福岡に、「総合不動産事業」を核に様々な事業を展開され、成長している企業があります。 第21回は、多くの経営者からも尊敬されている「石井 和俊会長」率いる、「三和ホールディングス 株式会社」です。
三和グループは、総合不動産サービスの三和エステー(株)を中核に不動産再生の三和アセットパートナーズ(株)、通販サービスのアイリンク(株)、住宅メーカーのMAKIHAUS(株)、管理業務支援のITパートナーズ(株)で構成されています。創業は1983年、設立は2011年で売上高は、グループ全体で72億を上げ、今 福岡で、じっくりじっくり成長している会社です。
現社長の「石井 清悟氏」は「石井 和俊会長」の息子さんです。平成7年に現事業の核である「不動事業」に参入し、その後 M&Aなどで多角経営を展開し現在の三和グループを築きました。
◆三和グループの3本の柱
〇1.三和エステート(総合不動産サービス業)
〇2.アイリンクス(総合通販サービス業/伊都安蔵里)
〇3.マキハウス(住宅事業/ハピネス保育園)
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では、「三和グループ」の「イケてるC.I.」の一部を紹介します。
【グループ経営理念】
三和グループは全社共通の経営理念と、これをより分かりやすく再構成した三和グループMVPに基づき、グループ一丸となって経営を推進しています
◆「経営理念」
三和グループは顧客に対して最上のサービスを行いたいと願っている。
すべての人々の健康で快適な社会生活への願いに対する真のニーズを探求し、 その要望への対応挑戦の活動を通じて、快適な社会生活環境創りに貢献することを当グループの使命とする。
◆経営理念をより分かりやすく再構成したものが三和グループMVPになります。 ●「Mission」(私達の使命・存在意義) すべての人々の健康で快適な社会生活環境を創ります すべての人々の幸福を増進します 国際社会および地域社会に貢献します
●「Vision」(私達の目指す方向性) 顧客満足を追求し、業界のリーダー会社を目指します 社会との共存共栄を図り、グループ会社の発展と繁栄を目指します グループ・マネジメントを行い、一流の経営力を目指します
●「Passion」(私達の情熱・価値観)
無限の可能性を信じ、常に変化に挑みます
真のニーズを探求し、最上のサービスを提供します
創意とバイタリティーにあふれる同志の結集体であり続けます
ーーー 【若手なりの成長の理由分析】 先ずC.I.が、全社員共通の「経営理念」と、それをわかり易く表現した「MVP」があり、とても整理されていると感じました。様々な事業を展開されているにも関わらず、シンプルだと思います。中小企業だと、社長の"頭"にあっても それをしっかり言語化されている企業は少ないと思います。 それでは、「三和ホールディングスさん」が成長している理由を若手なりにもう少し分析してみます。仮説ですが、大きく4点あります。 ■1点目は… 「創業者・石井 和俊会長の"人間力"と、"モノの考え方"が尊敬できる点。」 *石井 和俊会長は、元々アパレル企業のオンワードで働かれ、この時は全く生活に困っていませんでした。しかし 一方で、自分の人生はこのまま働き続けるだけでいいのかなと不安になり、独立を決意しました。 *独立したての頃に、「丸紅」のニューヨーク支社長に出会い、沢山のことを学ばれました。その学んだことで 特に意識しているのが、「一流に触れる」ということです。「一流の絵を見る」「一流の人に会う」などです。その時は意味が分からなかったが、今となっては 若いうちから一流に触れてきたことで考えに深みがでるようになったそうです。それからは、社員にも先ず一流を目指させているそうです。そういう考えの人が集まっている組織は、勝手に強くなるという考え方があります。
■2点目は… 「訪問販売から始めた三和グループが、新規事業として不動産事業に参入し、成果を残し続けている点。」 *バブル崩壊後、他社が撤退する中で、敢えて「不動産事業」に積極的に投資し、人のライフスタイルの変化に合わせ、一気通貫(アパート、賃貸マンション、分譲マンション、一戸建て、資産運用、相続対策)でサービスを提供している点です。 例えば、三和グループが管理する物件に入ると、子供ができた場合は広い部屋付きの物件を紹介したり、さらに老後の年金が不安といった声があれば、資産形成のためのアパートを提案したりと、その家族の節目に常にサポートをする体制を取られています。三和グループは、売って終わりではなく 常にそばにい続ける存在なのです。
■3点目は… 「時代の変化に合わせ、常に3本の柱を創り続けた点。」 *企業成長と、時代の変化に合わせて、IT企業や教育、文化事業を取り込んで、企業の事業領域を拡大して行っています。それには、会社には「三本の柱」がないと成り立たないという考えがあります。例えば、得意先も3本、事業も3本、従業員も側近を3人育てる、といったようなことです。三本柱があれば、たとえ1本がだめになっても残りの2本で売上が維持できます。このことを常に意識し、時代の変化に合わせ事業領域を拡大しています。そのためには、他社に頼らず、先ずは自社の自力が必要となります。今では、不動事業だけでなく、通販事業・保育事業なども立ち上げ、企業の成長の源泉となっています。
■4点目は…
「ピンチこそ"チャンス"と考えて、守りの経営に入らない点。」
*不動産事業参入時は「バブル崩壊」という時代の中で、周りからかなりの反対があったそうです。しかし それでも、社長は直感で「不動産」は必ず残ると考えたそうです。この時に、不動産についての知見はゼロでしたが、こういう時こそ"チャンス"と捉え、かなりの勉強をしたそうです。結果的に不動産事業は1期目から黒字となりました。今 振り返っても、「みんなが反対してくれたからこそ、今の会社がある」と言われています。
