今日は、concan代表の私が調べた ソフトウェア会社である「アドビ株式会社が開発した『Substance 3D』が齎す世界」について紹介します。
これからのビジネスは、クリエイティブの"質"を高め、共同作業を効率化し、時間とコストを削減し、環境負荷を低減させて、『ARやVR』といった最新の"顧客体験"にまで対応することが必要だと言われています。
「3Dのビジュアライゼーション」を可能にする『アドビ』の「Substance 3D」は、混迷を極める時代の経営者にとって"福音"となるアプリケーションです。
*「アドビ(Adobe Inc.)」とは、『ジョン・ワーノック』と『チャールズ・ゲシキ』によって1982年12月に設立された、アメリカ・カリフォルニア州のサンノゼ市に本社を置く コンピュータ・ソフトウェア会社。1982年12月から2018年10月3日までは「Adobe Systems Incorporated」という社名だった。日本法人である「アドビ株式会社」は、東京都品川区大崎に本社を置く。
今、情報技術の革新とパンデミックの影響が相まって、多様な業界・業種で『仕事』の空間が「フィジカル」から「デジタル」へと移行しています。サプライチェーンに於ける"共創"には 更なる『速度』と『確度』が求められ、顧客との"接点"に於いては ブランドロイヤルティを醸成するコミュニケーションが必須となっています。勿論、あらゆる コストを抑えながら、環境への負荷も低減していくことが望ましい時代となりました。こうした時代の要請の全てに応えなくてはならない経営者は、どこに 全体最適の"光明"を見い出せばいいのでしょうか。
そうした課題に対するソリューションとなる『アプリケーション』を提供しているのが「アドビ」です。その名は、「Substance 3D」。アドビといえば、「Photoshop」や「Illustrator」といった独自のソフトウエアにより、30年以上も世界中のクリエイティブな『仕事』を支え続けている企業です。自信を持って展開している「Substance 3D」とは、どのようなアプリケーションなのでしょうか。
●一言でいうと…
「3Dの高品位なビジュアライゼーションを可能にするソフトウエアです」
アドビで、主に企業向けに業務効率化・ワークフロー改善の提案を行っている「加藤 修一氏」は、続けてこう解説しています。「バーチャルサンプルが経営課題の解決に貢献する」と。
「例えば、スポーツブランドの『ミズノ』では シューズデザイナーが『Substance 3D』を使用しています。シューズの開発段階では サンプルが生み出されます。開発から実際の生産に至るまで、商品の仕様の決定に用いられるものです。『ミズノ』は、このシューズサンプルを"リアル"から"バーチャル"にシフトする取り組みを行っています」
スポーツシューズには、ナイロンや合皮をはじめとして表革、スエード、ポリウレタン、プラスチック、紐といった多様な"素材"が用いられています。それぞれの"素材"に特有の「テクスチャー」を再現しながら、『3D』によって"フォトリアル"な描写を可能にしてくれるのが「Substance 3D」です。
*「テクスチャー」とは、材料の表面の視覚的な色や明るさの均質さ、触覚的な比力の強弱を感じる凹凸といった部分的変化を、全体的に捉えた特徴、材質感覚、効果を指すもの。
サンプルが、"リアル"から"バーチャル"に置き換わることで得られる"ベネフィット"は多いのです。『ミズノ』のフットウエアデザイナーの「中村 敬氏」は、その効果を次のように説明しています。
「まず、海外の工場とのやり取りなどで "リアル"では 月単位で掛かっていたサンプルの作成期間が、週あるいは 日単位にまで短縮されます。サンプルの完成後には 海外の各拠点に現物を輸送して 確認作業に入っていましたが、そうした時間も"バーチャル"ならメールで送るだけなので 大幅に短くなります。サンプルの製作や確認作業に掛かる時間を短く出来るということは、デザイナーが"創造性"を発揮する時間が その分 長く取れるということです。年間で考えれば、トータルのサンプル数は膨大なものとなるので、時間と伴にコストの削減効果も大きくなります」
