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  • 株式会社コンカン

【若手社員が勝手に"イケてる企業のC.I.を切る"!】「第45回:株式会社 MonotaRO(モノタロウ)」

今日は 若手社員の私が、成長している企業のC.I.を紹介します。およそ「1,800万点余」の商品をウェブサイトやカタログを通じて販売している企業です。

第45回は、「工具のアマゾン」とも呼ばれ、オンラインショッピングの分野で急成長している「株式会社 MonotaRO」です。





「MonotaRO」は、兵庫県尼崎市に本社を置き、あらゆる事業・産業の現場で必要な備品、消耗品、事務用品などの「間接資材」と呼ばれるアイテムに特化した、日本最大級のBtoBオンラインストアの開発・運営をしている企業です。世界のあらゆる現場・産業に無駄な手間を掛けることなく「モノが足る」世の中を作っていく事を目指しています。扱っている商品は、なんと「1,800万点余」で、 更に 平日15時までの受注は、当日に出荷していることが1番の特徴です。

この「MonotaRO」の凄さは「成長率」です。2016年の売上は「約600億円」でしたが、それが 4年後の2020年には「約1,518億」と、なんと「約2.5倍」にまで成長しました。これが「工具のアマゾン」と呼ばれている理由です。2017年には 世界的経済誌「Forbes」が発表した「世界で最も革新的な成長企業」ランキング2017で6位にランクインするなど、「MonotaRO」のビジネスモデルは、日本だけでなく"世界"からも注目を集めています。

更に 言うと、「MonotaRO」が扱う「間接資材領域」の市場規模は「約8兆円」とも言われています。しかし オンライン化率は、未だ「10%」程度。まだまだ 成長が見込める市場なのです。


【何故、「間接資材」のネット通販なのか?】

「MonotaRO」は、「間接資材」をネットで、何でも、安く、早く、手に入る仕組みを作るという想いがあります。創業者の「瀬戸氏」は大学を卒業後、「住友商事」に入社します。その後、米国に赴任し、赴任先ではビジネススクールに通うことになります。そこで 当時 興隆しつつあった「インターネット」を使うビジネスのアイデアを考えるうち、「商社が主に扱う材料などの『直接資材』は、インターネット販売には不向きである一方で、寧ろ インターネットに向いているのは『間接資材』である」という仮説を持つに至りました。


何故なら、「インターネットの本質は『検索』にある」と考えたためです。

検索というのは、知らない知識を効率よく獲得するためのツールです。商社が扱う「直接資材」というのは、メガネの製造を例にすると、フレームに使われるプラスチックの原料やレンズのガラスなどです。量産が始まれば、これらの材料は少数のサプライヤーから大量に購入することが出来ます。そのため「直接資材」に関する知見は集まり易く、既に十分に蓄積されています。つまり、検索が不要な領域とも言えます。

一方「間接資材」は、メガネ製造の例を使えば、ガラスの研磨材や工場で使われる軍手、事務所で使われるコピー用紙などです。ビジネスを継続する為には、必要不可欠ではあるが、種類は膨大で、購買頻度は不定期であり、年間の購入量は限られています。一方で、商品選択、見積価格の比較、発注などの為に、現場で働く人は そこに 多くの時間を割く必要があります。

そこで、考えられたのが「インターネットの活用」です。「瀬戸氏」は、「検索機能を充実させ、効率的に『間接資材』の購買システムが出来れば、そこには 大きなニーズがある!」と考えたのです。そして、「瀬戸氏」は このアイデアを実現する為に、2000年10月に「住友商事」の社内ベンチャーとして創業されました。

●「『MonotaRO』の名称の由来」

①間接資材流通業界の不透明 かつ 非効率な流通慣習という"鬼"を退治する正義の味方『桃太郎』に掛けて

②必要としている人たちに十分に“モノが足る”という意味を込められています。


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それでは、わずか 10年余りで、売上「約1,518億」にまで到達した、「株式会社 MonotaRO」の"イケてるC.I."の、ほんの一部を紹介します。

【企業理念】

●『間接資材調達ネットワークを変革する』

「間接資材は多種多様で、商流通は 複雑、買うのに手間がかかる。見積、交渉が必要で、適正な価格でタイムリーにモノが買えない。探すにも時間がかかる。」

これが創業以来、私たちが解決に取り組んでいる「社会にあるが、叶えられていない」ニーズです。

お客様の事業は多種多様で、そこで使われる間接資材も多種多様、だからこそ、お客様のニーズに合致する多種多様な間接資材を取り扱える流通事業者は限られる、という構造が根底にあります。私たちは、商品調達から配送、お客様との接点に亘り、インターネットを基礎としたテクノロジーの力とオペレーションの力によって、間接資材の流通構造に変革を起こし、お客様が抱える課題を解決して お客様の信頼を獲得してまいります。


