今日は、成長している企業のC.I.を紹介します。
第4回は、創業大正9年(1920年/長崎県大村市で貞松時計店として開業)2018年に、現在の社名に変更した「ジュエリー業界にイノベーションを起こした」と言われているアジア市場を視野に活動されている「フェスタリアホールディングス 株式会社」です。 *旧社名:株式会社 サダマツ
実は、フェスタリアホールディングスさんとは、私が前職の時に仕事をさせて頂いた経験もありますし、貞松社長にもお会いしたこともあります。 この会社は、長崎→福岡→東京中目黒と本社を移転し、業態も、時計店→眼鏡店→宝石店(ジュエリー)へと業態変更されてきた会社です。 売上高は、グループ全体で約100億円、2002年にはIPO(株式公開)されています。 *主力商品は「夢を叶える2つの星のダイヤモンド」 『Wishe upon a star』をUSP商品として展開中です。 では、「フェスタリア」の「イケてるC.I.」の一部を紹介します。
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【企業理念】 「ジュエリーに愛と夢を込めて」 『bijou de famille』 ビジュ ド ファミーユ 豊かな気持ち、かけがえのない想い出、ずっと持ち続けていたい夢 私達の使命は、大切なあなたに、ジュエリーとともに愛と夢をお届けしていくことです。
*「bijou de famille」:フランス語で「家族の宝石」という意味。 ヨーロッパに古くから伝わる習慣で、祖母から母へ。母から娘へ、あるいは、花嫁へ。家族の「愛の証」として一生もののビジュ(宝石)を、世代を超えて受け継いでいく習慣。ひとりひとりの命は限りあるものですが、宝石の輝きは永遠。家族の愛が、宝石の輝きのように永久に続いていくようにと想いが込められている。
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【成長の理由分析】 まず、C.I.の完成度が素晴らしいです。創られたものと言うより、貞松社長の「体験」や「経験」から滲み出てきたものだと感じます。C.I.(企業理念)と企業活動(スピリッツ)が一致している所が、素敵です。 *「フェスタリアホールディングス」にはノルマはなく、あるとしたら「夢を持つこと」。会社は、その「夢」を叶えるお手伝いをすることだと言われています。
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また成長し続けている理由は、色々ありますが、大きく4つ上げさせて頂きます。
■1.貞松隆弥社長の「夢」へのトラウマ!(挫折経験) *プロのミュージシャンを目指されていた時、お父さんが倒れられ、家業を継いだことで「夢」を諦めた「トラウマ」が、後のキーワード(夢)を生みます。 また 家を継いで、ある事件が起こり多くの社員が辞めた経験から「自暴自棄」になり、ヤクザと喧嘩して刺され、死に掛けた経験もお持ちです。 その後、あるお寺の和尚の一言で、人生を変えられます。 「甘えるな!」と。この言葉が後の「貞松社長」を変えました。所謂「目から鱗が落ちた。」です。
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■2.貞松家に三代続いた商人魂!(価値判断) *時計職人だった「お祖父さん」の教えに… 「世の中に必要ないものは、なくなる。」→「だから必要なことをやりなさい。」 「これが何に役立つのか考えなさい。」 この考え方が、ジュエリー業界に後発参入した時の判断材料になっています。所謂『bijou de famille』です。 *ジュエリービジネスは、人類で一番古いと言われ「クレオパトラの時代」からおこなわれて来ました。
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■3.貞松社長のマーケティングセンス!(勘と理論思考) *ジュエリー業界への参入判断は、こうして生まれました。 バブル全盛期 ジュエリー業界は3兆円、4兆円あった市場規模が、崩壊後、1兆5.000億まで縮小し大手が潰れる中で、眼鏡の市場は5.000億だったことから、市場は3倍だと判断し、後発ながら参入しました。また ジュエリー業界の大手でも300億円規模だったことも参入の大きな理由になっています。 *ジュエリー店舗・1号店(1993年 沖縄 ジャスコ)出店の判断は、偶然の産物と勘、そして理論思考でした。 オープン4ヶ月前に、大手がキャンセルし、夢を諦めた場所だったこと。そして、下記のようなマーケティングの考え方があったからです。 ●1.沖縄県人口 140万商圏(共働き率日本一) ●2.米軍基地によって南部(那覇周辺)に人口が密集(福岡より密集) ●3.鉄道がない車社会(国際通り周辺には駐車場が少ない)
