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【若手社員の成長期!】第68回:「何故、「負けて当たり前」のラグビー日本代表が『勝てる』チームになったのか?」~「エディ・ジョーンズ氏」から見る理想の上司像~

みなさんの記憶にも新しい、「2019年 ラグビーW杯 日本大会」での日本の活躍。実は、日本代表ラグビーと言えば、10年ほど前までは 弱小チームの代表格と言われて、中々 国際試合では 勝てない時期が続きました。それが、2019年W杯では、ホームの声援を背に大躍進することになります。その理由を辿ると、2011年から 日本代表のヘッドコーチに就任した「エディ・ジョーンズ氏」の存在があります。何故 急に、日本代表チームは 強くなったのか?

大のラグビーファンである私の親戚に貰った『ハードワーク』という本に、その理由が記載されていました。今日は 当時の日本代表ヘッドコーチ「エディ・ジョーンズ氏」の記した"本"『ハードワーク』を切り口に、ラグビー日本代表の躍進の秘密を調べてみます。





【W杯での躍進!】

*遡ること 6年前の2015年9月19日。スポーツ史上最大の番狂わせが起こりました。「ラグビーW杯 イングランド大会」にて 日本代表が南アフリカ代表に勝った試合のことです。それまで ラグビーが どんなスポーツか分からない人さえも、興奮した勝利だったのではないでしょうか。私も それまで 全くラグビーに興味はありませんでしたが、この勝利が何度もテレビで取り上げられたことを鮮明に覚えています。


実は、それまでの日本代表は20年間のW杯で、わずか「1勝」の弱小チームでした。一方、南アフリカ代表といえば、W杯で2回も「優勝」をしている強豪国です。では 何故、負けて当たり前だった 日本代表は、このW杯で3勝もするチームに変貌できたのでしょうか? その奇跡の裏側には、当時の日本代表ヘッドコーチ「エディ・ジョーンズ氏」の存在があります。


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【「エディ・ジョーンズ氏」が感じたことは?】

●「日本人らしさ」を、敢えて 武器にする「ジャパンウェイ」。

*実は「エディ氏」は、日本人とオーストラリア人のハーフです。しかし、日本に 初めて来たのは、30代になってからであり、日本で育ったわけではありません。しかし「エディ氏」は、最も日本人をよく知っている一人として、ラグビー選手からも知られています。何故なら、彼は 日本人を芯の芯まで理解しようとしたからです。


「エディ氏」は来日して直ぐに、「出る杭は打たれることを気にし、普通でいることに 一生懸命な日本人たち」を見て失望したそうです。その日本人の姿と、ラグビーを重ね合わせ「日本ラグビーも本当の力を出せないまま、弱さに 甘んじてしまっている」と、「エディ氏」は分析しました。

そこで、「エディ氏」は、こう考えます。

●「選手たちの中に眠った、日本人本来の力を、どのようにすれば 目覚めさせられるか? 慢性的な弱さから抜け出し、大きな勝利に向かって 邁進するには、何をすればいいか?」

その考えから見い出されたチーム方針が「ジャパンウェイ」です。


【「ジャパンウェイ」とは?】

簡潔に言うと…

●「日本人らしさを活かすこと」です。

*世界と同じようなことをしていても、体格に劣る日本は勝つことが出来ません。しかし 強みを活かせば チャンスがあるはず。「エディ氏」が目をつけた日本人らしさとは、「勤勉さ」「責任感」「体格の小ささ」でした。


特に、「勤勉さ」に目を付けました。「エディ氏」は選手たちのトレーニングを、早朝を含め「一日 3回」時間を区切って行うように変えました。外国人にはない"忍耐力"を持ち、諦めない姿勢からくる"勤勉さ"を、「エディ氏」は見逃さなかったのです。

更に「エディ氏」は、トレーニングに対する意識も変えていきます。単に「トレーニングを頑張るぞ!」では従来の日本代表のままであり、根性論を実践したいのではなく、単純に「トレーニングの効果を高めること」を考えたのです。

そこで、先ず「エディ氏」は、「トレーニングのためのトレーニングには、意味がない」ことを、選手たちに伝えます。日本人は"勤勉さ"に与えられたものを、こなす能力はあるが、そもそも 何故、こなすのかを日本人は意識していないと見抜きます。つまり、目標を設定していなかったり、共有していないが為に、トレーニング自体が与えられたものをこなすだけの集団に、日本代表でさえなっていたのです。そして、そのようなこなすだけのトレーニングでは、効果が半減してしまっていたのです。


そこで、次に「エディ氏」はトレーニングに意味を持たせることに徹します。

つまり…

●「トレーニングは試合に勝つ為に、『自分自身を変えること』が目的」ということを、共有させたのです。

そのことにより、受動的な"勤勉さ"ではなく「能動的な"勤勉さ"」が開花します。この能動的な"勤勉さ"こそが「眠っていた」日本人本来の力の"勤勉さ"であることに、「エディ氏」は気づいていたのです。エディの働きかけによって、選手たち自らの意識は 次第に変わっていきます。


【それだけでは勝てないスポーツ!】

*しかし これだけでは、大きな勝利を掴むことはできません。個人単位での意識を変えることが出来ても、チームとして意識が変わらなければ勝つことは出来ません。そこで、「エディ氏」は、選手個人個人が、チームのための責任感を持つことを求めました。そのために、障害となっていた「年功序列」の精神を断ち切ることに決めました。グラウンドの外では、年長者を立てることは大切ですが、グラウンドの中では「害」でしかありません。「エディ氏」は、その精神を一掃する為に、どんな年長者であろうが、少しでも集中力が切れた選手がいたら、練習から外したり、外国人にも時間厳守のルールを日本人と同じように適用しました。例外を作らずに公平に選手たちを扱うことで、練習には"緊張感"が増し、「練習は勝つためにしている」という目的を共有するだけではなく、チームの為の"責任感"が生まれました。こうして、日本人本来の力を引き出し、大きな勝利へと向かう筋道が出来ていくのです。


