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【若手社員が勝手に"イケてる企業のC.I.を切る"!】~「リライト編」~「第24回:株式会社 ジンズ」

更新日:2021年4月14日

群馬県に「眼鏡業界」の"常識"を破壊し、眼鏡業界の「ユニクロ」と呼ばれている企業があります。

第24回は、ここ20年で業界No.1にまで、一気に上り詰め、今では誰もが知る企業に成長した「株式会社 ジンズ」です。




ジンズは、 眼鏡専門店「JINS」を運営するメガネチェーンで、1988年に 現 代表取締役の「田中 仁氏」によって設立されました。(創業時の社名は、有限会社ジェイアイエヌ)今では、国内外に560の店舗を構えています。(2020年8月末時点)

「田中社長」は、元々 金融会社出身で そこでビジネスの"イロハ"を学んだ後、金融関係の業務から一転し、群馬県 前橋市で「服飾雑貨製造卸会社」を創業しました。その時に訪れた韓国で「眼鏡」を注文すると、3,000円で購入できる事に感動し、その翌年に、眼鏡販売の「株式会社ジンズ」を創業しました。(2019年からは持株会社制を導入)


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●売上高は、548億円(2018~2019年)を上げていて、年々 成長し続けている企業です。

眼鏡業界全体の市場規模は、約3,210億円で、「JINS」はメガネ業界の約20%のシェアを誇り、業界トップを走り続けています。

【メガネ業界売上高ランキング/2018年】

「会社名/ブランド名/売上高」

◆1位:「(株)ジンズ」JINS/548億円

◆2位:「三越HD」東日本「パリミキ」・西日本「メガネの三城」/496億円

◆3位:「ビジョナリーHD」メガネスーパー/264億円

◆4位:「愛眼(株)」メガネの愛眼/162億円

(参照:業界動向サーチ)

現在は、社長自身の「世界一の眼鏡屋になる。」という"志"の基、海外にも進出していて、2020年時点で 中国に133店舗、北米に5店舗、台湾に21店舗、フィリピンに2店舗を展開しています。


そんな、"順風満帆"に見える「ジンズ」ですが、実は…

2008年頃に倒産"ギリギリ"まで追い込まれています。この時 株価は"50円"にまで下がり、証券会社から「企業売却」を進められています。しかし、人生は不思議なものです。丁度 この時に、ユニクロの「柳井社長」から「御社の事業価値は何なのか?」と問われ、何も答えられなかった事があったそうです。この時から本気で「ビジョン」を考え始め、ここから一気に視点が上がり今の成長に繋がったそうです。この時を振り返り、社長 曰く「上場までして、どこか"怠慢さ"があった。」と言われています。

起業の経験もない私ですが、事業で成功する人の条件として、「必ず一度は"失敗"があり、そして そのタイミングで更に良くなる為の"きっかけ"が降ってくる人」だと思います。そして、その"きっかけ"があるか否かは、その人が持つ「運」次第だと思います。


それでは、そんな業界のトップを走り続けている「ジンズ」の"イケてるC.I."の一部を紹介します。

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【VISION】

「Magnify Life」(マグニファイ ライフ ※「拡大する」という意味)

いつもと世界が違って見える。

JINSは、そんなきっかけを人々に提供したいと願う。

人々の生き方そのものを豊かに広げ、これまでにない体験へと導きたい。

だからこそ、私たちはメガネのその先について考え抜き、

「あたらしい、あたりまえ」を創り、まだ見ぬ世界を拓いていく。

ーto Magnify Life



【Attitude(姿勢)】

3つのAttitude(姿勢)には、われわれの持つ、強みや想いが込められています。

これらを体現することで、世の中に「あたらしい、あたりまえ」を創りすべての人の人生を豊かにする「Magnify Life」を実現していきます。

◆1「Progressive」(革新的な)

革新的な思考を持って変化を恐れず挑戦することにより、顧客にとって世の中にとってイノベーティブなことを実践しよう。

そして、現状にとどまることを恐れ、道なき道を切り拓く。それは、あえて困難な道を選ぶことに似ているかも知れない。


◆2「Inspiring」(インスパイアする)

われわれがつくりだすイノベーティブな製品やサービスが、

人々に良い刺激と高揚感を与えられるような活動を行なおう。

人々に喜びを。

笑顔や明るい態度は、顧客を仲間を取引先を、あらゆるステークホルダーを幸せにする最初の一歩であることを認識しなければならない。

建設的な意見がいいチームをつくりだすことを覚えよう。


◆3「Honest」(誠実な)

