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【若手社員が勝手に"イケてる企業のC.I.を切る"!】「第46回:株式会社 串カツ田中」

今日は 若手社員の私が、成長している企業のC.I.を紹介します。串カツを「伝統的なB級グルメ」と呼び、全国にチェーン展開している企業です。

第46回は、料理の世界で 職人抜きでも運営できる『店舗』を志向し、また 価格帯も低く設定することで、高級路線ではなく、ファミリー層の開拓で急成長した「株式会社 串カツ田中」です。




【会社概要】

「串カツ田中」は2008年12月に、東京 世田谷にて創業した「串カツ専門居酒屋」です。串カツの販売をメインに、今や全国に273店舗を構えています。店名ともなっている「田中」というのは、現在の副社長である「田中 洋江氏」から取られていて、田中氏の父親である「故・田中 勇吉氏」が大阪市西成区で営んでいた串カツ店の秘伝のレシピを元にメニューを開発したことから、「串カツ田中」になりました。

当初は、東京を中心とした店舗展開を行っていましたが、今では全国チェーン展開を指向し、串カツの本場である大阪にも出店を果たしました。2017年には、創業から わずか10年で売上「55億円」となり、その2年後の2019年には、なんと「100億円」を超え、コロナ前までは 破竹の勢いで急成長してきた企業です。


【社長ヒストリー】

現社長の「貫氏」は、元々は トヨタ自動車のサラリーマンでした。その頃からイベントを企画するのが好きだったそうで、バーベキューに『100人ぐらい』連れて行ったり、スノーボードに『50人ぐらい』連れて行ったりしていたそうです。この時が凄く楽しくて「サービス業がいいな!」と思い、これが飲食業を始める"きっかけ"となりました。早速 27歳で脱サラし、大阪で『ショットバー』を始めた「貫氏」でしたが、全然 売れず、食べていくのに必死でした。安易な発想で「ビールとかウイスキーを注ぐくらいなら、プロが入れても僕が入れても味は一緒かな?」と思って始めたそうで、カクテルも本を見て作るような状態でした。

その後、東京の表参道に高級懐石料理店を出店します。これも 決して 一貫性があった訳でなく、何となく売れそうぐらいの思いで始めました。当然 売れるはずもなく、加えて「リーマンショック」も重なってしまい、この時の借金が「7,000万円」にも膨らんでいき、現金が半年も持たない状況に追い込まれました。


そんな逆境の中、転機を齎したのが、現女性副社長の「田中 洋江氏」です。串カツ文化が盛んな大阪の西成出身の「田中氏」は、以前から「串カツ」のお店を経営したいと思っていて、ここまで「田中氏」が「串カツ」にこだわったのは、彼女自身が父の手作り串カツを食べて育ってきたからです。串カツを試作するうちに、「田中氏」の父親が書き残していたソースと串カツのレシピを実家で発見したのです。「貫氏」は「この秘伝のレシピで、串カツ店をオープンしてみたい!」と「田中氏」に伝え、既に亡くなってしまった「田中氏」の父親に敬意を払い、店名を「串カツ田中」として、串カツ専門店をオープンするに至ったのです。

当時の「貫氏」は 決して戦略家でなく、どちらかと言うと、思ったことを 直ぐに行動してしまうタイプでした。その分 失敗も多くしましたが、今では 飲食業界で注目される人物とまでなられています。


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それでは、そんな急成長をしてきた「株式会社 串カツ田中」の"イケてるC.I."の、ほんの一部を紹介します。

【企業理念】

串カツ田中の串カツで、一人でも多くの笑顔を生むことにより、社会貢献し、全従業員の物心両面の幸福を追求する。


【ビジョン】

1,000店体制を構築し、串カツ田中の串カツを 日本を代表する食文化とすること


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【若手なりの成長理由 分析】

ここからは、若手なりに「串カツ田中」の成長理由を、仮説ですが "3つ"挙げさせて頂きます。

それでは…

◆1.「ファミリー層をターゲットに、『ファミリー居酒屋』という新しい業態を作った点!」

*居酒屋が短命で終わる理由の一つに、「親から子へ(客層を)引き継げないから」というものがあります。その点 「串カツ田中」では、コンセプトを「親子で行ける居酒屋」と位置付け、子持ちのファミリーをターゲットにしています。そのため、子ども向けメニューも充実させ、小学生以下の子どもはソフトクリームが無料、ジャンケンに勝ったらジュース無料、子どもがいる家族には たこ焼き無料などがあります。また 一口サイズの串カツにライスやサラダが載った「お子さまプレート」などのほか、食育ビラを配置するなど子ども向けコンテンツも展開します。このような取り組みは、子どもから「親と一緒に楽しんだ場所」として認知され、大人になっても飲みに来て貰えるのです。


*「串カツ田中」では、ファミリー層の来店を促す為に、今では 全席禁煙にしています。居酒屋の禁煙化の流れは他店でもありますが、実は 客離れが止まらず、その後に 禁煙を撤回しているパターンが殆どです。こうした店と「串カツ田中」の違いとして、ターゲット層と全席禁煙の施策が合致しているという点が挙げられます。実際の結果として、「会社員・男性」グループの来店割合は「約7%」減少しましたが、禁煙を好感したファミリー客の来店割合は「約7%」増加しました。特に、小学生の子どもを連れた家族客の増加が顕著に現れました。全店禁煙の取り組みは「ファミリーで使える居酒屋」という「串カツ田中」のイメージに大きく貢献することになったのです。


