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  • 株式会社コンカン

【若手社員が勝手に"イケてる企業のC.I.を切る"!】「第17回:俺の株式会社」

今日は 若手社員の私が、成長している企業のC.I.を紹介します。 競争の激しい飲食業界で、緻密に計算され尽くした『『ビジネスモデル』で急成長した企業があります。 第17回は、東京を中心に「俺のシリーズ」レストランを展開している「俺の株式会社」です。






「俺の株式会社」は、「俺のイタリアン」「俺のフレンチ」「俺の割烹」など「俺のシリーズ」レストラン36店舗を国内外に展開している企業です。わずか10年前の2012年に設立され、従業員約1,200人、売上高90億円(2018年)に急成長した企業です。「俺のシリーズ」が有名になった理由の一つに「立ち食い」があります。「一流シェフの手掛ける高級料理を高い客回転率により低価格で提供する」というコンセプトがヒットし、外食業界に於いてフード原価率30%未満が常識とされるなか、原価率60%で黒字を出す『ビジネスモデル』で業界に革命を齎したことで有名です。

ーーー そんな「俺の株式会社」の設立者である「坂本 孝氏」は、中古本販売で有名な「ブックオフ」の創業者として同社を全国1,000店舗以上の規模に成長させた経営者としても有名です。 坂本氏は、1940年に山梨県甲府市に生まれました。大学卒業後に家業の精麦会社を継ぎますが、1970年にオーディオ販売店を起業したのを皮切りに、洗車事業、中古ピアノ販売、喫茶店、化粧品販売などの多くの個人事業を手がける起業家人生を歩まれています。そして、1990年に50歳で「ブックオフ」を創業し、2005年には東証一部上場を果たしました。しかし 2007年に架空売上計上の指摘を受け、引責辞任することに。その後は、2009年にVALUE CREATE 株式会社を設立し、外食産業へ初参入します。そして 2011年9月、東京・新橋に「俺のイタリアン」1号店をオープンさせ、行列が出来る大人気店として有名になりました。因みに、坂本氏が「俺の株式会社」を設立した時は70歳を超えていたそうです。 ブックオフを引責辞任後、余生を優雅に暮らそうと思っていたなか、尊敬する「稲盛 和夫氏」が JAL再生を行うことを知ったそうです。その時に、自分も負けてられないと思い、奮い立ち上げたのが、「俺の株式会社」です。 70歳で起業を決断!本当にパワフル過ぎます!

ーーー それでは、そんな敏腕経営者が率いる「俺の株式会社 」の"イケてるC.I."を紹介します。 【経営理念】 「飲食事業を通じての地域社会への貢献」 「全従業員の物心両面の幸福の追及」

【六つの精進】 1.誰にも負けない努力をする 2.謙虚にして騎らず 3.毎日の反省(利己の反省及び利己の払拭) 4.生きていることに感謝する(幸せを感じる心は“足を知る”心から生まれる) 5.善行、利他行を積む 6. 感性的な悩みをしない

ーーー それでは、若手なりに「俺の株式会社」の成長理由を分析させて頂きます。 【若手なりの成長理由分析】 「俺の株式会社」の一番の成長理由は… ●「最高の料理を安く提供できるビジネスモデル」。 これこそが「俺の株式会社」の強みであり、個性だと思います。俺のシリーズは、ミシュランの星付き高級料理店で活躍してきた一流シェフを起用し、高級食材を使った料理を驚くような低価格で提供する事で有名です。「俺のシリーズ」の食材の原価率は60%で、これは 一般の飲食業の2倍の数値です。そのため「俺のシリーズ」は「立食スタイル」で2時間制をとり、1日3回転以上の高い回転率により低価格を実現しました。勿論、低価格だからといって料理を少量にするのではなく、料理を堪能できるように一皿を十分なボリュームに設定しています。トリュフやフォアグラなどの高級食材が高級レストランの約1/3の価格で食べられるという独自性と競争優位性がヒットし、「俺のイタリアン」「俺のフレンチ」は大行列をつくる人気店となったのです。高級料理店では、回転数が低く客単価が高いという方程式が一般的ですが、俺のシリーズは回転数が高く客単価が低いという"逆転の発想"で成功を収めたのです。 また、この「低価格×高級料理」という謳い文句には、正反対の要素が組み合わさっており、一見 不可能で矛盾しているように思える『コンセプト』が 人の好奇心を動かし、話題を呼びました。