この条件から、沖縄 ジャスコには、お客さん(情報が集まる)と判断し出店しました。
地方都市で人口30万程度の都市では、郊外型ショッピングモールに様々な情報が集まります。GMS(スーパー)があり、来店頻度が高いからです。 この環境の中で、「情報発信」ではなく、「情報受信」(お客様の名簿)し、CRM戦略を取りました。 なぜなら… ジュエリーの「購買動機」からCRM施策をおこなっています。 ●1.誕生日 ●2.個人的な記念日「結婚記念日」 ●3.店舗で見て気に入った時 ●4.自分へのご褒美(*4は、平成2年ごろから) 当時、ジュエリー業界の販促は、Xmasしかやっていなかった為、名簿を活用した様々な施策をおこないました。
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■4.マーケティングに基づいブランド戦略! *貞松社長が取られたCRM戦略は… ●「地方都市」(田舎)のCRM 若い人から年配者、お年寄りまで幅広い層がターゲットにCRM施策を実施。 ●「都心」のCRM お客様の思考が成熟していて、自分のスタイルが、はっきりしている。また都心は、立地によってクラスターがはっきり分かれている為、情報発信が必要。 *地方都市と都心では、CRM施策の「間口」と「奥行き」が真逆になっています。 *また、今後マーケティングが大きく変わると言われています。 ジュエリー自体の価値も変化しました。 「資産価値」→「ファッション価値」(感性的/バブル崩壊後)→「精神的価値」(永遠)
マーケティングの神様「フリップ・コトラー氏」によると…
●今まで「M2.0→STP分析(資産価値・ファッション価値)」 これってどうですか?
●今後「M3.0→M2.0+精神価値」 これって良くないですか? いいね!→これからは、「ミッション」「スピリッツ」が一番大切になると言われています。
今後のマーケティングのキーワードは、「共感」と「仲間が集まる(お客様が参加する)」 ●将来「M4.0→5G時代になると、360°デジタルマーケティング」の施策が求められる。
*マーケティングに基づいたブランド戦略は… ●2006年 東京 表参道ヒルズに基幹店オープン ●2006年 海外に自社工場(ベトナムSPA工場)設立 ●2017年 東京 銀座中央通り「フェスタリア ビジュソフイア ギンザ」をオープン(アジア戦略に基づいた情報発信基地)
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◎と言うことで… 成長し続けている理由は、まだまだ書き足りませんが、貞松社長が言われているように「ジュエリー=永遠」は女性の感性そのものだと思います。貞松社長の後任は「女性の社員さん」の中から"社長"に抜擢されるかもしれません。 その準備として… キャリアパス制度により女性の働き易い環境を創り、女性リーダーを育てる為に、一般社団法人「ウイメンズ・エンパワーメント・イン・ファッション」(WEF)と教育システムを構築されています。
しかし ジュエリー業界の将来は、明るいだけではありません。 人口減少による市場の縮小や、ブライダル需要の減少など様々な課題を抱えています。 ここ数年のジュエリー業界を支えたものは、インバウンド需要でした。その為 今後は国外での競争力強化が不可欠になります。国内では、大手ジュエリー会社同士のM&Aも活発化すると言われています。 そこで、「フェスタリアホールディングス」のアジア戦略が期待される所です。
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最後に、C.I.について一言いわせて頂くとしたら「企業理念」に基づいた様々な企業活動の中で、「キャリアパス制度」を体現する具体的な「教育マニュアル」が気になりました。機会があれば見せて頂きたいと思います。
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