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  • 株式会社コンカン

【若手社員が勝手に"イケてる企業のC.I.を切る"!】「第51回:株式会社 銀座ルノアール」

今日は 若手社員の私が、成長している企業のC.I.を紹介します。このコロナ禍に於いて、益々 成長が見込まれている企業です。第51回は、東京・神奈川を中心に「昭和の喫茶店」の代名詞とも言われる「喫茶室 ルノアール」をチェーン展開する「株式会社 銀座ルノアール」です。





【会社概要】

「銀座ルノアール」は、東京都中野区に本社を構え、「喫茶室 ルノアール」を主力とした喫茶店の運営を行っています。「「喫茶室 ルノアール」の店舗数は、「117店舗(2020年)」で、その特徴は 全ての店舗を首都圏中心に展開している点です。

一番 安いコーヒーでも「640円」と、他の喫茶店と比べても、かなり 高額となっています。現在だと、「スターバックスコーヒー」や「ドトールコーヒー」を始めとする低価格コーヒー店が多い中、「銀座ルノアール」は 40坪~100坪の広さで、未だ 昔からある喫茶店スタイルを貫いている企業です。そのため、表通りのビルに入ることはなく、駅に近くても 道路一本裏通りの ちょっと 古いビルに出店しています。

「銀座ルノアール」の歴史を辿ると、1955年に設立された 東京都中野区の『煎餅店』である「有限会社 花見煎餅」が、喫茶部門を独立させる為に 1964年に「日本橋」に、第1号店を開店させたのが始まりです。1983年には、業界で初めて「POSシステム」を導入したことでも有名です。

1989年には業界で 初めて「株式公開」するなど、実は 喫茶業界で果たした影響はとても大きいと言われています。近年では「銀座ルノアール」以外にも、若い女性をターゲットにした「カフェ・ミヤマ」や、セルフ式のエスプレッソカフェ専門店「ニューヨーカーズ・カフェ」など、様々な形のコーヒーショップの出店を続けています。

2013年には、今まで 業務提携をしてきた「キーコーヒー 株式会社」に株式を譲渡しています。これにより「キーコーヒー」の傘下に入った「銀座ルノアール」は、更なる成長が期待されています。

因みに、「銀座ルノアール」の名の由来は、画家「ルノワール」からきています。「名画に恥じない喫茶室」という意味で名付けられたそうです。自宅では味わえない雰囲気を持つお店を目指し、重厚なソファを使用したり、赤い絨毯を敷いたりと、まるで ホテルのロビーのような店舗が演出されています。これが、忙しく働くビジネスマンから好評となり、今に至ります。


【市場規模について】

*2019年の喫茶店市場は、「1兆1780億円(外食産業市場規模推計)」で、前年比1.2%増となっています。2017年から3年連続で増えていている一方で、個人経営の喫茶店が減り、ドトールコーヒーやスターバックスなどの、セルフサービス式コーヒーショップのチェーンの比重が増しています。

