先日 ある企業を調べていた時に、「フリー戦略」を使ってビジネスを拡大をしている、という記事を見ました。この「フリー戦略」ですが、実は 身の回りに沢山あることもあり、何となく 意味は分かる人は多いと思います。しかし いざ具体的なメリットを聞かれると、簡単には答えられないのではないでしょうか。そこで 今日は、この「フリー戦略」について調べてみました。
先ず…
【「フリー戦略」とは?】
●「フリー(Free:無料)」をコンセプトにした『ビジネスモデル』を「フリー戦略」と言います。「無料」で何かを提供することで 利益を生み出すモデルです。
*米国の総合誌「WIRED」の編集長「クリス・アンダーソン氏」が、2009年に出版した著書「フリー〈無料〉から お金を生みだす新戦略」によって有名になったビジネス戦略の一つです。とは言え「フリー」をコンセプトにしたマーケティング手法は、以前から存在しています。例えば、スーパーマーケットでの試食や、化粧品などの無料サンプルがそうです。街角で配られるティッシュも、広く捉えれば「フリー戦略」の一つだと言えます。インターネットの世界で言えば、Googleでの検索は無料で利用できます。私たちが、普段 沢山の無料のサービスを使って生活できているのは、「フリー戦略」のビジネスモデルのお陰なのです。
ーーー 次に… 【「フリー戦略」の種類と実例!】 *この「フリー戦略」ですが、クリス・アンダーソン氏の著者「フリー」では、大きく分けると"4つ"に分類できるとしています。これらのモデルを知ることで、新しい「フリー」のアイデアが生まれ易くなります。 それが… ◆1.「直接的内部相互補助」 ◆2.「三者間市場」 ◆3.「フリーミアム」 ◆4.「非貨幣市場」 では、それぞれを一つずつみてみます。
◆1.「直接的内部相互補助」 ●これは、特定の商品・サービスを販売する為に、他の商品・サービスを無料にするモデルです。“特売”ではなく“無料”にする、と考えれば分かり易いと思います。例えば、「ピザを1枚買えば、2枚目は無料!」というキャンペーンです。
〇事例⇒「人は◯%オフよりも、無料が好き!」
*例えば「ネクタイを2本買えば、プラス1本は無料」などがあります。「それって、50%オフでも同じなんじゃない?」と感じるかも知れません。ですが、人は「◯%オフ」よりも「無料」に惹かれる傾向が強いことが、行動経済学によって実証されています。このマーケティング手法は、英語で「バイワンゲットワンフリー(Buy one Get one Free)と呼ばれます。他にも、カラオケ代を無料にするキャンペーンなどもあります。これは 例え、原価を下回る価格になったとしても、他の商品(飲み物やサイドオーダー)を一緒にオーダーして貰うことで利益を回収することが出来ます。全体的な売上げの最大化を図ることができ、結果的には無料によって、より大きな売上を確保することが出来ます。
◆2.「三者間市場」 ●これは 利用者と提供者とは別の「第三者」が、費用を負担するモデルです。テレビやラジオが、これに当たります。視聴者はテレビを「無料」で視聴できますが、テレビを制作しているテレビ局は、広告費を出してくれる広告主がいることで利益を上げています。そして 広告を"きっかけ"にして、視聴者が広告主の商品を購入することで、広告主は利益を上げています。「無料」で利用できるコンテンツがあるからこそ、多くの人が集まり、成り立つ『ビジネスモデル』と言えます。
〇事例⇒「殆どのインターネットサービス!」 *インターネットの世界では、最も一般的なモデルです。多くの人を集めることが出来るGoogleやYouTube、Facebookなどのメディアでは、売上の殆どが 広告収入です。例え一般人であったとしても、多くのアクセスを集めることが出来れば、自身のYouTube動画やWebサイトに広告を掲載することで、広告収入を得ることも出来ます。
〇事例⇒「相席居酒屋や出会いサービス!」
*このようなマッチングサービスでは、女性が無料で利用できるケースが殆どです。女性の料金を、男性が負担することで利益を回収する『ビジネスモデル』です。少し変則的ですが、これも三者間市場の「フリー戦略」を応用したビジネスであると言えます。
◆3.「フリーミアム」 ●これは 商品・サービスを無料で提供して、その中で 一部の人が有料サービスを利用することで利益を上げるモデルです。
