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  • 株式会社コンカン

【若手社員が勝手に"イケてる企業のC.I.を切る"!】「第22回:ダイキチシステム 株式会社」

今日は 若手社員の私が、成長している企業のC.I.を紹介します。

このコロナ禍で注目されている「焼き鳥屋」があります。

第22回は、居酒屋「やきとり大吉」を運営し、あの「鳥貴族」を抜き 店舗数 "第1位"にまで成長した「ダイキチシステム 株式会社」です。





【企業概要】

「ダイキチシステム 株式会社」は、従業員20名ほどと小さいな会社ですが、居酒屋「やきとり大吉」を全国にフランチャイズ展開(FC)を行い、店舗数900を超えています。

大阪に本社を構え、やきとり大吉を1978年に兵庫県尼崎市に 1号店をオープンしたことが始まりです。それ以来 900店以上を出店しています。実は、あの「鳥貴族」が622店(2020年12月末時点)なので、「やきとり大吉」は それより店舗数が多いことになり、「焼き鳥チェーン」としては 店舗数だけで見ると、事実上 日本一です。この「やきとり大吉」の特徴は、すべてが FC展開ということで、本部の社員数は たったの20人ということが驚きです。


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【企業ヒストリー】

そんな「ダイキチシステム 株式会社」ですが、創業者である「辻 成晃氏」が、カリスマ経営者と呼ばれ、企業の"幹"を作り上げました。

辻氏は、苦労人で 進学校である大阪府立 八尾高校を卒業したにも関わらず、進学せず就職しました。そして、30歳で中学校時代の盟友と事業を起こし、それが 今の「ダイキチシステム」の始まりとなっています。当初から直営店は 1店も持たず、独立支援システムを核に『独立希望者』を支援し、店舗網を拡大してきました。『独立希望者』は、当然 年齢層もキャリアもバラバラ。そんな彼らに、一つ一つ経営を教え、1,000名以上の経営者を育ててきたのが 辻氏と言われています。一代で、巨大なネットワークを築いたことは 勿論ですが、その中から多くの経営者を輩出したことが、「カリスマ経営者」と言われる由縁です。


そんな「辻 成晃氏」が起こした「やきとり大吉」が、50店舗を超える頃、辻氏はビール会社との価格交渉を行うオーナーたちの様子をみて、供給会社を1社に絞ることを思いつきました。そして絞り込んだ1社が『サントリー』であり、偶然 経営陣に知人がいたこともあって、交渉も上手く進みました。『サントリー』とすれば、最も弱いのはビール類であり、一方「やきとり大吉」としては、オーナーたちがサントリーの社員さんから最新の情報などを仕入れることが出来るのです。ある意味「WinWin」の関係が成り立り、それ以来 いっさい「やきとり大吉」ではサントリー以外のビールを置いていません。

また 実は、現社長の「牟田 稔氏」は、元々 サントリーに務めていました。因みに 当時のサントリーは、ビールのシェアは少なく、ビールを酒屋に置いて貰うために、自動販売機の設置など、あの手この手の作戦を展開していていました。やがて、このビールが"縁"となり「ダイキチシステム」と「サントリー」の関係が強固になりますが、ここで 辻氏と現社長の「牟田 稔氏」が出会うことになりました。「最初は、食べて、飲んで。次も食べて、飲んで。その次には、飲んで、食べて。それ以降は飲んで。飲んで」これが牟田社長流の営業方法であり、「辻氏」と「牟田氏」は意気投合したのです。

そして 2005年、牟田氏は、正式に専務として迎え入れられます。その3年後、社長に就任することになったのです。


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ここで、居酒屋の現状を見てみます。

【 居酒屋業界について 】

実は、2018年までの10年間で、売上98.5%、店舗数98.3%、客数98.8%、客単価99.6%と微減しており、売上、客数に至っては10年連続で前年を下回っている状況です。この背景には、「若年層のアルコール離れ」、「働き方改革による残業の減少」、「消費者の嗜好の多様化」などが挙げられます。

更に「酒類市場」の観点から見てみると…

2001年ごろをピークに規模は減少傾向で、年代別に見た「飲酒習慣率」を見ても、50代が「42.5%」に対し、20代は「4.7%」とかなり低い傾向となっています。近年の若者の「アルコール離れ」は顕著となっており、居酒屋業界にとっても深刻な問題になっています。

また 近年では、ファミレスやラーメン店でのアルコール類の提供など他業種の居酒屋部門の参入が増えています。これによって、居酒屋の収益力の低下に繋がっているのです。更には、働き方改革による残業の減少によって、以前のような「仕事帰りに ちょっと一杯」といった習慣も薄れ、「家飲み」が流行るなど消費者のライフスタイルの変化もみられます。