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【若手なりの成長理由 分析】

ここからは、若手なりに「MonotaRO」の成長理由を、仮説ですが "4つ"上げさせて頂きます。

それでは…

◆1.「製造業に於ける『間接資材』という"ニッチ"を攻めた点!」

*「MonotaRO」の凄さは、何といっても「間接資材」に目を付けた点だと思います。

通常、製造業は 原料・原材料を仕入れ、製造・加工し、製品として出荷するプロセスを経ます。この際、直接製品に変わっていく原料・原材料を「直接資材」と呼ばれる一方で、製造 及び その周辺に付随する形で生じる商材を「間接資材」と呼ばれています。例えば、『おにぎり』を製造する食品工場だと、お米や具は『おにぎり』に変っていくので「直接資材」となります。これは"品質"や"価格"に直接的な影響を与えるため、メーカーは"必死"になってより良い原材料を探し、また サプライヤーに見積もりなどの商談をギリギリまで行ことが一般的です。

しかし、『おにぎり』を生産する為には、お米や鮭以外にも必要なものがあります。例えば、事務所で扱う文房具や電球の他、製造現場での機械のメンテナンス部品などで、これが「間接資材」です。しかし「間接資材」は、「直接資材」と異なり、本業の製品品質に直接的な影響を与えないため、企業の関心は薄くなります、更に 「間接資材」は、「種類が豊富」、「利用者が幅広い」という特徴があり、一括管理が困難です。こうした事情から、一般的に企業の購買部と言えば、「直接資材」の調達・管理ばかりに目が行き、「間接資材」にまでは手に負えないのが現状です。


*その結果、各企業の「間接資材」の調達は担当者に任せきりとなり、定期的なコストカットも行うこともなく、"おざなり”になりがちなのです。そのため、場合によっては 中小企業の担当者が自分たちで「間接資材」を探し出し、仕入れなければならなくなり"四苦八苦"することも多くなります。

更に「間接資材」のもう"1つ"の特徴は、「一物多価(価格がオープンにされていない)」ということもあります。そのため、都度 見積もりを取るもボリュームで劣る中小企業は、大企業よりも高値を掴まされることが多いのです。

「MonotaRO」の凄さは、この面倒な「間接資材」こそ インターネットが最適な領域と判断し、ニッチ分野に特化した点なのです。因みに、最初は「間接資材」の中では、ネジに特化して始められました。



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◆2.「圧倒的な商品力、高度なテクノロジー・物流ノウハウを持っている点!」

*「MonotaRO」では「1.800万点」もの膨大な種類の商品を、的確 且つ 迅速に お客さまへ配送しています。その為には、勿論 ビッグデータを活用したデータ分析・データサイエンス技術を積極的に適用しています。蓄積した膨大なデータを基に情報検索・機械学習・ディープラーニング・自然言語処理などのテクノロジー技術によって、Webサイトの商品検索や商品レコメンド機能、商品価格、適正在庫、物流サービスなどを、常に改善し続けています。特に 物流サービスに於いては、独自ロボットを積極的に活用しており、少人数で高速の出荷を可能にしています。更に 近年中に世界最大級の物流施設も始動する予定で、更なるサービスレベルの向上が実現される予定です。


*そのため「MonotaRO」の社員の約6割がエンジニアです。

その人材を活用して、「ECサイト/UX向上」「商品検索」「レコメンド機能改善」「行動履歴を基に分析・改善」「価格の最適化」「商品カテゴリー見直し」などが 日夜 行われています。特に、1.800万点もの商品の「需要予測と在庫数量の最適化」「物流ルートや配置の最適化」には"力"を入れています。

私も 以前、家具のインターネット通販会社に勤めていましたが、「在庫数量」によって 売上が変わること、もっと言うと 経営をも傾むくことを、肌で感じていました。その点、「MonotaRO」は、この1.800万点の商品、しかも「ネジ」など 細かい商品をどう管理されているのか、かなり 興味が沸きました。

また 自社で物流を持たれる凄さもあります。同じ商品でも、「明日発送」と「本日発送」では、約2倍の売上差があると言われています。15:00までの受注で当日出荷は、自社物流があってこそだと思います。