ーーー それでは 更に、若手なりに成長理由を仮説で「4つ」上げさせて頂きます。 ◆1.「ブランド力強化を狙ったドミナント出店戦略!」 *「俺のシリーズ」は、銀座8丁目を中心にドミナント出店しています。ドミナント戦略とは、物流・店舗管理・広告宣伝などを効率的に行うことを目的に、一定の地域に集中的に出店することです。これにより、その地域では 支配的な地位を獲得することに繋がります。「俺のシリーズ」であれば、一流シェフがつくる高級料理を低価格で食べられると広まれば、その地域での関心は一気に高まり注目を集めます。そして「あの店は、美味しかった」となれば、「じゃあ 今度は、『俺の』と付く他の店舗へも行ってみよう」と、近くの系列店舗への誘致効果が生まれます。圧倒的な存在感を確立することで、自店舗のみならず 他店舗への集客効果も生むという狙いがあります。更に ドミナント出店することによって、行列を見たお客さんが別の店舗にいく"モデル"を作り上げています。特に 飲食業界に於いては、無駄な広告費を使う必要もないのです。

ーーー ◆2.「仕入れやメニューをシェフに一任している点!」 *「俺のシリーズ」は、仕入れやメニューを店舗のシェフに一任しています。そのため、店舗ごとにメニューが異なったり、同じ店舗でも その日に仕入れた材料によってメニューが変わったりします。お客さんとしては、週に1回通っても飽きがこないような機動的なメニューになっています。更に 店舗によってメニューが違うとなれば、同じ系列で競争意識が高まります。これにより、各店舗から料理に対する工夫が生まれるのです。また シェフに一任するのには、もう一つ大きな理由があります。実は、高級料理店のシェフの世界では どんなに腕が良くても、厨房で料理を創れるようになるまでに「約10年」掛かると言われています。そこで「俺のシリーズ」では、誘い文句として「好きな食材を好きなだけ使っていい」という"フレーズ"を掲げました。これによって、多くの一流シェフを「俺の株式会社」に引き抜いているのです。

*そもそも「俺の株式会社」のビジネスモデルは、「料理人を幸せにする」を目的として生まれたものです。先に述べた通り、社長はある時に「シェフが厨房で料理を創れるようになるまでに 約10年掛かる」と知ったそうです。社長自身は、全く料理が出来ませんが、「どうしたら 料理人が幸せになれますか?」と飲食業界の人に聞きまくりました。すると、一つ分かったのが、2008年のリーマンショック以降、料理人たちが「成長する場」を失っていたことでした。真剣に 一流を目指している料理人は、老舗料亭や高級ホテル、ミシュランの星の付くレストランに活躍の場を得たがっている。しかし リーマンショック以後は、店が増えず、上を目指せなくなっているのです。そこで「料理人を幸せにするには、まず 場をつくってあげるべきだ」と思い立ちました。通常、飲食業では「お客さまを幸せにする」を最初に掲げるものだが、「料理人を幸せにする」ことを起点とする"モデル"が、既存の飲食業界には無かった新しい何かを 生むのではないかと考えた結果、シェフに全てを一任するという「俺の株式会社」のビジネスモデルが出来上がったのです。

ーーー ◆3.「シェフを幸せにするために、シェフ育成から行っている点!」 *「俺の株式会社」の本社の地下には、研修生・プロ養成の『料理アカデミー』があります。そこで、FCの加盟店から お預かりした「料理人」を立派な「シェフ」にするという『今まで出来なかった』ことを行っています。しかも、そこには 日本が誇るミシュラン級の教授が30人も居ます。全員に、一人ずつ付くので20ヶ月経てば、一流の料理人となるのです。そして この人が、将来料理人という夢を実現して、本当に料理人になって良かったと思わせてあげたいという社長の想いがあります。 「俺の株式会社」では、シェフの独立支援を推奨し、著名シェフがキャリアステップの場として「俺のシリーズ」のレストランを活用するサイクルを作り、日本の『食文化』を盛り上げようと考えているのです。