このように、居酒屋業界を取り巻く環境は、厳しいものとなっています。


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それでは、そんな「ダイキチシステム 株式会社」の"イケてるC.I."を紹介します。

【大吉理念】

「生業(なりわい)商売に徹する」

他人を働かせるのが「事業」であり、自分自身が汗を流して 働くのは「生業(なりわい)」である、と私たちは考えています。

大吉の商売は「事業」ではなく、「生業」なのです。

北海道から沖縄まで、全ての大吉に生業がある。

良いことも悪いことも すべて自分に はね返ってくる「生業」の商売に徹して地道な努力を続けてきた多くの店主が、「大吉」で成功を手にしています。



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それでは、若手なりに「ダイキチシステム」の成長理由を分析させて頂きます。

【若手なりの成長理由分析】

「ダイキチシステム 株式会社」の一番の成長理由は…

●「独自に開発したチェーンと個人店の良いとこ取りをしている点!」です。

*「やきとり大吉」では、永年に渡る実践の中で築き上げてきた『居酒屋経営』に関するノウハウを、独自のシステムとして確立しています。

オーナーの方には、商売繁盛のために欠かすことの出来ない「大吉基本ルール」を徹底して守って貰いますが、食材の仕入れや 接客方法などに決まったマニュアルはなく、すべて オーナーの裁量に任せています。

経営の基本として外せないことは「ルール化」し、その他の部分でオーナーが創意工夫できる領域を用意しています。この2段構成の仕組みこそが、素人から商売を始めた方でも、目標に向かって徹底的に努力すれば、必ず成功できる秘訣です。そんな「やきとり大吉」の特徴は、オーナーが 常にキッチンに立ち続けることで、お客さんと親密な関係が出来あがる事です。「やきとり大吉」の戦略として、「やきとり」を売っているのではなくて、まず「人」を前面に出した「ファン化戦略」があり、「ファン」によって お店が回っているのです。

因みに、飲食業界では「1:5の法則」が有名だそうです。これは、新規顧客の獲得コストは、既存顧客の1回の再来店に掛けるコストの5倍掛かるという実験から得られた法則です。このように、新規顧客の獲得ばかりするのではなく、常連さんを大事にして囲い込みを しっかり行っています。


*また、お客さんに とっても魅力になります。「大吉」という看板の安心感があるから入店し易く、流行りのメニューや個性的な商品は無くても、その分 チェーンならではの安定した品質の酒や料理を低価格で楽しめます。それでいながら、「地元の飲み屋」でもあるため、オーナーや従業員と親密な関係を築くことも出来るのです。つまり「900を超えるチェーン店であっても、『チェーン的』ではなく、お店の『個性』を楽しめること」が強みなのです。


〇それでは、上記に付随する形となりますが、更に 若手なりに成長理由を仮説で「3つ」上げさせて頂きます。


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◆1.「とにかくオーナーが主体的に働ける仕組みを作っている点!」

*「やきとり大吉」は、FC展開とはいえ『マニュアル』などが 殆どありません。やきとり大吉の お店は一見、同じ様に見えますが、実は「店の雰囲気作り」「接客」など、オーナー自らの持ち味を 全面に活かしています。仕入れの『やり方』や具材の『決め方』なども 全てオーナーが行っています。その中でも、決められている事は、必ず オーナーがキッチンに立つことです。その為、やきとり大吉は、どの店舗も10坪程度の小さな お店ですが、オーナーの顔がどこからでも見える設計になっていて、オーナー それぞれのキャラクターが お店の雰囲気を作っています。

また 本部への支払いは「定額」となっています。オーナーの"苦労"や"頑張り"で売上が伸びるとダイレクトにオーナーの収入に反映され、高年収も期待できるのです。


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◆2.「『戦わずして、勝つ』が徹底されている点!」

*「やきとり大吉」のターゲットは、「家族連れ」です。そのため 大吉は駅前どころか、駅の近くにすら お店がありません。最寄り駅から徒歩15分以上かかることも普通です。業界では、3等立地と呼ばれる場所にあり、当然 繁華街のように集客は見込めないが、その分 家賃が安くできます。

やきとり大吉の『標準店舗規模』は、20人で満席になる小さな店です。これなら オーナー1人と、奥さん 或いは アルバイトを1人使って「計2人」で店を廻せる広さで、1日20人も集客すれば利益が出るのです。「3等立地は、不便でなんにもない」と思うのは よそ者の発想で、地元の人にとっては、家の近くに思いがけず 飲み屋があってラッキーという事になります。住宅街ということは、人が たくさん住んでいて、そのうち 一定の割合を常連客として取り込めば商売として成り立つ訳です。また、近く(100メートル圏内)に住んでいる人を 確実にファンにすれば良いので、広告やSNSなども全く必要ありません。


