今日は 若手社員の私が、成長している企業のC.I.を紹介します。物凄い企業を発見しました!
第85回は、創業以来赤字なし経営を行いながらも、「日本一ホワイトな企業」としても名を馳せている「未来工業 株式会社」です。
【企業概要】
「未来工業」は、岐阜県に本社を構え、電気設備資材、給排水設備資材 及び ガス設備資材の製造並びに販売を行っています。ざっくり言うと、「住宅関連設備」の会社です。特に、電設資材や管工機材に強みがあり、その一つである電気のスイッチボックスは100種類以上発売されていて、国内シェア「約70%」を誇っています。
その他にも、オリジナル製品の製造を手がけ、特許保有件数「約800件」、意匠保有件数「約1,700件」という実力派企業です。売上は「380億円」、従業員「1,223名」です。しかも 特質すべきは、創業以来 赤字なし経営が続いていることです。今では、日本の多くの経営者が注目する「超ホワイト企業」として有名です。2015年には、第一回「ホワイト企業」に於いて「大賞」を受賞したことから、この事が伺えます。
創業は1965年で、今年 55年目を迎えました。創業者は、現社長の「山田 雅裕氏」の父である「山田 昭男氏」です。創業当初は「食べていくのが精いっぱい」の状態で、企業がブラックとか、ホワイトとか言っている暇ない程の「ブラック企業」でした。一方で、創業当初から夢も大きなものでした。それは「高額所得法人に名を連ねる企業にする」というものでした。この高額所得法人は、当時 法人総数の「3%程度」でした。しかし「山田 昭男氏」は、その3%の真似をするのではなく、「残り97%がやっていないことをやろう」と考えました。「山田 昭男氏」には 成功モデルと言えども「絶対に真似はしたくない」という信念がありました。これは、仕事以外でも同じでした。例えば 高級料亭などに行っても、靴を脱ぎっ放しにして、絶対に揃えなかったそうです。このことについて、他人からバカと言われようが、変人と言われようが、徹底して人と違うことをやり続けていたそうです。そういう生き方で「未来工業」を成長させてきた創業者なのです。
これが、今でも企業文化として残っている「他社と同じモノはつくらない」の基、創業以来 他社には真似できない"創意工夫"を盛り込んだ、沢山の「オリジナル製品」を生み出してきた理由なのです。
ーーー
それでは ここで、そんなユニーク企業である「未来工業 株式会社」の、"イケてるC.I."の一部を紹介します。
【経営理念】
「社員全員が『常に考える』」
当社は、社員ひとりひとりの自主性を大切にしたユニークな経営を行っています。自らの意思で考え、行動した先に新たな未来が待っているのではないか。いつも命令や指示を受けて仕事をこなすのではなく、主体的に取り組むことは、仕事が面白く、新たな発想にも繋がっていくものと信じています。
ーーー
【若手なりの成長理由 分析】
ここからは、若手なりに「未来工業 株式会社」の成長理由を、仮説ですが "3つ"上げさせて頂きます。
先ず、結論からいうと…
◆1.「常に考えさせる文化!」
◆2.「他社と違うことをやるために、『報連相の禁止』!」
◆3.「『社内提案』をすると、賞金を貰えるという仕組み!」
の"3つ"です。それでは、1つずつ見ていきます。
◆1.「常に考えさせる文化!」
*「未来工業」の経営理念にもなっている「常に考える」という言葉が、企業文化として根付いていることが全てだと思います。例えば「未来工業」では、管理職が部下に命令する権利を持っていません。それも この「常に考える」に繋がっています。命令できないならどうするかというと、相手を説得して、納得させて仕事をして貰うしかありません。この「命令させない理由」は、"2つ"あります。
●1つは…
◯「命令することが、とても簡単だから」です。
命令は子供同士でもできます。これは創業者の想いでもあり、自分の会社の管理職の人間に、子供と同じレベル・方法論で社員に接して欲しくないのです。「未来工業」の管理職であることに誇りを持って、難しい方法を用いて接する中で、常に考えて欲しいと思っています。
