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【若手社員が勝手に"イケてる企業のC.I.を切る"!】「第30回:株式会社 シャトレーゼ 」

今日は 若手社員の私が、成長している企業のC.I.を紹介します。不振にあえぐ『企業』が多い業界で、最も成長している企業です!

第30回は、「自然のおいしさと。人を想うおいしさと。」をスローガンに、全国で菓子専門店「シャトレーゼ」を運営する「株式会社 シャトレーゼ」です。




実は、最近迄 このシャトレーゼのことは、全く知りませんでしたが、1ヶ月ほど前に、家から歩いて5分の位置に出店したのがきっかけで知りました。先日 初めて行き、チョコティラミスを食べましたが、「安くて、美味しい」という言葉が最適で、甘いもの好きな私にとって"気になった会社"です。


【会社概要】

そんな「株式会社シャトレーゼ」は、実は創業1954年と歴史ある企業です。本社は、南アルプスの麓「山梨県」に構え、従業員は1,700人(非正規を含む)を超える、洋菓子業界の大手です。全国に菓子専門店「シャトレーゼ」を560店舗、更には 海外にも80店舗を構え、その全ての製品を全国にある「6つの自社工場」で製造されています。売上高は「560億円(2020年期)」と、ここ10年は 前年度対比「110%増」と、今 凄い勢いで成長している企業です。

(社名のシャトレーゼは、フランス語で城を意味する「シャトー」と、ブドウを意味する「レザン」を合わせた造語で、「ぶどうの城」を意味する。)


【企業ヒストリー】

●創業者であり現会長の「齊藤 寛氏」は、勝沼の葡萄園とワイナリーを経営している家に、7人兄弟の長男として生まれました。学校を卒業後、山梨県の果樹試験場にてワインの勉強をされた為、果物のことは分かっても、お菓子のことは 何も分からない状態でした。父親は農家の割に「事業」が好きで、当時 菓子屋をやってみたものの上手く行きませんでした。そこで 今度は、「齊藤 寛氏」が菓子屋を起業し、やるからには「日本一のお菓子屋」を目指そうと決意しました。そして 1954年、山梨県の甲府に『シャトレーゼ』の前身である、焼菓子店「甘太郎」を出店したことが「シャトレーゼ」の始まりです。当時は、砂糖が統制されている時代で、人工甘味料が多いお菓子が普及する中、「おいしいものを、お値打ちで」という精神の基、本物の砂糖、北海道産の小豆を使った今川焼風のお菓子「甘太郎」を実演販売しました。すると これが成功し、店頭にはお客さまの行列が出来るほど大人気となりました。


しかし、焼きたてを提供する為、暑い夏場は売れ行きが伸び悩みます。そこで、夏に売れる商品として「アイスクリーム」に目を付けました。当時、アイスクリーム業界は、大手メーカーが販路を押さえていた為、自社ブランドでの販売は難しく、シャトレーゼも大手メーカーの下請けをせざるを得ない状況でした。1964年に「大和アイス 株式会社」を設立し、アイスクリーム業界に参入するも、大手メーカー相手に競争するのは、大変だと感じた『シャトレーゼ』は、大手が出来ないことをやろうと考えました。

そこで、生まれたのが、「10円シュークリーム」でした。

大手メーカーは計画生産が当たり前です。そこで 大手の出来ない「日持ちのしない、傷み易いもの」をやろうと決意したのです。丁度 東京オリンピックが開催され、洋風化の波もきてていて、洋菓子の最もポピュラーな「シュークリーム」に着目しました。それが、飛ぶように売れました。アイスクリームの技術を応用することで、圧倒的な低価格を実現することが出来たのです。

手作りが当たり前だった洋菓子業界に革命を起こし、大ヒットとなりました。その後、1967年に「大和アイス 株式会社」と、「有限会社 甘太郎」の両社を合併して「株式会社 シャトレーゼ」に社名変更しました。


●一見、順風満帆に見える「シャトレーゼ」ですが、大きな苦労もありました。

それは、1984年のことです。当時の主力工場が火事で全焼してしまい、満足に商品を取引先に卸せる状況では無くなったのです。急遽、新工場で試運転もせずに生産を始めましたが、主婦をはじめとした「ベテラン」のパートさんたちの大半が、新工場は家から遠いという理由で、次々に辞めてしまいました。新工場は何も分からない「新人」ばかりで、当然 毎日、生産ロスが生じ、計画通りに進みませんでした。しかも、同時期に、営業を全て担当していた「専務」、更には「工場長」を共に病気で失っていたそうです。本部では幹部の造反が起き、大量退社も発生してしまいました。つまり、自分の手足を全てもぎ取られた上に、本部も"機能不全"に陥ってしまいました。