*最初は「24時間風呂」システム販売から始め、この事業で成長した三和グループですが、宮崎公衆浴場(レジオネラ菌騒動)での死亡事故(7人死亡)で、会社が倒産仕掛けた時、リーダーシップを取り、ピンチの時こそ攻める姿勢から、経費削減(有り得ない半額)と、新規事業で生き残りました。
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◎と言うことで…
創業者である「石井会長」の考え方が、息子である現社長にDNAとして脈々と伝わっていっているのだと思います。インタビュー動画を見ましたが、言葉の一つ一つに深みがあり、本当に勉強になりましたし、何より 生き様が"カッコいい"と感じました。
また 石井会長は、「人を残すこと」に尽力され、グループ企業の人材育成だけでなく、平成28年には私財30億円を投じ、給付型奨学金を通じ福岡から未来を築く人材の育成に寄与したいと「公益財団法人石井育英会」を創設をされました。現在35名(2019年末時点)の奨学生を迎え、国内でも有数の給付型奨学金を提供する公益財団法人とされました。
まさに 会長が影響を受けた言葉である「事業家として、資産を残して半人前。この資産をどう使うかが一人前。自分が亡くなる時、お金を残すのは下、企業を残すのは中、人を残すのは上である。一生懸命やると知恵がでる。」このことを体現されているのだと思います。
また… 【新型コロナウイルスが不動産市場に与えた影響】 ◎今回の「新型コロナウイルス」の影響で、大ダメージを受けた業界が「不動産市場」です。 今年の春の引っ越しシーズンを直撃したことによって数多くの引っ越し中止、延期、解約キャンセルが出ました。本来3月、4月の最も賃貸需要が高まる時期に合わせて、空室解消を期待していた物件オーナーも多く、賃貸業界にとっては最悪のタイミングでの感染拡大となりました。 6月、7月以降 徐々に賃貸仲介業者の仲介件数は、回復しましたが、学生需要の多いエリアなど 一部で空室が長引いている物件も多くなっています。大学のオンライン講義継続の発表に伴い、学生の賃貸需要そのものが減少しているだけでなく、退去者の増加も目立っています。特に海外からの渡航制限により、留学生のニーズは、殆ど無い状況です。 また 福岡市では、2020年の基準地価で中央区の商業地の平均変動率は前年比 5.1ポイント減の「9.6%」、博多区は7.1ポイント減の「9.8%」となり、リーマン・ショック後の2009年以来、11年ぶりに前年を下回ることとなりました。これは、地価の牽引役だったオフィスでは、空室率が上昇し、ホテル開発は訪日外国人客の急減で厳しい状況が理由です。 特に、オフィスビルについては、長期的に賃貸需要が減退していくリスクが考えられます。今回、新型コロナウイルスの影響で多くの企業がテレワークを実施しましたが、今後もテレワークの導入は、一気に加速していくこととなります。テレワークが進めば、オフィスビルを広く借りる必要もなく、社員の交通費も節約でき、企業はかなり利益を上げることができます。そのため、オフィスビルの賃貸需要が長期的に見て減っていくと、考えられています。働き方が大きく変わることで、賃貸オフィスの在り方も大きく変わっていくのです。
*個人的には、個人の賃貸契約については、Zoomを使った物件紹介・説明をして頂き、対面での説明は必要最低限にして頂けると、かなり助かるなと思います。
【天神ビックバンについて】
それでも、福岡は全国に比べると、かなりの期待ができる都市です。何故なら、「天神ビッグバン」が進められているからです。
「天神ビッグバン」は、天神駅を中心に、半径500m圏内を対象としたエリアで 行われている再開発のことです。2015年に発足したプロジェクトで、2026年までに30棟の民間ビルの建て替えを目標に掲げています。天神は空港からの距離が近いため、航空法によって建物の高さが制限されていますが、その規制が緩和され より高層物件を建てられるようになりました。また、福岡市でも独自に容積率の緩和制度を設けるなど、プロジェクト推進に力を入れています。
これに伴い、付加価値のある建物は勿論、新たな雇用を生み出すことなります。「天神ビッグバン」終了後の2026年には現在の2.5倍となる98,100人にまで雇用者数を増やすことを目的に掲げています。利益としては、850億円の増加を見込んでいるそうです。
2026年に向けて
このように、福岡市が推進する計画は他にも沢山ありますが、全国の地方都市の中でも「福岡」は、20代の若者が多く、2040年まで人口が増え続けるという珍しい"街"です。
福岡の未来は、私たち若者にかかっているのです。
ーーー ◎若手なりにC.I.について一言いわせて頂くとしたら… 少し固い言葉で表現されており、三和グループさんの真面目で ひたむきな姿勢が伝わりましたが、20代の社員さんに向けては、もう少し柔らかい分かり易い言葉にされた方が良いと感じました。また、もう少し具体的に表現をすると、より一般消費者から共感を得られると思いました。例えば、経営理念の一部に「快適な社会生活環境創り」とありますが、何を持って快適と言えるのか?など、もう少し具体化したものがあると良いと思いました。それにより社員さんの共通認識も、より深いものになると思います。 三和グループさんの強みである複数事業を展開されている中で、言語化することの難しさは、重々 承知しておりますが…
出来れば、コンカンが提唱するC.I.と、御社のC.I.を一度 照らし合わせて頂けると有り難いです。 *concanが考えるC.I.とは? https://www.concan.co.jp/post/topics-ci 生意気ばかり言って、すみませんでした。。。 長くなりましたが、以上です。
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