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株式会社コンカン

【若手社員が勝手に"イケてる企業のC.I.を切る"!】「第77回:ピジョン 株式会社」

今日は 若手社員の私が、成長している企業のC.I.を紹介します。ニッチな市場で、圧倒的に成長している企業です。

第77回は、国際的にニーズが均一な0か月から18か月の赤ちゃん用品に特化し、高いシェア商品を幾つも持っている「ピジョン 株式会社」です。




【会社概要】

「ピジョン」は、赤ちゃん用品を製造販売している企業です。東京都に本社を構え、従業員「3,886名」、売上高「930億80百万円」を超える成長企業です。

そんな「ピジョン」では、特に「哺乳関連用品」を中心としたベビーケア用品を扱っていることが特徴です。哺乳器、哺乳びん洗剤、トレーニングカップ、 母乳パッド、ベビースキンケア、ベビー用おしりふきなどでいずれも国内1位の市場シェアを持っています。赤ちゃんの哺乳活動の研究に基づいた製品開発と、病院での母親への支援活動で、顧客からの信頼を構築しています。海外からも支持を得ていて、中国、アメリカ、ドイツなどでも高い市場シェアを誇っています。

「ピジョン」が中心に据え、研究開発費や販売促進費を投入する哺乳器は、単価が数百円〜 2,000円ほどと、ベビー・ママ用品市場に於いては、市場規模が小さな市場です。調べてみると、乳幼児一人当たりの平均育児支出は「18,196円/月」ですが、哺乳器が含まれる「授乳・離乳 食器関係」の商品カテゴリーに対する支出は「343円/月」しかありません。このニッチ市場でトップシェアを取りながら成長しています。

※「ピジョン」名称の由来:ピジョンとは日本語で「鳩」という意味です。赤ちゃんの幸せを願い、1951年 平和で豊かな社会であってほしいという願いのもと、平和のシンボルである「ピジョン(鳩)」と名付けられました。

「ピジョン」は 1949年に、母乳を与えることが困難なお母さんのために、赤ちゃんにとってお母さんのおっぱいに近い哺乳瓶を開発するために「仲田 祐一氏」が創業しました。 1957年法人化して「株式会社 ピジョン」と改名され、ベビー用品総合を扱うメーカーとして発展していきました。現在では「哺乳関連用品」を中心にしながらも、ボディソープやシャンプーなどのスキンケア用品・赤ちゃん用食具などの離乳食関連用品・ベビーフードや飲料・ベビーカー・医薬品と幅広く揃え、取扱いアイテムは1,500を超えています。

【ベビー市場の規模】

2020年のベビー用品・関連サービスの市場規模は「4兆3,120億円」と推計されています。しかし この数年はインバウンド(訪日外国人客)需要やEC経由での海外販売の増加によって市場拡大するケースも散見されていましたが、近年は中国需要の減少、さらにはコロナ禍における外出向け商品の需要縮小によって、厳しい市場環境下にあります。特に「ピジョン」が強みを持つ「哺乳器」の市場規模は、推定300億円くらいと言われていて、かなり小さな市場で戦っていることが伺えます。

日本における出生数も、1973年の200万人をピークとして低下、2014年には約 100 万人となりました。「ピジョン」は 2000年以降、海外進出を強化、収益性を維持しつつ成長を実現していると言えます。

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それでは ここで、「ピジョン 株式会社」の、"イケてるC.I."の一部を紹介します。

【社是】

●「愛のこもった製品・サービスを生むのは、愛の心のみ」

これからの世界人類にとって究極的に何が最も大切かと問われれば、それは、「人が人を大切にする心」、すなわち「愛」だと思います。私たちピジョングループは、赤ちゃん、子供、そして、手助けが必要な方々に製品・サービスを提供している企業体です。その活動の中で、「愛の心」がなければ、決して「愛のこもった製品・サービス」は、生み出せません。それは、かわいいわが子を育てる母が持つ「愛の心」と同様のものです。そして、「愛の心」こそ、私たち全社員の業務遂行上の原点であり、ピジョングループの事業のあり方を象徴的に表す言葉だと確信しています。

*経営理念を端的に表現したもので、各人が仕事をする際にいつも大切にし、同時に振り返るためのもの

【経営理念】

●「愛」

*強く信じる経営の根本の考え

【ビジョン】

●世界中の赤ちゃんとご家族に最も信頼される育児用品メーカー “Global Number One”