即ち、企業が持つ競争力の"源泉"となる製品のクリエイティビティは、向上の一途を辿り、時間とコストの鎖から解き放たれるのです。世界各地のマーケットから修正依頼があったとしても、バーチャルサンプルなら造作もないことです。あらかじめ、チャレンジングなプレゼンテーションを仕掛けることも出来ます。
リアルサンプルは"素材"の手配に始まり、シューズの現物を製作してから 各国に輸送するという手順になる為、時間を要します。バーチャルサンプルであれば、リードタイムを大幅に短縮できます。
「そして、膨大な数のリアルサンプルは、環境にも負荷を与えることに繋がっていましたが、バーチャルサンプルは その低減に寄与します。また、サンプルを各国に輸送する必要がなくなる為、物流の面に於いても『CO2の削減』に貢献します」と中村氏は述べています。
従来、リアルサンプルは環境に負荷を与えていましたが、バーチャルサンプルの活用で環境負荷が低減されました。
近年、「ESG投資」の気運の高まりと伴に、企業は サプライチェーン全体に於ける『CO2の削減率』が問われるようになりました。
*「ESG」とは、『環境』(Environment)、『社会』(Social)、『ガバナンス』(Governance)の頭文字を取って作られた"言葉"で、近年では、この3つの観点から企業を分析して投資する「ESG投資」が注目されている。また、環境や社会に関して注目を集めているもう一つのキーワードが「SDGs」。
コロナ禍で、顧客とのタッチポイントは 実店舗からECへ変化しました。「Substance 3D」は、「社内外の意思決定を円滑化・迅速化させる手段」として期待できますが、同時に「製品と顧客を密接に繋げる手段」としての可能性も無限に広がっています。昨年来のコロナ禍で、顧客とのタッチポイントは、実店舗からECサイトへと大きな振り幅で移行しています。これから先、アフターコロナの局面でも ECの利便性に対する顧客の支持は変わることなく 拡大していきます。つまり、PCやスマフォの画面が これからの"購買行動"を大きく左右します。顧客が触れるデジタルチャネルのビジュアルに対する投資が不可欠になります。この投資を渋ることは、会社の『ミッション』を顧客と共有し、顧客と密に繋がり続け、ブランドを成長させる機会を放棄することに等しいのです。
「『Substance 3D』が実現するリアルな3Dビジュアライズは、まず ゲームクリエイターにとって欠かせないものとなりました。例えば、『ファイナルファンタジー』の制作現場でも使われていて、ゲーム業界での普及率は90%に及ぶと言われています。この流れは、ゲーム業界だけではなく、他業種、例えば 製造や小売にも広がっています。バーチャルフォトとして自社の制作物に取り込んだ先駆的な企業の1社が『イケア』です」と加藤氏は語っています。
『イケア』は既に、カタログ内の75%の画像をバーチャルフォトで制作し、その制作の中で「Substance 3D」を利用しています。家具・インテリア小物は、レザー、ウッド、スチール、ファブリックなど 異なる「テクスチャー」のオンパレードです。表面感があれば、奥行き感もあり、朝の陽光が差し込んでいることもあります。それらを"リアル"に表現して、高度なライフスタイルフォトを"バーチャル"で創れるところに『イケア』は着目したのです。
「バーチャルサンプルやバーチャルフォトは、ECサイトなどの顧客接点に於いて 販促ツールとしても使えます。"リアル"な写真撮影の時間とコストを省くことが出来て、開発期間の早期からバーチャルサンプルを使った攻めのプロモーション施策を打つことまで可能になります」と加藤氏。
