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株式会社コンカン

【若手社員が勝手に"イケてる企業のC.I.を切る"!】「第20回:株式会社 サイゼリア」

◆月.【若手社員が勝手に"イケてる企業のC.I.を切る"!】

「第20回:株式会社 サイゼリア」

今日は 若手社員の私が、成長している企業のC.I.を紹介します。イタリアン料理でファミリー層の心をつかみ続けている企業です。

第20回は、イタリアン・レストランチェーンの「サイゼリヤ」を展開し、「外食のSPA」と呼べるビジネスモデルで成長した「株式会社 サイゼリヤ」です。




サイゼリヤは、埼玉県吉川市に本社を置く外食チェーン企業で、イタリアン・レストランを展開し、低価格帯のメニューを取り揃えていることが特徴です。創業者は「正垣 泰彦氏」で、現在は2代目として「堀埜 一成氏」が社長を務めています。(サイゼリヤの意味:イタリア語で「くちなしの花」)

今では関東、関西、中京地区を中心に1,517店舗(国内1,089店 海外428店)を構え、売上高は1,268億円(2020年8月期)、従業員は2,082人(2020年8月期・単体)を超える、ファミレスの巨大企業です。

*ファミリーレストランの正確な定義はありませんが、一般的には「客単価が 500円~2,000円」、「料理提供時間に3分以上を要する」「客席は80席以上ある」という3点が上げられます。また、その他の特徴として、チェーン店展開していること、主な対象が家族連れであること、和洋中と幅広く豊富なメニューが揃っていることなども上げられます。


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【創業のきっかけ】

現在の会長である「正垣 泰彦氏」が東京理科大学在学中にアルバイトをしていた渋谷食堂のコックに「おまえ、食べ物屋の素質がある。独立してやってみたらいい」と言われたことが創業のきっかけです。

それから直ぐに、父親に「レストランをやらせたい人がいるんだけど、いい所はない?」と相談し、自分が創業するのを伏せた上で、千葉県市川市八幡にあるフルーツパーラーを購入して貰い、『洋食店』に変えて「サイゼリヤ」を創業したのです。1973年のことです。

しかし その9ヶ月後に、やくざ同士の喧嘩がもとで、火事で店が全焼し休業となります。休業期間中に正垣氏は、何となくこれからはイタリア料理の人気が出ると判断し、洋食店からイタリア料理専門店に転換して店を再開したが、客足は ぱったりと途絶えてしまいました。

正垣氏は、その原因は価格にあると考え、何と「メニューを全て"7割引"で販売する」という荒手に打って出ました。この判断が見事的中し、「サイゼリヤ」は行列が出来るほどの大繁盛となったのです。2013年11月には国内1,000店舗出店を達成(ファミリーレストラン業界ではガスト以来となる)しました。「この方針ならば売れる」と確信した 正垣氏は、現在の「サイゼリヤ」の"特徴"である低価格路線を今でも守り続けています。


【ファミレス市場】

ファミリーレストラン市場は、「約1.5兆円」ほどと試算されていて、2012年から2019年に掛けて緩やかに増加しています。それは、洋食を中心に和食や中華など品揃えが豊富なことから、幅広い層に支持され、老若男女問わず利用される傾向にあるからです。ファミレスで朝食を済ませる消費者も増えており、消費者のライフスタイルが多様化していることが伺えます。また ここ数年、単身世帯や共働き世帯の利用率は増加し、家事や食事を簡単に早く済ませたい「時短・簡便」ニーズが市場を後押ししています。


■【ファミリーレストラン業界 売上高ランキング】

(2019 - 2020年)

◆1位:すかいらーくHD(ガストなど)/東京都/3,753億

◆2位:サイゼリヤ/埼玉県/1,565億

◆3位:ロイヤルHD(ロイヤルホストなど)/福岡県/1,405億

◆4位:ペッパーフードサービス(いきなりステーキなど)/東京都/675億

◆5位:ジョイフル/大分県/623億


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それでは、そんな著しく成長している「株式会社 サイゼリヤ」の"イケてるC.I."の一部を紹介します。

