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【若手社員が勝手に"イケてる企業のC.I.を切る"!】「第80回:株式会社 カネカ」

今日は 若手社員の私が、成長している企業のC.I.を紹介します。遠いアフリカの国で成功した準化学メーカーです。

第80回は、アフリカの女性向け頭髪装飾商品市場を育成し急成長した「株式会社カネカ」です。





【企業概要】

*「カネカ」は東京に本社を構える準化学メーカーです。化成品、機能性樹脂、発泡樹脂製品、食品、ライフサイエンス、エレクトロニクス、合成繊維といった幅広い分野で世の中に新素材を提供し、皆様の生活を支えます。会社の売上は「2,797億円(2021年3月期)」となっていて比較的大きな企業です。そんな「カネカ」は、総合的な化学メーカーと言えますが、この成長のきっかけとなったのが、アフリカの女性向けの「頭髪装飾商品」です。具体的には、かつら(ウィッグ)やつけ毛(エクステ)です。

このような 頭髪装飾商品市場は、世界の合成繊維需要の1%にも及びませんが、「カネカ」はこの分野で世界市場シェア40%、今後も成長が期待されるアフリカ市場で60%のシェアを有しています。髪を長く伸ばすことが難しい毛質であることが多いアフリカの女性にとって、頭髪装飾商品は身近なおしゃれの手段で、世界の頭髪装飾商品需要の50%がアフリカで消費されています。

特にサハラ砂漠以南の諸国の黒人女性は、縮れ毛で髪が伸びにくくセットもしづらいため、カラフルな布で頭を飾ったり、付け毛をつけたりしておしゃれを楽しんでいます。特に若い世代では、手軽にヘアスタイルを変えられる付け毛が人気で、ファッションに敏感なナイジェリアの都市部などでは、若い女性の半数以上が付け毛を編んだりしています。

繊維メーカーである「カネカ」は、自らは頭髪装飾商品を製造していませんが、世界の髪型の流行などをアフリカの美容院に広めたり、そのような製品の企画を頭髪装飾商品メーカーに提案することで、市場を育成してきました。


【頭髪装飾商品に目をつけたきっかけ】

*「カネカ」がアフリカに着目したのは、今から30年以上も前のことです。1980年代前半に「カネカ」の営業マンが出張先の米国で、セネガルから来た商人が付け毛を大量に買い付ける姿を見掛けたのが"きっかけ"です。当初は その営業マンも、当時まだ 貧しかったアフリカに「頭髪装飾商品」の需要があるということに半信半疑でした。その為、わざわざ 実際にアフリカを回って一定の需要があることを確認しに行きました。すると 驚いたことに、アフリカでは先進国以上に頭髪装飾を楽しんでいたのです。そこで 取引のあった海外の頭髪品メーカーと協力し、現地での市場開拓に乗り出しました。

とは言え 当時のアフリカはまだ貧困の時代であり、値段が高いカネカロンの製品はさっぱり売れませんでした。直ぐに諦める訳にもいかず、「カネカ」の社員が自ら製品を抱えて小売店回りをしたり、素材の改良を重ねるなど地道な努力を続けたが、それでも普及が進みませんでした。当然「もうアフリカには見切りをつけた方がいい。」社内からも撤退を促す声が相次ぎました。

ところが、2000年代半ば辺りになると、風向きが大きく変わり、目に見えて販売が伸び始めたのです。原油や鉱物資源の市況高騰で、アフリカ諸国にも巨額の資源マネーが流入したことがきっかけです。経済発展で個人の所得水準も上がり、より多くの女性が付け毛でおしゃれを楽しむようになったのです。そして それまで高くて買えなかったカネカロン製品にも手が届くようになりました。

ここから「カネカ」のアフリカでの躍進に繋がりました。


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それでは ここで、「株式会社 カネカ」の、"イケてるC.I."の一部を紹介します。

