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【若手社員が勝手に"イケてる企業のC.I.を切る"!】「第28回:株式会社 スタジオアリス」

今日は 若手社員の私が、成長している企業のC.I.を紹介します。失礼ながら、あまり儲かっていないように見えて、実は 凄い企業です。

第28回は、縮小が続く『子供関連市場』に於いて、しかも 『斜陽産業』とも言える「フォトスタジオ」という業界で、圧倒的な"シェア率"を誇る「株式会社 スタジオアリス」です。





【企業概要 & ヒストリー】

スタジオアリスは本社を大阪に構え、主に子供に特化した「写真撮影・販売事業」を行っています。具体的には「気軽に、便利に、お手頃な価格で お子様の記念写真、ご家族の記念写真を」というコンセプトを基に、全国493店舗、年間130万件以上のお客さまの写真を撮り続けてきた企業です。売上「約400億円」、従業員「約1,300人」を超え、2004年には「東証一部」に上場した大手企業です。


元々は、1974年に「本村 昌次氏」が、写真撮影事業を行うことを目的に「株式会社 日峰写真工芸」を設立したのが始まりです。そんな中、デジカメの普及により先行き不安だった為に、1992年 新規事業として「子供専用写真館」を立ち上げます。当時「本村 昌次氏」の"言葉"に、「新入社員の女の子 2人に勝手にやらせたら、こんな店を作りよったんや」という有名な"言葉"が社内に残っているそうですが、敢えて 業界未経験の新入社員に作らせて、斬新な新規事業を創らせたそうです。何より、「写真館」という業態そのものが『斜陽産業』の代表たるものであり、「デジカメ普及」の前には「コンパクトカメラ普及」が写真館を追い込みました。これを基に、「こども専門写真スタジオ事業」へ進出し、店舗を全国に展開していきました。1999年に「株式会社 スタジオアリス」に社名変更し、2001年には徳島県に進出し全都道府県出店を達成しました。 2012年に「大人専門写真館

」、2015年には「赤ちゃん専門写真館」をオープンしました。


◆「株式会社 スタジオアリス」の2つの事業

■1.「写真事業」

*写真事業は、スタジオアリスの中核事業であり、企業全体の売上の95%を占めています。店舗数は、「こども写真館」493店舗(直営店舗483店・フランチャイズ店舗10 店)、韓国の子会社に於ける「こども写真館」2店舗を含め495店舗です。

■2.「衣装製造卸売事業」

*衣装製造卸売事業は、連結子会社の『株式会社 豊匠』、及び、その子会社である『上海豊匠服飾有限公司』で生産を行い、衣装の卸販売を行っています。


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〇ここで…

【写真館市場について】(参考:矢野経済研究所 2020年)

●2019年度のフォトスタジオ市場は「約1,805億円」と決して大きくはありません。これは、前年比97%と少しずつ縮小している市場です。

皆さんの想像通り、撮影ツールとしてのスマートフォンの台数増と高画質化により、写真を現像する習慣が薄れているからです。一方では、スマートフォンが写真生活の主役になり、「撮る・見る・保存する」がスマートフォンで完結できるが、スマートフォンには大量の写真が溢れ「写真整理」の問題が"顕在化"しています。ここから 言えることは、普段の写真を現像化する習慣が薄くなっている一方で、記念日などではまだまだ、高くても現像して残しておきたいという需要があります。


〇次に…

【「日本の子供の人口」という観点】です。(参考:国勢調査2020年版)

ここでは、14歳以下を子供と定義して見てみます。実は、2000年には「約1,900万人」いた子供の人口が、2020年には「約1,490万人」と、年間で出生数が約20万人ずつ減少していっているという深刻な現状です。


つまり…

●スタジオアリスは、この少子化が進む 日本に於いて、しかも『斜陽産業』であるフォトスタジオ市場で、成長してきた会社なのです。その為 拡大しない市場の中で、他社のシェアを奪いながら成長し、その結果 フォトスタジオ市場の「約1/3」のシェアを占めることになりました。


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それでは、そんな「株式会社 スタジオアリス」の"イケてるC.I."を紹介します。

