今日は 若手社員の私が、成長している企業のC.I.を紹介します。「ちゃんぽん店」と言えば、このお店を思い出す人も多いはずです。
第42回は、全国に「長崎ちゃんぽん リンガーハット」の店舗運営を行っている「株式会社 リンガーハット」です。
【企業概要&ヒストリー】
リンガーハットは、東京都品川区に本社を、長崎県長崎市に本店を置き、店舗数「694店舗」、正社員「644名」と、全国に「ちゃんぽん専門店」を構える一大チェーン企業です。売上高「469億(2019年度)」となっており、コロナ前までは成長している飲食チェーンの代表格でしたが、「コロナ禍」に於ける2020年は、対前期比28.0%減という結果になりました。
リンガーハットの、最も注目すべき点は日本生産性本部 サービス産業生産性協議会が実施している日本最大級の顧客満足度調査(飲食チェーン部門)に於いて、3年連続で1位を獲得している点です。社員の教育に力を入れている飲食チェーンです。
そんな リンガーハットは、1962年に長崎にて創業されました。「米濵 豪氏」(創業者)を中心に、その三男の「昭英氏」、四男の「和英氏」(現名誉会長)の手によって、「とんかつ専門店」として始まりました。
1974年、現在の「リンガーハット」の原型となる「長崎ちゃんめん」を長崎市宿町に開店し、70年代の外食産業急成長の波に乗り破竹の勢いで出店攻勢をかけ、九州地方で一気に その地位を確立することになります。
1977年には「リンガーハット」に名前を改め、1号店を福岡県にオープンし、その2年後の1979年には 関東進出を果たします。首都圏1号店となる「リンガーハット大宮バイパス与野店」を埼玉県に開店します。ここで「長崎ちゃんぽん」の名を一躍 全国区に押し上げました。
1985年(昭和60年)には、リンガーハット100号店目となる福岡大橋店を開店し、同年10月「福岡証券取引所」に株式を上場しました。 以降 全国各地に店舗数を増やし続けています。
間も無く 創業60周年を迎え、外食チェーンとしては歴史ある企業です。
余談ですが…
【長崎ちゃんぽんの歴史】
長崎は鎖国時代に 日本で唯一開かれていた港として、独自の文化を発展させてきました。中でも「ちゃんぽん」は、当時 深く関わりがあった中国の影響を受けて生み出された料理と言われています。「ちゃんぽん」の誕生には、色々な説がありますが、明治時代に長崎の中華料理店の「四海楼」で誕生したとする説が有力と言われています。世話好きの店主が食べ盛りの中国人留学生のため、安くて栄養たっぷりな料理をと考えたメニューが、たちまち 長崎の中華街に広まったそうです。こういして、「長崎ちゃんぽん」という名の下、全国に広まっていきました。
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それでは、そんな「株式会社 リンガーハット」の"イケてるC.I."を紹介します。
【経営理念】
「全てのお客さまに楽しい食事のひとときを心と技術でつくるリンガーハット」
リンガーハットは お客さまが「食」される商品を提供しています。その「食」は おいしく健康的で、更に「安全」「安心」でなければなりません。
私たちは、五つの実践訓を掲げ、「専門店としてお客さまから信頼され、社員が誇りを持って働く企業になる」ための基本として行動します。
【五つの実践訓】
一、私たちは健康的で高品質な商品を手頃な価格で提供します。
一、私たちは「お客さまの声」を心開いてお聞きし、改善に努めます。
一、私たちはよろこびのある職場をつくり、ゆとりと豊かさを追求します。
一、私たちは自然と環境を大切にして、地域の皆様に愛される店づくりをします。
一、私たちは世界、日本、郷土の「味の文化」を発掘し、発展させます。
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【若手なりの成長理由分析】
それでは、若手なりに「株式会社 リンガーハット」の成長理由を分析させて頂きます。
先ず「株式会社 リンガーハット」の成長理由を一言でいうと…
●「敢えて、参入障壁の高い分野に進出している点!」です。
*実は、リンガーハットには、これと言った競合チェーンが存在しません。その大きな理由としては、実は「ちゃんぽん」というメニューは、ラーメンなどと異なり参入障壁が高いのです。先ず 挙げられるのは「多くの野菜を使用する」ということです。リンガーハットの「ちゃんぽん」は多くの野菜を使用している点で、顧客から支持を得ていますが、野菜は 天候不順などの影響を受け易く、年間を通じて安定した原料確保を行うのが難しいという背景があります。こうした中で、リンガーハットは「694店舗」の全国チェーンという利点を生かして、日本全国の農家と契約を結び、天候不順などによる仕入れ価格高騰リスクを軽減しています。更には、契約農家との長年の取り組みの中で、通常より大きなサイズのキャベツを開発・生産するなど、原材料の質とコストの両面で他チェーンがマネできないようなことも行っているのです。
更に、店舗だけではなく 本部の「セントラルキッチン」にも独自に開発した大型設備を多数導入しています。これらは、多くの野菜を使う上で複雑な設計を必要とされ、他社が簡単にマネできるものではありません。
このように、参入障壁の高い分野に於いて「安定的な原材料調達力」と「生産性の高いオペレーション」の2つの理由が、リンガーハットの強みとなっています。
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それでは、更に「株式会社 リンガーハット」の成長理由を、若手なりに"3つ"上げさせて頂きます。
◆1.「メインターゲットを明確にしている点!」
