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  • 株式会社コンカン

【イケてる企業のC.I.を切る】「第24回:清本鐵工 株式会社」

宮崎県 延岡市に「旭化成」を支え続けてきた地味だけど、確かな技術を持った「モノづくり」の会社があります。

第24回は、「未来につながる"モノ"を創造する」というコーポレートメッセージを掲げ、1937年の創業以来(創立1948年)、「1.メンテナンス事業」、「2.製品事業」、「3.鋳鋼事業」の3事業を中心に着実に成長し続けている83年の歴史を持ち、確かな技術力で旭化成を支えている「清本鐵工 株式会社」です。




清本鐵工は、太平洋戦争勃発の年、1941年より、「旭化成工業」の協力工場に指名され、現在まで、その付き合いは続き、旭化成に取って無くてはならない存在です。 年間の売上高は、約137億円で、従業員数は478名を数え、宮崎県 延岡市に本社を置いています。 そして 九州・関東を中心に13の事業所を持ち、延岡では知らない人はいない「鉄製品」の製造会社です。

清本鐵工は、化学工場のメンテナンスや、各種プラントなどの製品や、鋳鋼を作っている会社ですが、具体的に何を作っているのかと言うと… 「鉄で作れるものならなんでも作る!」と言います。 例えば、精密機械の部品や、食品加工機械、船に使われる大きな部品など様々な製品を生産しています。

身近な所にあるのが、「ソフトキャンディー」を作る機械は、国内シェア80%を占めています。 創業からこれまで、様々な新しい「モノづくり」に挑戦されています。 では、「清本鐵工」の「イケてるC.I.」の一部を紹介します。 *1993年 CI導入、新生キヨモトスタート。 ーーー 【清本鐵工 経営理念】 業を磨き、仕事の情熱から、生きる喜びを。 知恵と技術から、生きた製品を。 【創業の精神】 清本鐵工株式会社は、確かな技術力と真摯で誠実な人間力により、お客様のニーズに応え、高付加価値な製品やサービスを生み出すために、挑戦を続けていく会社です。

ーーー 【存続&成長の理由分析】 「清本鐵工さん」が、成長し続けているのは、生き残りを懸けて戦ってきた"企業姿勢"「過去の延長線上に未来はない。発展を目指すには、時代に合わせて変化し続けなければならない」と言う企業DNAが会社に根付いているからだと思います。

旭化成の企業城下町として発展してきた延岡市にある企業の在り方は、ここ30年で大きく様変わりしました。 繊維から医療・医薬、電子分野へと軸足を移した「旭化成」の動きによって、これまで「1社依存」を指摘されて来た地元企業群は、より高度な技術を求められるようになり、工場の省力化などによって「清本鐵工」の社員数の減少を背景に、地域の商業は落ち込みました。 そして 旭化成の成長が即、地域の発展に直結しなくなった事で「変化」への思いを強くされました。 旭化成の繊維事業の拡大とともに、取引も増加しましたが、「旭化成でのシェアナンバーワンを目指すには、旭化成だけにしがみついては駄目」と。それまでに培ったノウハウを武器に、神戸製鋼や日立とも取引を始め、「営業力」、「技術力」共に磨きを掛けられました。

そして 経済のグローバル化を背景に、各メーカーの製造拠点が海外にシフトすると、変化に呼応するように新分野を開拓しました。「目先を変えれば、チャンスは必ずある」と、従来の「工場プラントのメンテナンス」に加え、「食、エネルギー、環境分野」に進出し、中国での「水処理事業」へ参入し、常にチャレンジされているから成長し続けています。

◎C.I.については、今から約30年前の1993年に導入。 中小企業の中で、いち早く整備された事で、企業としても成長されたのだと思います。

●しかし C.I.について一言いわせて頂くとしたら… コーポレートサイトに記載が少ないので、何とも言えませんが、具体的な「行動指針」や「行動規範」と「社内評価制度」が気になりました。また 事業が多岐に渡り、C.I.導入からかなりの時間が経っている為、「未来」を考えると、「C.I.の再リニューアル」をお勧めします。