*目指す理想の状態、到達したい姿

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【若手なりの成長理由 分析】

ここからは、若手なりに「ピジョン 株式会社」の成長理由を、仮説ですが "3つ"上げさせて頂きます。

先ず、結論からいうと…

◆1.「ターゲットを絞り、ニッチ市場でシェアを拡大している点!」

◆2.「商品を売らないという、マーケティングの上手さ!」

◆3.「理論に基づいた商品開発で、他社よりも高く販売できる点!」

の"3つ"です。それでは、1つずつ見ていきます。

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◆1.「ターゲットを絞り、ニッチ市場でシェアを拡大している点!」

*「ピジョン」のターゲットは、「0か月から18か月の赤ちゃん」と、その「お母さん」に絞っています。この月齢の赤ちゃんは、口腔内の形状や哺乳の動作など、哺乳に関わる事柄は、人種を問わず世界共通であり、市場別に製品を大きく変える必要がないので、他の国の市場への展開ができます。また「0か月から18か月」は赤ちゃんが急速に発育する時期でもあり、商品によっては、成長段階に応じて細かくステップアップする商品対応が必要になるので、買い替え需要も期待できます。

そして「ピジョン」はターゲットを絞っているからこそ、そのターゲットに対しては、徹底的な研究に基づいた製品差異化を行っています。「ピジョン」では、哺乳の分野で研究論文を2007年以降に18本、そのほかの分野で2007年以降に34本も出しています。競合は、哺乳分野では、研究論文はほとんど出していないのが現状で、いかに「ピジョン」が本気で研究開発をしているのかが伺えます。

*逆にいうと「ピジョン」では、「18か月以上の赤ちゃん」をターゲットとしていません。何故なら「18か月を超えた赤ちゃん」は、自我が芽生え、言葉を話しだし、自分の好みなどもできて来て、文化、習慣、社会の影響を受け始め、共通の製品では満たせないニーズが増大することで、使用者の満足度も下がってしまうからです。また 粉ミルク市場やベビー服市場など他の大きな市場にも参入していません。哺乳器と親和性が高く、市場規模が大きいが、研究開発による製品差異化という基本方針が活きないうえ、国によって嗜好が異なるからです。

「ピジョン」はターゲットを絞り、その市場内では他社がやらないようなレベルでの研究開発を行うことで、その市場のシェアを拡大しています。

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◆2.「商品を売らないという、マーケティングの上手さ!」

*「ピジョン」は、哺乳器を病院、産院で使ってもらうことで、認知と信頼を構築しています。現在 日本国内の病院や産院の、何と「8割」が「ピジョン製品」を使用しています。小売りの店頭では、哺乳器を中心に、哺乳関連商品(洗剤や洗浄ブラシなど)、スキンケア商品、母乳関連商品やおしゃぶりなどでピジョン製品のコーナーを形成し、販売促進につなげている。他にも 出産前の女性を対象とした「おっぱいカレッジ」、妊娠準備期の女性を対象とした「働く女性の妊トレ女子会」などの講習会を「年間27回」開催し、合計「1,600 人」の潜在的顧客とのコミュニケーションの場を創造しています。また、医療従事者向けセミナーを「年間11回」開催し、「1,200名」の参加を得ています。そして、商品以外の相談にも乗っています。こうした顧客とのダイレクト・コミュニケーションを取っていく中で、直接 商品をアピールしなくても、接触頻度が増える度に、自然と「ピジョン」の商品に慣れ親しんでいくのです。

*2002年に進出した「中国」では、病院や産院での哺乳器の普及活動が困難だったため、哺乳器の普及ではなく、母乳育児の普及を目的として、母乳育児のアドバイザーとして病院、産院にアプローチしました。中国各省の最も大きな病院には「母乳育児相談室」を開設 し、相談員を駐在させ、母親への育児相談を提供したのです。そして これらの病院では、「ピジョン」の商品展示や、母乳育児啓蒙ポスターに「ピジョン」のロゴを入れたり、 認知向上のための取り組みを行いました。こうやって、徐々に病院における母親への認知向上と信頼構築を行って行きました。

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◆3.「理論に基づいた商品開発で、他社よりも高く販売できる点!」

