今日は、concanが考えるデザインの『定義』と、『その力』について書きます。
昨今の『ビジネスシーン』では、やたらと「デザイン」という"ワード"が飛び交っています。
例えば、『UXデザイン』『デザインシンキング』『デザインエンジニアリング』『経営デザイン』『~をデザインする』など、あらゆる"言葉"に「デザイン」が付随しています。
そこで 今回は、『ビジネス』に於けるデザインの「意味」や「定義」を紹介します。また「なぜ 現在、『ビジネス』にデザインが求められているのか」についも書きます。
私たちの周りは、「デザイン」に溢れています。
腕時計や洋服、携帯電話やバッグなど、どれも『人間が持つクリエイティブな発想から生まれたモノ』です。
普段 何気なく「デザイン」という"言葉"を口にしている私たちですが、「デザイン」は、非常に『大きな力』を持っています。私たちは、"言葉"で『意思疎通』を図り、"文字"を書くことで、相手と筆談を交わすことが出来ます。
しかし、用いる『言語』が異なると、途端にコミュニケーションが困難になります。
例えば、日本語しか分からない人に、英文の手紙を書いたとしても、スムーズに読み進めることは出来ません。
「デザイン」を『言語』という"観点"から見ると、世界で通じる『共通言語』といえるものです。
世界的に有名な『絵画』は、その優れた「デザイン」が世界各国で認められていますし、世界的に有名な『ブランドの商品』も同様の事がいえます。
これは、「デザイン」が『言語ローカライズ不要のコミュニケーションツール』であることを示しています。
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●それでは、本題に入ります。まずは、「デザインの定義」について紹介します。大きく2つに分類されます。
【一般的なデザインの定義】
◆1.狭義的意味:「そのモノ自体の見た目」
一般的には、そのモノの見た目、外観を指すことが多く、外観を創り出す為の行為「設計」を意味しています。
*『狭義』は、創ろうとするモノの形態。機能や生産工程などを考えて構想することで、『設計』にもあたり、『形態』や『意匠』と訳されています。
◆2.広義的意味:「課題解決の為の創造・計画・実行」
「デザイン」は、必ず課題や目的があって行われる行為です。課題の本質を掘り下げ、解決に導く事です。最近は無形のモノでもデザインという言葉が多く使われています。
*『広義』は、ある問題を解決する為に思考・概念の組み立てを行い、それを様々な媒体に応じて表現することです。それは、問題の本質を掘り下げ、解決の為の設計を行い、設計に基づいた見た目(表現)を創り上げ、問題を解決に導くことです。
〇『定義』をまとめると…
「デザイン」とは、そのモノ自体の見た目(狭義)と、そのモノを通して、世の中の課題を解決するという広い捉え方(広義)をします。
●次に、concanが想うデザインの『定義』を紹介します。
【concanのデザインの定義】
「デザイン」とは、世の中の問題点を見つけ、その問題点を『商品』や『サービス』を通して、解決するこ。
デザインは、問題を解決するための「創造力」「計画力」「実行力」であり、そのため全ての人が「デザイナー」という考え方です。
*実は、この考え方は「水野 学さん」の考えを参考にさせて頂いたものです。
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●次に、「デザイン」と「デザイン思考」の違いについて説明します。
【デザインとデザイン思考の違い】
一般的に「デザイン」は、服飾、美術、建築、広告などを表現するクリエイティブな作業ですが、「デザイン思考」は、デザインを行う『プロセス』や『考え方』をビジネスに応用させて、問題解決 そのものを行うことを言います。
「デザイン思考」が重要視されている理由は、今までのビジネスは、『新商品』や『サービス』に於いて、マーケティングリサーチが重要視されていました。『市場』や『ニーズ』について調査した結果を分析して、仮説を立て検証し、新製品を開発していたのです。
しかし 近年では、『消費者ニーズ』の多様化によって、マーケティングリサーチだけでは分析が難しい時代になっています。
そこで、『マーケティングリサーチ』⇒『仮説』⇒『プロトタイプ』⇒『検証』を迅速なサイクルで行う「デザイン思考」に注目が集まっているのです。
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それでは、ここで両極化時代の現在に「デザイン」が"企業経営"にどう影響するのかを紹介します。
【両極化時代の『経営』を最適化するデザインの力!】
企業経営や日本社会を取り巻く『不確実性』の背景には、一見 相反する『事象』や『価値観』が衝突しながらも 互いにその勢いを加速させる動きが、急速に台頭しています。
昨今「両極化」という時代の動きは、『コロナショック』によって 一段と加速度を増しています。