*リンガーハットのメインターゲットは、「子連れの主婦」です。その為 このターゲットに来店して貰えるように「安心・安全」の取り組みを強化しています。メニューや公式Webサイトなどで大きく「国産化」「保存料・合成着色料不使用」「契約農家」を掲げています。例えば、野菜や麺・餃子に使用する小麦粉は、なんと「100%国産」となっています。野菜に関しては、契約農家と連携し、農薬や化学肥料を減らした契約栽培を行っています。公式Webサイトでは「今月のキャベツ農家」として、契約農家さんが紹介されています。小さな子どもを連れた母親は特に「食の安全・安心」に対する意識が高いです。こうしたターゲットに対して「食の安心・安全」にしっかり取り組んでいることを、Webサイトや店頭でPRしているのです。
*リンガーハットは、ショッピングセンター内にあるフードコートへの出店を強化し続けてきました。何故なら ショッピングセンターこそ「子連れの主婦」が多いからです。例え ショッピングセンターに出せないとしたら、駅中など「子連れの主婦」が通り易い場所に決めて、出店を行っています。
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◆2.「ターゲットを絞った上で、ポジショニングを明確にしている点!」
*リンガーハットと言えば、「麺増量無料サービス」です。主力商品である「長崎ちゃんぽん」に関しては、麺増量を無料としています。こうしたサービスは「お腹いっぱい食べたい!」というお客さまから大きな支持を得ています。更に「低糖質麺への変更」「にんにく不使用の餃子」といった女性客に配慮したメニュー、又は「ちびっこセットメニュー」のラインナップ強化による子ども向けサービスも重視しています。近年では「健康志向」の高まりもあり、メニューに野菜の使用量を掲載することで「野菜がたくさん食べられるお店」というイメージも植え付けています。
このように、いくらターゲットを絞っただけでは、他社との差別化は出来ません。大事なのは、お客さまに お店のイメージを植え付け、ポジションをどう確立させるかなのです。リンガーハットは、このようなサービスをすることで「沢山 食べられるお店」「健康的なお店」というイメージを植え付けているのです。
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◆3.「顧客の声に向き合う姿勢を貫いている点!」
*リンガーハットの公式Webサイトでは、顧客からの意見に関する特設ページを設けています。ここでは 質問例などを多数掲載していて、オープンな場で顧客の疑問や不満に真摯に対応しています。公式Webサイト上で回答できる「お客さまアンケート」が設置されており、回答者全員に当たるクーポンまでも発行しています。更に、回答者の中から 毎月抽選で食事券をプレゼントする取り組みも行っています。
実は、回答する時に「どこの店舗で」「何を」「いつ購入したのか」という情報まで本部側で全て集計できるようになっています。それは、一括の集計データとして、改善すべきところを、一つずつ細かく管理できる仕組みになっているのです。何となく 業務改善をするのではなく、明確に問題を発見できる仕組みが、リンガーハットにはあるのです。
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◎と言うことで…
リンガーハットさんと言えば、私にとっては「野菜たっぷり ちゃんぽん」です。あの量の野菜をお手頃な価格で食べられることもあり、家の近くの店舗によく行っています。
ただ 一つ お願いがあるとすれば、もう少しメニューの更新頻度を上げて頂きたいです。実は 頻繁に行く分、飽きてしまいがちです。そんなにメニュー数も多くない中で、メニューの更新頻度が上がると 嬉しいです!
外食産業という広い目で見ると、今年 2月時点での外食売上高(全店ベース)は前年同月比22.3%減となり、12ヶ月連続のマイナスとなっています。国民のコロナへの認識・恐怖感が薄まりつつある中でも、飲食業界が コロナ前に戻ることは 難しいと言われています。つまり コロナで離れた お客さまを追うだけでは困難だと言うことだと思います。やはり デリバリ―に力を入れるなどして、新しい取り組みが必要になるのだと思います。
また 若手の私から少しだけ"違和感"を感じる点を述べさせて頂くとしたら、「今後 ちゃんぽんの枠を超えた野菜中心メニューの開発を行い、ちゃんぽん専門店からの拡大を視野に入れられている点」です。若年層、特に女性が1人でも入りやすい店舗や、将来的な顧客確保のため、ファミリー層にも利用し易い店舗を展開することが理由だそうです。しかし リンガーハットさんのお客さんは、リンガーハットさんの「ちゃんぽん」が好きだから行っているのだと思います。その点「ちゃんぽん専門店」には拘り続けるべきであり、ちゃんぽん以外の分野には、他ブランドとして展開する方がいい気がしました!生意気を言ってすみません。。。
私自身もリンガーハットさんが大好きなので、応援し続けたいと思います!
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●それでは 最後に、C.I.について 若手なりに一言いわせて頂くと…
創業以来続いているC.I.と言うことで、言葉からも"力強さ"と"歴史"を感じます。特に「五つの実践訓」については、しっかり現場で実践されていて、これが強みになっていることも 色々 調べることで理解できました。掲げるだけでなく、実行されている点が何より凄いと思いました。ただ 敢えて若手なりに一言いわせて頂くとしたら、「何のために、どこに向かっているのか?」が分かりづらい気がしました。所謂 リンガーハットさんが創り上げたい「世界観」であり「ゴール」です。ここを言語化することで、一般消費者から 共感を得られ易くなり、リンガーハットさん自体のファンになって貰える可能性もあると思いました。コンカンでは、このことを「企業理念」と表現しています。
出来れば、コンカンが提唱するC.I.と、御社のC.I.を一度 照らし合わせて頂けると有り難いです。
*concanが考えるC.I.とは?
本当に、若手が生意気言って、申し訳ございません。
長くなりましたが、以上です。
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