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◆3.「カタログの有効活用をしている点!」

*「MonotaRO」の特徴は、当日出荷の商品だけを集めた分厚いカタログを定期配送することです。商品点数が増えるごとに種類も増え、今は「16冊」を発行しています。勿論 これには『IT』に疎い現場向けのサービスという意味合いもあります。ただ それ以上に、検索機能があるネットでは、欲しい商品まで一直線ですが、紙のカタログでは「こんな商品もあるのか!]」という気付きがあるのです。現状では、注文の85%がネットで、ファクスや電話注文は15%程度です。一見 数字だけでみるとアナログの利用は少ないように見えます。しかし 実際は、カタログで新商品を紹介すると、ネットでは そのカテゴリの売上が格段に上がるのです。所謂 リアルとネットの融合が行われているのです。


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◆4.「商品誘導の最適化!」

*インターネットの場合は、欲しい商品を求めて、サイトに訪れることが殆どです。逆の見方をすると、中々 欲しい商品に辿り着けない場合は、すぐに 離脱されることになります。特に「MonotaRO」の場合は「1,800万点余」ある商品の中から欲しい商品まで誘導する必要があります。そこで「MonotaRO」で徹底されていることは「検索エンジン」の最適化です。

例えば 私たちが住居物件を探す際には「品川 3LDK 賃貸」のようにキーワードを掛け合わせてサーチエンジンで検索することが通常です。しかし「間接資材」の場合は「1,800万点余」の商品の中で、住居物件と同じように絞り込んでも、殆ど 意味がありません。そこで 「MonotaRO」では 絞り込み条件を お客さまが入力するのではなく、予め使い易いだろう絞り込み条件(色やサイズ、価格帯、カテゴリ)をサイト側が用意しておくことで、欲しい商品に効率よく辿り着くことが出来ます。

これこそ、一流のエンジニアによるデータ分析の世界であり、「MonotaRO」だからこそ 実現できるのです。


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◎と言うことで…

「MonotaRO」さんは、正直 凄すぎました。ネット通販の世界では、必ず"カテゴリーキラー"が存在しています。例えば「ヨドバシ.com

<http://xn--xck9av8g.com>」だと、家電製品を中心に特化し、豊富な品揃えと 即時配達などを充実させ、独自の存在感となっています。特定のカテゴリーに特化することで、生き残るサービスは、特に インターネットの世界では よくありますが、その中でも、「MonotaRO」さんの凄さは、やはり 種類が多く小さな部品などが多い「間接資材」という誰もやりたくない所に、一流のエンジニアを使って入り込んだことが、全てだと思いました。そして その際も優先順位が大事で、先ずは「ネジ」という、"ニッチ"から攻めたことが 凄いと思います。「住友商事」の社内ベンチャーとして創業されたことで、もしかしたら 初期投資の段階から、他社を追随できない予算を確保されていて、一流のエンジニアを採用したりと、普通の企業では真似できないことも 多々 あると思います。それでも "ニッチ"から入った観点や、検索対策のやり方は とても参考になります。


今では 超一流のネット企業として、「無人コンビニ」などへの取り組みをされている「MonotaRO」さんですが、今後も 日本の製造業を"縁の下"から支える企業として、どこまで 成長されるのかが楽しみです!


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●それでは 最後に、C.I.について、若手なりに 一言いわせて頂くと…

『間接資材調達ネットワークを変革する』という"企業理念"が本当に分かり易いと思いました。意外に「C.I.」特に「企業理念」で、事業 そのものを表現している企業は少ないと感じる中、「MonotaRO」さんは『間接資材』の領域で事業展開を行う覚悟を感じます。実は 現社長の「鈴木氏」自身も、C.I.に対しては"強い"こだわりがあり、特に理念を実現する為の具体的な「行動方針」は、かなり 具体的に言語化されています。社長の言葉に「経営者の最大の仕事は、従業員に いい仕事をして貰う為に、進むべき方向を示し、意欲を与えることしかありません。」という"言葉"があります。それこそが、C.I.なのです。

ただ 敢えて、一言いわせて頂くとしたら 日本を代表する企業の「MonotaRO」さんだからこそ、その先の日本規模の創り上げたい『世界観』が表現されると良いと思いました。

自分なりに考えてみると…

「『間接資材』で、全国の工場にとって なくてはならない存在となり、モノづくり大国『日本』を復活させる!」


出来れば、コンカンが提唱するC.I.と、御社のC.I.を一度 照らし合わせて頂けると有り難いです。

*concanが考えるC.I.とは?

本当に、若手が生意気言って、申し訳ございません。

長くなりましたが、以上です。

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