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【若手社員が勝手に"イケてる企業のC.I.を切る"!】「第21回:日之出水道機器 株式会社」

今日は 若手社員の私が、成長している企業のC.I.を紹介します。ニッチな分野で、ここ福岡から日本中で活躍しているモノづくり企業です。

第21回は、日本中のマンホール蓋の生産量 日本一を誇る「日之出水道機器 株式会社」です。






日之出水道機器は、今年で 創業「102年」を迎える"モノづくり"メーカーです。福岡に本社を構え、全国展開を行っています。主力製品は、マンホール蓋等の公共財で、下水道分野に於けるマンホール蓋の「約6割」のシェアを持つ業界 NO.1 メーカーです。現在は、高い鋳物(いもの)技術を駆使して「建築・土木や産業機械、インテリア・エクステリア等」への事業展開も行っています。

※鋳物とは?

溶けた鉄を型に流し込み冷やして固めて出来た『金属製品』のこと。自動車部品や調理器具にも使われています。


現在では、売上高 231億円(2020年期)、従業員数814名、日本全国に拠点を構えるまでに発展を遂げています。


【企業ヒストリー】

企業の始まりは、1919年に「浦上 宗次氏」が、福岡市橋口町(現在の福岡市天神)に日之出商会を創業した事です。1925年 水道用製品の製造販売を開始し、福岡市箱崎に本社移転を行い、1949年に株式会社に組織を改め、現在の「日之出水道機器株式会社」に社名変更を行いました。そして 1961年に、当時の日本初となる『ダクタイル鋳鉄製マンホール蓋』「DA型」を開発し、これが 日本中に広まっていくことになります。ここから マンホール蓋の製造を本格的に開始し、1967年にはマンホール蓋の専門書「鉄蓋」を発行します。マンホール蓋を主事業に規模拡大し、スリップし難いマンホール蓋など 様々な商品を開発し、多くの受賞をしながら 全国に知られる企業となりました。

2018年には、現社長の「浅井 武氏」が 第四代社長に就任し、海外展開も行いながら成長している企業です。因みに生産枚数で見ると「約4万個/月」のマンホール蓋を生産しているそうです。


【マンホール蓋の歴史は、日之出水道機器の歴史!】

かつてのマンホール蓋と言えば、割れたり滑ったりガタついたりしていたのが当たり前でした。そのマンホール蓋を、道路と一体化し現在のレベルまで改善し続けたのは 日之出水道機器の技術革新の"賜物"と言っても過言ではありません。

かつてのマンホールの蓋は、路上の穴を塞いでいればそれで良く、そんな常識に疑問をもち闘ったのが日之出水道機器です。「地上に出ている蓋だからこそ、道路との一体化が必要なはず。 怖くて踏めない。 うるさくて眠れない。」そんなマンホールを変えてやると考えたのです。

アメリカで開発された新しい素材をマンホール蓋に持ち込み、早稲田大学の協力も得ながら、製品設計のみならず、生産プロセスも一変させました。今でこそ 普通にそこにあるマンホール蓋には、日之出水道機器が社会の通念ルールと闘った歴史があるのです。因みに、このマンホール蓋の開発は、文化ニュース(映画館で放映されるニュース)にも 取り上げられる程、業界では 一大ニュースでした。これを機に、日之出水道機器のマンホール蓋が、日本の通常規格となるのです。


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それでは、そんな「日之出水道機器 株式会社」の"イケてるC.I."の一部を紹介します。

【基本姿勢】

『安全・安心で快適な生活環境の実現をめざす』

私たちは、「公共」という大きな社会的責任を担う事業領域に携わる企業として、「安全」な生活環境を実現することを最優先の企業課題として取り組んでいます。

「安全」の水準を限りなく100%に近づけることに技術で挑戦し、すべての人々が安心して暮らすことができる環境をつくりだすこと。これが当社の社会的な使命であり、責任であると考えています。


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それでは、若手なりに「日之出水道機器」の成長理由を分析させて頂きます。