この時勢を『企業』や『組織』が そして『日本社会』が、乗り越えていく為には、「新たなものの見方」や「経営に対する構え」が必要になりました。企業の『存在価値』をデザインで可視化し、ステークホルダーとの新たな繋がりを創出することが、今の時代に求められています。この新たな「経営モデルの構え」を構築する上で、「何を大切にすべきか?」「両極化の時代に求められるデザインの力とは何か?」を説明します。
「両極」の追求によって「本物」が生き残る時代になったと言われています。『コロナショック』によって「ブランディング」の『やり方』も変わろうとしています。
それは、コロナショックを"きっかけ"に「キャンペーン型」から「ブランド型」へと、経営をシフトさせようと考える企業が増えているのです。
企業の『事業構成』、つまり 『ポートフォリオ』の再構成が進められています。ポストコロナの「ニューノーマル」に対応する為には、『既存事業』の見直しが必須ですが、パイが縮む中で 成長を模索するには「新規事業」にも挑戦しなければなりません。その為に、各企業は、自社の『存在意義』を"根本的"に問い直す事が、『経営者』に突き付けられているのです。
こうした変化を含め、今という時代が「両極化の時代」と捉えられています。
実は『両極化時代』それは、「本物の時代」とも言えます。
なぜなら「両極」が増大すると余計なものがそぎ落とされて、「本物」しか残らなくなり、「中途半端なもの」が淘汰されていくのです。コロナショックは、これまで必要とされていたものが 実は、それほど必要ではないという"気づき"を与えてくれたのです。
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『今 売れている商品』も、めちゃくちゃ"安い"か、めちゃくちゃ"高い"かに両極化しています。これも「本物の安さ」「本物の質」が評価されていると言えます。
例えば、1965年代に日本酒は、『均質化』されたと言われています。しかし 今の日本では、『均質化』どころか「コンビニで買える安い日本酒」と「海外でも人気の高級酒」に両極化しています。『ネット』や『SNS』によって誰でも欲しい情報にたどり着ける時代になり、コロナショックによって 「何が『本物』なのか?」を人々が意識し始めています。
例えば「スポーツカーのシズル」を"赤"で表現したり、「日本の春のシズル」を"桜"で表現したりします。
こうした「らしさ」を上手く提示する「デザイン」が、これからの『経営』に必要になります。
まさに「両極化の時代」は、『本物の時代』とも呼ぶことが出来ます。「両極」を捉えて、その企業「らしさ」を提示することが、消費者に対して「本物」であると選ばれ続ける要因になるのです。だからこそ、これを「デザインする力」が『経営者』にも求められるようになっています。
これからは、「両極」を捉えた『企業経営』を実現する為には「最適化」が非常に重要な要素だと言われています。
その為には『経営者』に「センス」が必要です。「センス」は、『感覚的なもの』だとか『天性のひらめき』だと捉える人が多くいますが、実は「センス」は「知識の集積と、その最適化」なのです。
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そして、「センスを磨く」には…
「そのジャンルの『王道』を見極めたり」、「『流行』しているものに出来るだけ触れたりして」、「知識を集積すること」が必要です。そこから「共通する『法則』を見つけ出し」、「自分なりに『分析』して」初めて『目的』に合わせた「最適化」が可能になるのです。
【センスの磨き方まとめ】
◆1.「王道を知る!」
*『王道』が見つかれば、自分なりの判断基準が見つかる。
*『型を身に付けねば型破りにはなれない』
◆2.「流行を知る!」
*『今を知る』『なぜ 流行しているのか』を分析すれば、マネすべき部分が見つかる。
◆3.「共通点を見い出す!」
*『共通項』や『一定のルール』を見つけ出すこと。
「センスがいいもの」=『奇抜なもの、あるいは 極端にシンプルなもの』といった安易な誤解もよく見受けられますが、『用途』や『状況』に対し「最適化」されていなければ「場にそぐわない"突飛"なもの」にしかなりません。
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例えば、自分を素敵きに見せる「ファッションセンス」も、商品を引き立てる「デザインセンス」も、全ては「最適化」できているかどうかが『肝』なのです。
【ファッションセンスの磨き方】
『服選び』では、自分や相手への『主観』をなくし『客観的』な情報から「最適化」する作業が効果的です。
下記の「作業工程」が『服選び』で学べる点です。
◆1.「ターゲット(自分 叉は 相手)の表面的な『特性』を正確に把握する」
*スタイルなど、表面的な部分を把握する。
◆2.「ターゲットの内面的な『特性』を正確に把握する」
*嗜好や性格など内面的な部分を把握する。
◆3.「最適化の条件を設定する」
*ゴール、どうなりたいのかを決める。
