今日は、concan代表の私が、「個の時代に求められる『自律的な学び』の重要性」について調べてみます。
~副題:先が不透明な激変する、これからの時代を考えると「自律的な学び」は不可欠なものだ!~
「人生100年時代」と言われる中、日本型の人事制度に限界が来ていることは周知の通りです。
更に 長引く『コロナ禍』でリモートワークの普及もあり、管理職の人たちが どのように社員(部下)を育成すれば よいのか分からないなど、「人材開発」や「部下育成」に関する課題は 益々 深刻な状況となっています。
そして、「企業内教育」を取り巻く環境が変化する中で、どのような"課題解決"が実現できるのか…。
今回は、リクルートマネジメントソリューションズの「櫻井 勇太氏」と、リクルートマネジメントスクールの講師を務める「三坂 健社長」のインタビュー記事の一部を紹介します。
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■1【年功序列が崩れ、リモートワークも普及しつつある中で、『社内人材研修』はどのようにすればいいのか…?】
●聞き手「長引く『コロナ禍』の中で、日本のビジネス環境は大きく変わろうとしています。『組織マネジメント』や『人材開発』に於いて、"今"日本企業が抱えている課題とは、何でしょうか?」
●櫻井氏 「人生100年時代とDX(デジタルトランスフォーメーション)の到来の中で、『日本型人事制度』に限界が来ています」
*「櫻井 勇太プロフィール」
リクルートマネジメントソリューションズ
新卒で入社後、営業時代はMVP、MVGなど 複数回受賞。2019年より、ビジネススキル領域を中心としたパートナー商品の開発・企画・新規提携を統括。加えて、現在は、リクルートマネジメントスクールの事業責任者も務めながら、新サービス開発にも取り組んでいる。
●櫻井氏 「具体的には、新卒一括採用の見直し、年功序列の撤廃、終身雇用の限界、という変化があり、人事の皆さんにとっても 人ごとではなくなっています。その中で、人材をどのようにキャリアアップさせればいいのか、どの企業も その課題に直面しています。加えて 昨今は、DX人材の不足、管理職の多忙傾向増加、など、人事として 手を打つテーマも多岐に渡り、必要な教育や研修にまで 手が回らない、そんな状況も伺います。更に、コロナを機に、テレワークが普及して 部下の育成方法も従来と変える必要があるなど、環境変化に伴う人事の対応力は より一層求められています。」
●櫻井氏 「そんな中で、研修の位置付けにも変化が見られます。これまでの日本型人事制度の中では、社員は、ある程度平等に昇格していきました。そこでは 一定の層を対象に、『階層別研修』を行えば よかったのです。階層が はっきりしていた為、役割を中心に意識付けをする研修が 人事にとっても 従業員にとっても合理的だったのです。
ところが 現在は、年功序列の撤廃に伴い、役割と年次がバラバラになってしまい、役職や部署も転々と変わることが当たり前になってしまいました。そういった変化を踏まえると、一律に行う研修だけではなく、自律的な『選択型研修』も加えていくことが、より合理的になってきたのです。」
●三坂氏 「それは強く感じます。今は 先行きが不透明で、将来の予測が困難な『VUCA』の時代と言われます。
つまり、もはや 経営陣や管理職の想定している範囲内では物事が進まなくなっています。その為、現場にいる従業員 一人ひとりが "今"、何が課題なのかを考え、自律的に取り組むことが求められているということです。」
●三坂氏 「このような状況になるにつれて 人材育成の在り方も変化し、主体的な学びが求められるようになりました。自ら必要だと思うことを どんどん 学んで"アウトプット"して欲しい、という会社からの"期待感"は非常に強まっています。」
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■2【研修のトレンドは、『階層別研修』に加えて、『選択型研修』も】
●聞き手 「研修についてのトレンドも変化しているということですね。因みに 櫻井さんの言う『階層別研修』と『選択型研修』を詳しく聞かせて下さい