【経営理念】

「暮らしの豊かさに貢献」

私達は、社員のヒューマンな生涯設計の達成と、その基盤である企業の安定と発展をはかり、視聴覚文化関連事業を通じて「暮らしの豊かさ」に貢献します。


【経営基本方針】

「サッカー型経営」

自ら考え、自ら判断する社員一人ひとりが自立心を発揮することから、すべての物語がはじまります。

スタジオアリスの経営基本方針は、現場で自ら考え、自ら判断していく「サッカー型経営」です。

サッカーというスポーツは、試合前やハーフタイムに監督が「こういう作戦でいこう」と戦略を決めますが、いざ キックオフの合図の後は、選手自身が判断して行動します。

スタジオアリスのすべての店舗でも、スタッフ同士が同じゴールをめざす仲間として 互いに認め合い協同しながら、それぞれが判断し、行動しています。


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それでは、若手なりに「スタジオアリス」の成長理由を分析させて頂きます。

「株式会社 スタジオアリス」の一番の成長理由は…

●「長期目線で市場・ターゲットを絞り込んだ点!」です。

数多くの写真スタジオが『斜陽産業』の運命から逃れられない中で、「スタジオアリス」は ターゲットを『子供』に絞ることで、驚くべき急成長を遂げた企業です。普通なら「この少子化の時代に何を血迷ったんだ!」と言われるところですが、小さい市場でも、大手がいなく独占できると考えたのです。そして 『子供』に関するイベントなら、多少の費用を掛けても本格的な写真を撮影するため、ターゲットを 0~7歳の『子供』を持つファミリーに絞ったわけです。

そして 「スタジオアリス」は、ターゲットを『子供』に絞ることで、至れり尽くせりのサービス提供を可能にしました。写真館らしからぬ開放的な店内。貸衣裳かと間違うほどの衣装の品揃え。ディズニーキャラクターの提供。好きな写真を画面で選択するシステム。女性スタッフによる"子供の笑顔"を引き出すノウハウなど、ターゲットを子供に絞ったからこそ 可能となったサービスです。


*また、スタジオアリスが 凄い点は、少子高齢化とはいえ、市場規模は一気には落ちないと見抜いた点です。何故なら、子供の数が減ったとしても、お金のある「祖父母世代」が一人当たりの孫に掛ける予算が上がるからです。事実、市場規模は落ちていっているとはいえ、出生人数の割りには市場規模は比較的 横ばいで、その市場を独占したのです。


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〇それでは、更に 若手なりに成長理由を仮説で『3つ』上げさせて頂きます。

◆1.「顧客の無駄な手間を排除し、気軽に来店できるようにした点!」

*例えば、普段着で行ける気軽さが挙げられます。「七五三」の写真を撮るような場合、「従来の写真館」で撮影すると、とても手間が掛かりました。早起きして 美容院で着付けや ヘアメイクをして、それから写真館へ行くことも多かったのです。

これは、子どもだけでなく、「ママとパパ」にとっても大きな負担となります。そこで、スタジオアリスでは このような面倒な手間を省いたのです。スタジオアリスには、500着もの衣装が用意されているので、普段着で そのまま出掛けることが出来ます。豊富なデザインやカラーから選べるだけでなく、何着きても無料です。着付けや ヘアセットも無料で、小物やアクセサリーも多くの種類が用意されています。それまでの、貸衣装を利用すれば 何着も選べませんし、高額な費用が必要となります。何の用意もせずに、体ひとつで写真館に行けるというのが、子育て中の「ママとパパ」から高く評価されたのです。


*また スタジオアリスは、スタッフをプロカメラマンに特化するのではなく、女性スタッフを起用した"ヒト"の面で差別化しています。

子供を撮影するにはカメラマンが意図したポーズをして貰うだけでも苦労をします。つまり、カメラの技術は 勿論 大切ですが、子供を被写体としての魅力を最大限に引き出すという力も必要です。そこで スタジオアリスでは、子供の扱いに慣れている、子供が親しみ易い女性をスタッフとして起用することで、顧客満足度を引き上げることに成功しています。更に、子供が笑うと勝手にシャッターが切れるカメラを開発することで、人材が不足しているプロのカメラマンが不要になったのです。スタジオアリスの最大のノウハウは、写真撮影の技術ではなく、子供を"あやす技術"だったのです。逆に言うと、スタジオアリスは、所謂 『装置産業』であり、設備に それなりの投資が必要ですが、一度 作ってしまえば、利益率は高くなるのです。

そして、人ありきの業態から脱却することで、多店舗展開を可能にし、業界 No.1 となったのです。


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◆2.「新規客とリピート客を呼び込む仕組みを創った点!」

*スタジオアリスでは、新規客を呼び込むために、様々なキャンペーンを行っています。例えば「七五三」では、「早撮り七五三」として、5月からキャンペーンをスタートさせています。これは、フォトスタジオの需要は「七五三」の季節に固定されるため、早割にすることで、数多くのお客さまに対応する為の方法です。通常よりも半年も早くキャンペーンを開始することで、効果的に新規客を取り込んでいるのです。