◆4.「最適化に向けた『機能』を設定していく」
*ゴールを満たす『機能』を決める。
◆5.「時代環境を考えて調整する」
*流行などを調べて洋服に当てはめる。
このように、『王道』を押さえ、時代の潮流を取り入れて「最適化」していく事が必要です。まさに、「両極」を捉えることで「最適化」を図っているのです。
今の時代は、「ミレニアル世代」や「Z世代」の台頭もあり、人々が求めるものも『パーソナル化』しています。
だからこそ、顧客に選ばれ続ける為には、それぞれにとって「最適化する力」が強く求められるのです。
ただ、「最適化」を図る上で『留意』しなければならないのが、「白」か「黒」かを明確にするのではなく、その『グラデーション』までをも「デザインする」ことが重要です。
『グラデーション』を描くにも世界観が必要なのです。
だからこそ、世界観の『幹』は必要になると思います。『幹』が無く『グラデーション』を描いたとしても、消費者から"共感"を得ることは出来ません。『幹』があるからこそ生まれる「らしさ」、これが「最適化」に繋がっていくのです。
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「らしさ」も「コンセプト」も、『両極』の間の無限の『グラデーション』の中にあるのです。それを、如何に見つけるかが『経営者』の「センス」なのです。「両極」が増大すればするほど、『経営者』は「どちらか一方を選択せねば」という『思考』に陥りがちですが、「本物」を追求していく為には、一見 相反するものを如何に繋いで考えることが出来るかが『鍵』になります。この「両極」を繋いで考える『思考』こそが「最適化」に求めらる『能力』です。
これからの時代 企業は、しっかりと『世界観』を表現して『価値』を高め、消費者は それに対価を払うようになります。
双方が意識をもっと高めていかなくてはなりません。
しかし、そもそも 日本には、中身がいいのに、その良さを表現できていない『企業』や『製品』が、まだまだたくさんあります。これは、「『文化』をないがしろにして、『文明』ばかりを追っている」からだと言われています。
歴史を振り返ると、技術主導の「文明」にちょっと遅れて、『美意識』に主眼を置いた「文化」が生まれるサイクルが"はっきり"見えます。大航海時代の後の『ルネサンス』が典型ですが、日本でも戦国時代の後に『華麗な安土桃山文化』が起こりました。英国では、産業革命の後に『アーツ・アンド・クラフツ運動』が起きています。これを鑑みると、現在もまた「文明から文化へ」の転換期になってきています。かって 日本企業は、『車』や『時計』の機能をどんどん高めて、世界を席巻しましたが、これは『文明』の領域でした。これからは、ここに『文化』を加えていかなければなりません。
世界には、『文化』を取り入れた企業が増えていく一方で、日本の多くの企業は、『デジタル化』の中で「モノの売り切りからサービス化へ」を"合言葉"に一斉に『舵』を切っています。しかし、ただ 単にサービス化への『舵』を切るだけでは「モノとサービスの合体」になってしまいます。
これでは『ビジネス』での"成功確率"は上がりません。だから、そこに『文化』を取り入れていくことが、「付加価値」や「ビジネス」での"成功確率"を高める要因になるのです。
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話は、少し変わりますが…
「南アフリカ」は、最近 「デザイン」に"注力"しています。「南アフリカ」が、何故 デザインに"注力"するかというと、「金」や「ダイヤモンド」などの資源に恵まれているにも関わらず、『貧困』が続いているという"矛盾"を抱えているからです。国内の『資源』は、全て外国に買われ、国外で 何十倍もの値段で取引されています。生の『資源』を売るだけでは、何時までたっても国が豊かになりません。であれば、「付加価値を生み出すデザインに注力しよう」という訳です。
これまで 日本は、『技術』や『機能』といった「文明」ばかり輸出してきました。『インバウンド』などの世界の反応を見ても、日本は 本来、「文明より文化にポテンシャルがある」ように思います。
「文化」と「文明の『ハイブリッド』にこそ、これからの"可能性"があると言われています。これは、日本の「企業」や「社会」にとっての『強み』を生かして「最適化」する上で、とても良い"キーワード"です。
今後 日本が「文化」を『価値』に転換していく為には、元々 日本人が持っている「文化」に"秀"でた部分を生かすことです。日本は、戦争、敗戦、高度経済成長という一連の流れの中では『文明偏重型』の進化が続いてきましたが、過去は 決して そうではありませんでした。京都の『金閣寺』のように「贅を尽くした建物」を迎賓館として使い、海外交易をスムーズにしていた"エピソード"は「文化」と「文明」の融合です。これが、まさに「文化と文明のハイブリッド」なのです。
日本が、高度経済成長期に得意としていた「文明的な強さ」と「古くからある文化的素地」、この「両極」を兼ね備えているからこそ、ここに日本が飛躍する"チャンス"があります。
