今日は、「HRアワード2020」書籍部門で最優秀賞を受賞した「宇田川 元一氏」の最新刊『組織が変わる―行き詰まりから一歩抜け出す対話の方法 2 on 2』の概要を紹介します。 ~副題:リモートワークが長期化している今、分かり合えない『上司』と『部下』の「モヤモヤ」は最高潮!~
「コロナウイルス」の影響で、リモートワークが当たり前になった昨今 分かり合えない『上司』と『部下』の「モヤモヤ」は、最高潮に達しています。更に、管理者は『経営層』からの数字のプレッシャーが高まる一方で、『部下』には より細やかな「マネジメント」が求められています。仕事を抱え込み、孤立無援のマネジャーたちの『疲弊度』も限界にきていると言われています。
今回のコロナショックで「職場に活気がない、新しいアイデアが生まれない…」
このように組織が硬直化し、"閉塞感”が漂う企業は少なくないと言われています。「こんな状況を変えるには、『対話』が必要です」。著者は、こう指摘し「4人1組」で行う、新しい対話の方法『2 on 2』を紹介しています。
表面的な問題の裏にある真の問題を明らかにし、改善を図る画期的な方法だと述べています。それは『他者と働く』が「慢性疾患」の現状認識ツールなら、『組織が変わる』は「慢性疾患」の"寛解ツール"だと。
職場に活気がない、会議で発言が出てこない、職場がギスギスしている、仕事のミスが多い、忙しいのに数字が上がらない、病欠が増えている、離職者が多い。これらを「組織の慢性疾患」と呼び、セルフケアの方法を初めて紹介したのが「宇田川氏」です。
放置され続ける「組織の慢性疾患」に、どんな手立てを講じられるのかを、宇田川氏は、「危機感は生まれ難いことを自覚する」「慢性疾患は、ゆっくりと進行するので、何か職場で よくないことが次々に起きるなと思っても、一つひとつの問題は致命的なインパクトを与えるレベルではありません。」
「そのため、背後にある慢性疾患が放置されがちだ」と。
「慢性疾患」は、目立たないので、誰もすぐに着手しようとは思わないと言われています。職場でも、背後に潜んでいる「慢性疾患」の『急性症状』として納期遅れが生じた時、その場しのぎの対処をしても問題は頻発します。納期遅れは大きな問題ですが、もっと問題なのは『頻発し始めている』ことです。
しかし、なぜ 『頻発する』かについては"分析"されず、後回しにされ、いよいよ着手しないといけない段階になって困るのです。よくある「企業変革」の議論に、「危機感が足りないから変革をしない」があります。確かに急激な『ビジネス環境』の変化で、『大赤字の事業』に対して、何も手をつけずにいる場合は問題です。しかし、組織の「慢性疾患」に対して、短期的な"危機感"をあおってもあまり意味はありません。
「職場で慢性的に起きている問題とは、何か?」「 大事な問題なのに"きちんと"話し合われていないものは何か?」というと、これに 向き合うことこそ、組織の「慢性疾患」に対処する第一歩になります。"危機感"が足りないから対処しないのではなく、"危機感"が そもそも 持ち難いものなのだという認識が大切だと言うことです。
まずは、長期に渡って悪化してきた「慢性疾患」なのだと理解することから始める必要があります。
その為にも、表層的な問題に捉らわれることなく、問題の背後にある意味をよく観察し、解釈していくことが重要です。
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【著書/行き詰まりから一歩抜け出す対話の方法概要 】
■1.「あなたの会社を蝕む6つの『慢性疾患』と『依存症』の知られざる関係」
■2.「『チームの雰囲気をもっと悪くするには?』という“反転の問い”がチームの雰囲気をよくする理由」
■3.「イキイキ・やりがいの対話から変革とイノベーションの対話へ!シビアな時代に生き残る『対話』の力とは?」
■4.「小さな事件を重大事故にしない出来るリーダーの新しい習慣『2 on 2』の対話法」
■5.「三流リーダーは組織『を』変える、一流リーダーは組織『が』変わる」
*『2 on 2』の重要性⇒近年『1 on 1』が多くの企業で取り入れられていますが、問題の捉え方、組織の見える風景を『1対1』で変えることは、中々 難しいものです。単に問題と向き合うのではなく、複数の他者を交え、問題について少し距離を取って眺めて見るのが『2 on 2』の特長です。
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◎と言うことで…
「上司が部下にいくら"危機感"を煽っても、全く意味がない!」と題して書いてきましたが、この本は、主に企業で働く『ミドル・マネジャー』を想定して書かれています。
その理由は、組織の「慢性疾患」がミドルという立場に表現され易く、問題を実感し易い立場だからです。それは裏を返せば、ミドル層こそ、組織の「慢性疾患」に対してセルフケアを実現していくと、変革の手応えが一番 実感できるのです。
「慢性疾患」には、日々 途切れなく その病と付き合わざるを得ないイメージがあります。事実、組織で働く多くの人たちは、身体感覚を伴いながら、組織の「慢性疾患」の痛みに苦しんでいると思います。
組織の「慢性疾患」へのセルフケアを行えないことが、企業社会の「問題解決策依存症」へと陥らせているのかも知れません。何か、"ガラッと"企業を変えてくれる手法はないのかと、次々と現れる「問題解決手法」や「コンサルティングサービス」に飛び着いては、また "ダメだった"と『徒労感』に見舞われます。すると、徐々に諦めが蔓延し、それを紛らわす為に違う解決策を探し回る人たちもいます。「問題解決策依存症」とは、手の付けどころが分からない複雑な問題に対し、手近にある解決策を取り続けている状態のことを言います。
しかし、自分たちで手を携えてやっかいな問題にも手を着けられるのだと実感が湧いてくれば、この依存症から回復することが出来ます。そして、確かな変革への手応えを感じながら歩み始めることが出来るのです。
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だからこそ この『本書』は、ミドル層に対して、以下の『7つの効能』を訴えています。
◆1.「自分も相手も見えている風景が変わる」
◆2.「自分で、しょいこんでいた荷物を下ろす方法が分かる」
◆3.「人の力を借りられるようになる」
◆4.「ひとりで悩まなくなる」
◆5.「4人1組の『2 on 2』で言語化できないモヤモヤの正体が現れる」
◆6.「上司と部下が協力し合える」
◆7.「組織が変わる」
これらの『7つの効果』を得られるよう、組織の「慢性疾患」へのセルフケアを、手応えを感じながら実践できるようにする。そして、セルフケアし続けられるようになる。
それが『本書』の目指すものです。
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