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【若手社員が勝手に"イケてる企業のC.I.を切る"!】「第26回:株式会社 あきんどスシロー」

今日は 若手社員の私が、成長している企業のC.I.を紹介します。誰もが知っている、あの人気飲食店です!

第26回は、回転寿司チェーン店「スシロー」を全国に展開し、後発ながら業界 No.1 に上り詰めた「株式会社 あきんどスシロー」です。



【企業概要】

「あきんどスシロー」は、大阪府吹田市に本社を置き、近畿、中部、関東地方を中心に、「本物のお寿司を 一人でも多くの方に気軽に食べていただきたい」をモットーに躍進を続け、今では全国に「559店舗」を運営しています。売上は「約2,000億円(2020年期)」と業界では、No.1 企業です。特徴は、一皿100円(税別)という価格で、高級なネタの場合は 1皿1貫(1個)にすることにより均一価格を維持している点です。(一部の「都市型店舗」では 一皿120円(税別)の設定となっている)

寿司の種類は 60種類程で、季節限定、うどんや味噌汁、各種サラダなどのメニューもあり、多くのファミリー層が利用するお店です。

(会社名の「あきんど」=「商人」という意味)


【創業ヒストリー】

●“お家騒動”克服した「あきんどスシロー」

*あきんどスシローは、1975年に創業した大阪市阿倍野区のカウンター型立ちずし「鯛すし」をルーツに持ちます。その創業者は「清水 義雄氏」と、その弟の「豊氏」です。しかし 色々な内情があり、2人は1984年と1988年に、なんと「鯛すし」という同名の回転ずし企業を別々に起業しました。1999年には「義雄氏側」が「豊氏側」を吸収合併するという複雑な関係になるも、そこから大きく成長しましたが やはり、また 兄弟喧嘩が勃発します。2007年3月、牛丼チェーン「すき家」を運営するゼンショー(現・ゼンショーホールディングス)が突如、発行済み株式の27.2%を保有する筆頭株主として登場したのです。しかも ゼンショーが取得した株式は、元々 弟の「豊氏」と その家族が保有していた分だったのです。


それから5ヶ月後、兄の「義雄氏」は敵対的買収を撃退する投資会社を見つけました。それは、投資ファンドの「ユニゾン・キャピタル」です。そして 2008年9月、「ユニゾン・キャピタル」が、スシロー株式の買い付けを実施し、敵対する「ゼンショー」の株式を取り戻したましたが、一方で 2009年4月、東証2部を上場廃止となり、株式は非公開となりました。


しかし これが、良い方に動きます。「ユニゾン・キャピタル」は、スシローに「加藤 智治氏」を専務執行役員として送り込みます。その「加藤 智治氏」が一気に成長させたのたです。「加藤 智治氏」はドイツ証券やマッキンゼーアンドカンパニーを経て、「ユニゾン・キャピタル」に入られたコンサルタントで、メディア戦略に長けていました。PR会社を積極的に活用し、牛丼の低価格戦争と対比させるように「回転ずし戦争」の実態をテレビや雑誌に売り込んだのです。その露出効果は、絶大で、2011年には カッパ・クリエイトホールディングスが展開する「かっぱ寿司」を抜き去り、スシローは 回転ずし業界の首位に立ちました。一店舗当たりの売上高は、年間3億3000万円で、同業の1.3~2倍という高い水準を誇りました。


また 数年前までは、「水留 浩一氏」が社長を務めていました。この方も 物凄い方で、東京大学卒業後、外資系コンサル、更には JALの副社長として「稲盛 和夫氏」のNo.2を務め、「加藤 智治氏」の後に、スシローの更に強固な基盤を築かれました(現在は会長)。このように「あきんどスシロー」は、敏腕社長が創り上げた 飲食店としても有名です。


【寿司市場について】

●2019年のすし店市場規模は「約1兆5千億円」です。

その半分以上は、回転寿司が占めています。1990年代までは、「寿司」は 高級店でしか食べられない料理というイメージでしたが、回転寿司のお蔭で 一気に庶民的な料理になり、市場が 一気に拡大しました。2017年ごろからは、インバウンドにも後押しされ、更に「一皿 100円」という低価格が家族層に受け、飲食業界でも、比較的に新しく、伸びつづけている市場です。