*上記の理屈は、確かに「やきとり大吉」に限ったことではなく、町の小さな飲食店は、みんな当てはまります。ただ、「やきとり大吉」が違うのは、それを『ビジネスモデル』として体系化し、チェーン展開をしたことです。素人が、1からお店を出すのは、料理の技術を習得して、経営の勉強をして、物件を探し…と、並大抵のことではありませんが、「やきとり大吉」で独立すると「暖簾」を使いながらも、赤提灯をイメージする田舎町の居酒屋を演出することが出来るのです。


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◆3.「誰でもオーナーになれる仕組みを作った点!」

*「やきとり大吉」の特徴は、少ない開業資金と丁寧な修業です。例えば、開業にあたって、店舗を借り受ける「ユーザー方式」と、オーナーとして開業する「グループ方式」の2つの方法を用意されています。

●「ユーザー方式」であれば、店舗の場所は 本部の指定になりますが、加盟金150万円と開業資金 約100万円の計250万円という少ない資金で開業することが出来ます。毎月 固定の運営費用は、家賃10万~13万円、店舗使用10万~13万円(管理費1万円含む)、ロイヤリティー3万円となります。

●「グループ方式」であれば、初期費用は加盟金150万円と開業資金が1200万~1400万円程度。家賃は大家に直接支払い、店舗使用料や、本部へのロイヤリティーも掛からないという仕組みです。(居酒屋のロイヤルティ相場:売上げの10%。金額だと約8万円)

このように、オーナーの希望に合わせて、簡単に開業できる仕組みが設計されています。


*また、開業前の初期研修は「3ヶ月」にも及びます。1ヶ月ごとに研修店が変わり、最初の1ヶ月は 飲食店の基本である身だしなみや 衛生管理から始まって、包丁の持ち方、肉の切り方、串の打ち方といった技術を習得します。2ヶ月目には、より実践的な研修となり、最後の1ヶ月で研修のおさらいと、開業準備を行います。他のフランチャイズ店の初期研修は、せいぜい 2週間~1ヶ月と言われています。「やきとり大吉」の研修は、かなり厳しいものですが、誰でもオーナーとしてノウハウを習得できるのです。

因みに、現オーナーの8割が 飲食未経験者で、殆どのオーナーが10年以上 お店を継続できているそうです。


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◎と言うことで…

競合が多い『外食産業』で、独自のチェーンシステムで成長した「やきとり大吉」ですが、このコロナ禍にも関わらず 売り上げが 約2割減で済み、各方面から大きな注目を受けている企業です。

外食業界に於いて、コロナの影響で今後 加速する3つの流れは…

●1.「都心の繁華街立地→住宅地に近い立地」

●2.「大箱店→従業員の顔が見える小箱店」

●3.「チェーン的な店→『人の魅力』を売る店」

と言われています。実は 「やきとり大吉」は、この全てを満たしているのです。

人件費と家賃が低く、基本的に夫婦2人で運営するため 人件費は1割前後です。本部に払うロイヤルティーは、月3万円で固定され、家賃は駅から離れているので 安くて済みます。また コロナ禍で、行動の範囲が狭まった一方で、家の近くに安心できる居酒屋が求められているのです。


いやー、とても勉強になりました。

ここ数年間で多くのオンラインサロンが乱立し、『コミュニティビジネス』が活発となっていますが、「やきとり大吉さん」が実践されている事こそ、本当の『コミュニティビジネス』なのだと思います。ここまで来ると、もし 潰れそうな時があっても、街の住人が助けてくれるのだと思います。居酒屋だけでなく、どんな"ビジネス"にも応用できます。これだけ 多くの飲食店が溢れ、味の差別化が難しくなった今、居酒屋の「在り方」を明確にして オーナーという『人』で差別化し、成功されていて 本当に凄いです。


家の近くにも、「やきとり大吉さん」がありますので、是非 行ってみたいです!


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●それでは 最後に、C.I.について、若手なりに一言いわせて頂くと…

理念である「生業(なりわい)商売に徹する」が、とてもシンプルで分かり易くて、何より徹底的に実践し、企業の戦略になっている点が、凄いと思いました。何だか応援したくなる会社です。敢えて、一言いわせて頂くとしたら、外向けの理念として「企業が目指す不変的な想い(成し遂げるゴール)」を企業理念として表現すると、一般生活者からより"共感"を得られると思いました。例えば、「料理を通して、身近な人と人とを繋げ、絆を深めることで、その地域で一番愛される場所となる」などです。

また FC店とは言え、900点以上ある お店のオーナーの方が 現場で取るべき行動をまとめた「行動指針」があれば、一度 見てみたいと思いました。


出来れば、コンカンが提唱するC.I.と、御社のC.I.を一度 照らし合わせて頂けると有り難いです。

*concanが考えるC.I.とは? https://www.concan.co.jp/post/topics-ci

生意気言って、申し訳ございません。 長くなりましたが、以上です。

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