【基本理念】

「毎日の暮らしの中で」

多くの皆さまの日常の暮らしの中でご利用いただくために、(株)サイゼリヤは積極的にチェーンストア展開を図っています。現在、国内1,093店舗(2019年8月末)をすべて直営で運営、また 中国を中心とした東南アジア諸国にも411店舗(2019年8月末)を直営で運営しています。これからも、多くのお客様が気軽に利用しやすい場所へ、店舗展開を続けてまいります。


「美味しさとリーズナブルへの挑戦」

(株)サイゼリヤは日常の暮らしの中で繰り返し来店いただける「リーズナブルな価格」と、お客様に喜んでいただける「おいしさ」という一見矛盾する難題に対し、真っ向から取り組んでいます。体によい「素材を活かした」「健康的で」「安全な」料理の提供に向けて、開発~加工~提供まで一貫して責任を持って取り組み、お客様に「この品質でこの価格?!」と喜んでいただけるよう、全社一丸となって商品価値の向上に取り組んでまいります。


「食の『豊かさ』での貢献を目指す」

(株)サイゼリヤでは、食の「豊かさ」は「選べる豊かさ」だと考えています。一生に1回の食、数年に一度の食、たまの贅沢の食、忙しい時、ゆったりした時、一人の時、大勢の時、あっさり、こってり、朝・昼・夜。様々な食の用途「T.P.O.S」ごとに、適した食事が食べられる。私たち一人一人が「適した食」を気軽に選べることが真の「豊かさ」であり、ライフスタイルや嗜好の多様性と共に、私たち飲食店それぞれが得意分野を持って広く社会の皆さんに貢献し、共存共栄していきたい、と考えています。

レストラン「サイゼリヤ」は、日常の暮らしの中で、気軽に繰り返し来店いただく「カジュアルイタリアンレストラン」として自らを位置付け、ランチ~ディナータイムにおいてお客様自ら、来店用途に合わせてアラカルトで料理を選び愉しむ「イタリア式の食文化」の愉しさを提案し続けていきます。


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それでは、若手なりに「サイゼリヤ」の成長理由を分析させて頂きます。

【若手なりの成長理由分析】

「株式会社 サイゼリヤ」の一番の成長理由は…

〇「徹底した低価格を実現してきた点」です。これに尽きると思います。サイゼリヤはコスト・リーダーシップ戦略の代表的な例と言われています。コスト・リーダーシップ戦略は業界全体の広い顧客をターゲットとし、他社のどこよりも低いコストを実現することに焦点が置かれています。サイゼリヤは創業以来、徹底した低価格路線を歩み成長を遂げてきました。コスト・リーダーシップ戦略で重要な点は、いかに他社よりも安く優れたサービスを提供するかです。サイゼリヤは、それを徹底した効率化とシステム化を図ることで他社よりも低いコストを実現することに成功しています。例えば、同じ業態であるガストの顧客単価が「約850円」なのに対して、サイゼリヤは「726円」と、大手ファミレスの中でも断然の安さとなっています。このように、徹底的に低価格で商品を提供することで成長してきた企業なのです。


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〇それでは、何故 サイゼリヤは低価格を実現できるのか?

このことに焦点を当てながら、若手なりに成長理由を仮説で「3つ」上げさせて頂きます。


◆1.「無駄を徹底的に排除している点!」

*例えば、時間の無駄が発生すると、どうしても手間が掛かる分だけ"人件費"かさんでしまう他、電力などの費用も掛かってきます。サイゼリヤは、この無駄を徹底的に無くす努力をしています。具体的な内容は、掃除の時間のカット、食材発注システムの見直しなどです。掃除時間は専用のモップを活用することで50%程時間をカットすることに成功しました。また、食材発注をすべて自動化することで、注文の際の余計な手間を 全てカットすることも出来ています。これらの作業に必要な時間や人手を必要最小限の業務に回すことによって、回転率が上がり売上も向上します。また、人件費を削減することが出来る分、サービスに掛かる費用を低く抑えることが出来るようになっています。サイゼリヤは、このように 1分でも時間を短縮して、サービス向上を図っています。