回転寿司だけでみると「かっぱ寿司」が市場を拡大させる先駆者として市場に於ける優位的ポジションをずっと守っていましたが、そこに「スシロー」、「はま寿司」、「くら寿司」が相次いで参入し激戦市場となっています。


【回転寿司企業・売上トップ4】

(企業名/店舗名/売上/シェア)

■1位:あきんどスシロー/スシロー/1,990億円/29%

■2位:くら寿司/くら寿司/1,361億円/19.8%

■3位:はま寿司/はま寿司/1,242億円/16.8%

■4位:カッパ・クリエイト/かっぱ寿司/748億円/18.5%


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それでは、そんな「株式会社 あきんどスシロー」の"イケてるC.I."の一部を紹介します。

【スシローの使命】

「うまいすしを、腹一杯。うまいすしで、心も一杯。」

うまいすしを、ひとりでも多くの人に腹一杯 食べてもらいたい。

「この価格で、こんなにうまいのか!」とお客様を驚かせたい。

一軒の立ちすしから回転すしをはじめたときの その想いこそ、

スシローが創業以来、ずっと挑戦し続けていることです。

魚をきびしく仕入れる。ネタの鮮度管理を徹底する。

手間をかけた店内調理にこだわる。

新鮮でうまいすしを提供するために、できることのすべてを。

掃除も、接客も、きめ細やかに丁寧に。

心くばりを、店内のすみずみまで張りめぐらせよう。

すしが持つおいしさと楽しさで、お客様のお腹と心をしあわせで一杯にしたい。

「スシローがあってよかった」と、地域の人々から思ってもらえるお店でありたい。

うまいすしを、腹一杯。うまいすしで、心も一杯。

それこそが、私たちスシローの使命です。


【スシローの約束】

1.すしを愛し、お客様と仲間に感謝します

2.新鮮、清潔、工夫、スピード。すし屋の基本を守ります

3.「挨拶」と「ありがとう」のあふれる店にします

4. 素直に話を聞き、最後まで行動します

5.地域に喜ばれる店をつくります


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それでは、若手なりに「スシロー」の成長理由を分析させて頂きます。

「株式会社 あきんどスシロー」の一番の成長理由は…

●「寿司への拘りを忘れない点!」です。

*一見 当たり前のことですが、チェーン化すると忘れがちなのかも知れません。スシローは"寿司"への拘りを忘れることなく、今ではスシローの"強み"となっています。これを表すものとして、飲食業界の平均的な食材原価率は約30%、そして 他回転寿司店の場合は約40%と言われている中で、スシローは「約50%」です。つまり、販売価格の約半分を「仕入れ」に使っているのです。これは、スシローのDNAとも言えます。元々 江戸前寿司として始まり、回転寿司を始める前の創業時から、「お客さまに安くていいものを出そう、寿司の半分はお客さまにお返ししよう」という拘りが強かったのです。それが、今でも会社の中で根付いていて、原価率「50%」をしっかり使って提供するというのが、不文律的な『約束』になっているのです。


*また スシローは「セントラルキッチン」を持っていません。「セントラルキッチン」とは、店舗とは別の工場で食材を加工配送し、店舗では商品を提供するだけの仕組みです。実は、スシローでは、店内で調理できるものは、できる限り手間を掛けて仕込んでいます。そのため提供する商品は全て「握り立て」「揚げたて」「切りたて」「炙りたて」です。勿論 セントラルキッチンを採用することには、多くの"メリット"もありますが、一方では「鮮度が落ち」、そして 「お客さまへの柔軟な対応ができない」のです。


【スシローの仕入れのチェックポイント】

〇「うまい」かどうか。(安心・安全は当たり前)

〇全店舗に安定供給できるか。

〇110円(税込み)でご提供できるか。


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〇それでは、更に 若手なりに成長理由を仮説で『3つ』上げさせて頂きます。

