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株式会社コンカン

【若手社員が勝手に"イケてる企業のC.I.を切る"!】「第49回:株式会社 きものブレイン」

今日は 若手社員の私が、成長している企業のC.I.を紹介します。「普段の暮らしに、もっと、"きもの"を。」をキャッチフレーズに、地方から挑戦を続ける企業です。

第49回は、日本文化である「きもの」のトータルケアから企画製造、そして 新しいファッションの創造まで、全てを 一貫して行っている「株式会社 きものブレイン」です。





【会社概要】

*「 きものブレイン」は本社を 新潟県に構え、「きもの」縫製から修正まで、「きもの」に関わる全ての加工に携わっています。扱っている「きもの」の数は、なんと 年間「約48万点」で、売上高「22億7,300万円(2020年)」、従業員「274名(内 障害者32名)」です。特徴は、ベトナムにも子会社を設立し、約500人体制で縫製を行っており、一着ごとに お客さまの要望を聞き、すべて 仕様が異なる縫製を、非常に高度な技術で仕上げている点です。


【企業ヒストリー】

*「きものブレイン」代表の「岡元氏」が生まれた新潟県十日町市は、京都と並ぶ「きもの」の産地です。呉服店や織物メーカーに囲まれて暮らし、「岡元氏」自身も当たり前のように「きものブレイン」の前身となる「きもの」販売事業を、1976年にスタートさせました。「岡元氏」が、27歳の時です。

しかし 「きもの」を販売するのはいいが、「きもの」のクリーニングは難しく、トラブルも多いのが現状で、お客さまからアフターケアの相談が非常に多くありました。それに 応えて、1983年から新たな事業を展開します。それが、今まで分業化されていた職人の技を集結し、「きもの」をきれいに修正する「アフターケア事業」です。

今でこそ「きもの」のアフターケアの概念は業界に定着していますが、1980年代の「きもの」業界は「販売店は売ったら、売りっぱなし」、「消費者は 汚れのついたまま『きもの』を保管するのが当たり前」の時代でした。「きものブレイン」は、「きもの」業界の風雲児とも言えます。


その後も「きものブレイン」は活躍を続け、「きもの」を汚れから守るガード加工に5年間無料アフターケアを付けた「しあわせガード」を開発し、非常に大きな反響を呼びました。今では、たんすの中に眠っている「きもの」の再利用を行う「リサイクルきもの」、そして 着付けの悩みを解消し、もっと気軽に3分で「きもの」を着られるように考えた「簡単着装仕立て」などを開発・展開しています。


また 「きものブレイン」では、地球環境にやさしい企業を目指しています。その証拠に、人に 地球に優しい業界唯一(特許取得済)の洗える絹の"きもの"・長襦袢「ふるるん」の開発に成功し、そのことが評価され伝統技術の応用部門に於いて「ものづくり日本大賞」経済産業大臣賞を受賞しました。

他にも障害者雇用を積極的に行うなど、利潤だけを追求しない経営スタイルの結果、「日本で一番大切にしたい会社」にも選ばれている凄い会社です。


【「きもの」業界について】

*皆さんの想像通り、「きもの」業界は非常に厳しい立場にあります。2020年の着物小売市場規模は「2,780億円」でした(矢野経済研究所)。2007年には「4000億円」近くあったものの、現在は物凄いペースで市場が縮小しています。

更に、2020年の新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、卒業式、入学式などの中止。花火大会、夏祭りの中止、延期による浴衣市場への打撃、結婚式の延期・中止などで、「きもの」業界も多大に影響受けていて、最も厳しい状況下にあります。


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それでは、そんな「きもの」業界に於いて、新しい発想を次々と取り入れ成長を続けている「株式会社 きものブレイン」の、"イケてるC.I."の一部を紹介します。

【ミッション】

全社員の物心両面の幸福(しあわせ)を追求する。

日本文化である伝統産業の「きもの」の発展に寄与すると共に、

障害者雇用を通じて社会に貢献する。


【経営理念】

きものを愛する人の幸せを想い、

きものの幸せを考え、

人間性を磨き 技術を磨いて

地域に誇れる企業を創る。


【行動理念 四つのアクト】

1.私達は心を込めて お客様に奉仕します。

2.私達は物心ともに 豊かさと幸せを創造します。

3.私達は仕事に人生に チャレンジします。

4.私達は地域社会に 貢献します。

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【若手なりの成長理由 分析】

先ず「きものブレイン」の、一番の成長理由を若手なりに、一つ上げさせて頂くとしたら…

●「お客さまを"想い"、アフターケアの必要性を訴え続けた点!」です。

*「岡元氏」は、若いながらも「金儲けだけではなく、お客さまに 本当に喜ばれる仕事をしたい。」と考えてたそうです。その時に、人々がもっと安心して気軽に「きもの」を着ることができ、最高の状態のまま末長く楽しめるように、新しいシステムを創ることが必要だと考えました。そこで、1983年に「きもの」のアフターケアサービスを開始。職人、技術者を集めて、シミ取りなどを請負いました。先に述べた通り、今でこそ「きもの」のアフターケアの概念は業界に定着していますが、1980年代の「きもの」業界は「販売店は売ったら、売りっぱなし」の時代でした。