しかし「齊藤社長」は本当に凄いです。「会社がピンチに陥ったとき、従業員たちは全員トップの顔を見るもの。絶対にトップが"へこたれ"ていては駄目」と心に誓われたのです。ここで、目をつけたのは、地元で開催される「国体」です。社長がハンドボールをやっていたこともあり、会社がピンチの中、実業団チームをつくりました。その結果、社員の『団結力』が高まりました。これを機に、残ったメンバーで、ヒット商品を基に工場直売店を新たに始め、これが爆発的に成功しました。全国各地からフランチャイズの申し込みも相次ぎ、ここから成長が始まったのです。この時に社員に向けて言われたことが「人生には波があり、ピークが来ると、必ず次には落ちてしまう。けれども、その次には大きなチャンスが待っている。だから高い波が来ている時は おごらず、落ちている時は失望してはいけない。苦境に立たされた時こそ『アイデア』が出るものだ。」ということです。


普通だと、こんな苦難があると諦めてしまうと思います。こんな苦難を乗り越えた「シャトレーゼ」は、何も怖いものが無くなったかも知れません。


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【洋菓子業界について】

●洋菓子業界業界の市場規模は、「約2兆円」と言われています。これは、前年比99%と横ばいで推移しています。しかし 実は、これには「コンビニ」の洋菓子への進出があり、洋菓子専門店で見てみると、潰れてしまう企業も増えていて、いまだ成長しているのは「シャトレーゼ」他 数社しかありません。

因みに 洋菓子業界には、巨大企業として「不二家」を運営する「株式会社 不二家」があります。売上高は「1,000億」を超えていますが、ここ10年は、かなりの苦戦を強いられています。つまり 近年のスイーツ店は、個人経営の店や不二家などの老舗チェーンが不振と言われ、コンビニなどに顧客を取られている中で、「シャトレーゼ」には無縁の快進撃ということです。


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それでは、そんな「株式会社 シャトレーゼ」の"イケてるC.I."を紹介します。

【社是】

「三喜経営に徹しよう」

「一、お客様に喜ばれる経営」

わが社は、常に技術革新に挑戦し、より良い商品をより安く提供して、お客様に喜ばれ社会に奉仕する。


「一、お取引先様に喜ばれる経営」

わが社は、お取引先様の繁栄のお手伝いと奉仕に徹し、運命共同体として共に栄える事を念願とする。


「一、社員に喜ばれる経営」

わが社は、事業は人なりと信じ、事業の発展を通じて、社員の人間形成を高揚し、会社の繁栄を通じて、社員の豊かな生活を実現し、併せて社会に貢献し、永遠の繁栄と幸福を目指して限りなき前進を続ける。


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それでは、若手なりに「株式会社 シャトレーゼ」の成長理由を分析させて頂きます。

「株式会社 シャトレーゼ」の一番の成長理由は…

●「現会長の"商人センス"と"人間味"が凄い点!」です。

*この企業グループを一代で築いたのは、創業者であり現会長の「齊藤 寛氏」です。

先に述べた通り、この齊藤 寛氏が、創業仕立ての頃の商品の性質上、夏は商売が暇になり、時間を持て余してしまっていたそうです。何故なら、当時は卸をやっていたが、コンビニもない時代で、駄菓子店や青果店など 一般の小売店が売り場になるが、そうした店には冷蔵ケースが無かったのです。所謂 保管の都合上、卸すことが出来なかったのです。そこで、始めたのが、「10円シュークリーム」です。冷蔵ケースがいらない商品は何かと考えた結果「冷蔵ケースが必要ないほど、売り場に置けば 飛ぶように売れる商品を作ればいい」という結論に行きつきました。そこで 当時「50円ほど」だったシュークリームを「10円」で売ることにしました。これが飛ぶように売れたことで、アイスクリームを売る販路も確保できるようになりました。今でこそ、当たり前に感じるかも知れませんが、当時から洋菓子を10円で売る企業なんて無かったのです。


*そんな「齊藤 寛氏」は、人から教わることがあまり好きではないそうです。例えば、コンサルタントに話を聞くこともありますが、知識を学ぶのではなく、ただ"知る為"に聞くそうです。そして そのコンサルの話を聞いて、「逆」をやるそうです。つまり、コンサルの話を聞くのは『敵情視察』みたいなものです。何故なら、「この業種なら、こんな仕事のやり方だ」という固定観念を乗り越えない限り、パワー勝負になるからです。これまでと同じやり方では、どんぐりの背比べで競争の渦の中に、のみ込まれてしまいます。そうではなく、やはり お客さま目線で、商品やサービスのどこに不足があるのか、または不満があるのか、そこを 探して改善していくことが事業を成功させるポイントと、常々 社員に述べられています。「シャトレーゼ」では、常識の反対をやることを意識されているのです。(未上場の理由も、「お客様」「お取引先様」「社員」という順番をすべて飛ばして、一番前に「株主」が来てしまうから。)