◆1.「超デジタル主義で、コストカットを実践している点!」

*スシローを同業他社と比較する上で、有名なものが「コストカッター」と呼ばれる流通・品質管理システムです。これは「あきんどスシロー」が特許を取得しているシステムで、回転レーン上の寿司皿消費量や種類、時間・曜日ごとの販売傾向などを全てシステムに蓄積するというものです。このため、全ての皿にICタグをつけ、「どの寿司ネタがいくつ取られているのか」「廃棄になる寿司ネタには何が多いか」などの情報を収集しています。廃棄率を例に挙げると、的確に需要を読むことで「100皿に 1皿しか廃棄が出ない状態」を実現したのです。他にも、これをベースに全ての販売戦略の企画が行われています。

しかも 特許取得により同業種ではこれと同じシステムは導入することができず、顧客分析という点に於いては、「あきんどスシロー」は 頭一つ抜けているというのが現状です。同業種と提供価格がほぼ同じである以上、支出を少なくし利益を確保しています。


*また 飲食店の一番の課題は、「人材不足」です。この問題にもスシローは「IT」を駆使し、順番が来たお客さまを自動で呼び出す「自動案内システム」や「セルフレジ」など、入店から退店まで、ほぼ店員と接する必要がないほどIT化されています。募集しても殆ど人が来ず、採用経費だけが かさむ中で、殆ど人が必要ない仕組みを構築しています。


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◆2.「品質と利益をとことん追求している点!」

*スシローでは、利益を確保し安定的な経営をするために、「仕入れ」に工夫があります。

先ずは、単純に「規模の経済」を活かした仕入れです。スシローも拡大し、店舗数も増えていて、大量に仕入れるための価格交渉力が高くなり、比較的低コストで仕入れられるようになっています。

また、養殖も積極的に活用しています。これは、養殖の生産者と、3~5年程度の中長期的な期間の契約を結び、半分程度の水産物を直接 仕入れています。この際に、固定的な価格で買い取る契約を行うことで、マーケットの価格変動の影響を受けません。これはスシローにとっては原価を安定させ、生産者にとっては安定した収益を得られるという、お互いに"メリット"があります。ただ、半年分を確保することは"リスク"でもあります。だからこそ、ITを駆使しして、より的確な需要予測を立てています。


*更に スシローでは、半分は天然魚を使用しています。そのため、特定の魚が不漁になり、コストが押し上げられることもあります。その場合は、メニュー構成を調整することで安定経営を図っています。例えば、マグロが不漁で値上がりしたら、マグロのメニューを「15種類」から「10種類」に変え、減らした分は仕入れコストが低いものに置き換えます。その「10種類」のマグロのメニューの原価率は上がりますが、置き換えたメニューは原価率が低いため、全体の食材仕入れの原価率は一定の「50%」に保たれます。

ただ、メニュー構成の調整をしても、どうしてもコストを吸収し切れないこともあります。その場合は、100円皿から150円皿、300円皿に移行させる、つまり値上げをするのです。

その際は、それに代わる「100円皿」のメニューを追加して、いきなり「100円皿」が減らないようにしているのです。時期や季節によって原価率は変動するものの、こういった細かな調整によって、年間原価率は「50%」に保たれるのです。


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◆3.「既存商圏と新規商圏の同時成長!」

*スシローは、「既存商圏」と「新規商圏」では戦略を大きく変えています。

*先ず、「既存商圏」の戦略については…

リピート客の獲得、客単価アップです。スシローは以前から、戦略として「キャンペーン」に力を入れ、大きな集客に繋ながっています。例えば、「超まぐろづくし」「匠の一皿シリーズで一番売れたメニューを一皿に」「天然インド鮪7貫食べ比べ」といったように、多くのキャンペーンを展開しています。(ハイ・ロー戦略)

こうしたキャンペーンを次々と展開し、販売促進を行っていくことで、存客のリピートに繋なげています。キャンペーンと聞くと「割引」などをイメージする方も多いかも知れません。

しかし スシローでは、キャンペーン商品の"こだわり"を込めることで、絶対に"ガッカリ"させないようにしています。事実、スシローのキャンペーン時は 客単価が110%以上で推移しています。