*「ピジョン」の商品は他社製品に比べて、小売りの店頭価格で2割〜5割ほど高いことが特徴です。何故なら「ピジョン」は、育児の「お困りごと」を見出し、解決することを提供価値とし、その解決方法は理論に基づき、他社にはできないことだから高く販売できます。前述したとおり、ニッチ市場で戦っているからこそ人的リソースを、存分に研究に費やせています。

*例えば 60年に渡って研究し、2010年に発売開始された「母乳実感」という商品は大きな話題となりました。赤ちゃんが哺乳器から飲み始める際に、お母さんのおっぱいと違うと感じて、哺乳器を拒否することがあります。また 逆に、哺乳器から飲んでいた赤ちゃんが、お母さんのおっぱいを拒否することもあります。これを「乳頭混乱」と呼び、2割ほどの赤ちゃんがこの反応を示すそうです。「ピジョン」の哺乳器は、もっともおっぱいの機能に近く、赤ちゃんが「乳頭混乱」を起こしにくいという評判があります。特に 赤ちゃんの哺乳運動が、「吸着 (ぱくっと咥える)」、「吸てつ(舌をうねらせるように動かし母乳を引き出す)」、「嚥下(呼吸をしながらごっくんと飲み込む)」の3つの部分からなる「哺乳三原則」を発見し、それに基づいて開発されたのが「母乳実感」です。赤ちゃんの舌のうねらせる動きに合わせて形状を柔軟に変化させるので、お母さんのおっぱいから飲んでいる感覚に近く、赤ちゃんが「乳頭混乱」を起こしにくくなっています。授乳や育児に忙しい中、「後で買い直すかもしれないくらいなら、多少 高くても『ピジョン』の哺乳器を買っておこう」という母親は多く存在しているのです。

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◎と言うことで…

「ピジョン 株式会社さん」について調べましたが、シンプルな戦略だからこそ学べることが多くありました。一貫してニッチ市場に絞り、そのニッチ市場で膨大な研究開発費を投資しながら、不動の地位を築いています。しかも そのターゲットも、「生後18ヶ月までの赤ちゃん」に絞っています。このポイントは「18ヶ月」だということです。これは、理論に基づいて導かれた数字です。何故なら、前述したように「生後18ヶ月」までは、人間は言語を持ちません。「言語」が無いということは「文化」が無いということです。この段階では、本当に良いほ哺乳瓶を作れば、世界中どこへ持っていっても、相手の文化に関わらず、必ず良いと思って貰えるのです。反対に「18ヶ月」を過ぎると言葉が出てきて、文化や生活スタイル、宗教、親子関係、食べ物といった違いが関わってきます。こうなると作り手が良いと思ってコストをかけて作り込んでも、お客さまが良いと思うかは分からないのです。つまり、ものづくり・商品開発にかける大変なコストがグローバルに報われるのが、「生後18ヶ月」までのマーケットであり、このような戦略的な位置取りがつながって、利益が出ているのだと思います。

ここで 大事なことは、ターゲットを絞りつつ、何故 その市場範囲にしたのかを、明確に言語化し、ストーリー化することが大切なのだと思います。ここまで来ると、職人レベルだと思います。

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◯それでは 最後に、C.I.について、若者なりに一言いわせて頂くと…

*「愛」を製品やサービスの形にして提供することによって、世界中の赤ちゃんとご家族に喜び、幸せ、感動をもたらす為に、「ピジョン」は 企業活動していることがはっきりとしています。そして 積極的な研究開発にそのことが反映されていると思います。そして それを実現する為に、「強く信じる経営の根本の考え」と定義した「経営理念」があり、先ずは 社員に「愛」を約束しています。お客さまに「愛」を届けるのと同等かそれ以上に、社員にも「愛」を注ぐことを約束しています。

従業員は「Pigeon Way」という「ピジョン」の指針を纏めたものを、実際に仕事にどう生かしたかを半期ごとにレポートとして提出しているそうです。そして 全社員が集まる社員大会で共有したり、ホームページで公表したりしています。納得するC.I.があり、社員全員に浸透していることが「ピジョン」の一貫した戦略に繋がっているのだと思います。

本当に、若手が生意気なことばかり言って、申し訳ございません。

出来れば、あくまで参考程度にですが、コンカンが提唱するC.I.と、御社のC.I.を、一度 照らし合わせて頂けると有り難いです。

*concanが考えるC.I.とは?

長くなりましたが、以上です。

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