*そんな「齊藤 寛氏」が尊敬する人は「武田信玄」です。特に好きな言葉は「五分では励み、七分では怠り、十分ではおごりが生じる」という言葉です。つまり、勝ち過ぎてはいけないということです。そういう意味では「無借金経営はよくない」と言われています。「借金するからこそ、知恵が出てくる!」会社が大きくなると、どうしても危機感がなくなり、会社にぶら下がろうとする社員が増えてしまいます。一人ひとりの社員に『使命』と役割を与え、常に 危機感を持って『仕事』をして貰うことが、会社の『体質強化』に繋がると考えられています。


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〇それでは 上記に付随する形となりますが、更に 若手なりに成長理由を仮説で『3つ』上げさせて頂きます。

◆1.「反ドミナント戦略を行っている点!」

*実は、シャトレーゼは「ドミナント戦略」を取っていません。ドミナント戦略とは、小売業がチェーン展開する際に一つの地域に集中して出店する戦略のことで、効果的かつ優れた戦略とも考えられています。ご存知の通り、ドミナント化で成功してきたチェーン店は、飲食業界に限らず 数多くあります。

しかし「シャトレーゼ」は、地域内で知名度を上げてプロモーションを行うことよりも、各地域の店舗数は少なくても全国のお客さまに幅広く知って貰うことを重視し、ドミナント戦略をとっていません。結果として、同じ地域に「シャトレーゼ」はあまり存在しない為、ブランドとしての「希少価値」が生まれ、成功に繋がったのです。


*ドミナント戦略を取らない代わりに、「シャトレーゼ」は その地域のお客さまの層や嗜好に合わせた商品展開を積極的に行っています。一例として、ロールケーキひとつ とっても違います。例えば、千葉県などの「シャトレーゼ」では1,200円で「3種のフルーツロール」を販売しています。一方 東京都・銀座などにある「シャトレーゼ」の都心型新ブランド「YATSUDOKI」では、1,500円で「4種果実のフルーツロール」を販売しています。それは、銀座という場所を考慮した上で、「お土産に買って行こう」というお客さまの嗜好に合わせています。こうした取り組みが、それぞれの店舗でお客さまが途切れない理由にもなっています。


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◆2.「コストをそぎ落とした独自のサプライチェーン!」

*シャトレーゼは「ファーム・ファクトリー」と呼ばれる、独自のサプライチェーンを構築しています。

山梨県の白州工場を拠点に、全国に自社工場を整備し、素材の調達から生産、配送、そして 直売店舗での販売までを自社で管理し、本来なら市場に流通させる過程で発生する"中間マージン"や"テナント料"が必要ありません。この為、相場よりも「2~3割安い」価格で商品を提供できます。だから「安くても品質は高い」のです。例えば、牛乳は、山梨県と長野県にまたがる八ヶ岳にある契約牧場から仕入れ、水は甲斐 駒ヶ岳のふもとに工場を構え、日本名水百選にも選ばれた「白州名水」を使用しています。卵や苺、和菓子に用いる小豆も全国の契約農家から それぞれ仕入れて、加工は全て自社工場で行っています。味の追求の為に手間暇を惜しまない社風も、商品の品質の高さに繋がっているのです。他にも、一般的に大量生産を行う多くの菓子工場では、卵は液卵を買ってきて使用しますが、シャトレーゼでは、その日に鶏が産んだ新鮮な卵を契約農場から仕入れて「1個 1個」割卵機で殻を割り、白身と黄身に分けています。


*実は、ケーキなどの生菓子の流通は難しいと言われています。鮮度が売りの商品だから作り置きはできず、売れ残りは捨てるしかないからです。だが、製造数を絞れば、販売機会を失ってしまいます。その為 生菓子市場では、顧客の需要を読み切り、緻密な販売予測を立てることが最重要なのです。そうした市場で、川上から川下までを自社で管理することで、「シャトレーゼ」は業界特有の弱点を突破したと言えます。

因みに、私が驚いたのは、「洋菓子屋でありながら、IT・エンジニア人材をどんどん採用している点」です。

これは、顧客やサプライチェーンのデータ管理に注力する事は 勿論のこと、ケーキの製造機械も自分たちで開発することで、自社に適した最適なオペレーションを組もうとされています。もはや、『洋菓子屋』とは思えません。。。