●「ハイ・ロー戦略」と「エブリデイ・ロープライス戦略」について

〇「ハイ・ロー戦略」=セールなどを行い、一気に売り捌くこと。売上は上がるもののセール時の広告費など掛かる、また、行い過ぎるとお客さまにとっては「不信感」となりうる。

〇「エブリデイ・ロープライス戦略」=常に低価格で販売することで、セール時の広告費などが必要ない。また、常に低価格ということは、お客さまにとっては「安心感」となる。

実は スシローは、上記の「ハイブリッド」です。常時「100円」で販売という「エブリデイ・ロープライス戦略」をしながら「ハイ・ロー戦略」を行うことで、お客さまにとっては「不信感」とはならないのです。


*次に、「新規商圏」の戦略については…

都市部への出店です。実は 一般的に回転寿司の『ビジネスモデル』は都市部には向かないものと捉えられていました。何故なら、回転寿司屋の原価率は高く コストが合わないからです。しかも 都心は郊外よりも店舗貸料が高くなります。ここでも スシローでは、徹底的にIT化を行い、オートウェイターとセルフレジといった新機材を導入し、オペレーションを見直し、コスト削減を図っています。所謂「IT化することで、コストを削減し、都市部にも出店できる業態」に変化させているのです。

例えば、タッチパネルで受けた注文をスピーディーに届ける専用レーンの「オートウェイター」、お客さまが自分自身で支払い決済を済ませる「セルフレジ」など、人手を掛けない運営方法を編み出しています。


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◎と言うことで…

スシローが、業界 No.1 になった理由を一言でいうと「あくまで『寿司に拘る』ために、『IT化』により無駄を削減しているから」だと思います。大事な点は、寿司屋である以上「寿司」に拘らないと長い目では成長ができないことだと思います。サイドメニューで「粗利益確保」や「原価高騰」の中で「品質悪化」させる企業も多い中で、ど真ん中である『寿司ネタ』の強化で養殖買取やメニュー改定、廃棄量低減など推し進められたのは、結果的に大きな『商品力』の差別化だと思いました。


今では「株式会社 あきんどスシロー」の親会社である「株式会社スシローグローバルホールディングス」では、海外スシロー事業の本格拡大に向けても 着々と準備を進めています。2021年9月期には、コロナの影響を受けながらも台湾に11店舗を新規出店、シンガポールに於いても3店舗を展開しています。今後は香港での成功ノウハウを"ベース"に中国大陸への進出も計画されていて、アジアを中心に大きな成長が見込まれています。


ちょっと 余談ですが、「コロナ禍で、あったら嬉しい回転寿司」を想像してみました!!

個人的には、スシローさんもされているデリバリーの際に、ミニ回転寿司台も宅配してくれたら、子供がいるファミリー層にうける気がしました。飽くまで、プラスチックの簡易的なもので、自宅で手軽に回転寿司気分を満喫でき、大人も子どもも家族みんなで盛り上がれると思いました。また その際に「お魚図鑑」とかもセットにすると、勉強にもなり喜んで貰える気がしました!

勝手なこと言って、すみません。。。

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●それでは 最後に、C.I.について、若手なりに一言いわせて頂くと…

率直に、今まで分析した企業の中でも、一番 好きなC.I.です。何故なら「寿司」への強い拘りと、創業当時の原点が濃く残っているのが伝わるからです。更には、「使命」と「約束」がリンクしていて、ブレない"幹"が見て取れます。また、表現としても、「うまいすしを、腹一杯」という言いまわしで「寿司」=「高級」という概念を壊し、「安い」さも「腹一杯」で表現されているところが、凄いと思いました。比較的に高級料理になったお寿司を、安く・美味しく。それが、スシローが提供する他にない価値であり、スシローが追求しているものだと理解できます。

社員の約半分がアルバイトからの登用ということで、向かうべき方向の分かり易さ、そして やっていることと C.I.と相違がなく、アルバイトの方にも良いイメージに繋がっているのかなと想像しました。


また 出来れば、コンカンが提唱するC.I.と、御社のC.I.を一度 照らし合わせて頂けると有り難いです。

*concanが考えるC.I.とは?

https://www.concan.co.jp/post/topics-ci

生意気言って、申し訳ございません。

長くなりましたが、以上です。

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