そして一部 コンカンが考えるC.I.と違いがありましたので、下記と照らし合わせて頂けると、ありがたいです。 *concanが考えるC.I.とは? https://www.concan.co.jp/post/topics-ci

ーーー それでは、話を戻して「清本鐵工さん」が存続・成長し続けている理由を、もう少し細かく仮説ですが、分析してみます。 大きく「5つ」あります。

■1.「事業継承に10年を掛け『経営のムリ、ムラ、ムダを無くすことを学んだ』清本 邦夫社長が経営のトップを務める点!」 *清本 邦夫社長は、2017年7月に現職に就任しました。 30年ぶりの社長交代という「大きな節目」だったのですが、現在まで大きな問題は生じていません。 それは、邦夫社長が取締役に就任した後の10年以上に渡たって「会社のリストラ」と「事業承継」を同時進行して来られました。

邦夫社長は、延岡東高校、玉川大学 農学部、アメリカのCaseWesternReserve大学経営学部を卒業し、日商岩井に5年勤めた後、「清本鐵工」に1999年に入社されます。

「既に会社には兄(清本 英義氏)がいて、経営者になろうなんて考えていなかった」と言われていました。2005年に取締役となった邦夫氏は、現場の「生産力」強化活動に力を注ぎました。生産現場での「5S活動」や「改善活動」に取り組み"社員さん"とのコミュニケーションを取ることで、上も下も含めて色々なことが見えてきたそうです。

2006年からの5年間は製品事業本部長を務め、その頃から、「英男前社長」の次の世代への引き継ぎが社内でも議論され始めたそうです。 しかし、会社はリーマン・ショックの影響もあり「海外を含め、多くのグループ会社が膿を出さなければいけない状況」に直面していました。邦夫氏自身は、2007年から中国での「汚水処理事業」の立ち上げに携わった他、海外子会社に掛かる「為替商品」の問題など国内外の課題解決に奔走しています。 「自分が勤めている会社、祖父が興し、父がやってきた会社を良くしたいという一心だった」そうです。

会社が苦しい時「ありとあらゆる事を経験し、経営のムリ、ムラ、ムダを無くす事を学んだ」と言います。そんな邦夫氏が社長になるのは、自然な流れだったのです。

■2.「今後の発展が期待される様々な事業を、高い『生産力』で展開・維持している点!」 *「食・環境・エネルギー・インフラ」をキーワードとし、今後の発展が期待される様々な事業を、高い「生産力」で展開しています。製品事業本部では、「汚水処理装置」や「木質バイオマス利活用プラント」、「スーパーオーブン」(過熱蒸気調理装置)など、 人々の生活をよりよくする製品づくりにチャレンジされています。

設計・製缶・溶接・加工・組立・仕上げから据付に至るまで、熟練した「モノづくり」の技術を身に付けたプロ集団によって、あらゆる"モノ"が日々生まれています。

化学プラント装置から火力、原子力発電設備の設計や製作、橋梁などのインフラまで、高度な技術力で、世の中の多様なニーズや、課題解決に応えています。 鋳鋼事業本部では、業界内では「手込め(造型方法)」鋳鋼品に於ける日本トップクラスメーカーであり、、これに安住せず、培ってきた高度な鋳鋼技術の幅を、更に広げるべく、高難易度の鋼種や製品要求に積極的に対応されています。

■3.「長い歴史の中で培われた技術力は、勿論 誠実で信頼できる『人材力』を持つ点!」 *清本鐵工には、日本の「モノづくり産業」を支える、多くの優れた「人材」がいます。 メンテナンス事業本部には、適切に生産設備の性能を維持・改善することができ、安定した稼動を生み出しています。

高度な技術や設備が実用化している今日であっても、「生産設備の効率化」や、「安全で安定した操業維持の実現」は、全ての「モノづくり産業」に共通する課題です。

受注を受けて、生産工場の現場に入り、各種プラントなどの生産設備や、機械の設計、工事計画・施工・保全など、重要な役割を担われています。

その為 「誠実」「信頼」「技術力」のある人材の育成にも力を入れられています。

多様性に対応した職場環境の改善を実現し、資格取得へのサポートも社員個人が取得したい免許にも、随時 対応されています。 生産力を支えるのは「人」。1人1人を大事にし、「人材力」を高め続けられています。

