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【若手社員が勝手に"イケてる企業のC.I.を切る"!】「第34回:カイハラ 株式会社」

今日は 若手社員の私が、成長している企業のC.I.を紹介します。日本が世界に誇る『老舗企業』です。

国産デニム生地のパイオニア企業として広島県 福山市から、世界に進出している「カイハラ 株式会社」です。




【会社概要&ヒストリー】

「カイハラ」は、広島県 福山市に本社を構え、従業員「716名」(2020年11月)、売上高「141億円」(2019年度)を超える『老舗企業』です。創業は1893年で、創業時は手織りの藍染絣を製造する小さな機屋(はたや)でした。戦後の日本に洋装が入ってくるまで、「絣」は衣服のもっとも一般的な素材だったため、物資不足にさいなまれる中でも、事業は順調に拡大していたそうです。

しかし、1941年に始まった太平洋戦争で糸の配給は止められ、1950年代後半頃から、絣の需要は急激に冷え込み 一気に経営難に陥りました。更に、1967年には 円高不況により、倒産の危機に陥ります。この時に3代目社長の「貝原 定治氏」が、「デニム製造」への思い切った事業転換を行いました。当時はベトナム戦争をめぐって、世界各国で大規模な反戦運動が起こっていた時期で、「デニム素材」のジーンズは若者たちの平和の象徴でした。日本でも反戦運動や学生運動は活発化し、地面に座って抗議活動をする上で、破けることのない丈夫なジーンズは、使い勝手のいい服だったのです。

そこで、カイハラは「ジーンズはこれからの新しい服飾文化になる」と考え、ここに社運を賭けようと大きく舵を切ったのです。そして これが、功を奏することになります。日本で 初めて「紡績→染色→織布→整理加工」というデニムの一貫生産体制を確立させ、「メイド イン ジャパン」の"神髄"を世界へ知らしめることになったのです。

倒産の危機の時には、「貝原 定治氏」は「着る人の立場になり、本当に良い製品を全身全霊で作ろうじゃないか」と社員に意気込みを伝え続けたそうです。こんな経験を経て、「カイハラ」は一層強くなり、広島の田舎町にこんな凄い企業があるのかと、世界から注目されることになったのです。


現在では、国内におけるプレミアムジーンズの2本に1本は「カイハラの生地」が使用されて、取引先には「エドウィン」や「リーバイス」、「ユニクロ」などの大手企業がズラリと並んでいます。海外のハイブランドからの信頼も厚く、「世界20ヵ国以上」に生地を輸出しています。2013年には、開発メンバー5名が「第5回ものづくり日本大賞 優秀賞」を受賞しています。


因みに、広島県 福山市には多くのデニムメーカーが集積しています。

実は、江戸時代から綿の栽培や製織、染色が盛んでした。江戸時代後期には日本三大絣の一つ「備後絣」が生まれ、ここで培われた厚手生地の織布技術や藍染めなどの染色技術が、デニムの産地として発展する背景となりました。(岡山県倉敷市と並び2大産地)

また、デニムが誕生したの1870年代です。ゴールドラッシュに沸く「北米の鉱山」では多くの若者が働き、彼らの悩みは「作業中にズボンがすぐに擦り切れてしまう」という事でした。これが デニムの誕生であり、当時は作業着として存在していたのです。その為 デニムは海外の方が需要があり、一箇所に集積した方が輸出の効率もよくなったのです。


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それでは、そんな素敵な企業である「カイハラ」の"イケてるC.I."を紹介します。

【企業理念】

自然の恵みを生かした最善の技術から

最良のテキスタイルを生み出すことを

永遠のテーマとして社会に貢献する


【精神】

すべては1本の糸の品質から始まることを忘れずにカイハラの創り出す糸を通して澄みきった青い空の広がる世界に向けてふれあいのネットワークを広げよう


【カイハラに代々 伝わる“ものづくり”の家訓】

●「桃李不言下自成蹊(桃李もの言わざれども下自ずから蹊を成す)」

(これは史記の一節にある言葉だそうです。意味は、「桃やスモモは何も言わないけれど、ピンクや白の花が咲く。きれいな花が咲いていれば、自然と人が集まるから、木の下に小道ができる。」つまり「いいものを作ったら、お客さまが自然と来てくれる」という意味です。)