*また 例えば、レストランは 通常キッチンは総店舗面積の1/3が基本ですが、サイゼリヤは1/5です。

これは、シェフの動きも徹底的に無駄を無くし、一皿当たり 0.1円単位でコストの削減や品質改善の努力を行い、10秒掛かっていた作業を 1秒減らすために、細部に渡って合理的に最短で働ける設計が至るところで行われているのです。

また メニュー数は減らしていく一方で、強いメニューを1つでも作ることを重視しています。すると、結果として食材ロスが減り、作業効率も良くなります。(同時に、例えば「ミラノドリア」は、定番人気メニューの一つとなっていて、武器ともなる)。無駄を省いたことで出た利益の一部は客に還元するために、また 値下げをする。このような流れで客に喜ばれると同時に、店舗も利益が出る関係になっています。


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◆2.「外食業の"SPA(製造直販業)"を実現した点!」

*サイゼリヤは、外食業に於いて「製造直販業」を実現した企業と言われています。製造直販業とは、お客さまに 直接料理を提供する店舗を持つ企業が、自ら商品開発~食材の生産~加工~配送まで一貫して行う形態のことです。サイゼリヤでは、わずか十数店のころから1,000店舗を視野に入れ、60年構想で製造直販体制を築いてきました。

製造直販の最大のメリットは、品質と価格を自分たちでコントロール出来るところです。お客さまに提供したい"美味しさ"を実現しようとした時、"美味しさ"の基準は 自分たち以外には非常に伝わり難いものです。加えて、中間に様々な人手が介入すればするだけ 意思が通じなくなるばかりか、コストが嵩んでいきます。サイゼリヤは、保管の仕方、加工の仕方、輸送の仕方に至るまで、全ての工程に踏み入り、品質の向上と"ムダ"の削減に取り組んでいます。


*そして、何よりサイゼリヤの凄さは、素材開発も自分たちで行っている点です。海外にも自社畑を多く持ち、日本でも東北地方(福島や宮城)にある「サイゼリヤ農場」で、種や土壌・栽培方法の開発研究などを行っているのです。

例えば 以前 サイゼリヤが、サラダの素材「レタス」を扱いたい時、そこには サイゼリヤが欲しい「レタス」が存在しませんでした。そもそも、サイゼリヤはレタスをサラダにして お客さまに提供しいます。一方で スーパーなどの小売りは、レタス丸ごと玉のまま陳列して販売されています。家庭でサラダを食べる時は、そんなに大量に食べないということもあり、スーパーで売れるレタスは 外葉も入れて 直径20cm前後のサイズ、そして 中身の大きさは、ハンドボールくらいのサイズです。

実質的な可食部分は200~300gで、これだと「サラダ2~3皿」にしかなりません。その上、1玉のレタスにはどれも「芯」があり、「芯」を取り除く作業を考えたら、1玉から2~3皿分しか取れないのは、あまりにも効率が悪いのです。「もっと、大きなレタスが欲しい! 大きくなっても食感はシャキシャキと柔らかく、味のあるレタス。そして 1玉から5~7皿分は取れるレタス。」このような考えから サイゼリヤでは、世の中にはないレタスを、自分たちで 種から作るしかなかったのです。


このように、外食チェーン店でありながら、素材から開発している企業は、サイゼリヤ以外に存在しないのです。

因みに、外食産業の営業利益率は「約5%」ほどですが、サイゼリヤは「約10%」と2倍近い数値となっているのです。


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◆3.「外食産業で珍しく"理系出身"が多く占めている点!」

*飲食業には、珍しく理系出身の社員が多く、社内では研究開発部門を強化しています。味を定量的に判断する為に、『科学的な品質評価』の仕組みを作っていたり、店舗の運営を効率化する為に専用の調理器具や掃除用具などの商品開発なども行ったりしています。こうして 食材の品質に こだわりを持ちながらも無駄を省くことで、"美味しい"人気メニューを安価に提供しているのです。