つまり 喫茶店市場は 成長しつつも、「銀座ルノアール」のような個人経営の「喫茶スタイル」は市場が縮小し、多様性のない 弱肉強食のような世界になりつつあります。



それでは、そんな成長市場で成長している「銀座ルノアール」の、"イケてるC.I."の一部を紹介します。

【経営理念】

●「社会貢献」

1杯のコーヒーを通して、お客様にくつろぎとやすらぎを感じていただけるホスピタリティサービスを提供することで社会貢献する。

●「人材教育」

仕事を通して企業人。社会人としての人間的成長教育をする。

●「適正利潤の追求」

適正利潤をもって会社の永続的発展を目指し、当社に関わる人々を幸福にし、社会貢献の目的を達成する。


【コンセプト】

「都会のオアシス喫茶室ルノアール」



【若手なりの成長理由 分析】

ここからは、若手なりに「銀座ルノアール」の成長理由を、仮説ですが "4つ"挙げさせて頂きます。

先ず、結論からいうと…

◆1.「広大なパーソナルスペースを売りにしている点!」

◆2.「モラルを守る『価格戦略』!」

◆3.「長居しても全く問題がない点!」

◆4.「新たな客層を取り入れている点!」

の"4つ"です。それでは、一つずつ見ていきます。


◆1.「広大なパーソナルスペースを売りにしている点!」

*「銀座ルノアール」の1番の特徴は、「席がゆったり配置されていること」です。隣のお客さまと肘が触れ合うことは絶対にありませんし、ノートPCを開いたら 誰かに画面を覗かれることはありません。実は「銀座ルノアール」には、お客さま同士のプライベート空間を確保する為に「2坪あたり1.5席」という基本ルールがあります。席ごとのパーソナルスペースが広いため、面接やヒソヒソ話、時には示談などの"ちょっと込み入った話"をしても周囲に聞かれる心配が少ないのです。つまり、「込み入った話をしたい事情を抱えた人が皆、『銀座ルノアール』に集まる」という訳です。

「シェアオフィスを契約してもいちいち行くのは面倒だし、コワーキングスペースを転々とすると毎回環境が異なるので落ち着かない」という人々にとって、ルノアールは「都心100ヶ所に散らばるマイオフィス」と言えます。


*因みに この「2坪 1.5席ルール」が生まれた背景は、ルノアールが創業間もない頃に遡ります。「新店舗をオープンさせる際に、内装に お金を掛け過ぎて、椅子やテーブルを予定通り買い揃える予算がなくなっため 仕方なくゆったり配置したところ、客にウケた」という冗談のような実話が、時を経てルール化されていきました。



◆2.「モラルを守る『価格戦略』!」

*「銀座ルノアール」にも、一つだけ 来店ハードルがあります。それは「価格」です。先に述べた通り、「銀座ルノアール」では 最も安いコーヒーでも「640円」です。しかし この「価格戦略」が、上手く効いています。「銀座ルノアール」は空間提供業とも言えるので、お客さまに 良い空間を提供しなければなりません。となると、下校途中の中高生が部室 代わりに使用したり、大学生がワイワイ騒いでいたりすると、他のお客さまの迷惑になってしまう恐れがあるのです。その為、絶妙に高い価格設定にすることで、そういった"リスク"を排除しているのです。これは「モラルハザードは、絶対に起こさない」という、「銀座ルノアール」の"美学"とも言えます。



◆3.「長居しても全く問題がない点!」

*「銀座ルノアール」では、コンセントが使え、無料Wi-Fi完備、最近では 名刺スキャナーまで使えます。また、熱々のおしぼり、無限に提供され続ける熱いお茶なども有名です。「長時間こもって 何かしたい」という人が遠慮なく長居できるからこそ、「銀座ルノアール」には、多くのお客さまがが集まっているのです。また 長居を許すと、回転率が悪くなるという声があります。だからこそ 「銀座ルノアール」は、都心部に「ドミナント出店」を行っています。これにより 例え、お店が満席でも、近くの店舗に足を運ぶことが出来るのです。

(「ドミナント出店」:特定の地域に集中して店舗を出店し、知名度を上げたり 配送を効率化したりすることで、競合他社よりも優位になることを狙う商業戦略。)


*また「銀座ルノアール」は、「昭和モダン風」を残しつつも、そこに「現代風」の雰囲気を上手く織り交ぜられています。例えば「銀座ルノアール」の椅子には、様々な形状があります。バブル期の頃は、ルノアールは 所謂「サラリーマンのオアシス」として有名で、サボリーマンたちが 新聞を読んだり、昼寝したりする開放的な空間でした。その時代の椅子は、ゆったり 長居できるように、"どっしり"と腰をうずめる形の、低く柔らかいソファ状のものが好まれたそうです。そして 時代が移り、色々とサボり辛くなったサラリーマンたちにとって「銀座ルノアール」が、「移動の合間の軽い息抜きの場」となるにつれ、「サッとコーヒーを飲んで、パッと席を立つ」ニーズが大きくなり、店内の椅子の背は垂直に近い角度になり、座面も高いものに変わっていきました。

それでも「銀座ルノアール」の店内は、昭和モダンな昔の雰囲気を徹底的に残しつつも、現代風にアレンジをされています。つまり、昔から「銀座ルノアール」を訪れている人にとっては、「いつもの空気感」が約束されている訳です。