【企業理念】

●「人と、技術の創造的融合により未来を切り拓く価値を共創し、地球環境とゆたかな暮らしに貢献します。」


【目指す企業像】

●「もっと、驚く、みらいへ。」

◯1.未来をつなぐ研究開発型企業として、創意と情熱を持ち、市場ニーズを先取りした事業創造・新製品開発を行い、地球環境とゆたかな暮らしに貢献します。

◯2.世界をつなぐ多様な人材がグローバルに活躍し、新興国を含めた世界の市場で存在感のある、真のグローバル企業を目指します。

◯3.価値をつなぐカネカグループとしての一体感を大切にし、お互いに協力し、ともに価値創造と事業展開に取り組みます。

◯4.革新をつなぐ組織の壁や従来のやり方にとらわれず、社内外の知恵を融合し、絶えず革新に向けてチャレンジしていきます。

◯5.人をつなぐカネカグループの成長の源泉は「人」にあると考え、人の成長を大切にしてイノベーションを実現します。


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【若手なりの成長理由 分析】

ここからは、若手なりに「株式会社 カネカ」の成長理由を、仮説ですが "3つ"上げさせて頂きます。

先ず、結論からいうと…

◆1.「マーケティングの上手さ!」

◆2.「マーケティングだけに頼らない、品質への拘り!」

◆3.「社外にまで及ぶ 人材教育!」

の"3つ"です。それでは、1つずつ見ていきます。


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◆1.「マーケティングの上手さ!」

*まず何といっても、まだまだ未知の大陸であった「アフリカ」で、「頭髪装飾商品」に絞ったことが何よりの戦略だと思います。その結果、世界の頭髪装飾商品市場の40%、アフリカ市場の60%のシェアを取ることに成功しました。そして この市場リーチを活かし、様々な情報を収集しています。特に 頭髪装飾商品の装着率をスタイル別にカウントして集めた情報を解析し、独自の市場分析を行い、戦略に反映させました。その為 美容院よりも消費者ニーズを理解していて、その情報を美容院にまで提供しています。


*そして「カネカ」の上手かった点は、流行しているヘアスタイルを「頭髪装飾商品化し、直接のユーザーではなく、アフリカの美容師に紹介したことです。この結果 従来の商品よりも付加価値の高い商品として位置づけることに成功しました。

また 塩化ビニル繊維での商品化については、「カネカ」は後発でしたが、膨大な情報を分析し、魅力的なスタイルや色の頭髪装飾商品を「カネカ」が試作、市場で紹介し、美容師や消費者から指定買いの動きが増えました。現在 アフリカ市場における塩化ビニル繊維市場のシェアは50%にまで成長しています。消費者の選択に影響力を持つ美容院を巻き込んだマーケティング手法として、2010年からナイジェリアでヘアーショーを開催したり、美容師は「カネカ」商品を使用して技を競い合わせたりと、間接的な仕掛けを行うことで、付加価値の高い商品と認識して貰うことに成功しています。


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◆2.「マーケティングだけに頼らない、品質への拘り!」

*「カネカ」の素晴らしい点は、品質にも妥協しないところです。「カネカ」では安全性に懸念がある非難燃性の素材は扱っていません。実は 繊維を難燃性にするのは技術的難易度が高く、コストも高くなりますが、全ての製品は難燃性を貫いています。ただ これでは、価格の高騰で中々 販売実績を伸ばせない為、付加価値をつけることで値頃感を演出しています。例えば、女性にニーズのあるナチュラルな風合いを持つ外観や触感に加え、汚れにくく 且つ 速乾性の繊維を開発したりしています。これは 中間所得層が増え、ライフスタイルが変化することで、泳ぐことをレジャーに取り入れる女性が増えたことに対応した商品です。他にも、ヘアアイロンで作るスタイルが簡単に固着する難燃性耐熱ポリエステルを使った簡易ヘアスタイルセットの提案など、様々なTPOに合わせたおしゃれを普及させています。


