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【若手社員が勝手に"イケてる企業のC.I.を切る"!】「第33回:株式会社 ユーハイム 」

今日は 若手社員の私が、成長している企業のC.I.を紹介します。「バームクーヘン」を日本に広めた素敵な企業です。

第33回は、創業以来100年以上に渡り 職人の手で「安全・安心」な菓子を提供し続けている「株式会社 ユーハイム 」です。




【会社概要】

ユーハイムは、神戸市に本社を構え、売上「282億円(2020年3月期)」、従業員「528名(2020年3月期)」を超え、神戸から全国の百貨店などに展開する『菓子メーカー』です。なんと言っても 凄いのは、創業から「100年以上」経った 今でも、不必要な食品添加物を使用しない、“純正自然”のお菓子づくりをしていることです。

ユーハイムが、目標としているのは、「マーケットシェア」ではなく、「お客さまのマインドシェア」です。お客さまの「想い出の小箱」のなかにユーハイムの記憶が残り、洋菓子を買う時に、ユーハイムの商品を思い出して貰えるような企業を目指されています。


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【「ユーハイム」の歴史は、「バームクーヘン」の歴史!】

今から76年前、1945年8月14日の夕方6時前。神戸・六甲山上のホテルの一室で、ある菓子職人が59年間の生涯を静かに終えました。

「私は、死にます…。けれど、平和はすぐ来ます。」

大きな安楽イスに埋まるように座っていた職人が、息を引き取る直前、妻に伝えた言葉です。この職人の名こそ「カール・ユーハイム氏」です。そして、彼こそドイツ菓子「バウムクーヘン」を日本に伝えたドイツ人で、「ユーハイム」の創業者(1909年創業)です。

更に、遡ること30年。第一次世界大戦中の1914年、日本はドイツが中国に持っていた権益を狙って大戦に参戦し、この年に『山東省・青島』を占領しました。この地でバウムクーヘンが評判の喫茶店を営んでいたのが「カール・ユーハイム氏」です。彼は、身重の妻『エリーゼ』を残し、日本の捕虜として中国へ連行されていたのです。つまり「ユーハイム」の創業場所は、中国なのです。


そして 1919年、広島の収容所に移動した「カール・ユーハイム氏」は、捕虜の作った物品を展示・販売する催しに「バウムクーヘン」を出品。日本人は、木をかたどった見たこともない菓子を喜んだそうです。会場は、県の物産陳列館であり、現在の「原爆ドーム」です。

この時に「カール・ユーハイム氏」は決心します。「自分の菓子が受け入れて貰えそうだ 。日本に残ろう」と。そして ユーハイムは、1920年に、捕虜から解放されると横浜で店を開きました。ところが、1923年9月の「関東大震災」が一家を襲います。しかも 店は倒壊し、残った財産はポケットに入っていた「5円札一枚」だけだったそうです。幸いなことに、家族は全員無事で、この時に一家は神戸の知人の家に身を寄せ、神戸でお店を営みます。当時、外国人が多かったのは、港町の横浜と神戸だったからです。


だが1937年「日中戦争」が勃発。開戦の知らせに大きくショックを受け、度重なる災難に身体を病んだ「カール・ユーハイム氏」は、一時 ドイツに帰国するも、これと前後して祖国ドイツがポーランドに侵攻し、母国も戦争状態に。結局 1940年には神戸に戻るも、翌年には 日本も太平洋戦争に突入しました。


材料は手に入らず、菓子づくりもままならない。愛弟子の職人たちの元にも赤紙がやってきて、息子の「カール・フランツ氏」もドイツ大使館から召集され、出征します。そして 大戦末期の神戸空襲で、愛する店も焼け落ちることに。

そんな災難の中、1945年8月14日「カール・ユーハイム氏」は六甲山上のホテルで妻に看取られながらこの世を去りました。終戦の前日のことです。

しかも、第二の故郷となった日本は敗戦国になり、祖国ドイツの為に出征した息子はドイツ降伏の直前、オーストリアで戦死していました。


それでも戦後、生き延びた愛弟子たちが「ユーハイム」の再興を決意します。「カール・ユーハイム氏」が日本に根づかせた「バウムクーヘン」の光は消えませんでした。戦争を生き延びた愛弟子たちは資金を持ち寄って、1948年にユーハイム商店に「バウムクーヘン」を復興させたのです。

