有名な『経営者』や『信頼されている上司』は、みな 謙虚だと感じたことがある人は多いと思います。私も、ここ数年で 人に会う機会が増えましたが、有名な経営者などは、皆 若手の私に対しても低姿勢です。本当に"カッコいい"と思います。一方で 能力が無いにも関わらず、自分自身の「自己評価」が高い人がいるのも事実だと思います。では、この違いは 何なのでしょうか?このような事を考えているうちに、ある面白い「効果」を見つけました。それが「ダニングクルーガー効果」です。今日は これについて、調べてみます。
【「ダニングクルーガー効果」とは?】
●能力の低い人が「実際の評価と自己評価を正しく認識できずに、誤った認識で自身を過大評価してしまうこと」です。実際の評価は、そうでなかったとしても自分自身では、「自分の方が容姿や言動などが優れている」と心理的に錯覚してしまうのです。これは、心理現象である「認知バイアス」の一つと言われています。
しかし 能力の高い人は、この認知バイアスを剥がすことが出来ます。何故なら、能力の高い人は より高い人のことを知っているので、自分の能力を正当に評価することが出来るのです。
人は、あらゆる場面で 自分を評価する、或いは 評価されています。そうした場面に於ける思い込みや、錯覚などが、この認知バイアスを引き起こしています。
【「ダニングクルーガー効果」の実験】
実は「ダニングクルーガー効果」は、実際に心理学者である「デヴィッド・ダニング氏」と「ジャスティン・クルーガー氏」の2人が、学生を集めて行った実験で見い出された現象です。彼らは、米コーネル大学の学生に対して、「ユーモア」「論理的思考」「英文法」の3種目のテストを実施し、更に 自分の成績が全体の内 どの程度なのかを予想して貰いました。
本人の「自己評価」と「実際の評価」を照らし合わせていった結果、3種目すべてにて、実際の評価が低い学生ほど「自己評価」が高く、実際の評価が高い学生ほど「自己評価」は低くなったという現象が起こったのです。
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では…
【「ダニングクルーガー効果」によって起きること】
■1.「自分を過大評価してしまう!」
*例えば、運転免許証を取ったばかりの初心者マークを付けたドライバーは、自身の能力の低さを的確に見極めて、慎重に運転します。しかし 免許を取得してから、3年から5年経過して 運転に慣れたドライバーは、運転の慣れから自身の運転技術を見誤って事故を起こす確率が増えるという結果が出ているのです。これも認知バイアスによる錯覚や評価のズレによるものと考えられています。
■2.「知識不足に陥り易い!」
*能力が低い人ほど、全体の本質や知識の総量が足りないにも関わらず、自分は知識があると錯覚します。「自分の知識量は足りている」と感じるため、これ以上 知識を増やす必要性を感じません。逆に 能力のある人は、「周囲も自分と同等の知識は持っている、自分は まだまだ 知識不足だ」と自己評価を低くしてしまうため、更に 知識が増えるという結果になります。
■3.「他者をきちんと評価できなくなる!」
*自己評価は、周囲の反応や他者の評価によって影響されるものです。その為、自己評価を誤っている人は、周囲や他者への評価も誤っている可能性があります。部下を評価する上司が「ダニングクルーガー効果」に陥っていた場合、部下の正しい評価は出来ません。自分自身を高く評価してしまっているが為に、部下の評価を不当に低く、或いは 高く付けてしまう可能性があるのです。
■4.「詐欺被害に遭い易くなる!」
*自己評価が高すぎる人ほど、詐欺被害に遭い易く騙され易い傾向にあります。若くして成功を納めた人が、詐欺にあって大金を騙し取られたという話も珍しくないそうです。「成功した自分は優れているので騙される訳がない、自分の判断は正しい」と自意識過剰になっているからこそ、このようなことが起こるのです。
■5.「困難に対処できなくなる!」
*自己評価が高すぎると、困難や壁に直面した時に対応できなくなってしまいます。自己認識と現実の壁の大きさに大きな差が生まれてしまう為です。「自分に乗り越える能力がない」と分かったとき、事実を認められず適応できなくなってしまうのです。
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〇次に…
【「ダニングクルーガー効果」が起こる原因】
●「ダニングクルーガー効果」が発生する原因は、自身を正しく客観的に判断する「メタ認知能力」の不足だとされています。では どんな人が陥り易いのか、詳しく調べてみます。
■1.「他者からのフィードバックを受け付けない人!」
*「フィードバックを受ける機会が少ない」「自ら受け付けない姿勢」が続くと、「ダニングクルーガー効果」に陥る可能性が高まります。周囲からのフィードバックがないと、自分が失敗したことや出来ていない部分に気付けませんし、改善にも繋がりません。その結果、周囲の客観的な評価と自分の評価に大きな差を生む「ダニングクルーガー効果」が生じるのです。
■2.「自己評価の誤り!」
*メタ認知を養う為には、他者の能力と自分の能力を比べて相対的に判断する必要があります。しかし 他者の能力を見誤ると、自分の評価も また 見誤ってしまうのです。その結果、他人と自分の評価に差が出来てしまい、「ダニングクルーガー効果」に陥るのです。
■3.「他責思考な人!」
*心理学に於いて、人は 何か問題が起こった時に、自分以外に原因を求め易いとされています。このような傾向も「ダニングクルーガー効果」の原因となり得るのです。何か問題が生じた際、「自分に原因がなかったか」と考えない人は、気付きや反省、改善に繋がりません。そのため「メタ認知」が高められず、「ダニングクルーガー効果」に陥る可能性が高いのです。
〇最後に…
【「ダニングクルーガー効果」を回避する方法】
下記のことを、実践するのが最も、効果的だと言われています。しかし この効果を陥るのを防ぐには、最終的には自分自身の「意志」でしかありません。
■1.「ダニングクルーガー効果の原因を知る!」
■2.「多くの人と交流を持つ!」
■3.「他者の意見に耳を傾ける!」
■4.「客観的な指標を考える!」」
■5.「フィードバックを受けられる環境をつくる!」
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◎ここまで纏めてみましたが…
「ダニングクルーガー効果」を違う視点から見ると、自分に自信が無くなった時というのは、「自分が挑戦している時」という事がよくあるのです。挑戦しなければ、会う人や行動も変わりません。つまり 必然的に、今の能力で事足りるため、勘違いの自信を持ってしまうのです。逆に 挑戦している人は、常に「耳が痛い」ことに向き合い続けなければなりません。そのため、一時的に自分の自信が無くなるのです。つまり、大事なことは…
「根拠のない自信」と「ある経験を乗り越えて得た自信」を、しっかり分けて考えることだと思います。
本当の自信とは、一度 自分が苦しい経験して、それを 乗り越えた先にある"モノ"なのです。それが無いのであれば「根拠のない自信」ということがよくあるのです。
その為には…
●「能力不足に気づける機会をつくる」ことだと、思います。
そうすると 自ずと、自分自身の行動が、誰に対しても謙虚なものになるのだと思います。
自分に自信が出てきた時こそ「この自信はどこから来ているのか? そして、何と比べての自信なのか?」を常に、自問自答していこうと思います。
結局、成長する為には…
●「チャレンジ → 失敗 → 真の実力を手に入れる」のプロセスを踏む必要があるという訳です。
長くなりましたが、以上です。
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