■4.「関連会社を多く持つキヨモトグループだからこその『総合力』がある点!」 *キヨモトグループは、国内外の関連会社「17社」によって構成されています。 各社それぞれ独自の高い専門性を発揮し、事業活動を展開しています。各分野のプロフェッショナルが集結した「グループ企業間」の連携を通じて「総合力」を発揮し、顧客に高付加価値な製品・サービスを提供されています。 経営の多角化を実現させた「清本鐵工」は、戦後の高度経済成長やオイルショック、経済のグローバル化といった時代の変化に呼応するように、積極的に新分野を開発されて来ました。

■5.「商慣習の違いや政治的な問題がある中国での事業が20年以上継続している点!」 *中国での事業が開始されてから20年以上が経っています。1997年に鋳鋼製品の工場を買収し、その後に「汚水処理事業」にも進出されました。 商慣習の違いや政治的な問題で疲弊し、中国事業から撤退する日本企業は多いです。

その中で「清本鐵工」は、大連市内で、鋳鋼製品メーカーに加え、汚水処理場の運営管理などを行う環境関連企業2社の合計3社を有していています。 ユニークなのは、全て合弁ではなく「独立資本」である点です。

独資であることによって意思決定がスムーズに進んだ一方で「中国政府と良好な関係をつくるのには苦労されました。」

事業をスタートした当初は、設備が壊れることも多く投資がかさんだと言います。 それでも事業を継続したのは「経営トップ(邦夫社長)が人任せにせず、熱心だったから」です。

独資の会社ながら公共事業である「汚水処理事業」を受注できたのは、培った「信頼関係」と苦労しながらも「鋳鋼事業」を継続してきたからだと言われています。 国内市場が収縮する中で、成長を望むのであれば、アジアをはじめとする「海外市場」へ目を向けざるを得なかったのです。

ーーー ◎と言うことで… 「清本鐵工さん」が成長し続けているのは、「旭化成」と「九州電力」のメンテナンスから事業をスタートさせた「総合技術メーカー」として、日本の「モノづくり」を"鉄"で支え続けてきた点です。

そして 変化の激しい「事業環境」に対応すべく、より広い視野と柔軟な発想を持って、社員全員が一丸となって「改善、改革」を進められて来たからだと思います。

また 一昨年には 「グッドカンパニー大賞」を清本鐵工さんが受賞されました。

「グッドカンパニー大賞」とは、全国の中小企業の中から経済的、社会的に優れた成果をあげている企業を選んで贈られる、日本で最も歴史と実績のある中小企業の為の賞です。昭和42年以来、受賞企業は663社に及び、受賞後、多くの企業が発展を遂げ、日本の有力企業に成長しています。

ーーー ◎しかし 大きな課題もあります。 今回 中国・武漢で発生した「新型コロナウイルス感染症」が、中国の"サプライチェーン"に深刻な影響を与えています。 新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大は、中国のサプライチェーンに与える影響はかなり長引きそうです。

中国各地の工場が操業再開に動き出しましたが、順調に立ち上がっているとは言えない状況です。 このことからも、今回 中国一国に頼る"サプライチェーン"は、かなりのリスクを伴う事から、今後 日本国内での「生産力」アップがどの企業にも求められると思います。 *「サプライチェーンとは」→"仕入れ”から"出荷”までの流れ。 実体のあるモノには「製造」から販売といった共通した流れがあります。"サプライチェーン"とは、言わば この流れ全体を指す言葉であり、「商品」と「お金」が発生するスタート地点からゴール地点と言い換えることが出来ます。

例えば、自動車製造業ならば、部品の原材料となる鋳鉄や樹脂材を製造・販売する企業から始まり、次に部品を加工する企業へと流れていきます。完成されれば部品はメーカー企業に直接流れるか、あるいは もう1度 別のサードパーティ企業で加工された後にメーカー企業へと流れていきます。メーカー企業に集まった部品は、そこで組み立てが行われ、出荷されて その後ようやく店頭に商品が並びます。このように、自動車業界の"サプライチェーン"一つとっても多くのプロセスがあり、文字通り「供給連鎖」を表しています。

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