ーーー ◆4.「経営者自らが広告塔となっている点!」 *坂本 孝社長は、知る人ぞ知る有名人で、古書店「ブックオフ」のビジネスモデルを成功させたことで知られています。「俺のイタリアン、俺のフレンチ、ぶっちぎりで勝つ競争優位性のつくり方」など多数の著書を刊行し、多くの経営者に影響を与えました。また テレビでも 多く取り上げられることで、一度は行ってみたいという印象を作り上げました。シェフも、ミシェランで オーナーを務めていた有名なシェフを多く採用することで、シェフ自体も「宣伝マン」となっているのです。

ーーー ◎と言うことで… 「俺の株式会社さん」の成長理由は、「最高級の料理を安く提供する」を実現した『ビジネスモデル』が全てだと思います。今までにありそうで無かった『ビジネスモデル』だと思います。飲食業は、料理の味も大切ですが、どうしたら お店に来て貰えるかを、緻密に計算され尽くした"経営者目線"の戦略なくして成し得ないのだと感じました。しかも、「料理人」と「経営者」というのは、特に 毛色が違う人種であり、バランス感覚を養うのは とても難しいことだと思いますが、それを 実践されているのが「俺の株式会社」なのだと思います。私もこういうのを知ると、もっと理論に基づいた経営を学ばなければならないと感じます。

また『ビジネスモデル』の起点が、「優秀な料理人の生きる道を作りたい」という"想い"から始まっていることが 面白いと感じました。この『ビジネスモデル』は、優秀な「シェフ」を採用し続ける事が 一番難しいことだと思いますが、この"想い"を起点にしているから成り立つ"モデル"だと思います。ソーシャル的な起点からビジネスを形にする「やり方」が、私自身とても勉強になりました!

ただ、若手なりに気になった点は、この「高回転率の維持」です。まさに 一部 立ち食いスタイルを辞められているということで、同じ業態も増えてきて、どんなに美味しいとは言え、立ち食いスタイルのお店に何度も足を運ぶイメージが沸かない気がします。だからこそ 人口の多い銀座にドミナント出店を行い、新規顧客を獲得し続けられているのだと思いますが。 例えば、高回転率の維持のために、銀座ドミナントの利点を活かして、クラブ向けに高級テイクアウトや仕出しを行うと面白いと感じました。調べてみると銀座には、約1,500軒の高級クラブがあるそうです。各店にメニューを配布し、デリバリーを受け付け、約1,500軒ある高級クラブのセントラルキッチンの役割を担うことで、「店舗」と「デリバリー」のお客さまで高回転率の維持を図ることができそうな気がしました。また、このコロナ禍に於いても 最適な方法のような気がしました。 勝手なことを言ってすみません。。。

ーーー ●最後にC.I.について、若手なりに一言いわせて頂くと… 経営理念として「飲食事業を通じての地域社会への貢献」「全従業員の物心両面の幸福の追及」とありますが、外向きの言葉と内向きの言葉が並んでいて、少し違和感を感じました。また、「飲食事業を通じての地域社会への貢献」とありますが、銀座にドミナント出店しているにも関わらず、一般大衆をイメージする「地域社会」という表現が合っていない気がしてしまいました。社長自身の社会性のある"想い"を起点に始めたビジネスなので、勿論 社長自身の頭の中には、企業として成し遂げたい世界観があるのだと思います。先ずは、その想いをしっかり言語化することで、企業の『存在価値』が一般消費者に伝わり、より共感を得られると感じました。 出来れば、コンカンが提唱するC.I.と、御社のC.I.を一度 照らし合わせて頂けると有り難いです。 *concanが考えるC.I.とは? https://www.concan.co.jp/post/topics-ci 生意気言って、申し訳ございません。長くなりましたが、以上になります。

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