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【若手社員が勝手に"イケてる企業のC.I.を切る"!】「第15回:シャボン玉石けん 株式会社 」

今日は 若手社員の私が、成長している企業のC.I.を紹介します。 福岡県の北九州市に、『無添加商品』のパイオニアメーカーと呼ばれている企業があります。 第15回は、無添加の「石けんや歯磨き粉、洗浄剤」を製造し、「青いお空がほしいのね~」のCMで有名になった「シャボン玉石けん 株式会社 」です。私も小さい頃、このCMをよく聴いていたことを思い出します!

本社は 福岡県の北九州市に構え、売上高60億円(2019年8月期)、従業員143名(2020年10月)と、家庭洗剤系の商品のみで売り上げを伸ばしている凄い企業です。


シャボン玉石けんは、体と環境に有害な成分を使用しない「無添加」にこだわり、化粧や石けんをはじめ、シャンプー・リンス・粉石けん・漂白剤・石けんハミガキ・クレンザー・台所用石けん等を製造・販売までトータルで行っています。今では、北海道から沖縄まで全国のスーパー・ドラッグストア等の量販店から、拘りの専門店・雑貨店で販売しています。また アジアをはじめ、アメリカ・ロシアでも、体や環境に良い優れた商品を求める方々から高い評価を得ていて、海外でも着実に売上を伸ばしています。 ーーー

【そもそも、シャボン玉石けんの「無添加」とは?】

実は、日本では「無添加」と言っても その定義は存在しません。そのため、最近「無添加」を謳う化粧品や洗顔料が増えてきていますが、実は 合成界面活性剤などが入っていても 香料や着色料など、何か添加物が1種類入っていないだけで「無添加」と謳っている企業も多く存在します。しかし シャボン玉石けんの「無添加」とは、本成分は石けん成分のみのもので製造されいてるのが特徴です。つまり、シャボン玉石けんの商品は、消費者がイメージするような本当の意味での「無添加」なのです。 ーーー

【企業の歴史】

今から111年前の1910年に、現社長「森田 隼人氏」の祖父が「森田範次郎商店」として、北九州で創業したのが始まりです。当初から日用品の販売を行っていて、北九州という好立地も重なり石炭景気で石けんも よく売れたそうです。石炭景気が終わっても、高度経済成長期を迎え、アメリカから合成洗剤が入って来たが、シャボン玉石けんは、その頃は 一早く 「合成洗剤」の製造・販売を手掛けて、業績を大幅に伸ばしました。 そして、現社長の父「森田 光徳氏」が社長に就任し、売上を伸ばし続けるも、一つ気掛かりがありました。それは、体にできる赤い"湿疹"に悩まされていた事です。そんな中、国鉄から「合成洗剤で機関車を洗うと、錆びやすいので『無添加の粉石けん』を作ってくれ」という依頼を受けたことを きっかけに、無添加石けんの開発を始めました。そして、たまたま 無添加石けんを洗濯や体洗いに使い続けていると、森田 光徳氏の"湿疹"が治り、再び合成洗剤を使ったら再発したので、"湿疹"の原因が分かったのです。

当時、合成洗剤はかなり売れていましたが、「悪いと分かったモノを売る訳にはいかない」と一大決心した森田 光徳氏は、合成洗剤の扱いを全て止めて、「無添加石けん」一本に切り替えました。その結果、売り上げは 100分の1以下、100人いた従業員も5人にまで減ったそうです。実に、赤字経営が17年も続く中でも、森田 光徳氏は「無添加石けん」の啓発と普及に取り組みました。そして、使命感をもって執筆した「自然流せっけん読本」が異例のベストセラーになり、「無添加石けん」の良さが広く知られるようになりました。販売も伸びて事業として軌道に乗り出したのです。 今では、3代目社長「森田 隼人氏」が 2007年に、父から当時30歳という若さで社長を引継ぎ、海外展開にも積極に進められています。今では「無添加石っけん」のシェア率は、日本でダントツのNo.1企業となっています。


ーーー それでは、そんな「シャボン玉石けん 株式会社 」の"イケてるC.I."の一部を紹介します。 【会社の理念】 健康な体ときれいな水を守る

【基本方針】 1.人と環境に優しい無添加石けんの普及によって、社会に貢献する。 2.社会的責任を自覚し、企業及び地域活動の持続的発展に努める。 3.たゆまぬ努力と研究で、よりよい製品開発に努める。 4.やりがいと魅力に溢れる職場づくりを追求する。

【環境理念】 我々は、健康な体ときれいな水を守るため、人と環境にやさしい商品づくりを通して、社会に貢献し地球環境の保全を図り、次の世代に住み良い地球と社会を残すよう努めます。