●2つ目は…
◯「命令されて『さあ、頑張るぞ!』となる人は、実は少ないから」です。
部下には、基本的には納得して動くように教えられています。そして 納得するということは、"自覚"するということです。「この仕事は自分のために、会社のために、人々のためになるんだ。絶対にやり遂げなきゃいけないんだ」と思うと、人のパワーは物凄いものになります。だから 部下を説得し、その人が納得した時のパワーやモチベーションを発揮して欲しいと考えています。社員がイキイキ働けるのは、自分の考えに基づいて仕事をするからです。
*「未来工業」では、「生きてるうちに頭を使え」という言葉が至る所で使われています。そして 「頭を使わなかったら、何の為に生まれてきたんだ?」と教えられています。「未来工業」の廊下には「常に考える」という看板が そこら中にあります。これも、先ずは"視覚"にすり込んでいるのです。これほど「常に考える」という言葉は、「未来工業」にとって大事な言葉です。
ーーー
◆2.「他社と違うことをやるために、『報連相の禁止』!」
*「未来工業」で「報連相」が禁止されています。そもそものきっかけは、昔「報連相」という言葉を世に広めた会社が、その当時は儲かっていたが、次第に業績が悪化し、倒産までしたからです。それを目の当たりにした創業者が、「潰れた会社と同じことをしていてはダメ。むしろ 逆をやろう」という発想の下、「報連相」が禁止になったのです。「未来工業」では「差別化」の定義を、「儲からない会社の反対をやること」としています。「差別化すれば会社は儲かる」という前提のもとで「未来工業」は出発しました。
因みに「報連相」禁止を正確に言うと、完全に禁止ではなく、"強制的"な「報連相」を禁止するということです。その真相は、結局 前述した「常に考えさせる」ためです。例えば、強制的に「報連相」を行うと…
◯社員のモチベーションが下がる。
◯部下は「上司に報告したから、あとは知らない」と責任転嫁する。
◯上司は、まるで現場を分かっているかのような勘違いをする。
ということが、「未来工業」でも、一度 頻発したのです。
*そして この「報連相」の禁止の理由は、もう一つあります。それは 個別製品に詳しくない上司が、下手に口出しするのを防ぐためです。管理主義では、社員を信用せずに、上司が事細かに口出しして、社員の画期的なアイデアを潰してしまう場面が、今まで幾つもあったのです。上司の気まぐれな口出しに、全てが台無しになる若手社員や開発部にとっては、やる気を削ぎ落とされるだけです。
とは言え「全て任される」ということは、製品の売れ行きが最終的には「担当者の責任」になるのが一般的だと思います。しかし 「未来工業」の凄さは、例え 担当した製品が売れなくても、担当者は「責任」を取らされることはありません。何故なら、「改善を続ける限り、失敗にはならない。その試行錯誤が個人の財産にもなる」というのが創業者の考えとして、企業文化になっているからです。
ーーー
◆3.「『社内提案』をすると、賞金を貰えるという仕組み!」
*「未来工業」では、社内提案制度と言うものがあり、実際に提案すると「500円/1件」を貰えます。この制度を導入したのは1977年で、元々は 「トヨタ」が始めたことで有名です。しかし トヨタは「10円/1件」程度の時代に、「未来工業」は破格の賞金を提示しました。しかも「とにかく1件出すごとに500円貰える」というのが大きな特徴です。更に 毎月1件ずつ10ヶ月連続で出せば、別に「5000円相当」の賞品も設定されています。仮に実現しなくても、社員にとっては、うれしい"お小遣い"になります。とにかく 提案を出すだけで賞金が貰える上に、もし 提案が採用され 高く評価されれば、なんと「最高3万円」の賞金が別に加算されます。
*この社内提案制度の背景には…
●1.「提案を考えることで、業務の細部に目配りする力がつく!」