このアフターケアサービスは、お客さまから直ぐに好評を得て"口コミ"が広がり、ほどなくして近県から注文が舞い込むようになります。

「これは間違いなくニーズがある!」そう確信を得て、「岡元氏」は 販路を広げるべく、5年かけて全国200社以上の呉服店を訪問してアフターケアの必要性を訴えて回りました。しかし お客さまの反応とは正反対に、販売業者からは全く理解を得られなかったのです。「アフターケアより新しい『きもの』を売る、そんな時代。『アフターケアなんて辛気くさい』」と言われ続けたそうです。

しかし「岡元氏」の凄いところは、同業者から反発されればされるほど、「使命感」に燃えたところです。「お客さまは、こんなに喜んでいる」。しかも、世界を見渡して10万円以上の商品を販売してアフターケアが希薄なのは「きもの」業界だけ、という事実もありました。


*しかし 信念だけではビジネスは続かず、加工部門は5年間ずっと赤字続きでした。銀行からの融資も厳しくなり、あと1年で黒字にならければ加工部門は撤退となった時に、奇跡が起ききました。「バブル経済」が崩壊して、高い「きもの」をただ売っていればいいという業界の風潮は一転したのです。呉服店の売り上げが 一気に半分以下に落ち込み、危機感をもった全国の呉服店関係者から「アフターケアに取り組みたい、見学だけでもさせてほしい」と問い合わせが殺到しました。これが、呉服小売市場にアフターケアが定着した"きっかけ"であり、「きものブレイン」の時代の訪れとなりました。

この「岡元氏」の、折れない心が凄いです。


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それでは ここからは、更に若手なりに「きものブレイン」の成長理由を、仮説ですが "3つ"挙げさせて頂きます。

◆1.「業界初の『一貫加工』のビジネスモデルを確立させた点!」

*従来の「きもの」業界では、消費者が「きもの」を発注してから手元に届くまでには「平均60日」の納期を要していました。勿論 これは、どんなお客さまにとっても長い期間と感じてしまいます。「きもの」を着たいときに購入しても、すぐに着ることが出来ない状況です。当時は、呉服店が お客さまから発注を受けてから、湯のし、湯通し、紋入れ、修正、ガード加工、仕立てなどの工程を別々の業者 又は 職人に発注していたので、手間やコストが掛かっていました。

そこで「きものブレイン」では、お客さまから注文をワンストップで受注し、一貫加工するビジネスモデルを確立しました。その結果、納期は「25日」に短縮し、併せて 加工コストも平均30%削減し、価格も下げることが出来るようになったのです。

この「きもの」の発注から納品までの工程の大幅な改善も、全ては「岡元氏」がお客さまのことを想って実現できたことです。

「岡元氏」によると、一貫加工・ワンストップのサービスを始めた当時、他社で同様のビジネスモデルを行っていた事業者は無かったそうです。


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◆2.「様々なイノベーションに挑んでいる点!」

*「きものブレイン」は次々に新たな挑戦を行っています。例えば、「きもの保管・収納サービス」です。お客さまの「きものの保管の仕方が分からない」、「保管場所がない」といった、「きもの」の所有自体に負担を感じているという声を受けて開発・実現した新サービスです。「きものブレイン」で預かり保管している「きもの」は、24時間365日、適切に湿度管理され、お客さまは"スマホ"でいつでも保管状況の画像を閲覧することができます。更に、"スマホ"や"パソコン"で、いつでも配送指示をすることもでき、例えば 北海道で結婚式があれば、指定の日・場所へメールで配送指示が出来ます。しかも、その外出先から返却することも出来るので、人気のサービスになっています。

他にも、20代・30代の若年層の需要開拓の為に、インターネットを活用した新たなサービスも開発しています。「きもの」の着せ替えアプリの開発や、ECサイトを構築なども行っています。更に 実際に「きもの文化村」を創り、着用体験などの若年層が「きもの」に手軽に触れることが出来る機会を創出しています。