【環境方針】 シャボン玉石けんグループは、環境モデル都市 北九州市の一企業として、無添加石けん・化粧品の製造及び販売、日用品雑貨の販売をする中で下記の環境活動を推進し、地域社会及び地球環境の保全と継続的な改善に貢献します。

ーーー 【若手なりの成長の理由分析】

「シャボン玉石けんさん」の一番の成長理由は… ●「会社の存在意義を大切にし、自分たちが良いと思った商品しか売らないという社風が醸成されている点」です。先に述べた通り、1974年 前社長の「森田 光德氏」は、全ての商品を合成石けんから無添加石けんへ方針転換し、それに伴い 売上もそれまで月商「約8,000万円」あった売上が「78万円」にまで落ち込みました。それでも、本当に良い物だけを売りたいというブレない想いから、絶対に合成洗剤に戻すことはしませんでした。このエピソードに対して現在の社員全員が誇りを持ち、会社や製品に対して、深い愛着をもっていることが1番の強みだと思います。その表れとして、社長自身も社員の自社製品の使用率が日本一と自負されており、退職した社員もシャボン玉石けんの商品をずっと使い続けて貰っているそうです。 また、1974年の危機の時でも、自社を愛し残ってくれた5人が、後に幹部社員となります。この苦を共にし、血の結束となった社員がいることで、どんな時でもお互いが道を修正し合える関係になっているのも強みだと思います。

それでは 更に、若手なりに成長理由を仮説ですが「3つ」上げさせて頂きます。 ■1.「マーケティングの巧さ!」 *シャボン玉石けんでは、かなりマーケティングを強化されています。元々マーケティン部はありませんでしたが、2005年から外資系メーカーから優秀なマーケターを雇いました。先ず やったことが、「ハミガキ」「洗たく槽クリーナー」「酸素系漂白剤」「シャボン玉浴用(固形石けん)」、「バブルガード(ハンドソープ)」の5つを強化アイテムと決め、この5つだけのマーケティングの強化した事です。結果、この5アイテムは 大きく売上を伸ばし現在の売上を牽引する商品に成長しました。更に それだけでなく、他カテゴリーに「ハロー効果」を期待できます。『ハロー効果』とは、一つの商品の印象に引っ張られて、他商品まで影響を及ぼすことです。5つの商品の認知度アップと、同時に『ハロー効果』により、他商品の売上も上がる事になったのです。全ての商品をまんべんなく売ろうとするのではなく、「明らかに売れるであろう商品」をマーケティングベースでピックアップし、販売戦略や広告手法も、その商品を軸に考えていくことで 全体に派生させることを基本としています。

*また、同様にターゲットも かなり絞っています。何故なら、絞らないと「自分ごと」として捉えて貰えないからです。例えば、ターゲットを「ヨガをする人」に設定し、このターゲットだけに刺さるコピーの制作などを徹底し、それだけでなく、ヨガのミニ番組の立ち上げまで行いました。また インフルエンサーとなるインストラクターの方の活用、ヨガスタジオによる体験型プロモーションなども展開しています。その結果、ターゲットにとって企業の「宣伝」ではなく「自分ごと」になるのです。

ーーー ■2.「既存顧客の囲い込みを行っている点!」 *シャボン玉石けんの特徴の一つに、有料の会員制度の「シャボン玉友の会」があります。商品自体は会員登録せずに購入できますが、年会費2,000円で会員になると、商品10%割引や会報誌の送付、会員向けプレゼントキャンペーン参加などの特典があります。一方で、シャボン玉石けんでは、有料会員以外には、絶対にディスカウントをしない方針です。徹底的に、有料会員への割引と、会報誌などを通して顧客との関係構築を図ることで、有料会員の満足度を満たし、ロイヤルカスタマーになって貰っているのです。 特に、勝手に連鎖的なファンネットを構築する「アンバサダーマーケティング」も強化しています。これは、ロイヤルカスタマー(アンバサダー)が、新たな消費者を呼び込むマーケティングです。Facebookや定期的なユーザーが集う会を実施することで、「シャボン玉石けん」のロイヤルカスタマーが、「長年使い続けている」というような口コミを、他の消費者に広め非常に説得力があるものになるのです。

ーーー ■3.「理念ベースの経営で、判断がブレない点!」 *シャボン玉石けんでは、「健康な体ときれいな水を守る」という理念のもと、40年以上もの間「無添加石けん」をつくり続けています。その結果、北九州から全国に向けて、理念に基づいたブレない商品づくりと広告戦略で、飛躍的な成長を遂げている企業として有名です。実は、シャボン玉石けんには、商品というよりも、企業 そして 先代の社長のファンが沢山いるのです。これこそ、理念が素敵でブレないからこそ、会社自体に共感を得られているのだと思います。