【「体格の小ささ」を活かす!】

*日本人には「体格が小さい」という短所があり、選手たちも「体格が劣っているから弱いのだ」と、思い込んでいました。しかし そんな、短所だと思われていた体格の小ささを、「エディ氏」は弱点と決めつけず「一つの条件」と捉え、長所として活かしていきます。

「体格の小ささ」のメリットは、「大柄な選手よりも機敏に動けること」そして、「身長が高い選手に比べて低い姿勢を取り易いこと」があります。ラグビーの試合でも、60分間ずっと走り回り ぶつかり合っていたら、いくら 体格が大きくても、もう体は限界です。その状況で まったく走るスピードが落ちなかったり、低い姿勢で タックルをされたら、たまったものではありません。これが、"体格の小ささ"を長所とした戦術です。

ただ 戦術が夢物語では、弱さから抜け出せません。夢を現実にする為に、徹底した勝つ為の"目的意識"と、チームの為の"責任感"をとことん植え付け、そして その意識の基での、あの「一日 3回」時間を区切ったトレーニングがあったのです。

こうして、日本人 本来の力である能動的な"勤勉さ"が目を覚まし、W杯 南アフリカ戦に於いて、大きな勝利を掴むことが出来たのです!


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◎このように…

「エディ氏」は日本人のハーフとはいえ、30代で来日し 誰よりも日本の心を理解し、その日本人の強みを活かそうとしました。日本代表を率いた後は、世界的な名将として名を馳せ、今では、ラグビー強豪国のイングランド代表を率いることになります。私自身も、ずっと スポーツをしていましたが、チームを率いる「ヘッドコーチ」によって ここまでチームが変わるのかと、驚きました。


更に、この"本"の凄いのは、スポーツだけに留まらず、ビジネスに落としている点です。

【「エディー・ジョーンズ氏」が考える、理想的な上司とは?】

それは…

●「失敗を怒鳴らない上司」です。

*「エディ氏」は、失敗をすることは悪いことではなく、失敗をした後が大事だと考えていました。何故なら、ラグビーでは 試合中にミスをしても、試合は続くからです。そして それは、仕事も同じです。社員は、失敗に"ビクビク"していても、自主性がなくなるだけです。

では、失敗をしたらその後は どうすればよいのでしょうか?」

エディ氏は、「全ての責任をとってやる」ということ意識していました。上に立つ者が、責任を持つだけで、部署全体にも責任感が生まれるからです。


【コーチとしての、「エディー・ジョーンズ氏」が意識している"3つ"のこと!】

◆1つ目は、「飲ミュニケーション」。

*大勢の前で公に怒るよりも、マンツーマンによるプライベートな場で指摘するほうが、周りを気にする日本人にとってはよい、とエディ氏は考えていたからです。

勿論、お酒が重要だという訳ではないので、お酒が嫌いな人には、喫茶店などで行っていました。


◆2つ目は、発言の最後の「いくつかあってだな」というように、「選択肢をいくつか与えること」。

*自分の問題点を自分で考えて行動できる人のほうが 遥に良いからです。言われたことをこなすのではなく、「何故 自分は今、それをやっているのか?」を考えさせることで、選手にも自然と、目標や目的を自主的に考える力がつくようになるのです。


◆3つ目は、「きちんと褒めること」。

*「エディ氏」は、日本人の指導者さえも分析していました。そこで 感じたことが、日本人の指導者は、怒鳴ることはあっても、褒めることは少ないということです。エディ氏は、それを懸念して「どうせ勝てるわけがない」というネガティブな意識を払拭することが大切であり、その為に「上司は良いことをした部下に対しては、きちんと褒めていくこと」を行っていました。体が小さいことを怒られるよりも、体が小さいことを活かした長所を褒められた結果、その集団は変わっていったのです。


実は 日本代表が、南アフリカに勝った試合の最後の逆転の場面で、エディ氏は「同点でいい」という指示を出していました。しかし 選手たちは、自分たちで状況を判断し、「リスクを冒してでも逆転を狙う」という選択肢を取ることになったのです。それまで、弱くて負けて当たり前だった選手たちが、主体的に自分たちで勝利を掴みに行ったのです。


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それでは 最後に、この"本"の最後に書かれている「エディ氏」が一番大切にしている"考え方"を紹介して終わります。

●「コントロールできることだけを考える。コントロールできないことは、放っておく」

*心配事や、どうしようもない 体格の差のような欠点や短所は、放っておく。気にしたからと言って、勝てるわけではないからです。その代わり、コントロールできる目標や計画は しっかり考え、徹底的に『努力』する。それが「エディ氏」の信条であり、『ハードワーク』の意味なのです。


私も今は部下がいませんが、これから持つことになるでしょう。また 単に、これは 上下の関係以外にも通じる話だと思います。一人で 完遂できる仕事は殆どなく、チームワークで行う以上、同じことが言えると思います。「エディ氏」の考え方を、そのまま行動に落とすことは簡単には出来ませんし、「エディ氏」の理想の上司像と、私のそれとが一致することが正しいとも思いません。しかし「エディ氏」の考え方を頭の片隅に起きながら、意識していってみようと思いました。


最後に、この"本"の感想を一言で表現すると…

●「人を理解することが全て」ということです。

長くなりましたが、以上です。

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