*また 先に述べた通り「きものブレイン」では、業界初の「ガード加工」を開発しました。「ガード加工」とは、「きもの」に汚れがつき難くする加工のことです。このサービスは、「きもの」を着る人がアフターケアで染み抜きをする度に数万円掛かっているという声を受けて、開発した加工です。当時は、ガード加工に反対する呉服店もあり、ガード加工の実施率は7~8%に過ぎませんでしたが、今では ガード加工の必要性が認知されることとなり、「きもの」の8割にガード加工が行われています。


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◆3.「イノベーションを支える為の、組織のダイバーシティを大事にしている点!」

*「きものブレイン」の組織運営の特徴は、女性、障害者、外国人を活用した「ダイバーシティ・マネジメント」です。女性を積極的に活用し、生産工場をベトナムのホーチミンに置いて外国人の活用をおこない、更に 障害者雇用も積極的に行っています。この取り組みによって経済産業省の「ダイバーシティ経営100選」にも選出されています。業界の職人の平均年齢が60代後半と言われる中、なんと「きものブレイン」の平均年齢は「約37歳」となっています。


*障害者雇用については、現在は27名を雇用していて、社員の1割が障害者です。「岡元氏」は、障害者の雇用に際しては、特性に加え 本人の特徴や性格も理解し、どのような業務に向くかは、一人一人に色々な業務を試して、適材適所を見極めるそうです。そんな「岡元氏」は、どんな障害があろうとも人材育成に於いて、「磨き方を工夫して磨けば必ず光る」との信念があります。「障害者に、気持ちよく 仕事をして貰うには、どうすればよいのか?」を常に 考えています。障害者にとって働き易く、作業のし易い環境を追求し、生まれた業務プロセスは、そのまま 健常者にとっても 効率性の高いプロセスであり、且つ 誰でもミスや間違いなく 業務を行うプロセスの発見にもなっているのです。寧ろ 一般の社員が、障害者の仕事に対する一途さに勇気づけられ、工場の一体感や仕事への「使命感」の醸成にも繋がっています。

人を教育する時は、小さな役割から与え、自信をつけさせつつ 抜擢していくのが「岡元氏」の"やり方"です。例えば、小集団活動の委員長を任せたり、イベントの幹事や司会を経験させるようなところからの地道な人材育成を行っています。

こんな、人情深い「岡元氏」がいること自体が、企業の強みだと思います。


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◎と言うことで…

*「きものブレイン」の凄さの源泉は、全て「岡元氏」の"器"だと思いました。正直、カッコ良すぎます。「岡元氏」の発想は、全て お客さまの視点から「きもの」の不便を解消するところから始まっています。しかも 中途半端ではなく、"本気"を感じます。

例えば「アフターケアサービス」もある意味で、業界に於けるタブーを冒しているはずです。それでも お客さまを想い続け、実現されることが凄いです。所謂、"本気"でお客さまと向き合い、「きものファンを増やし、きものを着る機会を増やし、きもの文化を守りたい」という"信念"を感じました。

また 一方では、ちょっと古臭く感じてしまう「きもの」業界に於いて、インターネットも使いながら 新たなサービスを構築する「柔らかさ」に、凄さを感じました。その基にあるのは、若い人材や外国人を受け入れられる「岡元氏」の"器"だと思いました。「真逆の分野と掛け算し、アイディアを作り出す!」こんな発想が、とても 勉強になりました。


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●それでは 最後に、C.I.について、若手なりに一言いわせて頂くと…

率直に、「きものブレイン」さんは日本の「きもの」産業を引っ張る企業として、もっと 日本全体というスケール感でミッションを言語化して頂きたいと思いました。

例えば、日本の「きものの常識を変え、日本文化の常識までも変え、結果 文化を超えた日本の素晴らしさを世界に発信する。」などです。

また 以前から変わっていないC.I.ということで、少し若者受けがし難い表現だと思いました。勿論 若者受けすることが正しいことではありませんが、「きものブレイン」さんの強みである組織のダイバーシティを 更に 高めるには、この機に 伝統ある産業でありながらも、若者にも刺さり易いC.I.を掲げるのも一つだと思いました。このような伝統と革新の融合自体が「きものブレイン」さんらしさだと思います。

若者が生意気ばかり言って、すみません。。。


出来れば、コンカンが提唱するC.I.と、御社のC.I.を一度 照らし合わせて頂けると有り難いです。

*concanが考えるC.I.とは?

本当に、若手が生意気言って、申し訳ございません。

長くなりましたが、以上です。

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