●櫻井氏 「『階層別研修』とは、会社が意図的に“この役職や役割になった時に 受講して貰う”とセットするものです。『選択型研修』とは、どのような研修をいつ受講するかを、基本的に社員に委ねているものです。トレンドとしては 選択型のニーズが高まっていて、導入する企業が増えています。経団連が2020年に行った調査結果によると、社員の『能力開発』の為の研修プログラムについて、4割の会社が『社員の自発的な意思で受講するプログラムを拡充する』と回答しています。しかし、冒頭 申し上げた合理性を踏まえると、もっと 割合が増えていくべきだと思っています。ただ、新たな『選択型研修』を導入することは 人事にとってもパワーが掛かる為、『研修は従来どおり"階層型研修"だけをやっておく』そんな企業も多いと思います。」
●三坂氏 「確かに、会社よりも個人の方がビジネススキルの必要性を強く認識するようになってきたのを感じます。年功序列や終身雇用が崩れて、転職やキャリアチェンジが当たり前になり、『ジョブ型人事制度』の導入が増え始めた"今"、持ち運びが出来る"ポータブルスキル”への意識が高くなっています。」
*「ポータブルスキル」とは、その"言葉"の通り 業種や職種が変わっても「持ち運び可能な能力」と定義され、例えば「仕事のし方」は、『課題を明らかにする』『計画を立てる』『実行する』という"3つ"に分類されるが、これは どんな仕事でも共通する概念であるということ。
●三坂氏 「ポータブルスキルの代表的なスキルとしては、『思考力』や『プレゼンテーション』、そして 最近は、会議やチームを束ねる『ファシリテーションのスキル』の人気が高くなっています。オンラインでの業務が増えたことで、『コミュケーション力』への比重が高まっているからだと思います。」
*「三坂 健プロフィール」
HRインスティテュート代表取締役社長
慶應義塾大学経済学部卒、損害保険会社を経て HRインスティテュートに参画。経営コンサルティングを中心に、教育コンテンツの開発、人事制度設計、新規事業開発、人材育成トレーニングにて活動している。
●三坂氏 「例えば『ロジカルシンキング』などは、かつては 管理職やリーダー層が学ぶものだったのですが、"今"は 新入社員から50代、60代の方までが 学ぼうとしています。『人生100年時代』になって、雇用が延長され、『ファーストキャリア』と『セカンドキャリア』の次に、『トリプルキャリア』を考えなければならない時代になりました。ビジネススキルを学ぶ年齢の幅も広くなっていて、ピンポイントで学べる選択型の研修は そのニーズにマッチしていると思います。」
●聞き手「とはいえ、自律的にビジネススキルを学ぼうとする人の割合は、それほど増えていないという現状もあるそうですね?」
●櫻井氏 「確かに、その数は まだ 多くありません。当社の調査によると、1年以上に渡って 何かを継続的に学んでいる人の中で、最も熱心に取り組んでいる領域の"1位"はスポーツ・健康で『33.1%』、"次いで"語学が『21.7%』、ビジネス知識・スキルは"3位"で『16.2%』でした。その『16.2%』という人たちの学ぶ頻度を調べたところ、週1日以上 学んでいると答えた人は『72.2%』いました。環境の変化に敏感な方は、積極的にビジネススキルを習得しようとしていますが、その一方で、ビジネススキルを積極的に学ぶ機会もなく、取り残されている人も多いことが分かります。『人生100年時代』に於いて、継続的に学ぶことの重要性を、これまで以上に企業も伝えていき、働く個人も強く自覚していくべきだと思います。」
●三坂氏 「人がスキルを身に付けようとする"きっかけ"の一つに『できない』という認識を持つことが挙げられます。語学と違って、ビジネススキルは 実際にスキルを必要とするシーンに直面しないと"できない"という実感を持ち難い傾向があります。『キャリアビジョン』を具体的に描き、現状とのギャップを認識することが出来れば 到達する為にビジネススキルが必要だと考え、学ぶ人が増えてくると思います。」
●三坂氏 「個人がキャリアを自律的に選択することを、『キャリア自律』といいます。日本では、会社が決めた職務や配置で働くことが多いのですが、自分で自分をマネジメントする『セルフオーナーシップ』を高めることは、その『キャリア自律』を実現する上でとても重要になります。」