●「積善の家に余慶あり」

(これは、「善を積んだ家には必ず慶びがやってくるため、誰かに何かをしてあげても、すぐに見返りを望むな。」という意味だそうです。

つまり、「誰かに何かをしても 自分の代には返ってこないかも知れないけど、それが次の代か、孫の代かには大きくなって返ってくる」という意味です。だから、とにかく善を積み続けようという教えです。)


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それでは、若手なりに「カイハラ 株式会社」の成長理由を、仮説ですが"4つ"上げさせて頂きます。

◆1.「非効率こそ、宝の山という考えがある点!」

*ご存知の通り デニムには、国境もなければ、気候も、季節も、性別も、宗教も関係ありません。その市場で、日本の地方企業が『量』を追求しても勝てる訳がなく、価格競争にも負けてしまいます。つまり 日本で事業を行う場合は必然的に「ハイエンド層」を狙うしかありません。だからこそ、「カイハラ」には、新しいものをどんどん創ることを文化にしています。

その数、なんと「1年間に約1,000種類」です。デニム生地の試作品を創っては、世界各国の取引先にプレゼンして回っているのです。これほど新商品の開発をしているのは、世界でも「カイハラ」くらいと言われています。


*勿論、全てが そのまま出荷できるとは限りません。寧ろ すぐに使われないものが殆どだそうです。1度でも使われるのは3割で、定番で出荷されるものとなると、更に 少なくなります。時代のニーズより早すぎる"モノ"もあり、原料価格によって、その年のプライスゾーンに合わないケースもあります。しかし、1年後や2年後に環境が変わって、商品化が可能となる場合も多々あるので、そういった"サンプル"は 全てまとめて、5,000種ほどを収納しているサンプル室(通称 ゴミ部屋)に貯め、すぐにお客さまに見れる形で保管されています。

この「非効率こそ、宝の山」と表現されるように、それだけの"サンプル"があるからこそ、そのご要望に見合ったものを届けることが出来るのです。


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◆2.「最後は、すべて『人の目』が頼り!」

*カイハラの職人たちの手によって丁寧に創られた商品の最終確認は、すべて「人の目」で行われます。よく海外の同業者から「カイハラは、なんで ここまでするんや。十分 よいグレードで通るやないかな」と言われるそうです。しかし やらずにはいられない。実際、精密な機械で傷を発見することは出来ますが、それでも 機械を使う気は起きないそうです。理由は単純で、2点3点ある欠点を「ゼロ」にすることが機械と比べて可能だからです。それも これも、お客さまには パーフェクトなものを提供したいのです。織布の工程が終わって、表面の整理加工が済んだら、紡績・染色・織布・整理加工と、すべての工程で最大限に「人の目」が入るようにしています。

「品質かつ、品位。」それが、カイハラの"モノづくり"のプライドなのです。


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◆3.「グローカル主義を貫く点!」

*グローカルとは、「ローカルに根づきながらも、考え方はグローバルでないと判断を見誤る」という意味です。特に、デニム市場は市場が世界になる為、あっという間に海外に追い抜かれてしまうそうです。その為、常にグローバル視点でスピーディーな判断を心がけながらも、地域に貢献することを考えています。

例えば、雇用一つとっても そうです。カイハラがある場所は、山間の過疎地で、放っておくと、どんどん就労人口が減ってしまいます。人口を減らさない為に必要なのは、先ず 働く場所であり、働く場所さえあれば、都会から若者がUターンで戻ってくることも可能です。地域の雇用を支えることは、カイハラの『ポリシー』であり、前提となっています。確かに海外に工場を置けば、大幅なコスト削減に繋がりますが、日本から逃げるつもりはないそうです。地域の雇用を支える為に、利益が出たら それを地元の社員に還元し、夏と冬のボーナスに加えて、成績によっては、更に 余計に支払うようにされています。


*社員のモチベーションを考えたら、税金に持っていかれるより、社員の報酬を上げた方が良いという当たり前のことですが、地方企業は特に出来ていないそうです。日本は、法人税が高いが故に、1億円の利益を出しても半分は税金で取られてしまいます。ならば「1億円を社員に払ったほうが良い」というのが、カイハラの考えです。これは、カイハラが上場もせずに、地方のプライベートカンパニーだから出来ることであり、日本の"モノづくり"を復活させるには、こういう当たり前のことをやるしかないのです。