更に 写真館で撮影する機会のないユーザーを呼び込む為に、「パパママ着物フォトプラン」「マタニティフォト」などのキャンペーンも展開しています。マタニティの女性を取り込むことで、出産後の子どもの撮影を見越した お客さまの囲い込みが期待できます。


*リピート来店を促進させる為には、「ベビキャン」を行っています。これは、赤ちゃんの撮影を毎月の家族イベントにしようという取り組みです。撮影料は無料で、パネルの料金などもお得な価格設定になっています。また、マタニティフォトを撮影したお客さまには「Baby Shower Book」という写真立てがプレゼントされます。実は これは、写真が3枚入るように作られているため、2枚分のスペースが空くことになります。その為、このスペースを埋める為に、出産後に高い確率での再来店が期待できます。

また、スタジオアリスのレシートには、撮影料が半額になるクーポンが付いていて、その後に お宮参り、百日記念、1歳の誕生日と何度も来店して貰う為の、至る所に仕掛けがしてあるのです。


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◆3.「企業提携と横展開した点!」

*スタジオアリスは、おもちゃ小売りチェーンの「トイザらス」と提携し、本格的にチェーン展開していきました。当初は、トイザらス店内に併設する形で展開し、その後には「イオン」などのショッピングセンターのテナントとして店舗数を拡大していきました。現在、店舗数の63%がショッピングセンター内のテナントとなっています。今では「Disney」や、その時期に流行ったアニメ会社と提携することで、子供が行きたいフォトスタジオを演出しています。


*また 先に述べた通り、スタジオアリスは、「衣装製造卸売事業」も行っています。これは、一つのフォトスタジオだけでも「500着以上」の衣装を用意する為には、自分たちで製造した方が効率がよくなる為、その延長として衣装製造卸売事業もはじめました。これをすることにより、大量製造が出来るため製造コストも下げることが出来ます。また フォトスタジオで一度 試着すると、そのまま欲しくなってしまうのが子供なので、スタジオでの衣装販売も行っています。


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◎と言うことで…

スタジオアリスさんは、街の至る所で目にしますが、失礼ながらあまり儲かっているようには見えませんでしたが、こういった『戦略』があったのかと、本当に勉強になりました!

普通の人が見ると一見 先のない市場ですが、敢えて その市場の、しかも子供だけという"ニッチ"な所に目を付けられたのが凄いです。やはり、数字は絶対とは言え、表面上の数字だけ見ても 全く意味がないのだと 改めて思いました。

現在は、「ペット」や「終活」に特化したサービスを始められています。しかし ターゲットを広げることと、"質"の良いサービスを提供することは 相反する中で、どうやって着実に成長されていくのかとても楽しみです。


また 個人的にも、あったらいいフォトスタジオを考えてみました。

●それは「テーマを絞り、こだわりまくった衣装・スタジオを準備する」です。

今の時代に、安いだけの普通のフォトスタジオでは差別化は難しいと思います。そこで、テーマを絞ったフォトスタジオを準備し、SNS主流の時代にお客さまが そのスタジオアリスで撮影した子供の写真をSNSにアップすることで、お客さまがお客さまを呼び込むと思いました。

適当なことを言ってすみません。。。


●それでは 最後に、C.I.について、若手なりに一言いわせて頂くと…

全ての言葉が内向き(社員向き)の言葉になっていることが気になりました。一部「『暮らしの豊かさ』に貢献します。」という外向けの言葉がありますが、この「豊かさ」という言葉を、スタジオアリスさんなりに"言語化"することが必要な気もしました。スタジオアリスさんが取り組む事業を通して、企業が目指す不変的な想いや、何の為に会社を創ったのか、何の為に社会に存在するのかの答え、所謂 企業の「あるべき姿」「成し遂げるゴール」が、C.I.だけでは見当たらず、中々 "共感"し難い点が、非常にもったいないと感じました。

自分なりに考えてみると、「その街、その街の子供たちの"笑顔"のすぐそばで、『写真』が 家族の"絆"を永遠のものにする!」などです。

若者の私が生意気ばかり言って、申し訳ございません。


コンカンでは、このような「あるべき姿」「成し遂げるゴール」を外向けの言葉で表現したものを「企業理念」と定義しています。

参考にコンカンが提唱するC.I.と、御社のC.I.を一度 照らし合わせて頂けると有り難いです。

*concanが考えるC.I.とは?

https://www.concan.co.jp/post/topics-ci

最後に改めて、生意気ばかり言って 申し訳ございません。長くなりましたが、以上です。

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