私も20代後半となり、理想の組織の在り方について考えてみる機会が増えました。理想の組織に関して 人の話を聞いたり、ネットで調べてみたりとする中で、よく聞く"言葉"が「ラポール形成」というものです。この「ラポール形成」という"言葉"ですが、何となく意味は理解できても本当にどういう意味で、何故 必要なのかまで理解している人は、決して多くはないと思います。今後の長い『ビジネスライフ』の中では 必ず組織の壁にはぶつかるはずです。そこで 今日は、良い組織に求められる「ラポール形成」について調べてみます。
結論からいうと…
【「ラポール形成」とは?】
●ラポール形成とは、「信頼できる間柄」を意味します。
*ラポールとは、直訳すると「架け橋」で、人との親密な関係や信頼関係を意味します。「ラポール形成」は"言葉"や"行動"で表現せずとも、気持ちが通じ合う状態を指しています。「ラポール形成」が出来ていると、相手と安心してコミュニケーションが行える状態になります。そのため、当然ですが 会議や仕事上のやり取りでも、ストレスなく自然なやり取りができ、業務効率もよくなります。営業活動であれば、相手から信頼され易くなり、契約率やリピート率アップにも繋がため、ビジネスでも有用です。
また、この「ラポール形成」は、ビジネス用語だと思っている人もいますが、元々は 精神医療の現場で使われていた"言葉"です。心理的な治療を成功させるには、セラピストと患者の健全なコミュニケーションが欠かせません。「ラポール形成」は、それを可能とする良好な関係性を指す"言葉"として、医療現場から広まった"言葉"です。
ーーー
次に…
【「ラポール形成」の"3つ"の基本要素!】
正しく「ラポール形成」を行うためには、以下"3つ"の原則を理解する必要があります。
■1.「尊重」
■2.「類似性」
■3.「ペーシング&リーディング」
ここから一つずつ見ていきます。
■1.「尊重」
*「ラポール形成」の為には、相手の価値観や体験、感情など、相手のもっている世界観を尊重する姿勢が大切です。その為、相手の価値観は否定せずに受け入れ、相手をコントロールしないことが大切です。このような姿勢が出来ていると、相手の言うことにきちんと耳を傾けられます。真摯に聞こうとする姿勢があることで 相手の共感を得られ、「ラポール形成」に繋がります。
■2.「類似性」
*類似性とは、相手と共通性を見い出すことで、類似性には一体感が生まれる性質があります。例えば 相手とちょっとした姿勢や身振り手振りが似ているだけでも、安心感や好感を抱き易くなった経験はあると思います。また、身振り手振りだけではなく、共通の趣味や話題があることも効果的です。類似性を見つけると安心するのは人間の本能でもあるため、類似性を発見すると「ラポール形成」が進み易くなります。
■3.「ペーシング&リーディング」
*ペーシングとは、呼吸や話し方、視線などを相手に合わせることです。具体的な行動を相手に合わせることで、安心感や親しみを感じさせます。相手の思考の癖や行動の仕方に合わせたペーシングが出来るとより効果があります。リーディングとは、目的に合わせ、会話をリードすることです。質問や提案を会話に含めつつ、会話の流れをリードします。ただし リーディングは、相手をコントロールすることではなく、あくまで 話題を引き出すことです。このリーディングとペーシングを上手く組み合わせることが大切です。
ーーー
では…
【ラポール形成を行う際のテクニック!】
「ラポール形成」は、本来 自然に形成されるべきものですが、より効果を高めるテクニックが存在します。実際は沢山のテクニックが存在しますが、ここでは"3つ"を紹介します。
◆1.「ミラーリング」
*ミラーリングとは、相手の仕草や姿勢を模倣するテクニックです。仕草が似ている夫婦やカップルでも、その二人の信頼関係は高いことが 殆どと言われています。例えば「ラポール形成」したい相手とレストランで 同じものを注文したり、相手が会話の途中でコーヒーを飲んだら 同じようにコーヒーに口をつける、といったテクニックがあります。「ラポール形成」がされている2人は、自然とミラーリングを行っている場合が殆どですが、意識的にミラーリングを行って距離を縮めるのも効果的なのです。
