今日は 若手社員の私が、イケてる企業のC.I.を紹介します。
浮き沈みの激しい「美容業界」に於いて、フェラーリを所有し、プール付きの10億円豪邸に住む経営者が"東京"にいます。
第4回は、「世界でいちばんキレイになる」をキャッチコピーに、北は 北海道から、南は 九州・沖縄まで、全国に"247店舗"(海外/ロンドン1店舗)のヘアサロン「EARTH」をフランチャイズ展開をしている「株式会社 アースホールディングス」です。
アースHDは、1989年創業(設立2007年)・美容業界の風雲児として知られる「國分 利治社長」が率いる会社で、スタッフ数 約3,000名 年商180億円を超える美容業界のリーディングカンパニーです。
先ず、「美容業界」について… 実は、美容業界は最も競争の激しい業界と言われています。美容施設はここ10年で5万店ほど増え25万店になっているにも関わらず、市場規模(約5,000億)は横ばいが続いています。この背景としては、様々な美容室の出現により低単価と高単価の2極化が進んでいることが挙げられます。
この結果、中単価の美容室は厳しい状態にあり、美容室の6割は営業不振となっており、逆に伸びている美容室は以前として伸び続けており、まさに「弱肉強食」の世界です。
こんな美容業界で成功された「國分社長」は、まるで"映画"のような若者に夢を与える腕一本で「ジャパンドリーム」を掴み取られたサクセスストーリーです。インタビュー記事を拝読し"ワクワク"と伴に、私を含めた「地方人」を勇気づける内容でした。
國分社長は、地方の福島県(飯坂温泉近郊)出身で、小・中学生時代は、小遣い稼ぎのために"ケンカ"三昧の日々。強烈な飽き性のため長続きした趣味もなく、勿論 勉強など全くされていませんでした。 *因みに 小学生の卒業文集に、将来の夢は「芸能人になりたい」と書かれています。
中学卒業後… 家の近くの公立高校の受験に失敗し、家から離れた第2志望の私立の工業高校(電気科)に進学されます。学校に"教科書"を一度も持って行ったことも無く、バイクを買うために「バイト」に明け暮れ、高校には睡眠補給のためだけに行かれていました。高校は3年で無事卒業。その後、地元の縫製工場(スーツにボタンを付ける際の穴あけ作業)に就職されますが、毎日 クルマで彼女と遊び呆けています。 しかし 就職して2年目のある日、交通違反を犯し免許を失効…。田舎にいて若者がクルマに乗れないのは、マジで死活問題(動けない、遊べない)です。
しかし この事が、きっかけで 何と安易に"東京"行きを決断されます。「東京」ならクルマがなくても生活でき、遊べるからと。「東京で一旗挙げてやる」と、國分社長19歳の"決意"です。元々 人に使われるのが嫌で、将来は経営者になろうと想われていました。
では「東京」に行って何をやるか? 「手に職が付けられて、出来るだけ早く店を創り、"経営者"になれる仕事」は何か、頭に浮かんだのが、「理容師」「美容師」「調理師」の3つ。その中で一番カッコイい「美容師」を選び、週刊誌『女性セブン』に掲載されていた、新宿歌舞伎町にある美容室(サロン)の求人広告に応募(履歴書送付)されます。
「25歳までに経営者になる」と、"現金10万円"と"目覚まし時計"を「ボストンバッグ」に入れ 単身19歳で上野駅を目指し、何とか就職先のサロンに無事到着します。國分社長が、現在まで続く「美容業界人生」の小さなスタートでした。
「サロン」に行ったその日から、店内の掃除、タオルなどの洗濯、チラシ配布をスタート。募集要項には「寮完備」とありましたが、寝泊は6畳一間の「店長」の部屋だったそうです。4人くらいのスタッフがその部屋で生活する、所謂「たこ部屋」です。3年間は、1日も休まず働き、その後 数年経て店長や、店舗出店の経験を積んで、25歳で独立出来なかったけれど「30歳」の時に独立されます。
35歳で、20坪程の店舗をスタッフ 5~6人で運営する「サロン」を4つ経営していましたが、当初の目標は20店舗。独立前に17店舗を立ち上げた実績から、楽勝だろうと考えていましたが、中々上手く行かず 焦りもあり、人が定着しなかったそうです。
そして この頃(1997年)サロン経営者の勉強会で、アメリカ「ニューヨーク」の視察旅行にいかれました。その時に見学したのが、400坪程の広大なフロアに、たくさんの美容師が忙しく働く「大型サロン」。20坪のサロンとは余りに"スケール"が違う、その活気溢れるサロンの雰囲気に心動かされ「これだ!」と。それまで 5~6人のスタッフで回していたのを20人程のスタッフを揃えた「大型サロン」ならば、一人くらい辞めても問題ないと、スタッフの出入りを気にしながら経営を続けることに疑問を抱いていた時に明るい「光明」が見えたそうです。
そして 今の「EARTH」の原型となった「大型サロン」経営にシフトチェンジされた「國分社長」の快進撃が始まります。そして独自の「日本的な暖簾分けフランチャイズ制度」を開発し、現在の地位を築かれました。