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◆2.「ターゲットに合わせた、出店戦略!」

*一般的な居酒屋の戦略として、駅前や郊外への「ドミナント出店」があります。しかし「串カツ田中」では、真逆の出店戦略を取っています。それは「全く出店していない地域の住宅街」への出店です。駐輪場やスーパー、バス通りなど、近隣住民が 毎日利用する場所に出店することで、家族連れやシニア層などの認知度が上がります。そうした層を意識して、休日は 開店時間を昼の12時程度まで早めたりするなど、ファミリーでの利用がし易い取り組みを進めています。

他の「メリット」としては、勿論 経営コストに於ける家賃比率が少なくて済むことがあります。大手居酒屋チェーンが出店する駅前や繁華街の家賃比率は「12%前後」と言われていますが、「串カツ田中」は「10%以下」です。その分を食材の原価に回して高品質化・高価値化が出来るのです。


*実は その他にも、競合が少ないなどの「メリット」が幾つかありますが、何より「アルバイトを集め易い」というのもあります。今や居酒屋の倒産理由の一つに、人材不足があります。特に「働き方」の規制により、居酒屋でのアルバイトに対して良い印象を持っていない人が増えているのが現状です。その点 住宅街へ出店している「串カツ田中」では、人材確保に関しての競合も少なく、比較的安易にアルバイトを確保することが出来るのです。


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◆3.「理念への強い拘り!」

*「串カツ田中」が大切にしているものに「理念」があります。最初に創ったのは、「お客様の笑顔をひとりでも多く生むことにより、利益を得、全従業員の物心両面の幸福を追求する」というもので、そのため、3店舗目を出す頃には完全週休二日制を導入したり、労働時間の短縮や慰安旅行も取り入れていました。実は、これは 飲食業では かなり珍しいことです。社長自信、理念を浸透させる為には「先ずは、掲げた理念に社長自身が惚れ込むしかありません。嘘偽りなく向かうこと」と述べられています。いくら綺麗事を言っても、本当に心の底から思っていないとスタッフには絶対に"バレる"という危機感さえあるそうです。その結果、そんな社長を見て、スタッフにも 徐々に理念が広がっていくのです。


*また 社員さんには、理念をより深く伝える為に、手元に残る封書で「手紙」を出しています。理念の内容を、例え話にしたり別の言葉に言い変えたりしながら、伝えているのです。これを 毎月、正社員とアルバイト全員に送っているので、1回で「1,000通」にもなります。理念を浸透させるということは、同時に自分が理念を貫き続ける根性が必要です。送っている手紙も、スタッフから反応があるか否かは気にせずに、一方的にでもいいから送り続けることが大事だと思って、このような取り組みをされています。

実は、今まで「串カツ田中」と全く同じ商品を"マネ"されたりしたそうです。しかし その殆どが、直ぐに潰れていったそうです。居酒屋という一般消費者に身近であればある程、我慢比べの要素も必要となり、その為には「理念」への拘りが、他店との差になるのです。



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◎ここまで、「串カツ田中」さんを分析しましたが…

決して 物凄い画期的な差別化要素がある訳ではないと思いますが、「理念」や「戦略」が明確で、それを社長自身が体現されいていることが全てだと思いました。決して 特別なことではないと思います。勿論 現実は、それほど 単純ではないと思いますが、重要なのは、一歩一歩 進めていく姿勢だと思います。7,000万円の借金から始まった「貫社長」だからこそ、それを バネにして、ここまで成長できたのだと思いました。


また「串カツ田中」は、このコロナ禍で、面白い取り組みをされています。それは、『串カツ』を揚げる「卓上フライヤー」の販売です。価格1万円の商品ですが、告知を開始して、なんと「約5分」で完売しました。今 現在は販売を開始して8ヶ月が経ちましたが、「約8,000セット」が売れているそうです。ここで 私が凄いと思ったのは、「目的と手段の明確化」です。串カツを お店で食べて貰うのは手段でしかありません。その点、コロナ禍で原点に戻り「串カツを お店で食べて貰う」ではなく、「串カツを食べて、喜んでもらう」という定義の見直しをされたことが凄いです。私だったら「どうやって、『串カツ』を売るか?」しか考えられなかったと思います。

「卓上フライヤー」を先に販売してしまうことで、そのお客さまに対して「具材の定期購入」や「太りにくい油」を促すなど、新たなビジネスを構築できると思いました。例えば、この際に同時に「通販サイト」も立ち上げて、「卓上フライヤー」の側面に通販サイトに直接 飛べる「QRコード」を貼ったりすると、より 消費者からの売上が見込めると思いました。

適当なことを言って、すみません。。。


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●それでは 最後に、C.I.について、若手なりに 一言いわせて頂くと…

「企業理念」を実現する為の「ビジョン」があり、そして 今回は記載していませんが、現場での行動を明確に記した「行動指針」の棲み分けが凄いです。

*あくまで「社会貢献と全従業員の物心両面の幸福を追求」の為に、串カツを販売すること

*しかし やるなら「串カツ」を日本を代表する食文化にすること

*その為に、現場の社員さんの『やるべきこと』が明確になっています。

また「ビジョン」に「1,000店舗」という具体的な数値目標が記載されていて、貪欲な姿勢を強く感じました。今では 社内講師による「串カツ田中アカデミー」で、50以上の講座を展開しながら、「理念浸透」を図られています。ここまで、飲食店で『C.I.』に拘られている企業は少ないと思いました。

今後は、海外展開も推し進ていくということで、「串カツ田中」さんの今後の活躍が楽しみです!


また 出来れば、コンカンが提唱するC.I.と、御社のC.I.を一度 照らし合わせて頂けると有り難いです。

*concanが考えるC.I.とは?

https://www.concan.co.jp/post/topics-ci

本当に、若手が生意気言って、申し訳ございません。

長くなりましたが、以上です。

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