われわれがつくりだす製品やサービスに妥協があってはならない。

顧客の信頼、仲間の信頼、取引先の信頼。あらゆるステークホルダーの信頼を醸成し、保つもの、それは誠実さである。

誠実な想いからうまれる製品やサービスに妥協は似合わない。


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【若手なりの成長の理由分析】

先ず、何と言っても「ジンズ」の一番の凄さは、日本に於ける「眼鏡業界の"2つ"の常識を変えたこと」だと思います。

先ず…

■1つ目は、「眼鏡=ダサい」という"常識"です。

「眼鏡」の歴史を辿ると…

実は 眼鏡は、大昔から存在し、1551年には「フランシスコ・ザビエル」によって日本に持ち込まれています。昔から、"視力矯正"というシンプルなアイテムとして普及していましたが、2000年代初頭になっても、形を変えず「目が悪い人だけ」が身に付けるものとして捉えられていました。その為、眼鏡=「格好悪い・陰気臭い・ガリ勉」といった印象が一般的でした。

それに対し、「ジンズ」は180度 視点を変え、眼鏡に「視力矯正以外の機能」と「デザイン性」を持たせることで、「眼鏡=オシャレ」という印象を植えつけ、「視力が悪い人」だけでなく「視力が悪くない人」に対しても眼鏡を掛けるシーンを創出しました。これにより、ユーザー層が広がることで新規(潜在)顧客を獲得し、売上を一気に伸ばしました。

更に、「ジンズ」の凄さは、"本気"で「デザイン性」を追求することで、世間にジンズの姿勢を分かり易く発信しているところです。

例えば、「メガネを本質からデザインする。」をコンセプトに、「JINS DESIGN PROJECT」を立ち上げ、世界的に有名なデザイナーと組むことで、新たな価値を創出する眼鏡の開発を行っています。

ただ「見た目がオシャレ」というデザインではなく、眼鏡の成り立ちまで遡り、カタチや素材、そして 人間の暮らし方までも「デザイン」することを意識しています。

中途半端なオシャレではなく、「世界的なデザイナー」と一緒に人間の"真髄"を突いたデザインを追求しているからこそ、「眼鏡業界」の"常識"を変えることができたのではないでしょうか。

しかも、こんなにもこだわった「眼鏡」が、たった"5,000円"で販売されているところに、"凄さ"を感じました!

まさに「ジンズ」の、「デザイン性」に対しの"プライド"だと思います。

※「JINS DESIGN PROJECT 」についてはこちら↓


実は…

私自身も、小さい頃から「左目」の視力が悪く、今でもあまり見えていません。小学生~中学生の頃は授業の時に黒板の文字が見えずらく、いつも前の席にされていた思い出があります。「眼鏡」を買おうと何度も店舗に足を運びましたが、その時は「眼鏡=ダサい」という印象から、ずっと躊躇していました。しかし 高校生の頃に、偶々 訪れた「JINS」で、「オシャレな眼鏡」を見た時に、初めて「眼鏡」を購入したことを覚えています。

まさに、私の体験から言っても、「ジンズ」はメガネの概念を"ダサい"から"オシャレ"に変えた企業だと思います。


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そして…

■2つ目は、「眼鏡=高い」という"常識"です。

2000年初頭の眼鏡の価格は、日本国内だと3~4万円が主流でした。何故なら、フレームが安くても、例えば非球面薄型のレンズのような良いレンズを入れると、万単位で購入価格が跳ね上がってしまうのが常識だったからです。

しかし…

「ジンズ」は"フレーム"と"レンズ"をセットで販売し、値札通りの安い価格で購入できるという「オールインワンプライス」を実現しました。

まさに、「眼鏡業界」の"革命児”だと思います。


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では、そんな「ジンズ」は、何故 上記の「2つの"常識"」を変えることができたのか?

更に 若手の自分なりに、その理由を"3つ"上げてみます。

■1.【眼鏡業界初の「SPAモデル」 】(*低価格・高デザイン性の実現)

*「SPA」とは、企画・生産・流通・販売までを一貫して自社で行うことです。「ジンズ」は、眼鏡業界では初めて、この「SPA」モデルを導入しました。これが、「眼鏡業界の"ユニクロ"」と呼ばれる所以です。

それにより…

●中間マージンを省くことで、より低価格化を実現

●製造から販売までを、よりスピーディー化を実現

●お客さまの声をダイレクトに反映した商品創り

●在庫コントロールを はじめ、販売までの一連のバリューチェーンの最適化を実現

などを可能にしました。

しかし、全て自社で行うということは、「在庫管理」や「商品開発」といったサプライチェーンの各分野に「深い知識」が必要になります。

その為、各部署にこのSPAモデルを支えるレベルの高い「専門家チーム」が存在しています。

その証拠に、様々な機関と提携されていて、業界初の「PC眼鏡」や「エアーフレーム」、更には ITを駆使した「スマート眼鏡」など革新的な商品を次々に開発されています。

結局 凄い企業には、それを支える「最高の技術者」がいるのだと思います!