〇事例⇒「スーパーマーケットやデパ地下での試食!」 *これも、広く捉えるとフリーミアムだと言えます。まずは「無料」で食べて貰って、欲しいと感じた人が購入して初めて、お店に利益が上がります。販売促進用に配られる化粧品や飲料品のサンプルなども、これに当たります。ただし 商品サンプルを用意するには、試食と同様に実費が掛かります。そのため、なるべく少量のサンプルで、多くの消費者を引き付ける必要があります。
〇事例⇒「Webサービスやスマホの無料ゲーム!」
*フリーミアムは、Webの世界で最も大きな力を発揮します。何故なら デジタル製品は、試食やサンプルと違って複製のコストが極めて安いため、大量に制作することが出来るからです。Webサービスやスマホの無料ゲームが、このフリーミアムのモデルを使っています。実は ウェブ上では、95%の人が無料サービスだけの利用でも、5%の人が有料サービスに加入することで、全体としては利益を上げられると言われています。このことは、「5%ルール」と呼ばれています。
◆4.「非貨幣市場」 ●これは、社会貢献や、世間からの注目や評判を得る為に行われる価値提供です。寄付で成り立っているウィキペディアや、企業がコンテンツマーケティングで行う有益な情報発信などが このモデルです。無料で利用できることで、ブランドのロイヤリティ向上に繋げることが出来ます。
〇事例⇒「Amazonやクックパッドのレビューサービス!」
*Amazonなどのレビューや、クックパッドへの投稿も、非貨幣市場のモデルです。何故なら、投稿することに金銭的な報酬がある訳でもないのに投稿する人がいるのは、社会貢献や自己表現、承認欲求を満たせるといったことが、心理的な報酬となっているからです。更に、会員にランク付けを行うことで、より一層 高い社会貢献や自己表現、承認欲求を与えることが出来ます。これにより 外部からみても、信用ができるサービスになります。
次に… 【フリー戦略のメリット!】 *「フリー戦略」を行うメリットは、購入のハードルを下げる効果があることです。利用者は お金を支払うことなく、前もって価値を受け取ることが出来ます。よって 安心した状態で購入して貰えます。また、ロコミ効果による認知拡大も期待できます。その為には、「無料」であっても価値のあるモノを提供することが大切です。 更に「フリー戦略」には、以下の"2つ"の心理効果が働き易くなるメリットがあります。 〇1.「返報性の原理」 *これは、「何かをして貰ったら、お返ししなきゃ…」と感じる心理作用のことです。例えば、試食や無料サンプルなどは、本来は有料のモノを受け取っていることになります。そのため、お客さんからしてみれば、「価値あるモノを無料で貰ったのに、何も買わないのは申し訳ないな…」という気持ちが働き易くなります。
〇2.「ザイオンス効果」
*これは、何度も同じモノに接触することで好感度が上がる心理作用のことです。例えば、無料サンプルなどで同じモノを何度も使い続けた場合、そのモノの記憶が脳に残り易くなります。そして 街中で見かけた時には、そのブランドを選び易くなる傾向があります。その為 まず先に、お客さんに得を感じて貰う「フリー戦略」は、人の心理を利用した優れたマーケティング戦略でもあると言えます。
ーーー ◎と言うことで… 「フリー戦略」について調べました。恐らくこの記事を読んだ 殆どの読者にとっては、頭では分かっていることだと思います。しかし 大事なことは、実践の現場で この「フリー戦略」を使いこなすことだと思います。何故なら もはや今の時代では「無料」は当たり前のように存在しているからです。これからは「無料」が当たり前で生きてきた「ミレニアル世代」「Z世代」が世界を動かしていきます。その時に、一体 何にお金を払って、逆に 何には お金を払わなくなるのかを理解しておく必要があります。 その為に、まず大事なことは… ●私たちが普段 何気なく使っているサービスの多くは「フリー戦略」で成り立っていることを、しっかり自覚することだと思います。 すると 私たちが許容できる、「無料」と「有料」の境界線が肌感覚で分かってくるのだと思います。
最後に… 【まとめ】 ◆1.「直接的内部相互補助」⇒ある商品を無料にする ◆2.「三者間市場」⇒第三者から料金をもらう ◆3.「フリーミアム」⇒一部の人を有料にする ◆4.「非貨幣市場」⇒社会貢献や評判を得る 長くなりましたが、以上です。
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