「Substance 3D」を使ってバーチャルサンプルやバーチャルフォトへと移行することは、新たな顧客体験の創出にも繋がります。高品質な商品ビジュアルを360度のマルチアングルでチェックして貰い、自由なカスタマイズを楽しんで貰えます。更にには『ARやVR』への流用も容易であり、平面では伝え切れない商品を入手した後の体験を、購入前に感じて貰うことも可能になりました。「3Dで商品画像を体験した顧客の購買意欲は 25%もアップします」「AR体験による返品の削減率は30%にもなります」というデータもあるのです。
これからの時代は、こうした『3D』を活用した顧客体験を実践できる企業が成長を遂げます。日本に於いては、建築家・隈 研吾氏の「隈研吾建築都市設計事務所」でも『アドビ』の動画ツールや「Substance 3D」が生かされています。建築業界では『3D』での設計デザインだけでなく、高品位なビジュアライゼーションの需要が 益々 高まっています。このコロナ禍、新しい家具を創るプロジェクトに於いて、CGチーム設計室長の松長 知宏氏は「Substance 3D」を使って"リアル"な質感を再現しながら、家具のイメージを伝える動画を制作しています。
*詳しくは…
商品開発から販売までに掛かる時間とコストを削減し、企業の生産性を著しく向上させるのが、アドビの「Substance 3D」です。リアルサンプルの輸送や廃棄をなくすことで、サステナブルな未来に貢献し、より良い方向に世界を変えようとする『アドビ』の「企業理念」が体現できます。顧客とのタッチポイントに於いては、『ARやVR』を含めた最新の"感動体験"が提供できます。経営者が直面する多くの課題・難題を跳ね返し、事業の成長を支えてくれるのが、この「Substance 3D」なのです。
既に、建築、アパレル、自動車、食品、日用品などの業界では、様々なニーズのソリューションとなっています。ビジネスをアップデートする為に、『アドビ』の「Substance 3D」を味方に付けるべき時が来ているのかも知れません。
◎と言うことで…
「アドビの『Substance 3D』が企業に齎す恩恵とは?」と題して調べてきましたが、凄く便利で 想像も付かない"世界"が直ぐ そこまで来ています。しかし この『アドビ』の「Substance 3D」を使いこなす為には、『指示する方』(営業側)も 『創る方』(制作側)も 基本的な「クリエイティブ力(脳)」が必須になります。そこで、最後に これから求められる「クリエイティブ力(脳)」とは何かを紹介して終わります。
時代は、IT化が進み、機械的な作業を"人間"がやらなくていい時代が どんどん 近づいています。その一方で、"人間"には「クリエイティブ」な発想力が 益々 求められるようになっています。
例えば…
「私は、『クリエイティブ』な職種ではないから、"創造性"は それほど 求められていないし、必要ない」と思っている人がいますが、それは「クリエイティブ力(脳)」に対する大きな認識の誤りです。「クリエイティブ力(脳)」とは 一般的に、テレビ局や広告会社、ベンチャー企業などで求められている、作品や新規事業を創る際に必要な、人とは違う"発想"の事だと思われていますが、実際は 会社で働く誰もが 企画書を書く時に、営業の戦略を立てる時に、更には 普段の生活の中で、より効率よく、生き易く過ごす為にも「クリエイティブ力(脳)」は必要です。"提案書制度"で有名な『トヨタ』の工場では、工場で働く人たちが提案書を出し 採用されれば 金一封が貰える為、工夫して より良くする為には どうすればいいか、と言うことを みな考えているのです。すると自然に職場の雰囲気も活性化し、明るく 活き活きと働くことが出来ます。このように、「クリエイティブ力(脳)」とは、誰にも思いつかないことを考え出して 唯一無二の作品を創り出す為に必要なものではなく、日々の暮ら
しをより良くする為に「自分の"頭"を使って しっかり 考える"基礎体力"」のことなのです。
『AI』は、過去のデータから解決策を導き出すことは出来ても、新しい"発想"は出来ません。出来るのは"人間"だけです。
だから、デジタル時代の"今"こそ「クリエイティブ力(脳)」が必要なのです。
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