今日は、concan代表が思う「社員のすべてが、成長することは無い!」と題して、社員教育の難しさと、「中小企業」の社員教育が、「どうあるべきか」について書きたいと思います。
~副題:『8:2の法則』は、社員教育にも当てはまる!~
●まずは、「8:2の法則」について説明します。
「8:2の法則」とは、イタリアの経済学者「ヴィルフレド・パレート」によって提唱された法則で、「パレートの法則」とも呼ばれています。
顧客・全体の2割である「優良顧客」が、売上の8割を上げているという法則です。
この事から、全ての顧客を平等に扱うのではなく、2割の優良顧客を差別化する事で、8割の売上が維持でき、高い費用対効果を追求できるとするものです。
この法則は、当初、所得分布の経験則から始まったものですが、現在では 品質管理、在庫管理、売上管理、マーケティング、そして「教育」まで適用されています。
そして 経済以外にも、「自然現象」や「社会現象」にも当てはまると言われています。
●では、本題に入ります。
私自身は、そうは思っていないのですが、多くの中小企業の社長が最終的に行き着く最大の"悩み"は「人材が育たない」という事のように感じています。
何故なら、中小企業は、大企業と違って「人材」(地頭がよく、頭の回転が早い人)も「教育制度」も整っておらず、「資金力」も違い過ぎる為に、大企業と同じようにやっていても 中々 「人材」が育たないのだと思います。
*所謂 大企業と同じ、「社員教育」や「人材育成」をしても無理があるのです。
そこで…
●結論から言うと、全てに於いて『選択と集中』が必要になります。
*社員全員に満遍なく、教育しても意味を成しません。
中小企業に入社する人材の多くは、「人・物・金・情報・ノウハウ」など、経営に必要な理論を全く知らない事が ほとんどだと思います。大企業であれば『財務、マーケティング、経営戦略、人事労務、部下指導、コーチング』について、若い頃から幹部候補生として『教育』を受けます。こういった優秀な人材は、元々 勉強する習慣がある為、頭も良いと思います。
しかし 私もそうでしたが 中小企業では、いくら優秀な人材でも、最初からそうはならないと思います。
●次に…
【組織論/組織は、歯車の組み合わせ】
*この歯車は、悪い意味ではなく、「大きな歯車」(ベテラン)と「小さいな歯車」(新人)という意味です。
◆社員も「8:2法則」が当てはまる!
*2割:出来る社員
*6割:普通の社員
*2割:出来ない社員
(どの会社も同じような割合)
この「8:2」の割合で、中小企業では…
◆2割の優秀な人材に主要業務を遂行させる!
*企画部門・営業(売上)部門・管理部門など。
◆各個人の個性を引き出し適材適所に配置する!
◆野球で例えると、4番バッターだけを揃えても勝てない!
*4番バッターは、中々 育たない。
●では、どうすべきか?
【社員教育/組織を早期に活性化する方法】
※以下中小企業の場合
◆社員のすべてが、成長することは無い!
◆狙った人材を英才教育する!
*狙う人材(社員)は、人望があり、マネージメントが出来そうな人。
*ヒト・モノ・カネ そして、情報・ノウハウと言った「経営理論」を教育する。
*マネージメント、財務、マーケティング、経営戦略、人事戦略、労務、部下指導、コーチングなど。
◆財源に限りがある為、全員教育は時間と、コストロスが大きい!
このように 中小企業は、資金が潤沢にある訳ではありません。資金に余裕があれば、「社員全員教育」も有りですが、現実は 中々 厳しいと思います。
そして 会社が幾らか、「社員教育」をしても、社員本人が「その気」に成らなければ「成長」はしません。会社が出来ることは、社員に対して「大きな刺激」を与える事で、「やる気スイッチ」を入れれるのは、社員 本人しか出来ません。
◎と言うことで…
「社員のすべてが、成長することは無い!」と言う話を「8:2の法則」から紐解いてきましたが、最後に 社員の成長・衰退は本人よりも上司の問題だという話を書いて終わります。
まず、社員の「成長」を定義すると、「成長」とは、担当する業務が何であれ「出来きなかったことが、出来るようになる」ということです。
すなわち「社員が成長するマネジメント」とは「出来なかったことが、出来るようになると評価される環境を創ること」だとと思います。
そして、この環境創りには、『3つの要素』が明確でなくてはなりません。
それは、「目標」「結果」「評価基準」です。
この"3つ"が、「客観的に誰が見ても理解できる」状態であることは「成長できる環境」の大前提だと思います。
しかし、多くの中小企業の経営者や管理職は、この「成長」できる環境を実現できていないと思います。
それは、何故なのか?
「成長できる環境」と「これを壊してしまうマネジメント」を考えてみます。
「成長できる環境は、「目標・結果・評価制度」が明確です。しかし「成長できる環境」を壊してしまう、以下のようなマネジメントがあるのも現実です。
●一部の社員と上司が、頻繁に飲み会をし相談をし合っている。
●社員のプライベートに、上司が関心を持っている。
●上司を飛ばして、社員が「更に上位の役職者」と話し合っている。
●上司とよく食事に行く社員が、役職者になれる傾向がある。
●「評価」の根拠に社員本人が納得できるよう、上司が説明している。
●たとえ目標を達成していても、評価査定でマイナス評価となることがある。
これらは「成長できる環境ではない」と判断される事象の一つです。いずれも「目標達成の他にも、求められていることがある」と社員が感じてしまうような内容です。
上司と積極的に飲みに行く社員が出世する環境では、同じ時間で業務を振り返り、研究し、達成に向け努力してきた社員は、会社を離れるかも知れません。
「マイナス評価に納得できない」気持ちに長い時間、耳を傾けてくれる上司を見て、社員は「理由があれば未達成は許される」と感じ、次回の目標に対しても「出来ない理由」を探してしまうかも知れません。
最近でこそ、この意見は変わって来ましたが、長い間、日本では「社員の為に、上司や会社が寄り添っていく」ことを良しとする風潮がありました。
しかし、社員と上司の距離が近づき過ぎると、感情的な衝突・印象的な評価・好意による昇進などが増えていきます。
皮肉なことに「社員想いの情に厚い上司」こそ、陥り易い問題とも言えます。しかし「上司に取り入ること」が「目標達成」よりも重要になってしまった社員と会社は、必ず衰退します。
真に社員を想う上司ならば、「目標の達成・未達成」を公平に判断し、彼らが自律的に成長する環境を創る為に、一定の「自制」が必要だということです。社員が「未達成の言い訳」や「印象的な高評価」を狙う余地は全くない事を示す必要があります。
逆に、目標を達成すれば 必ず評価を得ることが出来るという「環境」を創ることが重要です。
〇「目標売上に到達した。」
〇「目標集客人数を達成した。」
〇「一定の顧客満足度を確保した。」
これらの「目標」によって、機械的に必ず評価されなければなりません。この仕組みを取り入れた中小企業では、離職率が低減し、数ヶ月で営業成績が上がるようになります。
社員数やノウハウは増えているはずなのに、成果が一向に上がらないという経営者・管理職の方は、この「成長できる環境」を考えてみて下さい。長くなりましたが、以上です。
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