ーーー では、そんな國分社長が率いる「アースHD」の「イケてるC.I.」の一部を紹介します。 【企業理念=代表メッセージ】 「統一を目指さず、個性を伸ばす。」
一人一人の個性を伸ばし組織化することを目指しています。 個性を伸ばすということは、一人一人を知ることから始まります。そのために、人との関わりを大切にしています。 例えば、趣味を共有することによって、その人の個性や長所、欠点をも知ることができます。 私がスポーツ好きでもあり、スノーボード、サーフィン、野球、卓球、テニス、バレー、バスケ、サッカー・・・。 すべてをスタッフと一緒に汗を流すようにしています。 スポーツは周りの人との人間関係を円滑にする良いツールだと思っています。
【EARTHのロゴマークに込められた想い】 「EARTH」のロゴマークは、Eが“クシ”Hが“ハサミ”を表しています。どちらも美容室には欠かせないものです。 クシとハサミの間に“ART”が挟まれている・・・ つまり、クシとハサミでアートする、という当社のメッセージが込められています。
【大切にしている言葉】
*毎年のオリジナルカレンダーに記載・2019年度版より一部抜粋
今年も「ありがとう」をたくさん使い、「ありがとう」をたくさん集める。
「ありがとう」で終われるように生きる。
*國分社長 曰わく「ありがとう」は、人間関係を良くし、人間性がでる言葉で、永遠に使い続ける幸せになる言葉として
相手も、こちらも幸せになれる言葉として大切にされています。
ーーー 【若手なりの成長の理由分析】 アースHDさんが、成長し続けているのは、誰が見ても"カリスマ"経営者である國分社長の「気質」と「センス」に尽きると思います。世間一般で、よく"成功"する「社長」には、2つのタイプがあると言います。 「強烈な原体験」があるか「社会に適合しない人が持つパワー」のどちらかだと…
「國分社長」は失礼ながら、間違いなく後者のタイプだと思います。勉強の頭じゃない「生きる力」のことです。それに考え尽くされた「戦略」の上に立った「行動」です。 例えば、「フェラーリ」や「10億円の豪邸」「鴨川の別荘」など、全てが意味のある「買い物」をされていて、自分の為というより他人(社員)の為であり、「生き金」の使い方をされている事に尊敬の念を感じます。 若手の私が言うのも失礼ですが、ただの「金持ち」ではない「大胆さ!」と「繊細さ!」を持ち合わせた素晴らしい「ビジネスファミリー」という考えをお持ちの経営者だと感じました。
では、もう少し成長の理由を仮説ですが、分析してみます。大きく"4つ"あります。
■1.「企業理念に基づいた個性集団の構築!」 *創業以来、安定した成長を続けているのは、美容師が「アースで働きたい」「アースの制度を使って独立したい」と考えているからです。 魅力的な美容師がアースに集まっていれば、自ずと、お客さんも「アース」に集まって来ます。美容室チェーン店では一般的に、どの店舗も「同じ価格」で「同質のサービス」を提供する事を重視しています。 しかし、多くの美容師は、自分の「センス」や「個性」を発揮したいから美容師になったはずです。勿論 駆け出しの間は、"武道"でいう「型」を創る時期に当たるので、基本に忠実な事が大切だと言いますが、一定の「型」を習得したら、今度は「型」を破って個性を打ち出したくなるのです。とりわけ 将来独立を目指している人ほど、そうした傾向が強く、自分の力を試したいという思いが止められなくなった時に独立する事になります。
ところが、独立した"瞬間"から"劣化"が始まる場合もあると言います。個性というのは、ひとつ間違えれば「独りよがり」や「好き勝手」になります。特に個人店の場合は、「周りに注意してくれる人がいない」し、他の人から学ぶ事も難しくなります。最初は4人ぐらいのスタッフを雇って始めたものの、店主の魅力が薄れると、1人抜け、また1人抜け、スタッフが減っていきます。最後は1人でお店を経営する事になるという、ある意味、独立した時が、その人の「ピーク」だったという結果に陥る人も少なくないそうです。
◆一般的な「フランチャイズ」の美容師の独立 「やり方を強制される」→「自分の個性を生かしたいと思う」→「独立する」→「劣化が始まる」といった悪循環をどう断ち切るか? 「國分社長」が導き出した答えが、「統一を目指さず、個性を伸ばす」という企業理念です。 アースHDでは、グループとしての「やり方」を各店舗に必要以上には、強制せず、各店舗に対して自分たちの個性を発揮できる環境を与えています。 料金についても全店舗でベースは統一していますが、割引の設定は自由になっています。