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◆3.「他社がやらないことに挑戦する風土!」

*これも会長の考え方だと思います。「シャトレーゼ」には、糖質をカットしたケーキ販売をいち早く開始したことで有名です。今でこそ、他社も こぞって挑戦していますが、「シャトレーゼ」が この『火付け役』と言っても過言ではありません。

更に、今では「ネット通販」に力を入れています。他社も独自のネットショップを構築してますが、「シャトレーゼ」は特に挑戦的な取り組みをしています。例えば、ネット上では新ブランドをオープンし、毎日の『仕事』や『家事』に忙しいターゲット層のライフスタイルに合わせ、午後9時~12時限定でスイーツを販売するという今までにない『やり方』に挑戦しています。このように、他社がやらないことに挑戦できる「風土」が、強みとなっています。


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◆4.「アイスや和菓子などの『包装商品』が美味しく、機会損失にならない点!」

*これは完全に主観になりますが、「シャトレーゼ」は他のケーキ屋さんと比べて、アイスやクッキーなどの安い「包装商品」までも拘りを感じます。その為、普通のケーキ屋さんだと、ケーキを食べたい時だけ そのお店に行きますが、「シャトレーゼ」はコンビニ感覚で、100円ぐらいの包装商品を求めて頻繁に立ち寄る人も多いと思います。

また、先日 「シャトレーゼ」に立ち寄りましたが、夕刻でケーキが売り切れていて、殆どありませんでした。それでも 美味しそうな包装商品をみて、あれもこれも買ってしまいました。このように、例え 主力商品であるケーキが売り切れても、日持ちし易く、管理し易い「包装商品」を多く置くことで、機会損失にならない体制を取られているのも、強みだと思います。

因みに実は、「シャトレーゼ」の一番の売れ筋は『チョコバッキー』という、100円のアイスみたいです。

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◎と言うことで…

幾つかの企業を分析してきましたが、現会長の「齊藤 寛氏」が圧倒的にパワフルで「魅力的」です。特に、工場が火事になってしまった時には、多くの従業員が辞められたにも関わらず、絶対に下を向かずに、むしろ 逆境を原動力にされたことは、社長のパワーを感じます。私ならすぐ諦めてしまうと思うし、簡単に真似できないと思います。

そして、敢えて「普通とは逆のことをされる点」が凄いです。まさに「言うは易く行うは難し」だと思います。「ドミナント戦略をしない」など、普通の会社がやることの逆をされていて、どんな戦略にも正解はなく、大事なのは戦略 全てに一貫性を持たせることだと学びました!


このような普通の会社がやらないような考えができる源泉は、結局は「齊藤 寛氏」が創り上げた「社内風土」だと思います。そんな斎藤会長ですが、現在「87歳」です。しかし 衰え知らずで、夢は まだ半ば。現在は日本の菓子メーカーがなし得ていない世界での成功を目指されています。

それは、洋菓子先進国と言われている「オランダ」への進出です。農業大国でもあるオランダで農家とのネットワークを作り、安くておいしい生菓子作りに挑まれています。

このパワフルさが、きっと社員からの求心力・憧れとなり、社員全員が前向きな会社になっているのだと想像しました!


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●それでは 最後に、C.I.について、若手なりに一言いわせて頂くと…

現会長が、創業時に掲げられたものだと思いますが、少し表現が固過ぎる気がしました。特に、洋菓子という業界なので、比較的に若い女性の社員さんが多いと思いますが、中々 本当の意味で理念浸透となると難しい気もしました。また 現在のC.I.だと、言葉が全て社内向けの言葉になっていて、外向けの言葉が見当たらないことが気になりました。「シャトレーゼ」さんが取り組む事業を通して、企業が目指す不変的な想いや、何の為に会社を創ったのか、何の為に社会に存在するのかの答え、所謂 企業の「あるべき姿」「成し遂げるゴール」を、外向けの言葉で表現すると、より多くの人に"共感"を得られると思いました。

私になりに考えてみると「『洋菓子』を進化させることで、『洋菓子』が生活の当たり前になり、『洋菓子』から豊かな日常を送る人をたくさん創る」などです。

会長のインタビューで、「特別な日だから洋菓子を食べるのではなく、食べたい時に食べるようにしたい」と述べられていて、こう表現しました。


また 出来れば、コンカンが提唱するC.I.と、御社のC.I.を一度 照らし合わせて頂けると有り難いです。

*concanが考えるC.I.とは?

最後に、若手が生意気ばかり言って、申し訳ございません。

長くなりましたが、以上です。

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