【若手なりの成長理由分析】

「日之出水道機器 株式会社」の一番の成長理由は…

〇「弱者の戦略を遂行し、ニッチな分野でトップを取った点!」です。

*先に述べた通り、1960年代頃迄はマンホール蓋なんて何でも良いと思われていた時代でした。そんな時代に2代目社長「浦上 定司氏」が、「マンホール蓋」に目をつけたことが全てだと思います。当時 穴については厳密な規格が定められていたものの、蓋については「穴を塞いでおけばいい」「1メートル上から80キロの重りを落として割れなきゃいい」というくらいの認識で、十分な規格が決められていませんでした。しかし 当時の社長は、日本の経済成長を見据え、下水道整備が進む時期だからこそ「良質の蓋を提供すれば当たる」との狙いもあったのです。また、その背景には「モータリゼーション」があります。この頃は、国民の車両保有台数が飛躍的に伸びた時期であり、車両の通行に伴うマンホール蓋の破損が社会問題になりつつありました。こんな背景からマンホール蓋が一気にヒットすると、事業をマンホール蓋だけに絞り、急成長をして行ったのです。

私は、2代目社長の"商売センス"の鋭さが全てだと思いました。


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ここからは、更に若手なりに成長理由を仮説で「3つ」上げさせて頂きます。

◆1.「全国展開を日本初で行った点!」

*日之出水道機器は、早くから関東に物流拠点、営業所、更には 工場を構えて全国対応を図ってきました。実は、それまでは 良質の砂がとれる地域の「地場産業」として発展してきた鋳物業界に於いて「全国展開」は異例のことでした。そんな中でも 日之出水道機器は、マンホール蓋に特化し、且つ 全国対応できる体制をいち早くとった『リーディングカンパニー』として業界で認められることになったのです。


*また 良いマンホール蓋が出来ても、重さ「80kg以上」でその役割を担っていて、全国に流通したマンホールなんてそれまで存在していませんでした。 この重量がコストに跳ね返り、県境を越えて流通させることは不可能な「ローカルビジネス」と、捉えられていたのです。そこで、軽い蓋の開発ができれば、全国ベースでビジネスが展開できないかと考えました。「素材を変えて半分以下の40kgに出来たとしても、ガタつかない構造」そんなマンホール蓋を開発したのが 日之出水道機器であり、素材と構造、両方を解決した時、初めて日之出水道機器のマンホール蓋が業界標準になり、日本の規格に育っていったのです。まさに、規格に合わせるのではなく、規格 そのものを作ってしまったのです。


業界の当たり前を疑い、ただの"モノづくり"企業に留まらず、当時からどうやったら全国に供給できるのかを考え、その為に製品の軽量化から物流体制など、サプライチェーン全体で戦略を立てられたことが凄いです。日之出水道機器は、業界の当たり前を次々と覆した企業なのです。


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◆2.「強みを活かしつつ、横展開を行った点!」

*日之出水道機器は、マンホールというニッチな分野では圧倒的な"強み"があるものの、一方では それは"弱み"でもあります。何故なら、市場自体が頭打ちすると、それ以上に成長することが出来ないからです。まさに、これだけインフラが整った日本国内では、マンホール蓋事業だけでは成長が難しくなったのです。そこで、創業90周年を迎えた2009年、長年培った鋳物技術を「マンホール蓋以外の分野」への活用、新たな業態の可能性の模索へと踏み出しました。例えば、道路と橋の間のジョイントをはじめ、特殊車両の中の部品などです。今では マンホール蓋で培ってきた技術を応用した新規事業が、幾つも生まれています。


*そして B to B だけでなく、B to C にも進出し、アルミ鋳物を扱うプロダクトデザイナーの協力を得て、家具や雑貨の商品開発なども行っています。今では、各地のステーショナリー専門店や家具店の他 美術館のミュージアムショップ、空間演出なども、行っています。

