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【若手社員が勝手に"イケてる企業のC.I.を切る"!】「第38回:株式会社 キングジム」

今日は 若手社員の私が、成長している企業のC.I.を紹介します。誰もが一度は使ったことがあるオフィス文具を開発・製造している会社です。

第38回は、多くの独創的商品を開発することで有名な『事務ファイル』で国内第1位、他 事務用品でも 圧倒的シェアを誇る「株式会社 キングジム」です。





「キングジム」は、常識を覆す商品開発に挑戦し続けていて、オフィス文具の分野で、数々の「ファイリング用品」や「電子文具」など、新しいスタイルで常に業界を席巻してきた企業です。本社を東京に構え、従業員「400名(2020年)、売上「254億2,180万円(2020年)」と、オフィス文具を専門に成長してきた企業です。そして この企業の凄さは、他社にはない「企業文化」があることです。これについては、後ほど説明させて頂きます。

創業は 1927年で、当時の店名は「名鑑堂」でした。これは 最初の販売商品が「特許人名簿」と「印鑑簿」であったことから、それを売る店という意味で名乗ったものです。そして 1961年に、現在の「キングジム」という社名に変更します。これは「キング事務用品」を短くした名称で、いつか「事務用品の王様を目指す」という意気込みから「キング」を冠した「キング事務用品」から「キングジム」となりました。因みに 当初は「ボクシングジム」と間違えられることもよくあったそうです。私も 同じ様に勘違いしました。


そんな「キングジム」ですが…

圧倒的な強さを誇るキングジムには、『2本柱』商品があります。

●一つ目が…

市場シェア「約71%」を誇る「キングファイル」です。延べ5億冊以上の販売実績を誇るキングファイルは 日本中のオフィスに、日常的にファイルを使うという習慣を定着させました。


●二つ目が…

市場シェア「約61%」を誇る「テプラ」です。テプラは 持ち物への名前表示や、駅や店舗でのメッセージ表示など多くの場所で使われていて、ラベルによるコミュニケーションという文化を創造しました。


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それでは、そんな 独創的な商品で成長をし続けてきた「キングジム」の"イケてるC.I."を紹介します。

【経営理念】

「独創的な商品を開発し、新たな文化の創造をもって社会に貢献する」


【行動指針】

「見つめよう市場・見なおそう慣行・見つけよう新発想」

●「顧客に対して」

商品 および サービスは、十分な顧客満足を果たさなければならない。新商品開発は、市場開拓型の独創的な企画を追求しなければならない。その品質は顧客の求める水準に維持され、かつ 適正な価格でなければならない。

●「社員に対して」

社員の個性を尊重した能力開発とともに、自由闊達な提案や意見具申ができるなど、能力を生かせる職場環境を保たなければならない。待遇は能力と実績に応じ、公正 かつ 適正なものでなければならない。

●「株主に対して」

常に株主の信頼と理解を得られるよう、情報を積極的に開示しなければならない。企業価値の増大と株主への利益還元に努めなければならない。コーポレートガバナンスを強化し、公正 かつ 透明性の高い経営を行わなければならない。

●「社会に対して」

商品は、文化の向上に貢献できるものでなければならない。社内のコンプライアンス体制を整備し、社会の一員としての意識とモラルを持たなければならない。商品と企業活動を通して、常に環境と資源の保護に努めなければならない。


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【若手なりの成長理由分析】

それでは、若手なりに「株式会社 キングジム」の成長理由を分析させて頂きます。

「株式会社 キングジム」の一番の成長理由は…

●「機能を絞ってターゲットを明確化している点」です。

*キングジムと言えば、今までは「ファイル」と「テプラ」でお馴染みの会社でしたが、2008年の「ポメラ(デジタルメモ機)」発売をきっかけに、デジタル文具やガジェットのラインナップを拡大し、その殆どが大きな注目を集めています。それなのに、ヒットしているばかりか、競合品も殆ど出てこないのがキングジムの凄さです。そこには 他社には、中々 真似できない「キングジム」ならではといえる商品開発の「法則」があります。それが 殆どの商品が「単機能」であるということです。例えば「ポメラ」は、文字入力「ピットレック」は名刺管理などです。実は これは、多機能を前提に商品を開発する現在の電機メーカーとは明らかに「やり方」が違うのです。「単機能」ということは、機能は 勿論のこと ターゲットを絞った結果でとも言えます。それには、「万人受けする商品よりも、ターゲットや機能を絞り込み、深い満足を与えることがでる商品の方が、一定の評価を得られる」という、キングジムならではの考えが

あるからです。


しかし、これこそ「言うは易く行うは難し」だと思います。

そこで 上記に付随する形で、成長理由を若手なりに、更に「3つ」取り上げ、深堀りしていきます。

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◆1.「マーケティングをしない点!」です。

*「世の中にない市場を調査する意味はない」これは、キングジムの考え方です。キングジムでは、商品開発にあたり、市場調査などは全く行っていません。その理由は単純で「世の中にないものを創造する時に、市場調査で欲しいかどうか聞いても分かるはずがないから」です。そんなことをする「時間」と「金」があったら、「早く作って 発売したほうがいい」という考えがあり、「オリジナリティの高い商品を、スピーディーに提供すること」を重視しています。


*商品化の判断基準は基本的に、「100人に1人の『絶対買う』という強い意見を持ったエンドユーザーが見えていること」だそうです。日本の人口が「1億人」なので、それでも「100万人」の欲しい人がいるのです。そして 仮に売れずに失敗した場合、原因が性能や作り込み不足にあれば開発者の責任になりますが、ユーザーが少ないことに原因があれば開発にゴーサインを出した経営陣の責任になるというルールがあります。これは つまり、開発者は市場性の見誤りに対しての責任を問われないので、ターゲットに向けての商品の作り込みに専念できる環境があるということなのです。