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◆4.「『無茶な注文こそ チャンス』と考えている点!」

*当たり前ですが、お客さまからは 日々、要望や苦情が届きます。それが カイハラの一番のモチベーションとなっています。例えば、品質について無茶な注文を言われると、社長は「とにかく一番に受けてこい」と営業に言っているそうです。何故なら、カイハラほどの品質管理ができる企業は、世界にも 殆ど無いという自負があるからです。生き残るには、現状のスペックを上げることによってこそ 他企業から介入できないゾーンへ突き進むしか道はないのです。現場から「それは、キツい」という声が上がっても、他社がそれを可能にしたら、カイハラは たちまち二番手になってしまい、世界で生き残れません。


*だから 製造機械も全て「自社開発」だそうです。外注すれば、運送コストも掛かり、故障する度に外から専門家を呼ばなければなりません。機械が一度止まったら数日間は復旧できず、安定した提供が出来なくなってしまいます。何より、自分たちの商品なのに 自分たちが理解できない機械で創ることはあり得ないのです。だから、自分たちの手で修理・改良できる機械づくりが、長期的な利益に繋がると考えたのです。


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◎と言うことで…

日本が誇る"モノづくり"企業の代表だと思います。上記の成長理由には記載しませんでしたが、勿論「技術」も凄いモノをお持ちです。積極的に研究・開発を進め、独特の風合いや、吸湿、発熱、速乾、保温、ハイパワーストレッチなどの機能を持たせるなど、カイハラさん独自の技術を多く持たれています。本当に凄いです。是非 カイハラさんには、デニム生地の『パイオニア企業』として、日本を世界に発信し続けて頂きたいです。


ここまで 約50社以上の成長企業を「C.I.」を軸に分析してきましたが、その中で 見えてきたことがあります。

それは…

〇「きつい時期を経ていること」そして、

〇「『儲けるよりも、永く続かせる』という考えがあること」です。

このカイハラさんも、きつい時期を経ていますし、更には「人の目でチェック」「機械は自社開発」など 非効率で一見 儲からないと思われることをされています。しかし こういうことが 長い目で見たら、結果的に「より儲かり、永く続く強い会社」に繋がっているのだと思います。


ちょっと 話は変わりますが、実は 私は、前職でインテリア商品を扱う企業で商品部として働いていました。その時に、このカイハラさんと取引がしたくて、何度も取引のお電話をしたことがあります。しかし「恐らく価値観が合いませんよ」と言われて断られました。今 思うと、確かに「そうだな」と納得せざるを得ません。当時の私は「カイハラさんの布地を使ったら売れるかも」と思っていたぐらいで、商品への"想い入れ"が全くありませんでした。恥ずかしい話です。

また 勿論、私自身もデニムが大好きで、ジーパンなどは 形が変わるのが怖い為に、一度も洗濯をしない程です。そんな私が一つ要望を言わせて頂くとしたら、色落ち・色移りしないデニムを開発して頂きたいです。確かに、デニムは使い続けると色褪せしたりと、自分だけのオリジナルのモノになるのが良さだと思います。しかし 色落ち・色移りしないことで、洋服ではなくソファやバックなどの「生活雑貨」に転用できると、デニムファンにとっては嬉しいことだと思います!

適当なこと言って、すみません。。。


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●それでは 最後に、C.I.について、若手なりに一言いわせて頂くと…

率直に「企業理念」が素敵だと思いました。何故なら、社会性のある言葉で「目指す世界」を表現されていて、向かうべき方向が はっきりしているからです。「自然の恵みを生かした最善の技術」とあるように、まさに 自然の素材を生かしたデニム生地を、風合いや肌触りなどの細かいニュアンスまで実現されていて、「企業理念」とカイハラさんの印象が合致しています。それは「精神」に表現されているように「1本の糸の品質」に拘られているからだと思います。調べてみると、社内の至る所に このC.I.を掲示されていて、とにかく 社員への浸透に力を入れられているそうです。どちらかと言うと、シンプルで地味なC.I.ですが、掲げるだけでなく 実践されていることが何より凄いし、カイハラさんの最大の強みかも知れません。


また 出来れば、コンカンが提唱するC.I.と、御社のC.I.を一度 照らし合わせて頂けると有り難いです。

*concanが考えるC.I.とは?

https://www.concan.co.jp/post/topics-ci

本当に、若手が生意気言って、申し訳ございません。

長くなりましたが、以上です。

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