◆4.「新たな客層を取り入れている点!」

*「男性客(ビジネスマン)が集まる喫茶店」とのイメージが強い「銀座ルノアール」ですが、実は 女性比率が 年々 上昇傾向にあります。かつては、女性客比率は「1割以内」に留まっていたのが、現在では 3割弱を占めるようになっています。

これには 小まめに 実施している改装が理由です。これまでは「昭和モダン」のみの落ち着いたトーンの雰囲気の内装だったのが、一部店舗で 西洋風のデザインを組み合わせた模様替えを行っています。レトロな雰囲気は残しつつ、白や青色などのカラフルな色を壁や椅子などに使用し、同時に これまでよりも 席同士の間隔を広げる工夫を凝らしているのです。

つまり 「銀座ルノアール」では、変えてはいけない部分は残しつつ、しっかり 現代のニーズにマッチしたテイストを創り上げているのです。



◎と言うことで…

*「銀座ルノアール」さんの凄さは、「自分の居場所が確保されつつも、周囲には適度な距離を保ちながら孤立をさせない空間を創り出したこと」だと思います。ましてや、大都市で そんなところを探すのは難しいのだと思います。「仲間と喋って楽しく騒ぐ」か、「周囲を遮断して一人を選ぶか」のどちらしか無い中で、「銀座ルノアール」さんは、その間の"ポジション"を取られたのだと思います。「銀座ルノアール」さんから学ばせて頂いたことは、「同サービスでも"ポジショニング"の取り方 次第で、他社との差別化が出来る」という点です。


また、私は「銀座ルノアール」さんに行ったことありませんが、恐らく「接客」が凄いのだろうと想像しました。「コーヒーを飲みに来ている人」ではなく「何かやることがある人」をターゲットにされているので、接客 一つで相手を"不快"な気持ちにさせることだってあります。決して 過剰にサービスを行うのではなく、 "空気を読む"、"人の呼吸に合わせる"と言ったスキルが、「銀座ルノアール」さんでの居心地の良さに繋がっているのだろうと思いました。


そんな「銀座ルノアール」さんに やって頂きたいことを、若手なりに勝手に言わせて頂きますと…

●「場所提供だけに留まらず、人マッチングなどのソフトサービスの提供です!」

例えば、定期的に、「銀座ルノアール」さんでテーマを決めた上で、「こんな業種や職種で、新規事業を立ち上げたい!」という方と、「こんな業種や職種の新規事業を、バックアップをしたい!」と思っている人などのマッチングです。

叉は、思い切って、エグゼクティブ限定店舗を創って、価格も2,000円代で打ち出すなどすると、面白いと思いました。ベネフィットは、異業種を含めたエグゼクティブ層との交流や、打ち合わせ、商談が可能なクローズドな環境です。

適当なこと言って、すみません。ついつい、想像し過ぎました。。。


ーーー

●それでは 最後に、C.I.について、若手なりに一言いわせて頂くと…

*失礼ながら、ちょっと 表現が硬過ぎる気がしました。更に コーポレートサイトを見ても 田舎の喫茶店と同じようなテイストになっていることに、勿体なさを感じてしまいました。「銀座ルノアール」さんが、最も拘っているのは何なのか? 味なのか、雰囲気なのか?

そして どのような「世界観」を創り上げ、どこに向かうのかが、今一 読み取れなかったからです。社長の"頭"の中にある創り上げたい世界観を 一度 言語化すると、更に 一般消費者からも共感を得やすくなると思いました。

例えば…

「たった一杯のコーヒーから広がる、無限の可能性!」

社長自身が「『銀座ルノアール』に来ると、勝手に癒され、明日への活気が 自然と湧くカフェを創りたい」と話されていたので、その想いを"言葉"にしてみました。

昭和モダンなテイストは残すしつつも、日々 進化している「銀座ルノアール」さんが、今後 どのような取り組みをされるのかが楽しみです。


出来れば、コンカンが提唱するC.I.と、御社のC.I.を一度 照らし合わせて頂けると有り難いです。

*concanが考えるC.I.とは?

本当に、若手が生意気いって、申し訳ございません。

長くなりましたが、以上です。

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