◯最初は、自分で考えたことを文章にまとめる訓練と考えられています。しかし その内に、自分の業務の細部に目配りする力が身につくのです。1件の提案を書くのは簡単ではありません。それ故に、「提案をする」という前提で日々の業務を観察することで、社員全員が「改善を考える」習慣が身につくのです。
●2.「『質より量』と言うのが絶対!」
◯社内提案制度を導入するも、最初から良い改善提案が出てくるはずがありません。最初は「100件考えて、いい提案が1つ出る」程度。そのうち コツを掴むと、物凄い改善が、大量に出てくるのです。「未来工業」の狙いはこれなのです。一見 一つの提案に500円を出すことはリスクな感じがしますが、ただでさえ簡単に出てこない社内提案が多く出て、更には物凄いの特許保有件数に繋がっているという事実を見ると、かなりのコストパフォーマンスなのです。
ーーー
◎と言うことで…
「未来工業さん」を調べましたが、本当に「常に考える」ということ以外のルールが存在しないことに驚きです。本当に これで会社が成り立つのか、今でも信じられません。会社の制服もありませんし、始業時間などもありません。「未来工業さん」の源流となっているのは、「他の会社と違うことをやること」「強制(ルール化)しないこと」この二つです。この結果、自分で考えて動く社員が増え、結果的に 会社の成長に繋がっています。「未来工業さん」が、社員に「教育」も「管理」も「強制」もしない理由は、この"緩い"感じが、むしろ 社員たちの自発性を引き出しているのだと思います。特に、「働く目的」や「価値観」が、以前と比べて大きく変わっている今の時代に於いて、採用などの面でも大きな魅力があると思います。そういった意味では、本当に今どきのIT企業のような文化だと思います。
とは言っても、そう簡単にできることでは無いと思います。極端に言うと、ある会社が今から全てのルールを無くして、社員の自主性に任せても、上手くいく保証はありません。このルールの無い組織に持って行くまでには、多くのステップがあったはずです。表面だけ見れば、直ぐにできることですが、ここまで来るには、多くの苦労や失敗もあったのだと想像しました。今のこのような社風を創り上げた「山田 昭男氏」は、凄すぎます。
しかし 最近は、人材育成の課題が浮き彫りになっているそうです。以前より「教育」をせずに、「人は育てるものではない、育ってくるものだ。這い上がってくるものだ」という考えの基で成長していきましたが、会社が成長した今では、若い層の人材教育が課題になっています。これは、実際に現社長「山田 雅裕氏」が述べられています。やはり、どんなやり方も正解ではなく、企業の規模などによって、変えていく必要があるのだと感じました。
ーーー
●それでは 最後に、C.I.について、若手なりに一言いわせて頂くと…
理念として「社員全員が『常に考える』」だけが掲載されていて、その他のC.I.は存在しません。本当に分かり易いと思いますし、敢えて 自主性に任せて、この言葉だけしか言語化されていないのだと思います。経験の少ない私だと、社員さんは困った時の"判断軸"が無いが故に辛い気もしますが、事実これだけで、ここまで成長されてきた為、今更 これ以外のことを言語化される必要も無いと思います。
ただ 敢えて一言いわせて頂くとしたら、人材育成の課題が浮き彫りになり、今後「教育」に力を入れられるのであれば、その土台となるC.I.から創り上げるのも、一つの選択肢だと思いました。特に、事業を通して創り上げたい世界観を表す「企業理念」だけでも、創られることをお勧めします。
ここで勝手に、「企業理念」を創らせて頂くとしたら…
◯「あって良かった」と言われる独創的な商品で、豊かで快適な暮らしと、家族の笑顔の側に在り続ける!
もし 出来れば、あくまで参考程度にですが、コンカンが提唱するC.I.と、御社のC.I.を一度 照らし合わせて頂けると有り難いです。
*concanが考えるC.I.とは?
https://www.concan.co.jp/post/topics-ci
本当に、若手が生意気ばかり言って、申し訳ございません。
長くなりましたが、以上です。
Comments