このように、日之出水道機器は鋳鉄技術を駆使して、どんな要望でも応えられるのです。


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◆3.「ご当地マンホールに、いち早く応えた点!」

*地域の名所や名産品、ゆかりの人物やイメージキャラクターなどをデザインした「ご当地マンホール」が、今では当たり前になりつつあります。これは「マンホールを下水道の顔に」という当時の建設省の提案から始まりました。しかし これには一つ難しい点があります。それは、地域ごとに異なるデザインは当然、「少量多品種生産」となり、小規模メーカーでは対応できないのです。しかし、研究開発に力を注ぎ、専門メーカーとして全国展開に対応できる製造体制を早くから導入していた日之出水道機器は、こういった時代の追い風に乗ることが出来たのです。この時ばかりは、日本だけでなく海外企業からも「日之出水道機器は、クレイジーな企業だ!」と言われたそうです。こうして 他の追随を許さぬ日本一企業となったのです。これは決して、偶然ではありません。社長自身も、「いつかは マンホールが、その地域を彩るものとなり、ビジネスが拡大する時代となると思っていた」と述べられています。これを見据えて、いち早く全国展開を行い、実際に社長の

言葉通りになったのです。改めて、この「先見の明」が凄いです。


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◎と言うことで…

マンホールの蓋というニッチな分野で成長し、その技術を他のモノに転用されていて、中小企業の生き残り方の勉強となります。

ただ 鋳物産業は、安い労働力を活用し海外で生産することが当たり前となった現代に於いて、日本国内だけをマーケットとして捉えると、日之出水道機器さんも頭打ちが見え始めていると思います。だからこそ横展開や海外展開を開始されたと思います。

鋳物産業の国内工場数で見ると、1990年に「4,000以上」あったものが、平成不況やリーマンショックの影響もあり、2018年には「2,000以下」となっています。

国内の鋳物メーカーの約80%が中小零細企業であり、人手不足や後継者問題などで会社の存続に苦しんでいる企業が多くあり、厳しい業界であることは間違いないと思います。

ただ、一方では自分なりに広い視点から調べてみると…

AIが進むにつれ、産業用の自動ロボットの生産が増えていくのは当然だと思いますが、この自動ロボットの素材には鋳物技術が使われているそうです。

つまり、日之出水道機器の「鋳物技術」に、ITなどの「ハイテク技術」を組み合わせ、"モノづくり"企業から「"真"の鋳物のプラットフォーマー」になれた時、益々 成長が見込めるのではないかと思います。勿論、既に考えられていることだと思いますが。。。


ここ 福岡から世界に挑戦される日之出水道機器さんの今後の活躍がとても楽しみです!


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◎それでは 最後に、C.I.について、若手なりに一言いわせて頂くと…

コーポレートサイトを拝見しても「基本姿勢」しか見当たらず何とも言えないのが本音ですが、少し 勿体ない気がしました。何故ならC.I.だけでは「何故 マンホール蓋を主事業にしたのか?」がイメージできないからです。所謂、他企業にも このC.I.を転用できます。せっかく、ニッチな分野で活躍され、個性溢れる企業ですので、企業の『こだわりポイント』の言語化をしないと勿体無いと感じてしまいます。それが、日之出水道機器さんの"存在意義"となり、もっと言うと 一般生活者にとって 日之出水道機器さんの企業イメージになると思います。

例えば、「鋳物のプラットフォーマーとなり、日本中の生活の当たり前を支え続ける!」といった、日之出水道機器さんの"存在意義"が伝わるC.I.があると、物凄く良いと思いました!

*飽くまでも、コーポレートサイトに「基本姿勢」しか見当たらないので、このような表現をさせて頂きました。


出来れば、コンカンが提唱するC.I.と、御社のC.I.を一度 照らし合わせて頂けると有り難いです。

*concanが考えるC.I.とは?

https://www.concan.co.jp/post/topics-ci

最後に、生意気ばかり言って、申し訳ございません。

長くなりましたが、以上です。

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