最近は「リカレント教育」や「学び直し」といったキーワードをよく聞きます。これは 時代の変化が早く、正解が存在しない現代を より良く生きる為に、使われるようになった概念です。そして この時代に求められる代表的な学び方に「経験学習サイクル」というものがあります。この「経験学習サイクル」は、アメリカで唱えられた教育理論ですが、日本の大手企業でも意識して採用されています。そこで 今日は、この「経験学習サイクル」について、調べてみます。
そもそも…
①【何故、調べよう思ったのか?】
●「同じことを経験しても、成長する人とそうでない人との違いを知りたいからです!」
~あなたの周りにも、人一倍、成長が早い人はいませんか?!~
同期入社の同僚や、同じ部署の先輩・後輩に「経験値は自分とさほど変わらないのに、何故 あの人はあんなに仕事ができるんだろう…?」と思わせる人はいませんか? 同じことを経験しているはずなのに、その人だけ圧倒的に成果を上げたりと…。ここには、どのような違いがあるのでしょうか? もちろん、地頭の違いなどもあると思います。しかし 実は、ここの違いを大きく左右するのは「経験学習サイクル」の実践が隠れていると言われているそうです。今日は、ビジネスにおける成長スピードが早い人・遅い人の違いを「経験学習サイクル」を基に紐解き、自分自身の成長に繋げようと思います。
ーーー それでは… ②【今記事の、内容(要点)!】 ■1.まずは、学習に影響を与える"要素"について! ●「人は、経験したことから学べない?!」 〜経験してこそ、最大の学びだ!~ 学習には様々な形がありますが、人が成長する影響の度合いは、「7割は業務経験」、「2割が薫陶」、「1割は研修(読書など)」ということが分かっています。これは 米国の人事コンサルタント会社であるロミンガー社が、経営幹部などを対象として調査・分析を行った結果から導かれたもので、これを「ロミンガーの法則」と名付けられました。しかし、ここで勘違いしてはいけないことがあります。それは 決して「業務経験」だけすれば良いという、単純な話ではないということです。この「70:20:10の法則」とも呼ばれる業務経験・薫陶・研修は、全てのバランスがとれてこそ、効果を発揮します。大事なことは、決して割合の低い「研修」を疎かにすることではありません。「研修」があるから、「業務経験」から得られる学びの質も増すということです。 ■2.それでは「経験学習サイクル」とは? ●「経験を内省し、次に活かすことである!!」 〜みなさんは、行動して終わっていませんか?〜 「経験学習サイクル」とは、アメリカの教育理論家「デービット・コルブ氏」によって提唱されたものです。 「経験」・「内省」・「概念化」・「実践」の"4つ"のステップを繰り返し行う学習方法で、4つのステップを繰り返すことによって、最大のパフォーマンスを発揮できるようになります。 ポイントは、単純に経験するだけでなく、繰り返しのミスが減ったり、過去の経験が他の場面で生かされたりと応用が効くという部分です。 単一の経験を繰り返すよりも効率よく他の場面に活かせるので、記憶にも定着しやすいという特徴もあります。 ==4つのステップ== ◯Step1「経験」」 *経験学習サイクルの最初の手順として「経験」が挙げられます。 具体的には、顧客に営業をかける行為や、会議でプロジェクト案をプレゼンするなど、実際に思考や行動に移した経験のことです。 もちろん 仕事の場面に限らず、スポーツや勉強などが学びの材料になることもあります。 他者の経験や書物などではなく、自分自身が現場や現物に立ち向かった具体的な経験であることが重要です。 ◯Step2「内省」 *自身の経験や行動の結果について、多角的な視点を持って振り返ることが「内省」です。 これまでの経験が起きた原因を客観的に考察する必要があります。この内省には、失敗も成功も含まれていて、自分が振り返りたくない経験であっても、改善するために振り返る必要があります。自分の経験について、数値では測れない時もあります。そういう 自身の経験を振り返ることが難しい場合は、上司や先輩などの第三者から多角的な意見や考えを聞くのも一つの手段です。 ただし あくまでも、内省で重要なことは自分で考えて振り返ることなので、第三者に頼りすぎず、一つの意見として聞くようにしましょう。 ◯Step3「概念化」 *自身の経験が他の状況でも応用できるように、振り返りの内容を法則化することを「概念化」といいます。 内省の段階で、多角的な面から振り返った内容を考察し、次はどう行動すれば良いのかを法則にし、誰にでも分かるように言語化することが大切です。 