また 全従業員が「別けて考える(因数分解)」発想を植え付けられています。例えば、サイゼリヤの始業前の客席の床清掃は、「きれいにする」のではなく、「落ちているゴミを客席から移動させる」ということです。一見すると意味が分かりませんが、「床をキレイに掃除して下さい」と言われても、人によって「キレイ」の度合いが違うので、期待と異なる結果(要はキレイじゃない)になるのです。

そこで サイゼリヤでは、「ゴミを客席から移動させる」と定義して、それに 適した道具を用意しているのです。つまり、通路幅と同じ幅のほうきで、一筆書きのように ゴミを客席から"移動"させて、最後にまとめて捨てるのです。当然、通路幅は決まっています。そういう設計に予めなっているのです。これで 1時間掛かっていた客席清掃を15分に短縮しました。そのため、店舗設計も京都大学の建築学科を出た人を意図的に採用します。

このような、全てを定量的に捉えながら、「作業の効率化」や「美味しさの追及」などが、日々 行われているのです。


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◎と言うことで…

私も大学生の頃に、福岡市の警固公園前にある「サイゼリヤ」によく行っていました。とにかく、安くて美味しかった事を覚えています。こんなきっかけで、サイゼリヤさんを調べてみましたが、全ての行動が 計算され尽くされていて驚きです。一見 どこのファミリーレストランも同じような戦略に見えますが、調べてみると 独自の戦略があり、とても学びが多く面白いと思いました。浮き沈みの激しい外食チェーンの中で、成長を続けている「サイゼリヤ」ですが、今後の動向が とても楽しみです。


しかし 外食産業と言えば、「新型コロナウイルス」の影響を語らずにはいられません。

サイゼリヤも、2020年9月から2021年2月までの売上高が前年期に比べて、18.3% 減って628億円となりました(純損益が5億6,500万円の赤字)。コロナが終わっても、生活の様式は、元には戻らないと言われていて、サイゼリヤでも無期限で夜の営業を夜10時までとしています。ということは、業態変化を行い生き残るしかありません。

そこで サイゼリヤが、新しく始めたことが「駅内出店」です。通常の店舗の4割ほどの床面積(120平方メートル)にして、客席も少なくキッチンを1人で回すことが出来る設計で、出店費用を従来の半分近くに圧縮しています。基本的には、持ち帰り希望の仕事帰りのビジネスマンをターゲットにしています。ファミレスのそれまでの常識であった「ソファに座ってテーブルで食べる」という概念が壊れつつあるのです。

個人的には、子供連れの家族向けに特化したデリバリーサービスなどがあったら面白いと思います。私もよくデリバリーは使いますが、基本的には 一人向けにメニューが設計されていて、こういったサービスは、在りそうでない気がします。


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●それでは 最後に、C.I.について、若手なりに一言いわせて頂くと…

率直に、勿体ない気がしました。何故なら、会社の概要は伝わりますが、C.I.として サイゼリヤさんの『存在意義』が伝わり辛いと思ったからです。先ずは大前提として、ファミリーレストラン事業を通して、サイゼリヤさんが目指す不変的な想い(あるべき姿/成し遂げるゴール)を言語化する必要があると思います。「低価格」や「ファミレス事業」にこだわる理由が必ずあると思います。そういったことを表現すると、より サイゼリヤさんの存在意義が一般消費者に伝わり、それが 個性となりブランディングに繋がると思います。


〇若手なりに考えてみると…

「どのお客さまにとっても、もっとも身近で『食を通して家族の愛が深まる場所』となること。」などと言った、サイゼリヤさんのそもそもの意義が表現されると良いなと思いました。


〇また 違う表現をすると…

『科学の力で、安くて"美味しい"料理を作り、食文化に革命を起こし、お客さまを笑顔に、幸せな気持ちになって頂くこと。それが『世界平和』の一役になると信じて。」


今のC.I.だと、どうしても売り売りのイメージがあり、他のファミレスとの違いが分かり辛いと思いました。

出来れば、コンカンが提唱するC.I.と、御社のC.I.を一度 照らし合わせて頂けると有り難いです。

*concanが考えるC.I.とは?

生意気言って、申し訳ございません。

長くなりましたが、以上です。

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