◆2.「キャリブレーション」
*キャリブレーションとは、発言以外のサインで相手の心理状態を理解するテクニックです。このサインは、相手の姿勢や呼吸のペース、表情、声のトーンといったものがあります。例えば 相手が「疲れてない」「大丈夫」と言っても、顔色が悪かったり声のトーンが低ければ、体調が万全でないことが分かるはずです。相手を観察して、"言葉"ではないサインを読み取ることが大切です。「でも、具合が悪そうに見えるよ」と気遣ってあげることがキャリブレーションであり、相手から信頼感や好感を得られる瞬間となります。しかし 外見的要素では認識できないサインも沢山あるというのがキャリブレーションの注意点であり、必要以上に気持ちを探ることは、失敗のもとにもなり得ます。
◆3.「バックトラッキング」
*バックトラッキングとは、相手の"言葉"と同じ"言葉"を返すことです。所謂「オウム返し」のことです。これは 自分の発言と同じ"言葉"が返ってくることで、「ちゃんと聞いてくれている」「意見を受け止めてくれている」と好感を持って貰えます。しかし 相手の"言葉"をそのまま繰り返すだけでは、「バックトラッキング」は成功しません。発言のポイントを拾ったり、重要なキーワードを取り入れたり、"言葉"をいい換えることが大切です。例えば「昨日はラーメンを食べたんだ」と言われたら、「ラーメンを食べたの?どこのお店?」と返せば自然なオウム返しとなります。
ーーー
◎と言うことで…
この機に、初めて「ラポール形成」について調べました。勿論 しっかりとした「ラポール形成」を行おうと思うと、高度なテクニックと、ある程度の訓練も必要だと思います。
しかし 相手と真の信頼関係を作ったり、相手に影響を与えたりする為には、テクニックだけでは足りないはずです。この「ラポール形成」のベースになるものは、相手の話を真剣に聞こうとする姿勢であり、もっと言うと「人間性」だと思います。私たちは、多かれ少なかれ、「自分のことを分かって貰いたい」「私を受け入れて欲しい」という気持ちを持っていると思います。よく自分の話や過去の栄光、自分の経験則ばかりを述べる人がいますが、そのような人には 相手も本音で話す気にならないと思います。これでは いつまで経っても好ましい人間関係を築くことは出来ません。
つまり 最も大事なことは…
●「相手から信頼させる人格や人間性」と「相手を理解しようとする誠実な姿勢」だと思います。
最後に…
【7つの習慣から見る、「ラポール形成」のヒント!】
人生の成功をテーマとした書籍「7つの習慣」の、第5の習慣には「まず理解に徹し、それから理解される」とあります。この第5の習慣を実践する上では、「自分のことを知って貰うよりも先に、相手を理解しようと聴く、相手の身になって聴く」という姿勢が基本となっています。私たちが、普段相手の話を聞く時の態度は、以下の5つのレベルに分類できます。
◆話の「聞き方」 5つのレベル
■レベル1「無視する」
*聞く努力をしない。
■レベル2「聞く振りをする」
*聞いているように見せかけるが、実際は聞いていない。
■レベル3「選択的に聞く」
*自分の興味や関心を持っているところだけを聞く。
■レベル4「注意して聞く」
*相手のしゃべっていることに集中し、自分の経験と比較しながら聞く。
■レベル5「感情移入の傾聴」
*理解しようとして耳と目と心を使い、相手の"言葉"、"意志"、"気持ち"を すべて聴く。
「ラポール形成」を行うには、レベル5「感情移入の傾聴」まで持っていく必要があります。
これは「相手の言った『内容』と『気持ち』の両方を、自分の"言葉"にして表現する」ことです。つまり 話の内容に加えて、相手の"感情"を確認することで、相手は「自分を理解しようとしてくれている」「理解してくれている」と感じてくれ、自然と「ラポール形成」に繋がるということです。
長くなりましたが、以上です。
Comments