*広告の仕方も理念から逸脱することは絶対にありません。例えば「無添加」という言葉は、現在、多くのメーカーが使い始めていますが、シャボン玉石けんは、『香料無添加』、『防腐剤無添加』という事は 当然として、主成分は何なのかというところで「無添加」の基準を考えています。そのため、広告の出し方も決して商品をアピールするのではなく、「無添加を疑え。」といった、理念に紐づく啓蒙的なワードを打ち出すことで、消費者が環境を考えるきっかけとなることを意識されています。その結果「よくぞ 言ってくれた」「企業がこういうこと言うのは素晴らしい」などと、この広告に共感し企業自体の認知度が上がったのです。

*また「健康な体ときれいな水を守る」の理念のもと、人と環境にやさしい商品づくりを通して、社会や地球環境の保全を図り、次の世代に住み良い地球と社会を残すことに努めてきました。今では 売上の1%を、すべて環境保全団体へ寄付をされています。石けんの原料油脂であるパーム油やパーム核油を取り寄せているマレーシアの農園では、持続可能な生産に取り組んでおり、パーム残渣(パームの皮や種)を再利用してボイラー燃料などのエネルギーへリサイクルするなど環境にも配慮しています。他にも、石けん講演会や工場見学なども行いながら、環境への啓蒙活動も積極的にされています。因みに 工場見学には、年間15,000人ほど参加頂いているそうです。

ーーーー ◎と言うことで… *シャボン玉石けんを一言でいうと「カッコいい」です。シンプルに『理念』に向かって"愚直"に走られている姿が素敵です。理念をブラさずに自分たちが良いと思った商品だけを売り続けることが、自然とブランディングになっているのだと思います。ましてや 月商が「78万円」になってでも正しいと思ったらやり続ける姿勢は、到底 真似できるものではありません。企業のこの姿勢に共感したロイヤルカスタマーが沢山いらっしゃるのだと思います。因みに 社長の座右の銘は、「好信楽(こうしんらく)」です。先代社長から受け継がれる姿そのものだと思います。 *好信楽(こう しん らく):何事も1つのことを最後まで成し遂げるには、好きになって信念を貫き、しかも 自分が楽しみながらでなければ長続きしない。 また マーケティングのやり方が、本当に参考になります。特に一つを尖らせ 他商品まで波及させるというやり方です。「〇〇と言えば、××」と言える商品を一つ作ることが、その商品だけでなく、企業自体の生き残りに繋がるのだと、実例を持って学ばせて頂きました。

現在は コロナウイルス感染症の影響で、ハンドソープの売上は前年同期の約5倍と急増しているそうです。その中で、需要の拡大に対応する為に 約30億円を掛けて、北九州に新工場の建設を進められています。このコロナ禍で、今後 シャボン玉石けんさんが どのような施策をされるのか、とても楽しみです。

そして、個人的に、シャボン玉石けんさんが「やったら面白いな」と思ったことが… 「無添加石けん」の作り方をYouTubeなどで公開し、好きな石鹸の形にして、SNSに投稿して貰うという事です。実は、私もキャンプ好きで、合成洗剤だと外で洗い流すことができず、「無添加石けん」を作ったことがあります。このコロナ禍で、そういった施策をすると、社会性もあり啓蒙活動の一環になると思いました。

ーーー ●最後にC.I.について、若手なりに一言いわせて頂くと… 「健康な体ときれいな水を守る」というシンプルな会社の理念のもと、それに紐づく形で環境理念まで言語化されている点が凄いと思いました。そして、その理念を飾りにせず、しっかり実行されている点が企業成長の全てだと思いました。余談ですが喫煙する人も、理念に反するからと採用しないほどの徹底ぶりです。 敢えて、若手なりに一言いわせて頂くと、何故「健康な体ときれいな水を守りたいのか」そして その為に、「何故 シャボン玉石けんさんが家庭用洗剤からアプローチを始めたのか」を、しっかりC.I.として言語化されると、消費者も腑に落ち易くなると感じました。個人的にも 企業の歴史やエピソードが「立派過ぎる」と感じたので、一般消費者にも分かる形にすると 更に 良いと思いました。 出来れば、コンカンが提唱するC.I.と、御社のC.I.を一度 照らし合わせて頂けると有り難いです。 *concanが考えるC.I.とは? https://www.concan.co.jp/post/topics-ci 生意気言って、申し訳ございません。 長くなりましたが、以上になります。

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