例えば 営業の仕事において、先方とのコミュニケーション不足が失敗の原因であった場合、次に取る行動として「相手と意見が衝突したら一方的に話すのをやめ、相手の話を聞くことに注力する」のように概念化できます。 振り返りまでで終わってしまう事が多いかと思いますが、「概念化」こそ、他の状況で応用し、次に活かすための鍵になるのです。 ◯Step4「実践」 *概念化した内容に再度 挑戦するフェーズが「実践」です。実際に概念化した内容が「実践」で効果があるのか似たような状況で試してみて、効果が得られると、それは "ノウハウ"として今後の経験でも活かせます。効果が得られない場合は、再び「内省」や「概念化」を見直す必要があります。転用までのレベルに落とし込めれば、経験から多くの学びを得られます。 振り返って終わりにしないで、行動に移せる人こそが成長する人と言えるのです、 つまり、人が最も成長するパターンは「経験をして、その経験を振り返り、経験が概念として納得できるまで内省をする。」につきます。そのためには、失敗を許容できる"メンタル"を持つことが大切と言えます。失敗をしても、問題ではないのです。失敗して 内省しないことが問題なのです。丁寧な内省を行えば、同じ失敗を繰り返すことは少なくなり、結果的に成長に繋がります。 因みに、経験サイクルと似たものに「PDCAサイクル」があります。 PDCAサイクルとは、「Plan(計画)」・「Do(実行)」・「Check(評価)」・「Action(改善)」の4ステップによって、継続的に業務を改善していく学習サイクルです。「PDCAサイクル」は、1つの業務効率化や改善することを目的に行動を修正します。 その一方で、「経験学習サイクル」は多角的な視点を持って考察し、経験を概念化することによって、これまで以上の"気づき"や"学び"を得ることが目的です。つまり 「経験学習サイクル」は、概念化することで、見えてこなかった気づきをもたらし、他の場面でも その経験を活かすことができます。 ■3.では、今日から何を実践するのか? ●「単純な問いに、答え続けよう!」 〜日々の地道な努力が、大きな成長につながる!〜 私たちは日々、さまざまな経験を重ね、たくさんの知識・情報に触れています。しかし、それらが自分の内側に取り込まれることは少なく、殆どの知識・情報は、右から左へ流れてしまうことが多いのではないでしょうか。先述した通り、「経験学習サイクル」では、経験を内省することで、様々な気づきが得られ、そして 成長につながります。逆に言うと、例え 貴重な経験をしても、内省がなければ、それは無駄になってしまいます。それを防ぐために、今日から何をする必要があるのでしょうか?その答えは、決して 難しいものではなく、以下の"3つの質問"に 毎日 向き合うという、地道な作業でしかないのです。 ◯「今日一日、何があったか?」 ◯「そこからの、気づきは何か?」 ◯「その気づきから、明日の自分はどうあるべきか?」 ーーー ◎と言うことで… ③【私なりの考え!】 ●「成長は、"地味"な努力の繰り返しである!」 ~日々の小さな出来事から学ぼう!~ ここまで、「経験学習サイクル」について書きましたが、その過程で感じたことは、学習に特別な方法は存在しないと言うことです。成長を分解すると、"地味"な努力の繰り返しであり、時間を要することです。当然 体力も使います。しかし 一番 効率の良い方法とも言えます。つまり 結局は、「日々の小さな出来事から学ぼうとする姿勢」というところに落ち着くのだと思います。そして その原点は「『耳と目と心を持って聴く』姿勢であり、全て 今の目の前のことへの捉え方が大事。」だと思います。この状態になると、自然と次への行動ステップを考え始めます。それは既に「経験学習サイクル」を回している状態であり、一歩一歩、着実に進んでいった先に、自分の成長、強いては 自分にとっての成功があるのだと思います。「経験学習サイクル」と表現されると難しく感じますが、理解すること自体は 何も難しいことではなく、何より「実践すること」がもっとも難しいと言うことです。 最後に マネージメント研究に於いて、第一人者の「ピーター・ドラッカー氏」の有名な言葉を紹介します。 ◯「効果的な行動の後には、静かな振り返りを行おう。その静かな振り返りからより効果的な行動がうまれる」 長くなりましたが、以上です。
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