*ただ 情報が溢れる現代にあって、マーケティングに頼らないで商品を作るには、ネタを見つける「工夫」や「独自の着眼点」が不可欠なはずです。そこで キングジムが、「ネタ探し」に生かしているものの1つが、「身の回りに目を向けること」です。具体的には、多機能な電子機器から魅力的だと思った機能をピックアップして、「専用機」として文具的に開発する、といったことです。実は 現在の世の中には、「多機能」すぎて 逆に使い辛い商品で溢れているのです。


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◆2.「『枯れた技術』しか使わない点!」です。

*「価格が下がるところまで下がり、技術的な進歩も望めないものを使い倒す」というのもキングジムの考え方です。代表的なのが「ポメラ(デジタルメモ)」に、モノクロ液晶ディスプレイを採用したことです。この理由は、対極にある最新のホットな技術を使った商品は、モデルチェンジのサイクルが早く、価格競争にもなるので、体力に勝る大手メーカーの方が有利になるからです。そんな分野でキングジムが勝負を挑んでも、勝てる見込みはありません。しかし、枯れた技術を使えば、性能や価格が熟れているため、寧ろ 競争にもならないために負けることもなく、完成度も高いので 品質上の問題も起き難いのです。

最新技術を使った電子文具の開発案件が持ち込まれることも多々あるそうですが、こうした案件は断っているそうです。何故なら、大手メーカーと同じ戦略、同じ土俵で戦っても、勝てないからです。

いやー、この発想には驚きました!


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◆3.「「柔軟な組織体制と若手社員の活用している点!」です。

*キングジムでは、各グループの有志が集まって共同で商品開発したりと、誰が 何の商品を開発するという規約はありません。

こうした 柔軟な組織体制によって生まれたのが、「ショットノート(メモ専用電子機器)」という商品です。そもそも「ショットノート」は、文具好きが自主的に集まって開催していたアイデア出しのミーティングに参加していたメンバーが発案したものだそうです。

「ショットノート」の開発担当は20代の若手社員で、これに限らず キングジムでは 現在、入社2~5年ほどの若手社員が開発の主力として活躍しています。理系よりも文系出身者の方が圧倒的に多く、"感性"を重視していることでも有名な企業です。若手開発者は、商品開発の成功がメディアへの露出に繋がることや、機能とターゲットを絞り込み深く作り込む開発手法が評価されることを学び、後に続こうと意欲的に働いていて、その様子を見るために 多くの企業が見学に行っているそうです。

「若手社員たちの新しく豊かな"感性"があれば、今後も開発のネタは尽きない。」これは、現社長の考え方の一つです。単機能のユニークな商品を出すというキングジムの「らしさ」の確立が、日々 行われる環境が用意されているのです。


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◎と言うことで…

キングジムさんは、一般的な企業と真逆の戦略をされていて、「こういうやり方もあるのか!」と思いました。特に ターゲットを絞って、更に 機能まで絞る発想が凄いです。多機能性よりも、本当に消費者の困りごとを解決しているのかという軸で考えられているのだと思います。そして それが消費者満足度にも繋がっているのだと思います。まさに「九回三振しても良いから、ホームランを一本打て」という会社だと思うのと同時に、中小企業の生き残りの鑑みたいな会社だと思いました!

新たな視点を頂き、とても 勉強になりました。


また キングジムさんの一番のヒット商品が「ジムファイル」ということですが、私の実体験として一つ開発して頂きたい商品があります。それは、「どこにどのファイルを保管しているのか」が一発で分かるアプリなどがあると、嬉しいです。実は、前職時に貿易の事務関係の仕事をしていました。その時には、莫大な「資料数(500ファイル/年間)」を扱うにも関わらず、過去の資料との照らし合わせ作業があり、ファイルを探すだけで、かなりの時間を浪費していたのを覚えています。しかも 法律上 保管義務があり、監査局から5年前のファイルを急に請求されることも よくありました。こういう時に、直ぐに 探しているファイルが 何処にあるのかが分かると嬉しいです。

勿論 敢えて『枯れた技術』を使われているキングジムさんだと、戦略に合わないかも知れませんが。。。


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●それでは 最後に、C.I.について、若手なりに一言いわせて頂くと…

「独創的」という言葉があるように、C.I.自体がキングジムさんの戦略を表していると思いましたし、そのことを実行し 成長させていることが凄いと思います。

更には「行動指針」の「見つめよう市場 見なおそう慣行 見つけよう新発想」という言葉が、「経営理念」と上手くリンクしていて、考えが一貫されていることが伺えます。

ただ 敢えて 一言いわせて頂くとしたら、「新たな文化の創造」の「文化」という言葉に引っかかりました。事務用品を開発し、そのユーザーの課題を解決することが、どう「文化の創造」につながるのかが想像出来ませんでした。恐らく 社長の頭の中に、「文化」の定義があると思いますが、この辺りを言語化すると更に『存在意義』が明確になり、共感を得やすくなると感じました。

生意気ばかり言って、すみません。。。


また 実は、コンカンとは「経営理念」の捉え方が違う部分もありましたので、 出来れば、コンカンが提唱するC.I.と、御社のC.I.を一度 照らし合わせて頂けると有り難いです。

*concanが考えるC.I.とは?

https://www.concan.co.jp/post/topics-ci

本当に、若手が生意気言って、申し訳ございません。

長くなりましたが、以上です。

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