚本」の書き換えはできません。「人生脚本」は、潜在意識の中へ植え付けられているものなので、幼少期まで遡って書き換える必要があるからです。
◆ステップ1:「幼少期の親や周囲の大人との関係を思い出す」(根本原因)
「人生脚本」の元となった幼少期の周りの大人たちとの関係について、意識して思い出すようにします。特に、『頭ごなしに怒られた』・『いつも冷たくされた』・『無視された』などの、嫌な部分をよく思い出してみます。
幼少期の人間関係は、そのまま人生の中で 再現されると言われています。これが「人生脚本」の怖さです。
◆ステップ2:「理想の幼少期を思い浮かべる」
自分にとって辛い「人生脚本」の部分、特に幼少期の嫌な体験を踏まえて、理想の幼少期を思い浮かべてみます。
『本当は、こうだったらよかったな』と思えるようなことを想像してみます。
例えば、『親に優しくしてもらいたかった』・『褒めてもらいたかった』・『話を聞いて欲しかった』・『もっと抱きしめて欲しかった』などが挙げられます。
◆ステップ3:「想像したことを紙に書く」
理想の幼少期を具体的に想像することができたら、実際に それを紙に書いてみます。『名前などは 実名にして、物語や童話のようにして書き出す』とよいとされています。
「人生脚本」を理想的なものに書き換えることで、幼少期の嫌な記憶が薄れていきます。自分の人生すべてが思い通りに進んでいて、何もかも上手くいくような気分になってくるのです。
◆ステップ4:「声に出して読む」
理想的な「人生脚本」に書き換えることができたら、実際に それを声に出して読んでみます。人間は、書いた物を目読するよりも、声に出して耳から情報を"脳"へ入れた方がインプットし易い生き物だからです。
書き換えた「人生脚本」は、カウンセラーや身近な人に聞いてもらうと効果的だと言われています。
■【人生脚本の書き換え方」(簡潔版/別施策)】
●「根本原因の追求」(過去を振り返る)→「吐き出しワーク」(お前が悪い)→「赦しのワーク」(お前も〇〇だったんだよね)→「癒しのワーク」(幼少期の自分に向かって、今のあなたが守る、諭す)
■【人生脚本を書き換える"3つ"のメリット!】
人間は幼少期に作られた「人生脚本」に一生を支配されると言われています。幼少期が言われのないタブーだらけだった場合、その人は一生、社会に沿わない理不尽なタブーに悩まされることになります。幼少期の"トラウマ"から逃れて立派な社会人になるためにも、「人生脚本」を書き換えて 自由をつかみ取るメリットはたくさんあります。
◆メリット1:「思い込みを改善できる」
「人生脚本」は、タブーの連続です。幼少期に厳し過ぎる大人が周囲に居た場合、その人は 『当たり前のこともダメだ』と感じてできない人間になる可能性があります。それらの理不尽な思い込みを、「人生脚本」を書き換えることで修正できます。
「人生脚本」を書き換えることで、今まで どうしてもできなかった「行動」が自然にできるようになる可能性があります。
◆メリット2:「成りたい自分に軌道修正できる」
「人生脚本」を書き換えることで、理想とする自分に近づける可能性があります。人は誰しも理想の「生き方」があり、それに向かって生きています。飛び抜けて 高い理想は 一般人には無理ですが、当たり前のことも叶えられない人は、「人生脚本」を書き換えることが大切です。
成りたい自分になることを、「人生脚本」が邪魔しているケースがあるからです。
◆メリット3:「失敗などで自分を責めずに済む」
失敗すると 自分をすぐに責め続けてしまう人がいます。これは、幼少期の「親の育て方」が原因だと言われています。
自分が 悪くなくても、何んでも自分のせいとして怒られ続けてきた人が 陥りがちな性格です。自分を責め続ける人は"欝"などにも成り易く、人生も開けていきません。「人生脚本」を書き換えることで、失敗しても自分を責めなくなります。
◎と言うことで…
「人生を決定づける『人生脚本』とは?」と題して書いてきましたが、「人生脚本」は、誰にでもあると言われています。
しかし 「人生脚本」は書き換えることができます。
自分の「人生脚本」を変えたいと考える人は、『理想とするシナリオ』に書き換えていくことが必要です。
より充実した人生を、「人生脚本」を書き換えることで 誰もが手に入れることができます。
私たちには誰しも、子供時代がありました。
人の目を気にせず 心から楽しみ、毎日がキラキラと輝ていたあの頃 堂々と 自分の"夢"を語り、大人になったらこうなる、と心から信じていました。
「人生脚本」の書き換えは、「本来の自分を取り戻し、理想の未来をカタチにする」ことです。
私たちが幸せを感じて、楽しく充実できる「人生」を送るために 最も必要なことなのです。
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