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■2.【各店舗の高いオペレーション力】

*実は…

眼鏡の「商品原価率」は"30~40%"です。これは、他の小売業界と比べると低い数値です。しかし、「人件費」が"約40%"と他の小売業界よりも高い数値となっています。

何故なら…

眼鏡店舗では、お客さまがフレームを選ぶだけでなく、度数を測定したり、レンズをフレームに合わせて削って組み立てたりと、各お客さまに合わせた様々な工程が必要だからです。いわば、各店舗が「小いさな工場」みたいなイメージです。

その為…

マクドナルド・スターバックス等の優れたチェーンストアを参考に、トヨタ出身の方を顧問に迎え店舗オペレーションの改革・改善を徹底的に行なっています。

その結果、店舗運営の効率性を「約4倍」に高め、提供までの時間も約20分~30分と大幅に短縮しました。

これにより、待ち時間の長さを理由に購入を控えていた人に対して、「これぐらいの時間なら」と思わせることで、多くの新規顧客を獲得しました。

実は…

私自身も、前職で「商品開発」を行なっていました。その時に感じたことは、「B to C 事業」の辛い部分は、どんなに良い商品でも、直ぐに"真似"されることでした。デザインも機能も1年も経てば競合に真似されるはずです。

その為、店舗オペレーションなどの「人・組織」が関わる部分で差別化できることは、一番の「ジンズ"らしさ"」=「強み」だと思います。


■3.【コンセプトからマーケティングまで一貫した戦略】

*ジンズは、メガネは、お洒落には邪魔なものから、洒落を楽しむファッションアイテムという新しい切り口の提案を行いました。その為、ターゲット層を「20~30代の若くてファッションに興味ある人」と設定し、渋谷や原宿、青山のファッションのセレクトショップのようなお洒落な店舗設計を打ち出しました。そして、メガネを”アイウェア”という呼び方で売り出し、全てのメガネの常識を覆しました。

ジンズは、従来のメガネ業界のターゲット層とは真逆の層に対して、コンセプトの策定からマーケティングまで一貫した施策を行い、イノベーションを起こしたのです。



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◎と言うことで…

成長し続ける理由を自分なりに分析しましたが、古臭い眼鏡業界に於いて、その"常識"を破壊し続けていることが全てなのだと思いました。その為に、SPAや店舗オペレーションといった、顧客には見えない部分での"こだわり"を強く感じます。

小売店といえば、単純作業の繰り返しで"重労働"のイメージがありましたが、「JINS」は「スマートな小売店」というイメージがして、何だか「カッコよさ」も感じます。

眼鏡市場を見てみると、1990年代と比べると市場規模は、約半分の3,200億まで落ちており、現在は ほぼ横ばいが続いている状況です。

更に、同ビジネスモデルの大型チェーンなどが出現し、低価格化が"益々"進むだけでなく、今後は、GoogleといったIT企業が眼鏡市場に参入してくる中で、どう打ち勝つのかがとても楽しみです。恐らく、それも見据えて「IT企業との提携」と「積極的な海外進出」をされているのだと思いますが。

個人的には、眼鏡が自分に似合っているのかをAIで診断し「似合っている度」を数値化して頂けると、「私みたいな"優柔不断"な人」にも喜ばれると思います。

適当なことを言ってすみません!


また、今回の「新型コロナウイルス」に影響は、メガネ業界にも大きなダメージを与えました。実際に「ジンズ」も売り上げが、昨年対比で約10%減少しました。それでも、ネット通販の強化でeコマース事業は昨年対比43.2%増の24億円と大きく伸ばしました。

また、新しい取り組みとして「CLICK&GO」を開始しました。これはネットで眼鏡フレームなどを全て決済した上で、注文者の一番近い店舗まで配送してくれるサービスです。これにより、注文者は近くの店舗に決まった時間に行き、待ち時間なく度数チェックやレンズ調整が可能となり、店舗の滞在時間が大幅に短縮されるなど、新しい生活様式に適した新たな購買体験を実現しました。


今後の眼鏡業界は…

DX(デジタルトランスフォーメーション)が加速し、最も実店舗とeコマースを連動して売り上げを拡大が必要な業界と言われています。

しかし、テレワークやオンライン学習が増えたことから目の健康は重要度を増し、特にシニア、キッズ、ジュニアの眼鏡市場は拡大するという最も、成長が見込める市場ともなりました。

今後、「ジンズ」がどのような取り組みをされるのか楽しみです!


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◎最後に、若手なりにC.I.について一言いわせて頂くと…

社長自身もかなり強い"こだわり"を持っていらっしゃることもあり、かなり整備されていると思いました。特に「VISION」にある、「あたらしい、あたりまえ」という言葉が、ジンズのイノベーティブを求め続ける姿勢を上手に表現していると感じました。そして、その「VISIN」を実現するための「Attitude(姿勢)」も分かり易く言語化されていて素晴らしいと思いました。ただ、その「Attitude(姿勢)」を、店舗レベルまで落とした「行動指針」「行動規範」まであると、社員さんの判断基準がより明確になり、その結果、店舗としての魅力も高まると思いました。

*コーポレートサイトに、記載が無かったので、こう表現しました。


出来れば、コンカンが提唱するC.I.と、御社のC.I.を一度 照らし合わせて頂けると有り難いです。

*concanが考えるC.I.とは?

生意気ばかり言って、すみませんでした。。。

長くなりましたが、以上です。

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