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■3【自律的な学びを支援する、多彩なテーマを持つ『3時間研修コース』」
●聞き手 「リクルートマネジメントスクールは、そうした時代の変化に対応したプログラムを用意されていますが、このスクールの"特徴"は何ですか?」
●櫻井氏 「『リクルートマネジメントスクール』は、50年以上の研修提供の実績を持っています。
そして、その研修のノウハウの蓄積を基に 従来の『階層別研修』に加えて、自律的な学びを支援する選択型の『3時間研修コース』を用意しているのが"特徴"です。このコースでは、定番のビジネススキルに加えて、変化の時代に求められる『クリエイティブスキル』や『思考法』、『セルフマネジメント』など、幅広いテーマの講座を"100本以上"ラインアップしています。講座の多くは オンラインで受講可能で、場所の制約がなく 全国から参加いただけます。」
●櫻井氏 「コースを開発するに当たって、私たちは学びのテーマ領域をマトリクスで考えています。縦軸に『人生』『仕事』、横軸に『マネジメント』『クリエイト』を置き、それぞれ "4つ"の領域でコースを考えています。
例えば『仕事・クリエイト』の領域では、"イノベーション"や"クリエイティブシンキング"のテーマを、『人生・マネジメント』の領域では、"アンガーマネジメント"や"マインドフルネス"などのテーマをラインアップしています。講師陣は、各専門領域で豊富な経験を持つプロフェッショナルで、『分かる』のではなく『明日から使える』を意識してコース設計をして貰っています。」
*「3時間研修コースの"特徴"」として、チケット制サービスがある。管理者が、受講回数分のチケットをウェブ上で購入し、受講者へ配布し、、本人がスキルアップしたいコースを選択し受講することが出来る。
チケットの価格は『1枚 1万5.000円』(税別)
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■4【「気づき」と「実践」を促す為にライブやグループワークなど 多彩な方法を取り入れている】
●聞き手 「『3時間研修コース』は、基本的に双方向のライブ型なのですね?」
●三坂氏 「ライブ型であることが、大きな"特徴"だと思います。録画された動画配信と比べると、双方向の学びである為、"緊張感"や"一体感"がまったく違います。自分がその場に参画しているという実感を持てて、集中力が高まります。
私も『3時間研修コース』を担当していますが、受講者には どんどん 質問をぶつけていきます。『しゃべって貰う』、『書いて貰う』、という"アウトプット"が大事で、参加者には受け身ではなく、常に"中腰の姿勢"で受講して貰っています。」
●櫻井氏 「私たちが提供している研修では、受講者の内発的な"気づき"を促したい、という強い思いがあります。
その為に、講師の方々には 『ディスカッション』や『グループワーク』を多く取り入れて貰い、受講者の"気づき"を促して貰っています。例えば『マネジメント』について学ぶコースでは、マネジメントの知識を一方的に教えるのではなく、受講者に対して 問いを投げかけ、自身の経験やこだわりを表出させ、それが マネジメントの知識と どうマッチするか、あるいは どうズレているか、その"気づき"を持ち帰って、実践に繋げて貰うのです。こういった"気づき"の有無が、動画配信等のサービスとの違いと考えています。
●聞き手 「公開型研修サービスというのも好評だと伺っていますが…?」
●櫻井氏 「リクルートマネジメントスクールでは、『階層別研修』でも1人から受講できる為、他社の受講者と異業種交流をしながら学べるという"メリット"があります。
この業界では、『階層別研修』というと、企業に講師を送り込むインハウスという形態がありますが、それと同じものを『公開研修コース』として設定しています。
企業によっては、インハウスでも可能ですが、外の刺激を受けて欲しいからと、敢えて 当スクールの『公開研修コース』を受講させるというケースも多いです。」
