皆さんもご存知の通り「九州」と「関東」では全くの醤油の味が違います。一度も九州以外の土地で過ごした経験のない私にとって、醤油=「甘いもの」というのが当たり前です。偶に 東京に行って食事をすると、あまりの「しょっぱさ」に、別の調味料のように感じます。正直「美味しい」とも感じないほど、九州の甘い醤油に慣れてしまっています。やはり九州の味が、一番 落ち着きます。

では、何故 同じ「醤油」なのに、『九州』と『関東』ではこんなにも味が違うのでしょうか? 今日は、この「醤油」について調べてみます。
先ずは…
【「醤油の歴史」について!】
歴史上の資料に「醤油」の文字が登場し、作られ始めたのは「安土桃山時代(西暦1,573年~1,600年頃)」と言われています。当時の日常用語辞典に記されているそうです。では、そこが「醤油」の"起源"かというと、必ずしもそうではなくて、それ以前に「醤油らしいもの」、又は 「醤油の原型」になるものは存在していたと思われます。つまり、「醤油」は日本人に400年以上も前から、慣れ親しまれているのです。
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次に…
【「醤油の種類」について!】
日本で最も一般的な調味料の一つである「醤油」は、大豆と小麦を原料とした麹に食塩水を加えて、発酵させたものを絞った調味料です。実は「醤油」も、日本農林規格(JAS規格)で「5種類」に分類されます。
●「濃口醤油」
*全国の醤油出荷量の「約84%」を占める最も一般的な醤油です。塩味のほかに、深いうま味、まろやかな甘味、さわやかな酸味、味をひきしめる苦味を合わせ持っています。調理用・卓上用どちらにも幅広く使える、まさに 万能調味料です。
●「淡口醤油」
*関西で生まれた色の淡い醤油で、醤油出荷量の「約13%」を占めています。発酵と熟成をゆるやかにさせる食塩を、濃口より約1割多く使用し、素材の持ち味を生かすために色や香りを抑えた醤油です。素材の色を美しく仕上げる炊き合わせなどの調理に使われます。
●「溜醤油」
*主に中部地方で造られる色の濃い醤油です。トロ味と、濃厚なうま味、独特な香りが特徴です。古くから「さしみたまり」と呼ばれ、寿司、刺身などの卓上用に適するほか、加熱するときれいな赤みが出るため、照り焼きなどの調理用や、佃煮、せんべいなどの加工用にも使われます。
●「再仕込醤油」
*山口県柳井地方で生まれ、山陰から北九州地方にかけて多く造られてきました。他の醤油は、麹を食塩水で仕込むのに対し、生揚げ醤油で仕込むため「再仕込み」と呼ばれています。色・味・香りとも濃厚で、別名「甘露醤油」とも言われ、刺身、寿司、冷奴など、主に卓上でのつけ・かけ用に使われています。
●「白醤油」
*愛知県碧南市で生まれた、薄口醤油より さらに 淡く琥珀色の醤油です。味は淡白ながら甘味が強く、独特の香りがあります。色の薄さと香りを生かした吸い物や、茶碗蒸しなどの料理のほか、せんべい、漬物などにも使用されています。
〇このように、最もポピュラーなのが「濃口醤油」です。これは『関東』でも『九州』でも同じです。つまり、福岡の多くのメーカーは この「醤油」をベースにして、各メーカーで火入れをした後に甘味料などをブレンドして、甘くしているのです。他の地域の「醤油」は火入れしたら完成ですが、福岡は「ブレンドする」というのが、一番の特徴です。因みに、全国で「醤油」を製造している1,250社ほどのうち、約100社は ここ福岡県にあります。
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では…
【何故、九州では「甘い醤油」が一般的なのか?】
実は、これには諸説あり、大きく以下の「4つの説」が上げられます。
■1.「砂糖が手に入り易い地方だった!」
*歴史を遡ると、ポルトガルとの貿易が盛んであった九州(長崎)は、砂糖が沢山 密輸され砂糖が豊富であったこと、そして 土地柄、元々「さとうきび」がよく採れる地域であった為に、「醤油」をつくる過程で砂糖をたくさん使い「醤油」が甘くつくられたという説です。
■2.「気温の関係!」
*九州は、気温が高く、暑さから人間の体の消費カロリーが高くなります。そのカロリー補給の為に、甘いものを より好み、調味料である「醤油」も甘口になったと言われています。気温の関係から見ると、日本で一番 甘い醤油は「鹿児島産」で、一番 塩辛いのは「北海道産」と言われています。これを『塩分比率』でみると、「北海道:22%」、「関東:18%」、「鹿児島:11%」まで下がります。個人的には、そもそも 九州内でも南に行くと 更に甘くなること自体に驚きです!