そして 一時は経営難もあったが、バターの仕入れ先だった現社長の祖父「河本 春男氏」を経営陣に招き入れ、再建に成功します。これを見届けた「カール・ユーハイム氏」の妻も1971年、神戸の地で息を引き取ります。

以来、「カール・ユーハイム氏」の遺志を引き継いだ日本人たちが、「ユーハイム」を年商300億円企業へと成長させたのです。


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【洋菓子業界と、ユーハイムの立ち位置!】

2020年度の和洋菓子・デザート類市場規模は、前年度比7.6%減の「2兆1,099億円」と言われています。

これは、コロナ禍に伴う外出自粛で、国内外の観光土産需要が激減したほか、冠婚葬祭や会合などの対面機会の減少で手土産需要が減少した為です。

この中でも、ユーハイムの売上は「282億円」です。この数字は、全国百貨店などに展開する洋菓子メーカーとしては、「モロゾフ」と一位二位を争う規模です。大きな洋菓子業界で見ると、「ユーハイム」より規模の大きな企業は存在しますが、「引出物や手土産」を主力とする洋菓子業界で見ると、No.1と言ってもいい企業なのです。


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それでは、そんな素敵な企業である「ユーハイム」の"イケてるC.I."を紹介します。


【企業理念】

「お母さんの味、それは自然の味」。

当社は、母親が子供や家族に安心して食べてもらえるお菓子をつくるように、不必要な食品添加物を使用しない、安全・安心な菓子づくりを使命とし、理念としています。


【コーポレートメッセージ】

「まっすぐなおいしさ」

●「まっすぐな」とは、不必要な食品添加物を使わず、自然の素材本来のおいしさを追求する当社のお菓子づくりの基本姿勢を意味しています。


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それでは、若手なりに「株式会社 ユーハイム 」の成長理由を、仮説ですが"3つ"上げさせて頂きます。

◆1.「メーカーとは思えない、非効率に走っている点!」

*ユーハイムは、大手とは全く真逆の菓子作りをしています。メーカーでありながら工場では、職人が「手作業」で洋菓子を作っているのです。工場には、最新の生産ラインなどは一つもなく、いたるところで膨大な人数の菓子職人が忙しそうに動き回っています。

生クリームを塗る工程は、他の大手の場合、機械化されていることが一般的ですが、ユーハイムはここも「手作業」。焼き菓子に模様を入れていく作業なども、ユーハイムでは やはり手作業です。

ずらりと並ぶ『バウムクーヘン』のオーブンにも1台に1人の職人が つきっきりで作業をしているそうです。"温度"や"湿度"によって生地の状態が微妙に変化するため、均一に仕上げるには生地から目を離すことが出来ないのです。このユーハイムでは、そんな職人の手作業で『バウムクーヘン』を1日「1,200本」も焼いているのです。

ユーハイムの菓子職人は総勢「275人」です。全従業員が528人なので、なんと約半分が職人なのです。製造の工業化に頼らない職人たちの菓子作りこそが、ユーハイムが他に負けない強さを支えているのです。


いやー、凄すぎます!!!


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◆2.「洋菓子を逆輸入している点!」

*今現在、日本には多くの海外メーカの洋菓子が進出しています。

私も そこまで詳しくはありませんが、例えば 最近 日本に進出して、話題になっている、パリで話題の日本人パティシエの店「モリヨシダ」、フランス・パティスリー界の巨匠、「フィリップ・コンティチーニ」さんのお店などです。

実は、これら全て「ユーハイム」の工場で作られています。つまり 海外メーカーの有名な洋菓子の製造をユーハイムの腕利きの職人たちが作っているのです。これこそ逆輸入で、ユーハイムは海外スイーツ店の製造・販売を請け負い、日本進出を支えているのです。

今は、日本初上陸の超人気店洋菓子店が こぞって「ユーハイム」に製造を依頼しているそうです。それは、全てを手作りしている「ユーハイム」だからこそ、海外メーカーが安心して任せることができるのだと思います。


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◆3.「ユーハイムの菓子創りの哲学が受け継がれている点!」

*ユーハイムには、お菓子創りに於ける哲学があります。幾つかピックアップすると…

●添加物はいらない(添加物に頼らずに自然を そのままいただくのが、 お菓子の本当のおいしさです。)