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■5【まとめ】
「人生100年時代」「先が不透明なVUCA時代」そして テクノロジーの進歩のスピードが早く、これから 益々 あらゆることが 激変していく時代になる事を考えると、ご存知の通り 今までのような"みんな一律(平等)"の考え方では通用しません。「個の時代」とは、「個の能力の時代」ということです。
それは 「能力のある人と、ない人」で極端に分かれる時代なのです。所謂 自律的な学びを「やってる人と、やってない人」では、これまで以上に 色んな意味で 相当な差がでるということです。
そう考えると、この「選択型研修」は、学びたい人にとっては 自律的な学びを促す為の大きな"武器"になると同時に、もしかすると "個人のスタンス"にとっては 「人生の分岐点」とも言えるものかも知れません。
また、昨今 叫ばれている『ジョブ型人事制度』に於いては、自律的に学ぶことがセットで語られることも多く、このスキルを身に付けるには「選択型研修」は相性がいいと思います。
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◎と言うことで…
「日本型人事制度の終焉で注目を集める、キャリア自律の為に必要な『選択型研修』とは?」と題して書いてきましたが、ここで、「リクルートマネジメントスクール」の『コンテンツのテーマ領域』と、『自律的な学び』について、もう少し掘り下げてみます。
■6【リクルートマネジメントスクール コンテンツ】
「3時間研修コースの『学び』テーマ領域」
定番のビジネススキルに加え、変化の時代に求められるクリエイティブスキルや思考法、セルフマネジメントなど "100コンテンツ"以上、幅広いテーマをラインアップ。
*マトリックス
〇縦軸「人生」「仕事」
〇横軸「マネジメント」「クリエイト」
◇1(左上).「多様性と個人の時代の学び領域」
(「人生」×「マネジメント」)
多様な価値観や働き方の中で、一人ひとりの人生をより良くする為の知識・スキルを得る
◇2(左下).「連続的な変化の時代の学び領域」
(「仕事」×「マネジメント」)
広義のマネジメントによって課題解決し、成果を生み出していく為の知識・スキルを得る
◇3(右上).「AI・テクノロジー時代の学び領域」
(「人生」×「クリエイト」)
AIに人間の仕事が置き換えられる中で、主体的に人生を創り上げていく為のヒントを得る
◇4(右下).「VUCA時代の学び領域」
(「仕事」×「クリエイト」)
答えの見えない不連続な変化の時代に求められる、『生み出す』力を身に付ける
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■7【「自律的な学び」とは?】
そもそも 「学び」とは、私たち自身の生活から出発して、生活によって、自身の生活を物心共に向上させ、「より良く生きる」為のモノです。「学び」は、自己の発展、それ自身を目的とするモノです。
「学び」は、異なった『遺伝』と異なった『環境』とを持っている者たちが、機会均等に自己の発展を遂げ、自己を社会化していくのが「学び」本来の目的なのです。
今までの『画一的な教育』を打ち破ぶる「自律的な学び」は、"学び手"である受講者が、独自(個別)の学びから始めて、受講者同士が、相互に刺激し合い、更に いっそう進んだ独自(個別)の学びを"アウトプット"することで、組織的な学びとなる「人材育成手法」です。この「自律的な学び」は、性格・能力の異なった受講者が、個性を活かしながら活動し、しかも自由と協同に富んだ社会を実現する為に必要な「人材」を育成しようとするものでなのです。
この「自律的な学び」を実践するためには、環境の整理が大切です。講師も一つの重要な環境であり、講師は「学び」の指導者であると同時に、共学者でもあるのです。環境に順応し、更に これを創造することは、その「コミニュティ」が創造発展することと同じことなのです。
このような「学び」が出来るように構成組織された「自律的な学び」は、「他律的な学び」よりも、かなり有効なモノなのです。
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