■2.「独自のフランチャイズの仕組みの構築!」 *店長として修行を積んだ上で、導入しているのが、「アース」の看板で独立が出来る「日本的な暖簾分け型のフランチャイズ制度」です。これによりスタッフは、修業時代は 各店舗で「型」を学び、自分の「個性」を押し出したくなった時に、「アース」の中で独立する事が可能になっています。 「アース」にはフランチャイズオーナーが、100人以上いますので、お互いに「情報交換」をし、刺激を受け合う事で、独立後も「独りよがり」や「好き勝手」に陥らずに済むのです。
こうして「アース」には優秀なオーナー美容師がたくさんいます。美容業界は「人」が経営の"鍵"を握っていて、人材の流出が会社の経営を傾かせる要因に成りかねないからこそ、國分社長は組織の中で「人」が生かされる仕組みを創り上げました。
また 100人いるオーナーに高い意識を持って経営して貰う為に、重視しているのが、200人収容可能な國分社長の自宅(豪邸)の大ホールで、年9回実施しているオーナー会議です。各オーナーは、「こうしたら店舗経営が上手くいった」という成功体験や、「こんなことをしたら顧客が離れていった」といった失敗体験を持ち寄り共有しています。
そして アースHDでは、退職したスタッフに手紙を出し、退職した理由は何か、店長や店舗の運営、他のスタッフとの人間関係、給料などに不満があったかどうかについてアンケート調査を実施しています。オーナー会議の場で、その結果も報告することで経営者は、「スタッフは店舗に対して何を求めていて、どんな不満や不安を抱いた時に退職するのか」を理解できるようになっています。 更に 國分社長は、全国の全店舗を毎年 必ず1回は、抜き打ちで訪問し、そこで何か気づいた事があれば、「良い情報」も「悪い情報」も含めて、LINEで100人のオーナーに一斉に発信しています。
フランチャイズで成功している企業は沢山ありますが、それらの企業に共通しているものは、独立の基準を理念に共感しているかどうかで判断するところだと思っています。 居酒屋の「鳥貴族さん」では、これをカムレードチェーンと呼び、一般的なフランチャイズチェーンよりも強固なビジネスパートナーとしての関係性を確保することを目的とされています。経営理念に共感し成長を共にすることに同意 頂いた加盟店オーナーをカムレード(Comrade=同志)と称し、相互に意見の交換・提案を行っている展開方法ですが、アースHDがされていることも全く同じ事だと思います。
■3.「周りが認める独立の条件設定!」 *「フランチャイズオーナー」になれる条件(店長として)… ◆1.オーナーになるという情熱があるか? 〇.休み無しで3年間 頑張れるか(例え) ◆2.売上・利益の「実績」を積んでいるか? ◆3.お金を管理出来るか? 〇.個人で700万円集められるか? ◆4.人を育てられるか?(一番重要) 〇.自分の右腕を創れるか ◆5.既存オーナーから8割の推薦を貰えるか? 〇.経営は良い時も、悪い時も、あるが最終的には、人間性で 悪い時に助けて貰える可愛げのある人が、経営に向いてる
*スタッフが独立を希望した際に、その人物が経営者としの「資質」があるのか、適性を見極めることが重要。 その審査に当たって重視しているのが、まず「お客さんの方を向いて仕事をしているか」。 「美容室の役割は、お客さんをキレイにして、喜んで帰って頂くこと」だと言われています。
ここが、経営のベースのはずなのに、経営者になった途端に、利益を上げることが最優先になってしまう人が出るそうです。お客さんが望んでもいない「過剰なサービス」を押しつけたり、人気美容師の予約を過剰に入れることで、売上を上げようとする人がでます。こうした姿勢は、お客さんに すぐ伝わり、店から離れていきます。利益を最優先する経営者には、スタッフもついて行かなくなります。幾ら一人の美容師としては、優秀だとしても、自分に続く人材を育てることが出来ないと、店舗を拡大させていくことは出来ません。
また、自分の「お金」を管理できない人は、店舗のお金も管理も出来ないという判断です。 自力で700万円を用意できないような人は、経営を始めても失敗するケースが多いと言います。事実、過去 全額を借りて独立した人は、わずか1年で経営を下りる事になったそうです。 このオーナーが経営した店舗は、1年間ずっと赤字でした。アースHDでは、新たに独立する人に対しては「黒字店」を譲ることになっていますので、本来ならば「赤字」にならないのです。
■4.「若者に夢を与える目標設定!」 *國分社長の年収は「3億円」。 「フェラーリ」「豪邸」「鴨川の別荘」ところが、その派手なイメージとは裏腹に、実際の暮らしぶりは"質素"だそうです。 國分社長 曰わく… 「フェラーリを持っているけど、めったに乗らないし、オフィスには毎日電車で通勤している」「食事は一日1食で、缶ジュース1本すら買わず、飲み物は会社のお茶で済ましている」 それでも高級車を持ち、豪邸を建てたのは、若いスタッフに「自分もがんばって成功すれば、こんなプール付きの家に住めるかもしれない」という夢を抱いて欲しいと言われています。 *自分の為でなく、社員に夢を見せる為という社長は、本当にかっこいいです!