●自然とつながる(小麦や牛乳は生産者が大切に育てたもの。 同じ気持ちでお菓子をつくります。)

●こだわりの材料(添加物の入っていない材料を特注し、数年かけて他にはない材料にします。)

●職人の手仕事(大切な副材料は職人の手製。 お菓子の真髄は、手仕事にあります。)

と言ったことです。このような哲学が、今でも脈々と受け継がれているのです。


*因みに、ユーハイムでは、「バウムクーヘン」の味や職人技の技術継承のため、バウムクーヘン専用オーブン「THEO」を世界で初めて開発しました。これにより厳選された材料で、添加物を使わない「純正自然」のお菓子作りを続けてきたユーハイムの職人たちの志を継ぎつつ、最新テクノロジーで開発されたAI職人が焼いたバウムクーヘンを、各店舗で購入できます。

「THEO」は、効率化の為に開発されたものではありません。あくまで、職人技の技術継承の為に開発されたものなのです。職人が焼く生地の焼き具合を、各層ごとに画像センサーで解析することで、その技術をAIに機械学習させデータ化、無人で職人と同等レベルのバウムクーヘンを焼き挙げることが出来るのです。


しかも この「THEO」がもっと凄いのは、遠隔操作が出来る点です。これが意味することは、地球の裏側の「南アフリカ」にこのオーブンを置いて、南アフリカの素材で、職人が遠隔操作しながらバームクーヘンを創れることです。実は、職人たちが「カラダに優しく美味しいお菓子を、地球の裏側に暮らす子どもたちに届けるにはどうすればいいの?」という問いを抱いたことが「THEO」開発のきっかけです。ユーハイムの職人たちは「お菓子には人を幸せにする力がある。」と信じているそうです。その時に「地球の裏側にあるアフリカにも、おいしいお菓子を届けたい。」という気持ちも込めて開発されたのです。

その為、「THEO」開発の為に、ベテランの菓子職人のほか、ロボット工学の研究者、AIの専門家、デザイナーなども協力し、約5年がかりで誕生したものです。


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◎と言うことで…

ユーハイムさんの率直な印象は「カッコいい」の一言です。他にも様々な成長理由があるかと思いますが、その根底にあるのはユーハイムさんのブレない「哲学」です。一つの商品に"魂"を込める、その為に職人さんを大切にされるユーハイムさんは、資本主義の真逆を行かれているかも知れませんが、こういう企業もあっていいのだと再認識しました。ここまでくると、勿論 商品が好きなファンが沢山いると思いますが、それ以上に『企業自体』のファンが沢山いるのだと思います。

もーこれは、企業を調べながら「生き方」を学んでいる感覚です。私 自身が、ユーハイムさんのファンになりました!


近年は、シンガポール・香港へ出店されています。ユーハイムさんの「まっすぐな おいしさ」をアジアのお客さまにも届けて頂きたいです。これこそが、バウムクーヘンを日本に届けてくれた「カール・ユーハイム氏」への恩返しではないでしょうか!


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●それでは 最後に、C.I.について、若手なりに一言いわせて頂くと…

C.I.は とても素敵ですが、もっと 歴史を踏まえた、ユーハイムさんらしさを交えた要素を取り入れても良いと思いました。何故なら、こんなにも凄い企業なのに、現状のC.I.では伝わらないからです。分かり易く言うと、他の企業にも転用できてしまいます。これだと 本当に 勿体ないと思います。また、コーポレートサイトも拝見させて頂きましたが、C.I.や歴史(成り立ち)をもっと前面に押し出すべきだと思いました。

またC.I.が全て内向きの言葉になっている為、「企業理念」として、外向きに創り上げたい「世界観」を表現されると、更に一般消費者にもユーハイムさんの価値が伝わり易いと思いました。ちょっと、ここで私になりに「企業理念」を考えさせて頂きます。


「日本の職人のこだわり抜いた菓子を、地球の裏側の人の心まで届け、子供の笑顔の輪を広げる!」


また 出来れば、コンカンが提唱するC.I.と、御社のC.I.を一度 照らし合わせて頂けると有り難いです。

*concanが考えるC.I.とは?

https://www.concan.co.jp/post/topics-ci

本当に、若手が生意気言って、申し訳ございません。

長くなりましたが、以上です。

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