■3.「海に囲まれた土地柄!」
*海に囲まれた九州は、新鮮な魚類には恵まれた地域です。そのため漁師さんが海で魚を調理する時に、「醤油」という1つの調味料だけで、淡白な魚を「美味しく」調理できるようにと「醤油」が甘く作られたという説です。
■4.「九州人は辛口の焼酎が好き!」
*九州といえば、「焼酎」です。焼酎の蔵も他の地域に比べて多く、また 特に辛口の焼酎は 九州の人には人気です。日本酒の場合は、糖分が含まれているため、つまみの食べ物には 塩分の強い「塩辛」や「もろキュウ」、「焼き魚」も塩のきいた魚が好まれます。一方、焼酎の成分には 殆ど糖分が入っていないので、つまみの料理の味は 甘口のものが好まれ、煮魚も甘めのものが多くする為に、調味料である「醤油」が甘くなったという説です。
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◎と言うことで…
毎日 触れる「醤油」ですが、ふと考えてみると、知らないことばかりでした。このようなことを知ると、毎日の料理が最も楽しくなるかも知れませんね!
今回は「醤油」をテーマにしましたが、身の回りには 知らないことばかりです。この小さな疑問に「気づき」そして「調べる」ことから、新たな発見があります。それが、自分の興味がある分野に気づく"きっかけ"になるかも知れません。もっと言うと、人間の殆どの『時間』を占める「仕事」のやり方にも関わってくるかも知れません。
そう考えると…
「趣味がない」とか「やりたいことが無い」というような人は、毎日を何となく過ごしているだけなのかも知れません。その、きっかけは、身の回りに沢山あるのです。
しかし、身の回りの当たり前のことに対して「なぜ?」と考えるのは意外に難しいです。だからこそ、そうした「癖」をつける必要があります。その為には、先ずは「1日1つ」、その日に起こったことに「なぜ?」と自問自答することを心掛けることだと思います。私も、やっと少しずつ、身の回りの事に「疑問」を持てるようになりました。続けていこうと思います!
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〇少し話が変わりますが、先日、「知の巨人」と言われる「立花 隆さん」がお亡くなりになりました。失礼ながら、立花さんのことを、今まで存じ上げませんでしたが、今回の訃報の際に「知の巨人」という言葉に引っ掛かり、初めて知りました。
そんな立花さんは、文系・理系 関わらず、どんな分野の知識もお持ちで有名だったそうです。だが、よくよく調べてみると、立花さんは 小さい頃から自殺願望があったそうです。しかし 死なずに済んだのは、「世の中への探究心」であり、「"知る"ことの楽しさを知ったからだ」と言われています。それからは、どんな些細な"出来事"や"疑問"も「生死」に結び付けて、知識に落としていたそうです。
〇最後に、そんな立花さんの言葉を紹介します。
●「知りたいという"根源的欲求"は、人間にとって『性欲』や『食欲』と並ぶ重要な『本能的欲求』である。その強い『欲求』が人類の文化を進歩させ科学を発達させた"根源的動因"と考える。もっと言うと、それは『生きる』という永遠のテーマに、自分なりの答えを導き出すことである。」
知ることで、『人生』が豊かになるのです。長くなりましたが、以上です。
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