最近、学者の間では「日本は、0から1を生み出すのは得意だけど、1を2にしたり、3、4、5……とスケールさせるのが下手である。でも、もっと先の、例えば9ぐらいまで成熟したものを10に飛躍させるのは得意だ」と言われているそうです。「最初」と「最後」があって「真ん中」がないと言うことです。これも「両極」なのですが、この『特長』を日本がどう生かしていけるのかが『肝』になると言われています。
現在は、いわば「1から9の時代」です。だから、日本にとっては「不遇の時代」と言えるかも知れません。
逆に「両極」を繋ぐことが、より一層 大事な局面を迎えているということかも知れません。
日本には「文化」を生み出す素地はあります。しかし 素地はあっても『具現化』する方法が分からないのです。
そもそも 昭和初期ぐらいまでは、『経営者自身』がその部分も担っていたのです。ところが、戦後から高度経済成長という『シークエンス』(連続)で、それが忘れられてしまったのです。だからデザイン的には60~70年代は『暗黒』の時代なのです。80年代に「広告」が華々しく隆盛して「デザイン」が注目されましたが、その半面、「デザイン」と「広告」があまりに"強く結び付き"過ぎて意味が狭まってしまったのです。
当時は"モノ"を作れば、売れた時代だから、"モノ"のプロモーションを「デザインする」だけで良かった時代でした。
しかし これだけ『市場』が飽和し、更に 『コロナショック』が打撃を与えている今、改めて、個別の『製品』や『事業』の"レベル"ではない『経営』そのものの「デザイン」が求められている時代なのです。
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「経営をデザインする」ことが『ブランディングデザイン』なのです。「デザインの力」を生かして、『経営者』も『社員』も、『自分の会社』や『自分の仕事』に"プライド"を持って取り組まなければ成長はありません。誰にでも瞬時に『情報』が伝わるようになった今こそ、『リクルーティング』にも、『消費者とのコミュニケーション』にも"情報"の「デザイン」が不可欠です。
日本という社会は、「潜在的な文化の力」があるので、"デザイン"を通して価値を発揮できる可能性が、まだまだ たくさんあると思います。
まさに、世界に向けた「日本のブランディングデザイン」が重要になってきます。
『コロナショック』以前の2019年の『訪日外国人』の数は、約3.200万人。4年で日本の人口以上の外国人が日本を訪れる計算になります。この積み重ねの『意味』は、非常に大きいのです。と言うのも、『インバウンド』は直接的な経済効果に留まらず、『日本文化』に触れ、「本物」を体験したことによる「日本のファン」を増やすことに繋がるからです。
「文明力」の高さに加えて、「日本の文化性」の高さを経験した人が世界に増えれば増えるほど、日本発の『ビジネス』の可能性も広がります。「日本が持つ文化性」の高さを通して、「文化と文明のハイブリッド」で『経済価値』を上げていく事が求められます。
「両極化」を生き抜く「最適化」。それは、"個性"の「発見」と「表現」による『本物の創造』だと思います。
今、『経営』の"ど真ん中"に「デザイン」が必要になっています。『コロナショック』の下にあって、各企業が『存在意義』を問われる中では、「パーパス」(存在意義)を明確にし、組織としての『意思』、『世界観』を示す「デザイン力」がより重要になっています。
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◎と言うことで…
「両極化時代の『経営』を最適化するデザインの力」について書いてきましたが、「両極化」の時代とは、『本物』の時代であり、そこを生き抜く上で求められる「最適化」とは、単に『白』か『黒』かの二者択一ではなく、それぞれにとって「最適なグラデーション、多様な繋がり」を創っていくことです。つまり「最適化」とは"個性"の『発見』と『表現』に他なりません。これは、『個人と組織』、『企業と社会』のあらゆるレベルに求められるものです。
そして「文化と文明のハイブリッド」。これは、まさに 日本社会が、今後 追求すべき「最適化」の"キーワード"です。「文化」は、中々 目に見えるものではありませんが、人々の『世界観』や『個性』に基づく歴史的営みが集積された『偉大なる無形資産』です。「文明」の高さに牽引されて経済成長を果たしてきた日本ですが、実は 歴史的には優れた「文化」があり、それらを「ハイブリッド」で打ち出すことこそ、今後 グローバルに『日本の価値』を高める"原動力"になるのです。
『日本』という"個性"を『発見』し『表現』していく「ブランディングデザイン」が、日本社会の未来の可能性を開くことに繋がります。「両極化」を生き抜く「最適化」、それは 自らの"個性"を信じ、尊重するところから始まるものです。
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