*「カネカ」が品質にこだわる理由は、品質自体が差別化要因となると考えているからです。現地工場の品質と生産性改善のために、生産現場の工程分析や環境整備を支援し、生産現場の社員への教育まで提供しています。更には リーダー候補のローカル社員を性別関係なく日本に招待して、品質管理や繊維の基本を教育しています。このような結果、製品価格はドル換算で1~1.5ドル/個となり、韓国や中国繊維メーカーの合繊を用いた競合品と比べて倍近い値段になっていますが、難燃性なので安心して火を使った料理ができるなど、品質の高さと使いやすさが人気の理由となっています。


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◆3.「社外にまで及ぶ 人材教育!」

*品質だけなく、人材教育内容も幅広いものとなっています。繊維特性、語学、マーケティングはもとより、頭髪装飾商品生産機器の構造、美容院や頭髪装飾商品工場での実習、市場観察のOJTなど、かなりの投資を行っています。美容師もしくは美容業のキャリアを持つ人材を採用したり、社員に美容師免許取得を促してもいます。営業担当者は商品開発グループで最低1か月の研修を行い、なんと最終的に頭髪装飾商品を自ら試作まで行っています。逆も然りで、技術者もマーケティングの基礎知識を学んでいます。


*更に 現地の美容師に対しては、正しい品質の見極め方や新しいスタイリング方法の教育セミナー、スタイリングコンテストを開催しています。現地工場のリーダー候補者を日本に招き、品質管理など生産現場管理の基本や繊維特性の教育を行っています。このような結果、例えば ケニアの工場では、1年間で生産性が24%向上、不良率は30%低減しました。この工場は、頭髪装飾商品メーカーの模範工場として、同社の持つ他国の工場を指導しています。特に近隣のウガンダやタンザニアの工場は、ケニア工場に刺激を受け、品質管理の向上に積極的に取り組んで、切磋琢磨する関係が出来上がっています。そして このような関係を崩さないために、工場の取引先を増さない方針を貫いています。新たな取引先を増やせば販売数量は増えますが、品質へのこだわりやスタイル提案による市場創造などの事業方針が共有できないのです。


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◎と言うことで…

「カネカさん」について調べましたが、1980年代前半というアフリカ諸国が まだ独立後の混乱期にある中で、アフリカに目をつけたこと。そして 「頭髪装飾商品」というニッチな分野に特化したことが全てだと思います。そんな中での、戦略の一貫性を感じます。先ず 第一に、「商品の安全性へのこだわり」です。「カネカ」は、市場で非難燃性の繊維が最も売れていた時でも、非難燃性繊維を扱ったことがありません。

そして 今までコストダウン戦略も行っていません。確かに 値下げすればある程度の販売数は確保できますが、長期的に見れば衰退の始まりと考えています。その為、差別化された商品を開発し、高収益事業を創りだすことへ拘ってきました。これは言うのは簡単ですが、実行するのは相当な忍耐力と、目指すべき方向性がしっかりと共有されている証拠と言えます。

ーーー ◯それでは 最後に、C.I.について、若手なりに一言いわせて頂くと… 総合化学メーカーとして、グローバル 且つ 幅広い事業を想定した視点でC.I,を創られています。まさに会社のプライドを感じます。しかし 一方で、頭髪装飾商品で成長した企業であり、ここに寄ったC.I.に見直すこともありだと思います。その場合だと、この事業を分社化するなどを検討する必要もあると思いますが。ただ あまりにも幅広い意味を有するC.I.だと、一般消費者からも中々 覚えてもらえないと感じてしまいました。勿論 これは、企業が目指すべき方向性であり答えはありませんが、この機会にC.I.の再定義を考えてみることも大切だと思いました。 本当に、若手が生意気ばかり言って、申し訳ございません。 出来れば、あくまで参考程度にですが、コンカンが提唱するC.I.と、御社のC.I.を、一度 照らし合わせて頂けると有り難いです。 *concanが考えるC.I.とは? https://www.concan.co.jp/post/topics-ci 長くなりましたが、以上です。

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