國分社長が、社会的な成功を収めながらも、意外にも"質素"な生活を続けている理由が、「これで一安心」という安堵感を一度も持ったことがないからだそうです。それどころか、「いつ会社が潰れてもおかしくない」という危機感を常に持っておられます。
また、國分社長は、「美容師という仕事をもっと夢のある職業にしたい」という思いがあります。この業界は、美容師志望の若者が激減していて、専門学校の中には定員の確保に汲々としている所が少なくないと言います。その要因として、「美容師になった後の、その先が見えないからではないか」と言われています。
だから…
國分社長は、「フェラーリを持っている経営者を10人つくる」という目標を掲げています。
ーーー ◎と言うことで… アースHDさんが成長し続けている理由は、「國分社長」の"人間力"、そのものだと思いました。美容業界という"ファッショナブル"なイメージとは裏腹に、國分社長からは地道な努力が随所に見え隠れしました。何だか暇あれば休みたいと思う自分は、情けなくも感じてしまいました。 プール付きの豪邸やフェラーリなどが印象的で少々派手なイメージでしたが、実際は福島県から上京し純朴な青年の面影を残された、とても謙虚な社長で、本当にカッコいいと思いました!
しかし 今後が、気がかりなのは、60歳の國分社長が、65歳で社長の座を退かれ、「100人のオーナー」の中から後継者を選ばれると思いますが、カリスマ経営者の後の方は、本当に「キツい」し、「ツラい」と思います。 カリスマ経営者がいる、どの業界、どの会社も、同様の課題を抱えていると思います。 *國分社長の「今」の一番の悩み事だとお察しします。
更に、タイムリーな話題で言うと… 美容業界は「新型コロナウイルス」の影響を最も受けている業界と言われています。 今年の3、4、5月は平均して40%ほど売上が下がっており、都心部は状況が さらに厳しく80%ほど落ち込んでいるそうです。そんな中、各業界では、常連顧客がいるかどうか、つまり 顧客が「コミュニティ化」しているかが生き残りの差になってくるはずです。
私個人的は、コロナ影響下で お客さまが来店できない状況下にあっても、定額制にして常にチャット形式で、例えばダメージヘアの相談や、Live配信でヘアケアの勉強会など、行ってくれると、お客さまも離れられなくなると思いました。
また、やはりアースHDは凄いです! 株式会社ミラーロイドさんが製造・販売する「スマートミラー」を日本で先駆けて扱うそうです。 「スマートミラー」とは、店舗の鏡をスマートミラー(Android OSを搭載した鏡)にしたものです。鏡に内蔵されたカメラで撮影した顔を映し出し、簡単な操作で「ボリューム」「カラー」「長さ」など自在に髪型のシミュレーションが行えます。 所謂 バーチャルで色々 髪型を試せるということです。 これにより… ●1.今までの美容室にないエンターテインメント空間の創出。 ●2.顧客とのコミュニケーションのミスマッチ防止。 ●3.カウンセリング時間を短縮することが可能。 と、画期的な商品である事は、勿論のこと、まさに Withコロナ時代に於いて、患者との「接触時間」を短縮できるということです。
今後のアースホールディングスさんが楽しみです!
ーーー ◎最後に若手なりにC.I.について一言いわせて頂くとしたら… 國分社長の想いは理解した上で、失礼ながら「企業理念」と「経営理念」の整理が出来ていないと感じています。本当に 勿体ないと感じます! ◆「企業理念 /Corporate Philosophy」 *取り組む事業を通して、企業が目指す不変的な想い(あるべき姿/成し遂げるゴール) ◆「経営理念 /Management Philosophy」 *事業ビジョンを実現する為の経営方針/社内向けの言葉(社員との約束)
こんなにも想いのある「國分社長」だからこそ、次の代替わりのタイミングで、この事業を通して目指す世界観を「言語化」して残される事をお勧めします。 一度 コンカンが提唱するC.I.と、御社のC.I.を照らし合わせて頂けると有り難いです。 *concanが考えるC.I.とは? https://www.concan.co.jp/post/topics-ci
長くなりましたが、以上です。
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